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高輪おばけトンネルなき今、巡りたい東京の「低すぎるガード下」【現地レポ】
みなさんこんにちは。土地の高低差から生まれた街の歴史にロマンを感じるKINTOのマサカです。
「この道を行けばどうなるものかと不安になる時もあるが、まず一歩を踏み出す勇気が大切だ」赤いマフラーのヒーローが残した名言にもあるように、実際に足を運んでみなければわからない世界があります。ネットでは得られないその場の空気感や見えてくるものを、自分の目で確かめるのが趣味です。
※記事公開時の情報に基づいており、最新でない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトなどでご確認ください
さて、ずっと行ってみたいと思っていたのが、車の屋根がすれすれで通ることで有名な「高輪橋架道橋(通称:オバケトンネル、あるいは首曲がりトンネル)」。ずっと気になっていたのですが、このトンネルがなくなってしまうという話を耳にし、7月の初め、思い立ってふらっと訪れてきました。
場所は、泉岳寺駅を降りてすぐ。高輪ゲートウェイ駅と田町駅の間に位置しています。もともとはJRのガード下を通る抜け道として知られていたそうですが、周辺は再開発が進み、新しいビルが次々と建設中。エリア全体に活気があふれていました。




あまりの低さに絶句していたところ、にこやかな警備員さんが「170cmしかないんだよ。もうすぐなくなっちゃうからねぇ」と、このトンネルについて教えてくれました。

実際に高さ170cmのゾーンはほんの一部だけ残っており、トンネルの途中からは、人や自転車が普通に行き来できるような高さに改良されていました。

また、ひっきりなしに人が行き交っており、このエリアで暮らす方々にとって、このトンネルが日常に欠かせない存在であることが伝わってきました。
本当は、車が屋根すれすれで通り抜ける姿を見たくて訪れたのですが、私が行ったときには車道が完全に封鎖されており、その光景を見ることすら叶いませんでした。
それでも道にたどり着くまでの期待感、トンネルに入る瞬間のドキドキ、頭をすくめて一歩踏み入れたときのワクワク、そして再び地上に出て青空を見上げたときの解放感。ただ一本のガード下の道を通っただけなのに、想像以上の満足感がありました。
そのとき、ふと気づいたのです。こうした「低いガード下」は、かつての都市構造や交通事情に合わせて、必要に迫られてつくられたもの。今の都市開発の中で、あえて再現されることはまずありません。つまり、これはまさに「歴史の遺構」なのです。
もし今残っているものも、やがて非効率という理由で姿を消していくのだとしたら今この目でしっかりと見ておきたい。
そこでこの記事では、今も都内に残る「車が通れる低いガード下」をいくつかご紹介したいと思います。
【江東区北砂】第2八右エ門ガード(高さ制限1.6m)
江東区北砂の2丁目(東側)と1丁目(西側)を結ぶ、JR貨物の貨物専用線「越中島線」のガード下。このガードには「第2八右エ門ガード」という名前が付けられています。日本地図センターから発売されている東京時層地図というアプリで、約115年前に計測された地図を確認したところ、もともと北砂近辺は八右衛門新田と呼ばれる田畑が広がるエリアだったそうで、それが名前の由来かと思われます。


江東区のガードレールがかろうじて車道と歩道を分けてくれています。

こういったお知らせを出すくらいなので、たまに衝突する人がいるでしょうね。そして、道は区の管理ですが、ガードに衝突となるとガード自体はJR東日本の管轄という、考えれば当たり前の事実に、改めて感動を覚えました。

ガード下に来て気づくのは、標識の多さ。進入禁止はその通りだけれども、見えないところでも飛び出し注意や止まれ!といった注意喚起を行う標識が多く、ガード下は危険なんだなということを理解しました。
【足立区柳原】牛田駅近くのガード下(高さ制限1.7m)
東武伊勢崎線の牛田駅と堀切駅の間にある、ガード下。このエリアは京成本線と伊勢崎線が交差するガード下密集地帯です。そのためそもそも道が狭いのですが、このガード下の道はこれほど高さも幅もないにもかかわらず、一方通行の制限はありませんでした。

昔からこの道は千住の重要な道路として存在しており、生活道路としてこの土地にとってはなくてはならない存在だったようです。実際に取材に訪れたときも、ひっきりなしに人が通行していました。こういった線路が通っていると線路を起点にそれぞれ住所が分断されたりしがちなのですが、こちらは南側も北側も柳原一丁目ということで人々をつなぐ大切な道なのだなということがわかりました。

ガード下は今時珍しい赤レンガ。東武伊勢崎線の牛田―堀切間は、1907年(明治40年)に開通しているので、この赤レンガはその時のものだったりして…とロマンに胸震わせてみたりして。


ここのガード下は平日の朝8時~9時は歩行者専用道路とのこと。ガード下に来るまで、この標識を認識できていなかったのですが、これは知らないで通りかかると大変。「タクシー頭上注意!」に気を取られてかなり大きなルールを見落としそうになりました。要注意です!
【大田区大森西】作尻架道橋(高さ制限1.7m)
続いてご紹介するのは、大田区の大森駅と蒲田駅のちょうど中間あたりに位置する「作尻架道橋」です。
この道は、大田区中央2丁目(西側)と大田区大森西1丁目(東側)を一方通行の道路で結んでおり、東海道線の下をくぐる形となっています。
この場所にはかつて水路があったそうですが、東海道線が開通したころに、田んぼの真ん中を通る小道になったそうです。
こうした歴史をたどることで、この道が長きにわたり地域の人々にとって欠かせない通路であったことが見えてきます。現在も、地域にとって重要な生活道路としてその役割を果たし続けている様子がうかがえます。





この道は歩道がしっかり確保されており、とても歩きやすく整備されていました。頭上をひっきりなしに東海道線の列車が通過し、その迫力を間近に感じられます。
大田区のこのエリアでは、道路が整備される以前に東海道線が先に開通してしまったため、自転車や歩行者専用の踏切が各所に点在しており、こうした構造がこの地域独特の街の表情や文化を形づくっていることがわかりました。
【渋谷区笹塚】笹塚第5架道橋(高さ制限1.7m)
京王線の代田橋駅と笹塚駅の間、すぐ隣が世田谷区という場所に、高架下のすぐ脇にタクシー会社があるガード下があります。周囲の環境を考えると、車が通れたほうが望ましい立地です。
現在、この区間では京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業が進められており、取材に訪れた際、実際に通行可能だったのは、このガード下だけでしたが、複数のガード下が存在するエリアです。



南側のトンネルを抜けた先に車両通行に関する標識があり、この道が自動車も通行することに気づきました。

おそらく地元の人だけが知っている知る人ぞ知る道なのかもしれません。そういえば、この高架下周辺の道を歩き回っていたら、不思議なガードパイプを見つけました。

地元の人達が利用する道に設置されている、取り外しができる区のガードパイプの存在を初めて知りました。私道なのか?公道なのかわからないですよね。
【渋谷区幡ヶ谷】幡ヶ谷第1架道橋(高さ制限2.0m)
京王新線の幡ヶ谷駅と笹塚駅のちょうど中間地点。京王新線が地下に潜る直前に現れるガード下が、こちらの幡ヶ谷第1架道橋です。
この道は、北側から南側へ向かう一方通行となっています。

京王新線が地下化されたのは1978年(昭和53年)。これまでにご紹介してきた他のガード下に比べれば、比較的新しい構造物で、昔から、甲州街道と旧玉川上水をまっすぐ結ぶ重要なルートだったそうです。

この架道橋の印象的な特徴は、分厚く塗られた白い壁面。「落書き禁止」の貼り紙が何枚も掲示されており、笹塚側の歩道は現在閉鎖されています。おそらく、落書きや張り紙の被害が長年続いてきた場所なのではないかと想像されます。


南側の出入口には無許可の広告がいくつも掲示されていました。ガード下は、夜間は人通りが少なくなるため、いたずらや無断でのポスター掲示などがされやすい場所なのかもしれません。だからこそ、壁を塗り直したり、警告表示を増やしたりと、地域での対策が続けられているのでしょう。
おわりに|「低いガード下」に魅せられる
今回ご紹介した「低いガード下」の数々は、どれも単なる交通インフラではなく、都市の成長や人々の暮らしを背景に築かれ、今も静かに生活を支え続けています。閉ざされたように見えるその空間には、街の記憶がかすかに息づいているように感じられました。
地元の人々にとっては当たり前の生活道路であり、外から訪れる人にとっては、ちょっとした冒険のような存在。低い天井をくぐるときの緊張感や、過去を想像して胸が高鳴るあの感覚は、まさに「行ってみなければわからない世界」だと思います。
都市開発の波の中で、こうした構造物は「非効率」という理由で、やがて姿を消してしまうかもしれません。だからこそ、今あるうちにその空気を感じておきたい、そう思わせてくれる場所ばかりでした。
もしあなたの身近にも、なんとなく気になる道やガード下があれば、ぜひ足を踏み入れてみてください。見慣れた街の中で、思いがけない景色や感情に出会うこともあるはずです。
今回の旅で改めて感じたのは、こうした小さな発見こそが「移動」そのものが持つ楽しさだということ。
私たちKINTOが大切にしている「移動のよろこび」は、特別な旅先ではなく、ふとした街角の風景の中にもきっと見つけられる。そんな思いで、これからも足を運び続けたいと思います。
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