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ヒッチハイクとは?日本では禁止?違法になるケースと法律、注意点を徹底解説

ヒッチハイクとは?日本では禁止?違法になるケースと法律、注意点を徹底解説

訪日外国人観光客の増加やタクシー不足を背景に、いわゆる「白タク」行為が問題視されるようになってきました。「白タク」とは、タクシー営業の許可を受けていない自家用車で、報酬を得て人を運ぶ行為のことです。
 
「人を乗せる」という行為には、ほかにも「ヒッチハイク」がありますが、こちらも状況によっては違法と判断される場合があります。善意で乗せたつもりが、思わぬ形で罪に問われてしまう可能性も否定できません。
 
今回は「人を乗せる」ことに関するルールや注意点について、改めて確認してみましょう。

吉川 賢一(よしかわ けんいち)

この記事の執筆者

吉川 賢一(よしかわ けんいち)

自動車ジャーナリスト。日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。自動車ジャーナリストとして、新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さも伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナ、筋トレなど。

※記事公開時の情報に基づいており、最新でない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトなどでご確認ください

ヒッチハイクとは?

ヒッチハイクとは?
ヒッチハイクとは?

目的地や経由地を記したプレートを掲げ、通りすがりの車に乗せてもらう移動方法である「ヒッチハイク」。海外を舞台にした映画やドラマで目にすることが多いため、海外特有の文化だと認識している人は少なくないかもしれません。

日本でもヒッチハイクは一定の存在感を持っています。特に2023年春ごろ、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和された時期には、高速道路のサービスエリアやインターチェンジ入り口付近で、大きな荷物を抱え行き先プレートを掲げている若者の姿を見かけることがありました。

海外では違法、日本では原則合法

海外では違法、日本では原則合法
海外では違法、日本では原則合法

実は、アメリカでは犯罪防止や交通安全の観点から、ヒッチハイクを禁止している州が多く存在します。オーストラリアや南アフリカなどでも同様の規制があり、違反した場合には罰金や拘留といった処罰の対象になることもあります。

日本では、ヒッチハイクそのものを直接禁止する法律はありません。しかし、道路交通法などの規定に抵触する可能性があり、状況によっては違法と判断されるケースもあるため、注意が必要です。

違法になる可能性があるのは「有償」のとき

違法になる可能性があるのは「有償」のとき
違法になる可能性があるのは「有償」のとき

ヒッチハイクが日本で違法とされる可能性があるのは、金銭の授受が発生した場合です。本来、ヒッチハイクの本質は「無償での送迎」にあります。しかし、もし「乗せてもらった対価として〇〇円渡します」といった申し出をドライバーが了承してしまうと、法律に触れる可能性が出てきます。

日本の道路運送法第4条では、

 一般旅客自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。

と定められています。ここでいう「一般旅客自動車運送事業」とは、路線バスや乗合タクシーなど、運賃を受け取って乗客を運送する事業のことです。

いわゆる「白タク」は、許可を受けた緑ナンバーの車両ではなく、一般の白ナンバー車両を使って運賃を得る行為であり、この道路運送法第4条に違反する犯罪行為とされています。ちなみにこの規定に違反したとされると、ドライバーに3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります(道路運送法第96条)。

ただし、「業として」とは報酬を得る目的で行うことを指すため、ドライバーが偶然出会ったヒッチハイカーを善意で乗せ、そのお礼として気持ち程度の金銭を受け取る行為では、「業として」とはみなされないのが一般的です。国土交通省も過去に「謝金の支払いは有償運送には該当せず、許可は不要」との見解を示しています(※)。ガソリン代や有料道路代、駐車場代などの実費を支払うことや請求することも問題ありません。
※国土交通省 令和6年3月1日付け国自旅第359号
道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドラインについて
道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドラインについて(概要版)

とはいえ、それが何度も繰り返されたり、謝礼の金額が高額になったりすると、「報酬を得る目的で反復継続した」と判断されてしまう可能性は十分にあるため注意が必要です。

ドライバーが「無免許運転」に問われる可能性も

ドライバーが「無免許運転」に問われる可能性も
ドライバーが「無免許運転」に問われる可能性も

また、道路交通法に違反する可能性もあります。道路交通法第86条では、

次の表の上欄に掲げる自動車で旅客自動車であるものを旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で運転しようとする者は、当該自動車の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる第二種免許を受けなければならない。※以下略

と定められています。そのため、金銭の授受があった場合、乗せた人が「旅客」とみなされる可能性があり、ドライバーは「無免許運転」に問われるリスクが生じます。

日本では2024年4月から、二種免許を持たないドライバーが、自家用車を使い有償で顧客を運ぶ「日本版ライドシェア」が制度化されました(※)。
※国土交通省「地域の自家用車・一般ドライバーを活用した有償運送の許可に関する取扱いについて
※国土交通省「日本版ライドシェア、公共ライドシェア等について

ただし、この制度はタクシー事業者の管理のもとで行われる事業であり、ドライバー教育や運行管理、車両整備管理などをタクシー事業者が担当します。タクシー配車アプリのデータに基づき、タクシーが不足する地域や時期、時間帯を特定し、地域の自家用車とドライバーを活用して不足分を補う仕組みです。

したがって、第二種免許を持たないドライバーが、タクシー事業者の管理を受けずに自家用車で有償輸送を行うことは、道路交通法第86条に違反する行為となります。これは、いわゆる「白タク」行為にもあたるため、前述の道路運送法第4条に抵触する可能性があります。

制度に基づくライドシェア、自由意思のヒッチハイク、そして違法な白タク行為は、それぞれ法律上の位置づけが異なるため、混同しないようにしましょう。

ヒッチハイクは「場所」の選び方が重要

ヒッチハイクは「場所」の選び方が重要
ヒッチハイクは「場所」の選び方が重要

ヒッチハイクにおいては「場所」の選び方も非常に重要です。例えば、乗せてもらった後に高速道路のバス停で降ろしてもらうと、ドライバーが道路交通法違反に問われる可能性があります。道路交通法第75条の8では、

高速自動車国道等においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。

とされています。

ただし、以下のような例外が認められています。

  • 駐車のために区画された場所で停車・駐車する場合
  • 故障など、やむを得ない理由による停車・駐車
  • 乗合自動車が、運行系統に属する停留所で乗客の乗降や運行時間調整のために駐車・停車する場合

高速道路のバス停は、上記の3番目に該当し、停車が認められるのは高速バスなどの乗合自動車のみです。一般車が、故障などの正当な理由なく、駐車区画ではないバス停で停車することは違法であり、違反点数2点、反則金1万2,000円(普通車)が科せられる可能性があります。

また、「場所」に関しては、ヒッチハイクをする側にも注意が必要です。高速道路や自動車専用道路では車両以外での立ち入りが禁止されています(高速自動車国道法第17条道路法第48条の11)※。
※参考:NEXCO東日本「高速道路等への人の立入はできません!

この規定は本線上だけでなく、料金所付近にも適用されます。乗せてもらう車を探すために料金所付近に立ち入ることは、これらの法律に違反する行為となり、罰則の対象となります。

もちろん一般道でも、駐停車禁止の場所で車を止めれば、ドライバーは道路交通法違反に問われます。

乗せてもらった側が直接罰せられるケースは少ないものの、違法行為に加担することで、善意で乗せてくれたドライバーが罰せられる可能性があります。「知らなかった」では済まされないこともあるため、乗せる側も乗せてもらう側も、法令で禁止されていることは正しく把握しておくことが大切です。

安全面でも注意が必要

安全面でも注意が必要
安全面でも注意が必要

ヒッチハイクは安全面でも注意が必要です。見ず知らずの人を車に乗せたり、逆に乗せてもらったりする行為は、比較的治安が良いとされる日本でも、盗難や暴行、詐欺などの犯罪リスクを完全に避けることはできません。

乗せてもらう側にとっては、相手ドライバーの素性や運転技量、体調が分からず、無理な運転や飲酒・薬物使用の可能性も否定できません。万が一交通事故に巻き込まれた場合、相手が任意保険に加入していなければ、補償面で思わぬトラブルになる恐れもあります。さらに、目的地まで行ける保証はなく、途中で降ろされてしまい、旅程が大幅にくるってしまうケースも考えられます。

金銭をめぐるトラブルも要注意です。例えば、ドライバーから「ガソリン代を少し負担してほしい」と求められた場合、その金額ややり取りの性質によっては、白タク行為と誤解される恐れもあります。

乗せる側としてもリスクは存在します。特に訪日外国人観光客を乗せる場合、言語や文化の違いから意思疎通がうまくいかず、目的地の行き違いが生じ、トラブルに発展する可能性があります。さらに、現代ならではのリスクとして、無断で撮影された写真や動画がSNSに投稿されるケースも考えられます。知らぬ間に写真や動画がアップされ、位置情報や顔が公開されてしまうケースも考えられます。軽い気持ちの投稿がのちにトラブルやストーカー被害に発展することもあるため、ドライバーと同乗者、ともに配慮が求められます。

こうしたリスクをなるべく減らすために、ヒッチハイクをする場合はできるだけ複数人で行い、「どの車に乗ったのか」「どのルートを移動しているのか」を友人や家族に逐一知らせることが望ましいでしょう。夜間や人気のない道では絶対に行わず、万が一の事態に備えて、すぐに連絡・通報できる手段を確保しておくことが重要です。乗せる側も、ドライバーがひとりで対応する状況はできる限り避け、家族や友人にその状況を共有しておくと安心です。そして乗せる側・乗せてもらう側の双方が、貴重品は手元から離さず油断しないことが基本的な安全対策となります。

まとめ

安全対策や法的なルール、そしてマナーを理解したうえで行うことが重要
安全対策や法的なルール、そしてマナーを理解したうえで行うことが重要

旅先での出会いや思い出作りとして、ヒッチハイクに魅力を感じる人は少なくないでしょう。しかし、安全対策や法的なルール、そしてマナーを理解したうえで行うことが重要です。法律に関しては、白タクやライドシェアとの違いを把握しておくことで、日本で何が禁止されているのかを明確に理解できると思います。ヒッチハイクで他人の車に乗せてもらう、もしくは乗せる際は、これらをしっかり意識したうえで、自由でロマンある旅を楽しんでください。

吉川 賢一(よしかわ けんいち)

この記事の執筆者

吉川 賢一(よしかわ けんいち)

自動車ジャーナリスト。日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。自動車ジャーナリストとして、新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さも伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナ、筋トレなど。

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