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新型ランドクルーザー70がついに復刻発売! 内装やサイズ、エンジンなどをレビュー
1984年に日本国内で販売がスタートし、2014年には誕生30周年を記念して期間限定販売も行われた「ランドクルーザー70」が、ファンの熱い想いに応え継続販売モデルとして2023年11月29日に発売されました。今回の新型ランドクルーザー70は、質実剛健な“ランドクルーザーらしさ”を継承しつつ、普段使いに対応したリニューアルや時代に合わせた様々なアップデートが施されています。
新たなランドクルーザー70がどのような進化を遂げたのか。本記事では、2023年11月29日に発売された新型ランドクルーザー70をレビューしていきます。
※記事公開時の情報に基づいており、最新でない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトなどでご確認ください
ランクル70とは
1951年、富士山の酷く険しい斜面を走るべく、警察予備隊の要請で開発が始まったランドクルーザー(BJ)。結果、史上初めて富士山の6合目(標高2,700m)に到達するという偉業を達成しました。その結果、国家警察のパトカーとしての任務を授かることとなり、ランドクルーザーの「暮らしを守る」という使命が明確になったのです。以後、ランドクルーザー20、ランドクルーザー40、ランドクルーザー70とランドクルーザーのヘビーデューティ仕様として進化を続けています。
1984年に悪路走行に適したヘビーデューティ仕様として国内販売が開始されたのが、ランドクルーザー70シリーズでした。人道支援や業務用となど過酷な環境での使用が想定されており、「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」というランドクルーザーの使命を引き継いだモデルです。「信頼性・耐久性・悪路走破性」を継承し、「最もランドクルーザーらしいと言えるのが”70”シリーズ」と世界各国で愛用されています。
例えば、オーストラリアでは、車に深刻なダメージを与える塩水や酸性水が大量に発生する坑道内で、ランドクルーザー70は24時間365日休みなく働いています。国連や赤十字などでも、難民支援のため、災害地域や紛争地域などで使用されています。日本においてもその高いポテンシャルに魅力を感じるファンは数多く存在します。
2004年には国内での販売が終了するも、復活を望むファンの強い要望に応えるべく、2014年に誕生30周年を記念して再販モデルが期間限定で販売されました。
そして、今回再再販されるランドクルーザー70は、なんと継続販売モデル。質実剛健なランドクルーザー70が、約10年ぶりに日本市場に帰ってきました。
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初代ランクル70(1984年)
1984年11月に発売された、初代ランドクルーザー70。1951年に当時の警察予備隊に納入されたランドクルーザー(BJ)、1955年に発売されたランドクルーザー20に続き、1960年に発売され過酷を極める南極を初めて走破し、信頼性の高いクロスカントリー車として海外でも高評価を獲得した「ランドクルーザー40」の後継モデルで、ランドクルーザーのヘビーデューティ仕様となります。
かつて、4輪駆動車市場は業務用途が主体でした。しかし、1984年頃より機能性とファッション性を求めるレジャー指向の強いユーザーからのニーズが高まり、ランドクルーザーはスタイルを一新。快適性・操作性・使用性の向上を図ることで、新たに増えてきた乗用車としての需要に対応したランドクルーザー70が誕生しました。
ランドクルーザー70は、特にスタイル面でランドクルーザー40のイメージを継承しています。フロントガラスに曲面ガラスを採用し、室内は居住空間を拡げると同時に実用性も向上させました。また、ボディーバリエーションは従来の幌タイプ、バンタイプに加え、ボディ一部にFRP(繊維強化プラスチック)を使用したFRPトップ車を設定しました。
1999年には、フロントサスペンションをリジッドアクスルのままリーフスプリングからコイルスプリングに変更したことで、乗り心地が向上。エンジンはガソリン、ディーゼルともに4、5、6気筒を使い分け、輸出用にはV型8気筒4.5リッターのディーゼルエンジン仕様も設定しています。
誕生30周年記念ランクル70(2014年)
誕生30周年を記念し2014年に期間限定で販売された再販モデルは、これまで培ってきたランドクルーザーの特長はそのままに、現代的な内外装デザインや安全装備などにより、時代の要請に合った仕様となりました。主な特徴は、以下の通りです。
- ラダーフレーム構造により高い堅牢性と耐久性を獲得
- 国内初採用のV6・4.0Lガソリンエンジンと、トランスファーレバーの操作で駆動方式を選択できるパートタイム4WDを組み合わせて高い走破性を実現
- 5速MT
- デザイン面ではランドクルーザーらしい質実剛健なイメージを継承しながら、フロントグリルやフードなどは現代的な形状に変更
- 衝突時の乗員保護に寄与するSRSエアバッグや制動時のタイヤロックを防ぎ、非常時の操作性を確保するABSなどを装備し、時代に合わせた安全性も確保
また、過去に発売していた4ドアバンに加え、国内で初めてダブルキャブピックアップトラックを追加。ラインアップも充実させました。
新型ランクル70(2023年)
より効率的な新型エンジンとトランスミッション、先進の安全装備など、今までのランドクルーザー70から機能的に必要な部分だけをアップデート。耐久性に優れ信頼度の高いラダーフレームは継続して採用するなど、新型ランドクルーザー70は、優れたオフロード走破性を維持しながら、オンロードでの乗り心地も向上しています。
新型ランクル70の外観
2014年の再販モデルのデザインを基本的に踏襲していますが、細かい部分が違います。
フロントのデザインで目につくのはヘッドライト。2014年の再販モデルは角型でしたが、今回はLEDの丸型となり、形に関して言えば1984年発売当時のランドクルーザー70に近づいたと言えるでしょう。
「TOYOTA」のロゴが入ったグリルを見ると、開口部分が広がっており、ランドクルーザー70の起源であるランドクルーザー40を彷彿させます。
バンパーとフェンダーは、ともに黒い樹脂製に。オーバーフェンダーとフロントバンパーのラインが合うことにより、オフロード感を演出します。また、タイヤホイールは立体的な造りで、力強さを際立たせるデザインとなりました。
リヤに目を向けると、バックドアの右側にはタイヤキャリアがついており、4:6の観音開きとなっています。また、今までのランドクルーザー70とは打って変わり、テールランプはボディではなく下のバンパーに配置されているのも特徴です。その結果、より一層の“オフロード感”が醸し出され、力強さを感じさせるリヤとなりました。
新型ランクル70、主要諸元
ランドクルーザー70 主要諸元 | |
---|---|
グレード | AX |
全長(mm) | 4,890 |
全幅(mm) | 1,870 |
全高(mm) | 1,920 |
ホイールベース(mm) | 2,730 |
車両重量(kg) | 2,300 |
パワートレーン | 直列4気筒、2.8Lディーゼルターボ |
排気量(cc) | 2,754 |
駆動方式 | 4WD |
トランスミッション | 6AT |
エンジン最高出力 | 204ps/3,000~3,400rpm |
エンジン最大トルク | 51kgm/1,600~2,800rpm |
WLTCモード燃費(km/L) | 10.1km/L |
室内長(mm) | 1,760 |
室内幅(mm) | 1,440 |
室内高(mm) | 1,240 |
最低地上高(mm) | 200 |
最小回転半径(m) | 6.3 |
乗車定員(名) | 5 |
新型ランクル70の内装
今回復活するランドクルーザー70。2014年の再販モデルはシートがファブリック仕様でしたが、今回は合成皮革+ファブリックの仕様になっています。内装色はブラックの1色です。
ダッシュボードは水平基調で、機能面を重視している印象です。
ダッシュボードは水平基調で、機能面を重視している印象です。メーターはアナログメーターからオプティトロンメーター+4.2インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイへと変更。シンプルで見やすい王道レイアウトを継承しています。ほか、ステアリングには情報操作系や運転支援系の操作が可能なボタンを設置。ステアリングコラムにはクルーズコントロールを設定するレバーが付いています。内装も2014年の再販モデルから最小限の変更にとどまっていることがわかります。
新型ランクル70のサイズ
新型ランドクルーザー70のボディサイズは、全長4,890mm/全幅1,870 mm/全高1,920 mm/ホイールベース2,730mmです。ランドクルーザー300や250と比べると一回りコンパクトになっています。
新型ランドクルーザー70 | ランドクルーザー250 | ランドクルーザー300 | |
---|---|---|---|
全長(mm) | 4,890 | 4,925 | 4,950~4,985 |
全幅(mm) | 1,870 | 1,980 | 1,980~1,990 |
全高(mm) | 1,920 | 1,870 | 1,925 |
ホイールベース(mm) | 2,730 | 2,850 | 2,850 |
新型ランクル70の走行性能
力強い動力性能と低燃費(WLTCモード10.1km/L)を両立する2.8Lディーゼルエンジン(204ps/51kgm)が搭載されています。ランドクルーザー”70”シリーズにふさわしい、力強い走破性を実現します。
小型・高効率・低燃費を両立した6速AT(スーパーインテリジェント6速オートマチックトランスミッション<6 Super ECT>+シーケンシャルシフトマチック)が組み合わさっています。Mポジションに入れることでマニュアル感覚のシフトチェンジが可能です。
駆動方式は4WD(パートタイム4WDシステム)で、路面の状況によって駆動方式を切り替えられます。H4を選択すれば四輪駆動ならではの安定感を、L4を選択すればより強力な駆動力を発揮します。
ボディ周りは、耐久性に優れて信頼度が高いラダーフレームを継続採用。優れたオフロード走破性を維持しながら、さらにオンロードでの乗り心地も向上させています。さらに、悪路走破に欠かせない電動デフロック、ビークルスタビリティコントロール(VSC)、アクティブトラクションコントロール(A-TRC)、ヒルスタートアシストコントロール(HAC)、ダウンヒルアシストコントロール(DAC)といった駆動力、制動力を制御するシステムを採用し、高い操縦安定性を実現。
フロントにはコイルスプリング、リヤにはロングテーパーリーフスプリングを採用したリジットサスペンションを搭載、さらに快適な乗り心地を追求しています。オンロードでの走行性とオフロードでの走破性を高い次元で両立しています。
新型ランクル70のカラーバリエーション【全3色】
新型ランドクルーザー70のボディカラーは全3色です。
こちらはベージュ。ランドクルーザーを象徴するヘリテージカラーとして親しまれている色です。
スーパーホワイトがこちら。白もランクル70のワイルドなボディにマッチしています。
アティチュードブラックマイカ。マイカによって光沢感のあるブラックにしあがっています。
新型ランクル70の価格
新型ランドクルーザー70の価格は480万円(税込)です。
新型ランクル70まとめ
人道支援や業務用途など過酷な環境での使用が想定されているランドクルーザー70は、ランドクルーザーの使命を最も色濃く受け継いだモデルです。
今回の新型ランドクルーザー70はAT(オートマチックトランスミッション)であり、悪路走破性などランドクルーザーとしての特徴を備えつつも、低騒音や静粛性への配慮、燃費性能の向上などにも取り組まれており、普段使いにも適した仕様になっています。無骨ながら可愛らしさを感じさせるルックスと、世界基準の機能性に物欲を刺激された方も多いのでは?車の買い替えをご検討中の方は、新型ランドクルーザー70をチェックしてみてはいかがでしょうか。
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