トヨタ車&レクサス車解説

「ランドクルーザー」不滅の走破性と進化の歴史を解説!

「ランドクルーザー」不滅の走破性と進化の歴史を解説!

どんな道でも走り続け、生きて帰る。トヨタ「ランドクルーザー」は、70年以上にわたり「信頼の象徴」として世界中の人々に愛され続けてきました。軍用車の技術をルーツに、人々の生活や産業、そして冒険の最前線を支え続けてきたその歩みは、単なる自動車の発展にとどまらず、「人と車の信頼関係」という文化を築き上げました。これまでに約170の国と地域で、累計1,130万台(2023年6月時点)が送り出されていることからも、その圧倒的な支持がうかがえます。
 
戦後の復興期に誕生したランドクルーザーは、時代の移り変わりとともに進化を重ね、電動化が進む現代においても、その精神は変わることがありません。本稿では、各世代のランドクルーザーが誕生した背景やその時代が求めた役割をたどりながら、2020年代に登場する300系、250系、復刻版70系、そして新たな「原点回帰」として注目されるランドクルーザーFJに至るまで、その系譜と未来への橋渡しについてご紹介していきます。

吉川 賢一(よしかわ けんいち)

この記事の執筆者

吉川 賢一(よしかわ けんいち)

自動車ジャーナリスト。日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。自動車ジャーナリストとして、新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さも伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナ、筋トレなど。

※記事公開時の情報に基づいており、最新でない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトなどでご確認ください

1950年代:ランクルシリーズの原点ことトヨタBJ型、2代目の20系

ランドクルーザーの歴史が幕を開けたのは、戦後間もない1951年8月のことです。当時の日本は未舗装路が大半でありながら、国産の四輪駆動車はほとんど存在していませんでした。

そうした状況の中、トヨタが警察予備隊(現在の陸上自衛隊)向けに開発したのが「トヨタBJ」でした。自動車として初めて富士山6合目への登頂に成功するなど、誕生直後からその優れた悪路走破性が高く評価され、警察予備隊はもとより、林業や建設現場など幅広い業種で活躍します。

その後1954年に名称として「ランドクルーザー」が与えられました。英語の「Land(陸)」と「Cruiser(巡洋艦)」を組み合わせたもので、まだ自動車が贅沢品だった時代ですが、ランドクルーザーはその名の通り、どんな地形でも確実に走り抜ける「頼れる存在」として、日本の戦後復興を力強く支えました。

1955年11月には、2代目となるランドクルーザー20系が登場します。

ランドクルーザー20
ランドクルーザー20

民間需要を見据えて開発された20系は、用途に応じてエンジンやホイールベースの異なる仕様を複数ラインアップ。ボディバリエーションもソフトトップ、ピックアップ、2ドアバン、4ドアバン、消防車など多岐にわたり、職種や地域に応じた細やかなニーズに応えました。駆動方式は4輪駆動を基本としつつ、警察パトロール向けには後輪駆動仕様も設定されていました。

1960~1970年代:世界へ広がるランドクルーザー(40系、50系)

1960年に登場した3代目ランドクルーザー40系は、その後の「ランドクルーザー プラド」の礎を築いたモデルです。

ランドクルーザー40
ランドクルーザー40

強靭なラダーフレーム構造のシャシーに、無骨で機能性を極めたスタイリングをまとい、砂漠や荒野といった過酷な環境でも確実に走破できる高い耐久性を実現しました。

その性能は日本国内にとどまらず、中東、アフリカ、南米といった地域でも高く評価され、ランドクルーザーの名を国際的に知らしめる契機となります。特に、道路の崩落やぬかるみ、豪雨による川の氾濫など、移動の妨げとなる自然環境が日常的に立ちはだかるアフリカの奥地では、人命救助や医療支援の現場など一刻を争う移動が求められる中、ランドクルーザーは確実に目的地へたどり着ける信頼の足として活躍しました。人々の命と暮らしを支える「相棒」として、その存在価値が確固たるものになっていったのです。

40系はその後、実に24年にわたるロングセラーモデルとなり、現在でも世界中のファンから「ヨンマル(forty)」の愛称で親しまれています。また、1974年には4気筒3リッターディーゼルエンジンが追加され、日本国内で小型貨物車(4ナンバー)カテゴリーに適合したことで、国内の主力モデルとなりました。

そして1967年、ランドクルーザーの歴史にもう一つの転機が訪れます。ヘビーデューティ志向の40系とは一線を画し、乗用志向を強めたステーションワゴンボディを採用することで、快適性と実用性を両立した「50系」が登場したのです。

ランドクルーザー55型56型
ランドクルーザー55型56型

レジャーや家族利用の需要に応えるかたちで開発されたもので、日本国内では商用登録のバン(商用車)として設定されましたが、主要市場である海外では乗用車として販売されました。この50系の登場により、ランドクルーザーは「過酷な環境で働く道具」から、「多用途に対応するSUV」へと進化する礎が築かれたのです。

これ以降ランドクルーザーシリーズは、原点であるヘビーデューティ、乗用車志向を強めたステーションワゴン、そしてその中間のライトデューティという、3つの系統へと枝分かれし、様々な変化を遂げていきます。ここからは、それぞれの系譜がどのように発展していったのかを、時代とモデルごとにたどっていきます。

1980〜1990年:生活と冒険の両立(60系〜80系)

1980年代、日本の社会は大きな変革期を迎えました。モータリゼーションが一気に進み、車は「移動のための道具」から「ライフスタイルを彩る存在」へと価値が変化していったのです。ランドクルーザーも、この時代のニーズに合わせて新たな進化を遂げました。

その幕開けとなったのが、1980年8月に50系の後継として登場したステーションワゴンの新型ランドクルーザー60系です。

ランドクルーザー60
ランドクルーザー60

50系からエクステリアを一新し、フロントシートはベンチタイプからセパレートタイプに変更され、乗車定員は6名から5名へと見直されました。さらにエアコンやパワーステアリング、ファブリックシートといった快適装備を標準化することで「乗用車らしさ」を獲得。個人のお客様にも広く受け入れられるモデルとなりました。

続く1984年11月には、40系の後継としてヘビーデューティ路線を担うランドクルーザー70系が誕生します。エクステリアは40系の「働く車」のタフなイメージを受け継ぎつつ、インテリアの質感を大幅に高め、快適性、操作性、使い勝手を大きく向上。室内空間も拡大され、ロングドライブにも対応できる快適性を備えたことで、家族で乗れるクロカン4WDとして新たなファン層を獲得、ランドクルーザーの魅力をさらに広げた一台となりました。

さらに、1985年10月には、ヘビーデューティ系の70系をベースとしたライトワゴン、いわゆる「ライトデューティ系」のランドクルーザー70系が誕生します。

当時高まっていたキャンプやアウトドアなどのレジャーユースに応えるため、機動性や居住性、そしてスタイルを重視したクロカンSUVとして開発されたモデルです。この時点でのラインアップはショートホイールベースの3ドアボディのみでした。

その後、1990年になるとロングホイールベースの5ドアモデルが追加されます。

1995年式ランドクルーザー70
1995年式ランドクルーザー70

このタイミングでワゴンモデルに「プラド」のサブネームが付与され、ヘビーデューティ系の70系とは独立したシリーズとして確立。ちょうど同時期に人気を集めていた三菱パジェロと真正面から競い合う存在となり、「クロカンSUVブーム」を牽引する一台となりました。

1989年には60系の系譜を継ぐ新型ランドクルーザー80系が登場します。

ランドクルーザー80
ランドクルーザー80

このモデルから乗用車(ステーションワゴン)仕様も設定されました。サスペンションのスプリングをリーフスプリングから乗り心地に優れるコイルスプリングに変更し、上級モデルにはセンターデフ付のフルタイム4WDを採用するなど、快適性が飛躍的に向上した80系は、「走るラグジュアリーSUV」の先駆けともいえる存在になりました。バブル景気の真っただ中、オフロードとオンロードをシームレスに行き来できる都会的なデザインと無骨さを併せ持つ80系は、多くのお客様に「快適に移動する楽しさ」をもたらしました。

1990年~2000年代:さらなる飛躍を果たしたランクルシリーズ (100系、120系、150系、200系)

1990年代に入ると、世界規模でSUV市場が大きな盛り上がりを見せ始めます。ランドクルーザーもフラッグシップとしての役割を担いながら、その期待に応えるべく進化を続けました。

まず、1998年に登場したランドクルーザー100系は、電子制御技術を積極的に導入し、従来から定評のあったオフロード性能をしっかりと維持しながら、オンロードでの快適性や静粛性、操縦安定性を大幅に向上。

ランドクルーザー100
ランドクルーザー100

これにより、ランドクルーザーは“どこでも走れる車”から、“どこを走っても快適な車”へと、新たなステージに踏み出しました。

続く2007年には、100系の後継としてランドクルーザー200系が誕生します。200系は「高級SUVの完成形」と称されるほど完成度が高く、中東では王族の移動車として、砂漠地帯では観光ドライブをこなすデザートサファリとして、オーストラリアではアウトバック(未舗装の荒野)を走り抜けるワークホースとして活躍。地域の気候や文化が異なっても、「ランドクルーザーに乗っていれば安心」という揺るぎない信頼が、世界中で共有されるようになりました。

同じ時期に、ライトデューティ志向のランドクルーザープラドも、独自の進化を遂げます。1996年に登場した90系プラドは、乗用車のような快適性と本格的な4WDならではの走破性を高水準で両立し、ファミリー層を中心に人気を拡大。「街にも似合うランクル」という新たな価値観を生み、当時のSUVブームを象徴する存在となりました。

2002年には120系プラドが登場。内外装の質感向上に加え、高速走行時の安定性や静粛性が大きく向上し、より上質で洗練されたモデルへと進化します。

さらに2009年に登場した150系プラドは、電子制御技術や先進安全装備を充実させ、オンロードとオフロードの双方で高い性能を発揮する万能SUVとして完成度を高めます。

2020年式ランドクルーザープラド(150系)
2020年式ランドクルーザープラド(150系)

信頼性と実用性を兼ね備えたプラドは、ランドクルーザーブランドの中でも特別なポジションを確立し、現在に至るまで多くのファンに支持され続けています。

2010年代〜2025年:原点回帰の時代(70系復刻、300系、250系、新型FJ)

そしてランドクルーザーは再び、原点へと回帰していきます。2004年に生産終了していたランドクルーザー70系が、2014年に70シリーズの発売30周年を記念してバンとピックアップが期間限定で復活。

2014年 ランドクルーザー70バン
2014年 ランドクルーザー70バン

月販目標200台に対し、わずか1か月で約3,600台もの受注が殺到するなど、根強い人気を改めて証明しました。

2021年には、ステーションワゴン系のフラッグシップとしてランドクルーザー300系が登場します。

ランドクルーザー300 ZX
ランドクルーザー300 ZX

常に最新技術を導入し進化を担う役割を持つ300系は、最新の溶接技術を活用した高剛性(従来型比+20%)かつ軽量なフレーム構造へ刷新し、衝突安全性能、静粛性、走行性能のすべてを向上。ボディパネルのアルミニウム化により、先代比で約200kgの軽量化も達成しています。

ランドクルーザー300 ZX(サイド)
ランドクルーザー300 ZX(サイド)

またサスペンションの改良や電子制御技術によって、走破性と快適性もさらに高められており、「シンプルな強さこそが信頼を支える」というランドクルーザーの哲学を体現した一台となっています。

さらに2023年には現代の環境基準や安全性、快適装備を取り入れたランドクルーザー70系の再再販モデルが登場。

2023年式ランドクルーザー70 AX
2023年式ランドクルーザー70 AX

バンタイプのみのラインアップながら、丸目ヘッドランプの復活や安全装備の強化、MTから6速ATへの変更、2.8L直噴ターボディーゼルエンジンの搭載など、現代の基準に合わせたアップデートが随所に施されました。こちらも発売直後から注文が集中、70系がいかに愛され続けてきたかを改めて示す結果となりました。

\ 1984年発売当時に近いデザインで2023年復刻 /
KINTO ランドクルーザー 70を見る

そして2024年4月に登場したのが、ライトデューティ系の最新モデルであるランドクルーザー250系です。

ランドクルーザー250 VX
ランドクルーザー250 VX

人々の生活と実用を支えるランクルの本質に原点回帰の開発コンセプトのもと、伝統的なデザインと現代的な使いやすさを両立し、ランドクルーザーシリーズの中核を担うモデルとしてデビューした250系は、角張ったボディや水平基調のデザインを採用し、最新の安全装備や高効率パワートレーンを搭載。家族での移動から週末のアウトドア、長距離ドライブまで、幅広いシーンに対応できる「生活実用」に優れたランクルとして、初心者からベテランまで幅広い層に支持を集めています。

\ 丸目型ヘッドランプ装着オプション選択可 /
KINTO ランドクルーザー 250を見る

さらに2026年5月、新モデル「ランドクルーザーFJ」が発売されました。

ランドクルーザーFJ
ランドクルーザーFJ

小型で扱いやすいボディに、40系や70系のデザインエッセンスを宿したこのモデルは、これまでランクルに縁の薄かった人々にも「ランクルらしさ」を感じてもらうことを目指したもの。単なるレトロモデルではなく、ランドクルーザーが次の時代へ受け継がれていくための「新たな入り口」として誕生した一台です。

\ ランクルシリーズ最小のオフローダー /
KINTO ランドクルーザーFJを見る

まとめ:信頼を未来へ

70年以上にわたる長い歴史の中で、ランドクルーザーが最も重視し、守り続けてきたものは「信頼」です。「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」。こうしたタフネスさこそが、ランドクルーザーが国や世代を超えて多くの人々に支持されてきた理由なのだと思います。

常に時代の最新技術を導入しフラッグシップとして進化を担うステーションワゴンの300系、高い耐久性と整備性を備えたヘビーデューティモデルの70系、質実剛健で人々の生活と実用を支える中核モデルである250系。この3つのシリーズに新たに加わるランドクルーザーFJには、過酷な砂漠から静かな街路まで、あらゆるシーンで多くのお客様にランドクルーザーを楽しんでいただきたいというトヨタの思いが込められています。ランドクルーザーシリーズは、これからも進化を続けていくことでしょう。

吉川 賢一(よしかわ けんいち)

この記事の執筆者

吉川 賢一(よしかわ けんいち)

自動車ジャーナリスト。日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。自動車ジャーナリストとして、新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さも伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナ、筋トレなど。

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