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直列、V型、水平対向、ロータリー…エンジンの種類を解説!

直列、V型、水平対向、ロータリー…エンジンの種類を解説!

車の心臓部とも言えるエンジン。その構造は車種や目的によってさまざまですが、代表的なものとして「直列型」「V型」「水平対向型」「ロータリー型」の4種類が挙げられます。それぞれに独自のメリットやデメリットがあり、パワー特性や乗り心地にも大きな影響を与えます。では、これらのエンジンにはどのような違いがあるのでしょうか。それぞれの特徴を詳しくご紹介します。

吉川 賢一(よしかわ けんいち)

この記事の執筆者

吉川 賢一(よしかわ けんいち)

自動車ジャーナリスト。日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。自動車ジャーナリストとして、新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さも伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナ、筋トレなど。

※記事公開時の情報に基づいており、最新でない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトなどでご確認ください

自動車用エンジンの主流は、4サイクルのレシプロエンジン

GRスープラの直列4気筒エンジン
ピストンの往復運動によってクランクシャフトを回転させるレシプロエンジンが現代の主流。写真はGRスープラの直列4気筒エンジン

現在の自動車用エンジンには、主に、ピストンの往復運動を使ってクランクシャフトを回転させる「レシプロエンジン」と、三角形のローターがグルグルと回転する「ロータリーエンジン」の2種類があります。

後者のロータリーエンジンは、2023年秋にマツダがMX-30 ロータリーEVへの搭載を発表・発売し、約11年ぶりの復活を遂げました。一方で、ほとんどの車は排気量や形状の違いこそあれ、前者のレシプロエンジンを採用しています。

レシプロエンジンは、燃焼の手順に基づき「2サイクル」と「4サイクル」に分類されますが、現在は4サイクルのレシプロエンジンが主流です。4サイクルとは、「吸入」「圧縮」「爆発」「排気」という4段階の工程を経て動作する仕組みを指します。これに対し、かつて使用されていた2サイクルエンジンは、「吸入・圧縮」と「爆発・掃気」の2段階の工程で作動する方式です。

2サイクル方式は、かつて小排気量バイクや軽自動車用エンジンにも使用されていたほか、軽量でありながら高いトルクを発揮するメリットがありました。しかし、排ガス対策が難しい構造であったため、現在は乗り物用としては使用されていません。ただし、現在もチェーンソーや刈払機など、林業用機械において活躍しています。

またピストンが往復するシリンダーの数のことを「気筒数」といい、2気筒、3気筒、4気筒、6気筒など、気筒数が増えるほどエンジンのパワーが向上する傾向があります。気筒の配置方法も異なり、直列に並ぶ「直列型」、V字に並ぶ「V型」、向かい合う形で並ぶ「水平対向型」などの種類が存在します。

代表的なエンジンの種類とその特徴

代表的なエンジンの種類とその特徴、また代表的な採用車種(トヨタ車)についてまとめました。

軽量コンパクトかつリーズナブルな「3気筒エンジン」

ヤリスに搭載されている直列3気筒1.5リッター直噴エンジン
ヤリスに搭載されている直列3気筒1.5リッター直噴エンジン

コンパクトカーや軽自動車などの多くの車に採用されているのが3気筒エンジンです。トヨタの現行モデルでは、ヤリス、アクア、シエンタ、ヤリス クロス、ライズ、ルーミーなどに搭載されており、スポーツ4WDのGRヤリスにも高出力の直列3気筒ターボエンジンが採用されています。

直列3気筒エンジンのメリットは、コンパクトで軽量、かつリーズナブルに製作できることです。また、同排気量の4気筒エンジンよりも摩擦損失が少なく、低回転域から高いトルクを生み出します。一方で、4気筒エンジンと比べて振動と音が大きいというデメリットもありますが、近年の技術革新によってこれらの課題は解消されつつあり、結果、多くの車に3気筒エンジンが搭載されるようになりました。

数ある3気筒エンジンの中でも、特にGRヤリスに搭載されている直列3気筒1.6リッターターボエンジンは優秀です。最高出力は224kW(304PS)、最大トルクは400Nmに到達しており、量産乗用車に搭載される3気筒エンジンとしては世界トップクラスのハイパワーエンジンのひとつといえます。

GRヤリスRZ
2025年5月6日に発売された進化型GRヤリス。エンジンは、1.6リッター直列3気筒インタークーラーターボを搭載
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振動のバランスのよさがメリットの「直列4気筒エンジン」

RAV4などへ搭載されている直列4気筒2.0リッターガソリンエンジン
RAV4などへ搭載されている直列4気筒2.0リッターガソリンエンジン

直列4気筒エンジンは、小型クラスから大型クラスのセダン、ワゴン、ミニバン、SUVなど、さまざまな乗用車に採用されているエンジンです。トヨタの現行モデルでは、カローラ、ノア、ヴォクシー、アルファード、ヴェルファイアなどの車種に搭載されています。

直列4気筒エンジンは、2つのピストンが対の動きをすることで一次振動が自然に打ち消されやすく、構造がシンプルで軽量という特徴があります。その軽量・コンパクトさから、スポーツカーなどに広く採用されています。

さらに、かつては大排気量の多気筒エンジンを搭載していた高級車でも、環境性能の向上や燃費改善を目的に、直列4気筒へのダウンサイジングが進んでおり、現在では高級車への採用も一般的になりつつあります。

水平対向4気筒エンジン

トヨタの4気筒車の中でも特に注目すべきなのが、GR86の2.4リッター水平対向4気筒エンジンです。最高出力173kW(235PS)、最大トルク250Nmを発揮し、低重心で左右バランスに優れた設計が、スポーツカーであるGR86のハンドリング性能向上に大きく貢献しています。

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    優れた回転バランスポテンシャルの「6気筒エンジン」

    ランドクルーザー300用のV型6気筒3.5リッターツインターボエンジン
    ランドクルーザー300用のV型6気筒3.5リッターツインターボエンジン

    6気筒エンジンは、かつて高級車に多く採用されていたエンジンです。トヨタの現行モデルでは、ランドクルーザー300、GRスープラ、センチュリー(SUV)に、レクサスではLS500h、LS500、LC500h、RC350(2025年11月生産終了予定)、GX、LXに搭載されています。センチュリーはかつてV型12気筒エンジンを採用していましたが、現行のSUVモデルではV型6気筒エンジンへと変更されました(現行のセダンはV8)。

    6気筒エンジンには、直列6気筒、V型6気筒、水平対向6気筒などの種類があり、いずれも4気筒エンジンより高出力で、振動のバランスがいいことが特徴です。

    中でも直列6気筒エンジンは、シリンダーの慣性力と偶力が打ち消し合う構造のため、振動が少なくスムーズに回転します。そのため、「直6エンジンは完全バランス」ともいわれています。しかし、燃費の悪さ、コストの高さ、大型化による車体への影響、衝突時の安全性確保の難しさなどの課題もあります。

    一方、V型6気筒エンジンはが直6よりコンパクトな設計が可能ですが、コストの面では直4に及ばず、近年はラージクラスの高級車でも、ベーシックグレードには直4ターボエンジンが設定されることが多くなっています。これは、振動低減技術の進化やターボ化、モーターアシストによる高出力化が可能となったためです。

    トヨタのフラグシップ「センチュリー」にも、V型6気筒エンジンが搭載されている
    トヨタのフラグシップ「センチュリー」にも、V型6気筒エンジンが搭載されている

    なお、センチュリーがV型12気筒からV型6気筒(現行のSUVモデル)となった背景には、小型化とハイブリッド化によるも環境性能の向上があります。令和の時代に相応しく、ダウンサイジングに成功したのです。

    レクサスGX550“OVERTRAIL+”
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    ラグジュアリー車向けの「8気筒エンジン」

    レクサスLC500に搭載のV型8気筒5.0リッターエンジン
    レクサスLC500に搭載のV型8気筒5.0リッターエンジン

    8気筒エンジンはラグジュアリー車向けのエンジンであり、現行モデルでは、トヨタのセンチュリー(セダン)、レクサスのIS500、LC500に搭載されています。

    4気筒や6気筒よりもさらに高出力化が可能な8気筒エンジンは、余裕あるエンジンパワーにより、街乗りや高速走行時も静かで非常に快適です。しかし、サイズが大きく搭載できる車種が限られるうえ、生産数が少ないためコストが高くなりやすく、高級車のごく一部のグレードにのみ採用される贅沢なエンジンです。

    レクサスLC500にはV型8気筒5.0リッターエンジンが搭載されおり、最高出力は351kW(477PS)、最大トルクは540Nmを誇ります。

    レクサスLC500“S package”
    レクサスLC500“S package”

    どこまでも続くような力強い加速感に加え、アクセルを踏み込んでいった際の高揚感を高めるエンジンサウンドも魅力的です。

    2025年1月に200台の限定発売が発表となったレクサスRC FファイナルエディションのエンジンもV型8気筒5.0リッターエンジンを搭載(既に限定台数に達しており販売終了済み)
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      まとめ

      直列6気筒エンジンにこだわってきた歴代スープラ
      直列6気筒エンジンにこだわってきた歴代スープラ。次世代モデルでも直6は続けていってほしい

      現在のトヨタ車、レクサス車で主流となっているエンジンをご紹介しました。近年、燃費改善のため、大型車にも小型で軽量なエンジンが搭載される傾向があり、将来的には、小型車は直列3気筒、中型車以上は直列4気筒に集約されてしまうかもしれません。

      しかし、6気筒以上のエンジンは車好きにとって憧れの存在。ハイブリッド車、バッテリーEV、FCEVなどの技術組み合わせることで、趣味性の高いマルチシリンダーエンジンも残っていってほしいと願います。

      吉川 賢一(よしかわ けんいち)

      この記事の執筆者

      吉川 賢一(よしかわ けんいち)

      自動車ジャーナリスト。日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。自動車ジャーナリストとして、新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さも伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナ、筋トレなど。

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