試乗記・レポート
カローラツーリングとカローラクロスを実車で比較!サイズ・乗降性・荷室の違いは?
このところ新車のトレンドになっているジャンルといえば、SUV。「スポーツ・ユーティリティ・ビークル」の略で最初に流行したのはアメリカでした。
日本語だと「多目的スポーツ車」と訳されることがあり、なんだかイメージをつかみにくいかもしれませんが、“大きめのタイヤを履いて車体の位置を高くした乗用車”くらいに思っておけばいいでしょう。いま、そんなSUVが新車販売の中心になっています。
その影響は、定番車種にも波及。たとえば、トヨタを代表する車種であり、2025年の日本における新車販売ランキング(小型車/普通車)で2位となった「カローラ」にもSUVモデルの「カローラ クロス」が用意され、いまではシリーズで最多販売モデルとなるほど人気を得ています。
「カローラ クロス」は2021年に登場、2025年にフロントのデザインが変わる改良が行われている
「初めて買おうと思ったカローラがSUV」という人も少なくないでしょう。では、果たしてステーションワゴンとどう違うのでしょう?
そこで今回は、カローラシリーズのステーションワゴンである「カローラ ツーリング」とSUVの「カローラ クロス」を比べてみました。
※記事公開時の情報に基づいており、最新でない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトなどでご確認ください
カローラ クロスは「短く・広く・高い」
まずは、車体サイズとパッケージングの違いをチェック。カローラ ツーリングの車体は全長(長さ)4,495mm×全幅(幅)1,745mmで全高(屋根の高さ)は1,460mm。
対してカローラ クロス(GR SPORTではない標準タイプ)は全長4,455mm×全幅1,825mm×全高1,620mm。
両車を比べると、カローラ クロスはカローラ ツーリングに対し“4cmほど短くて8cm幅が広く、背は16cm高い”ということになります。
車幅の違いに関しては、カローラ ツーリングの日本仕様は“日本向けに設計した幅の狭い車体”ということも関係していますが、海外仕様のカローラ ツーリングも全幅1,790mm。カローラ クロスよりは狭いので「カローラのSUVは背が高いだけでなく車体が短くて幅が広い」といっていいでしょう。
ボディサイズの違いは室内にも現れている
ホイールベース(前後タイヤの間隔)は、カローラ ツーリングとカローラ クロスのどちらも2,640mmと共通。つまり、前後席間距離や後席の位置は“基本的に同じ”で、ラゲッジルームの奥行きは全長が長い分、カローラ ツーリングのほうが広めとなっています。

カタログに記載されている室内寸法をみると、カローラ ツーリングが「長さ1,795mm×幅1,510mm×高さ1,160mm」なのに対し、カローラ クロスは「長さ1,800mm×幅1,505mm×高さ1,260mm」。
室内長は、インパネからリヤシート後端までの長さを測ったものなので、これがほぼ同じということは、前出の「前後席間距離は基本的に同じ」ということを表しています。
一方で車体の幅が広いカローラ クロスのほうが、カローラ ツーリングよりも室内幅が狭いのは興味深いところ。これは「居住スペースの幅はどちらも同じであり、カローラ クロスの全幅拡大はフェンダーなど外板で行われている」というわけです。

カローラ クロスのほうが室内高にゆとりがあるのは「見た通り」といっていいでしょう。
ところで、高さに関しておもしろいのは、全高が16cmも違うのに室内高は10cmしか変わらないこと。「6cmはどこへ消えた?」と思う人もいるかもしれません。それはSUVになると車体底面となる「フロア」の位置が地面に対して高くなっているからです。
ちなみに、背の低いカローラ ツーリングは「背の低いクルマ用」の機械式立体駐車場(全高1,550mmまで対応)に入庫可能。でも、背が高いカローラ クロスは「ミニバンやSUVに対応し背の高いクルマも入庫可能」なハイルーフ車対応の機械式立体駐車場に限定される点には留意が必要です。
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サイズ以上に異なるカローラ ツーリングとカローラ クロスの使い勝手
さて、そんなカローラ ツーリングとカローラ クロス、使い勝手の面ではどんな違いがあるでしょうか?
両車の違いは、乗り込む瞬間から異なります。“乗り込む姿勢”が違うのです。具体的にいえば、カローラ ツーリングは沈み込むように座る感覚ですが、カローラ クロスだと横へスライドするような印象。多くの人は「カローラ クロスのほうが乗り込みやすい」と感じるでしょう。
理由はシートの高さ(ヒップポイント=お尻の位置の高さ)の違い。カローラ ツーリングの運転席のヒップポイントは低め。
一方のカローラ クロスのヒップポイントはカローラ ツーリングよりも高いのです。この高さが、乗り降りしやすさにつながっているというわけ。これが、SUVのメリットのひとつ。
この乗降性の良さは、クルマを使うたびに実感できます。「一度SUVに乗ると低いセダンやワゴンには戻れない」と言われるほど、そのメリットは大きいものです。
さきほど「前後席間距離は基本的に同じ」と書きましたが、厳密にいえば後席の広さも若干、違います。その理由は、パッケージングが異なるから。
多くのSUVは、フロア(床)に対するヒップポイントが、セダンやワゴンよりも高く設定されています。
そのため、同じ人が運転席で適正な姿勢をとると、足を前方に投げ出す形になるカローラ ツーリングよりも、カローラ クロスはシートの前後位置が前に来る。その分、後席のひざ回りスペースに余裕ができるというわけです。足の収まりがいいのも、カローラ クロスの快適性につながっています。
そう聞いてもイメージしづらいかもしれませんが、カローラ ツーリングは“ソファー”、カローラ クロスは“チェアー”だと考えてみるといいでしょう。
床に対して座る高さが異なることで、チェアーは足を前に出さなくても済むのです。だから後席の居住性はカローラ クロスのほうが優勢。これもSUVのパッケージングのアドバンテージのひとつです。
ちなみにカローラ ツーリングの後席にリクライニング機能はありませんが、カローラ クロスは2段階の調整が可能。これも快適性にとってプラス要素でしょう。
また、カローラ クロスの後席着座位置が高いということは、(室内高で10cmの違いがあるものの)ヘッドクリアランス(頭上から天井までの距離)は大きくは変わらないということもわかります。
ラゲッジスペースは「広さ」より「使い勝手」を
次はラゲッジスペース(荷室)を比べてみましょう。
後席を起こしている状態(5名乗車の状態)での荷室容量は、カローラ ツーリングが最大392L(床の仕様や状態により異なる)、カローラ クロス(同)は最大487L(床上473L+床下14L)とSUVの“クロス”が優勢。しかし「空間」ではなく「奥行き」でみると状況が異なります。
同じく後席を起こした状態での床面の奥行き(前後長)は、カローラ ツーリングが930mm。一方でカローラ クロスは849mmと「約8cmも短い」のです。ここに両車の全長の違いが表れていると言っていいでしょう。
ちなみに荷室の天地高(これも仕様や床の状態により異なる)はカローラ ツーリングが最大で825mm、カローラ クロスは最大957mm。
シンプルにいえば「カローラ ツーリングは奥行きで稼いで床面積が広い。カローラ クロスは高さで空間を稼いでいる」と言えます。
でも、“容量”ではカローラ クロスの勝ちですが、現実の積載シーンで高さを最大限に活用するのは難しいところ。そう考えてみると、より広さを感じられるのは、床の広さで優るカローラ ツーリングのほうでしょう。とはいえ、背の高い荷物を積むのであればカローラ クロスのほうがいいですね。
ちなみにこれは、ステーションワゴンとSUVが選べる世の中の多くのクルマに共通することです。
SUVの運転が「気楽」なワケとは?
ところで、運転感覚に違いがあるのでしょうか?
実はあるんです。カローラ ツーリングとカローラ クロスを乗り比べてみると、SUVの“クロス”は着座位置が高いので周囲が良く見える。視線が高い分だけ視界が開けているのです。それは多くの人にとって「運転しやすい」と感じることでしょう。
また、カローラ クロスはタイヤが大きく、最低地上高(地面と車体下部の隙間)にも余裕があるので、細かい段差などに神経を使わずに済みます。これも「SUVは運転が楽」と思えるポイントであり、SUVを選びたくなる理由のひとつ。
もちろん、悪路や雪道を走るユーザーなら、SUVの大きなタイヤと余裕ある最低地上高のアドバンテージをさらに感じられることでしょう。
おすすめはあるけど自分の感覚を信じて
こうして比べてみると、同じカローラでもステーションワゴンの“ツーリング”とSUVの“クロス”では意外に異なる部分があることがわかります。
荷室の実用性を考えればカローラ ツーリングのほうが魅力的。また低い運転感覚が好きという人もいるでしょう。加えて高さを気にせず機械式駐車場を利用できるのもメリットですね。
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対して、乗り降りのしやすさや運転の“楽さ”などでは、カローラ クロスがリード。
そう考えると「できるだけ多くの荷物を積みたい」という人はカローラ ツーリング、乗り降りのしやすさや最低地上高の余裕など、「楽に気にせず使いたい」という人には、カローラ クロスのほうがマッチすると言えるでしょう。
とはいえ、最終的にはご自身の感覚で。販売店で乗り比べ(座り比べ)をしてみると、「こっちのほうがいい」と思えるほうがあるはずです。
(文:工藤貴宏 企画・編集・写真:木谷宗義/type-e、協力:奥村みよ/アケホノ)
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