トヨタ車&レクサス車解説

まさに「平成」がここにある!2026年に「30周年を迎えたトヨタ車」14モデルを振り返る

まさに「平成」がここにある!2026年に「30周年を迎えたトヨタ車」14モデルを振り返る

2026年に10周年、20周年をそれぞれ迎えたトヨタ車を紹介してきた当シリーズ。

今回は30年前、1996年に生まれたトヨタ車を取り上げます。

大音 安弘(おおと やすひろ)

この記事の執筆者

大音 安弘(おおと やすひろ)

1980年生まれ、埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。その後、独立し自動車ライターへ。原稿では、自動車の「今」を分かりやすく伝えられるように心がけている。愛車はスバルWRX STI(VAB)、ポルシェ911(996)、BMW Z4(E85)、VWボーラで趣味は、中古車検索と洗車。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

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「たまごっち」登場ほか1996年の出来事

本題にいく前に、まずは当時の世相を振り返ってみましょう。この年、最大のヒット商品は、バンダイの携帯ゲーム「たまごっち」。子どもだけでなく、大人も育成に夢中になりました。

「アムラー」と呼ばれる安室奈美恵さんのファッションを真似た女の子たちが街を闊歩したのもこのころ。ドラマでは、人気絶頂の木村拓哉と山口智子のW主演による「ロングバケーション」が大きな話題となりました。

アトランタオリンピックの開催もこの年。男子サッカー日本代表がブラジルを破り、「マイアミの奇跡」と呼ばれ、女子マラソンで銅メダルを獲得した有森裕子さんのコメント「自分で自分をほめたい」は流行語にもなりました。

そして、今や身近なカフェであるスターバックス日本1号店がオープンした年でもあります。そんな話題多き1996年は、さまざまなトヨタ車が登場しました。

スターレット:フルモデルチェンジ

まずは、トヨタのエントリーモデルとして長年活躍してきた「スターレット」の5世代目が、1月6日に発売。「21世紀のベーシック」を開発テーマに、シンプルで親しみやすいフォルムを始め、世界トップクラスの衝突安全性と優れたパッケージングを強みとしました。

スターレット グランツァ
スターレット グランツァ

誇るべきは、日本の5ナンバー乗用車として初のABSを全車標準としたこと。さらに運転席SRSエアバックも標準化し、新衝突安全ボデイ「GOA」も取り入れることで、小さなクルマの安全性向上に力を注ぎました。

モデルラインは、スタンダードな「ルフレ」とスポーティな「グランツァ」の2本立てに。グランツァは、「マークII」や「アリスト」と同様、NA車が「S」、ターボ車が「V」を名乗り、デザインや性能面でも特別感が演出されました。ガソリンターボ車には、伝統のブーストコントロール機能も搭載。

メガクルーザー:新登場

1996年1月9日に新登場したのが、陸上自衛隊向け高機動車を民生向けに改良した「メガクルーザー」です。

メガクルーザー
メガクルーザー

武骨なボディは、全長5,090mm×全幅2,170mm×全高2,075mmと巨大。さらにホイールベースが3,395mmもあるため、取り回し向上に4WSを備えているのも特徴的。その結果、最小回転半径を、乗用車並みの5.6mとしていました。

エンジンは4.1リッターインタークーラー付直噴ディーゼルターボエンジンで、4速ATのみを設定。3つのデフロックを備えたフルタイム式4WDシステムを備えており、車両重量は2,850kgにもなる一方、意外にも乗車定員は、フロント2名+リヤ4名の計6名で、後席は左右独立シートの間に、2名用のベンチシートを追加するユニークなものでした。

民生向けとはいえ、超巨大なボディと約1千万円の価格から、購入者は、官公庁やJAFなどがほとんど。一般ユーザーも少なく、生産台数は非常に限られたものでした。そのため、今ではトヨタの中でもトップを争う希少車として知られています。

コロナプレミオ:フルモデルチェンジ

11代目となる「コロナ」は、スペイン語で「(優れたものに送られる)賞」を意味する「プレミオ」のサブネームが加わり1996年1月12日に発表。

コロナ プレミオ
コロナ プレミオ

来るべき21世紀を見据えたミディアムセダンとして、開発では、安全や環境の配慮を高めると共に、美しさ、快適さ、楽しさというクルマの本質的な魅力を深化させることに注力されました。

時代が求める安全性能に応えるべく、新衝突ボディ「GOA」採用や、運転席・助手席エアバックおよびABSの全車標準化を実施。同年12月には、コロナ生誕40周年記念特別仕様車「G D-4パッケージ」に、トヨタ初のガソリン直噴エンジン「3S-FSE」が搭載されたのもトピックのひとつです。

キャバリエ:新登場

同年1月にはもうひとつ、話題のクルマが登場しました。日米貿易摩擦の緩和策のひとつとして販売された、キャバリエです。

キャバリエ クーペ
キャバリエ クーペ

GM製モデルをトヨタブランドで販売するプロジェクトでしたが、右ハンドル・右ウィンカー化など操作系に改めるだけでなく、専用ダッシュボードやメーターパネルなども採用。さらに日本人の体格を考慮して、ペダル類やシートポジションも見直すほどの力の入れようでした。

装備面では、運転席&助手席のSRSエアバックやABS、トルクの大きい2.4Lエンジンなどの標準化を図りながら、4ドアセダンのエントリー価格は、200万円を切るという大胆な価格設定だったことも話題となりました。

CMキャラクターには、アメ車好きとしても有名だった所ジョージさんを起用したことも、トピックのひとつでした。

イプサム:新登場

5月21日にはトヨタの新コンセプトファミリービークル「イプサム」が登場。その持ち味は、扱いやすい5ナンバーサイズボディに、セダン感覚の運転感覚と運動性能、ステーションワゴンの機能性、ワンボックスワゴンの高い居住性を兼ね備えたという欲張りなものでした。

イプサム
イプサム

背の高いステーションワゴン的なスタイルの内部には、3列7人乗りシートレイアウトを採用。エンジンは自然吸気の2.0L直4エンジンで、駆動方式はFFと4WDを設定。のちに、ディーゼルエンジンも設定されました。

CM展開では、「イプー」というオリジナルのゆるキャラが登場したことも話題に。また同車をベースとする「ガイア」や「ナディア」などの個性派ワゴンも登場し、新たなクルマ作りの模索も図られました。

ランドクルーザー プラド:フルモデルチェンジ

身近なランクルとして誕生した「プラド」は、1996年5月8日に2代目へとフルモデルチェンジ。「ニュートラディショナル4WD」をテーマに掲げ、初代の70のワゴン版というポジションから、より乗用性能を高めたクロカンであることが目指されました。

ランドクルーザー プラド 5ドア
ランドクルーザー プラド 5ドア

ボディタイプは、5人乗りの3ドアと8人乗りがメインとなる5ドアの2種類。さらに、それぞれのボディに標準車とワイドボディが設定されました。

パワーユニットは自然吸気の3.4リッターV6ガソリンエンジンと3.0リッター直4ディーゼルターボエンジンの2種類が用意され、身近なランクルというキャラクターを支える存在となりました(97年の一部改良で2.7リッター直4ガソリンも追加)。

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カリーナ:フルモデルチェンジ

セダン人気が下降する時代に、その復活を願い勧められた「セダンイノベーション第一弾」として登場したのが、8月7日に登場した7代目「カリーナ」です。

カリーナ
カリーナ

開発テーマは、往年のカリーナを彷彿させる「都会的でスポーティ」というもの。セダン改革の中として、美しいスタイルや魅力的な走りといったセダンならではの価値の磨き上げに加え、安全性能と低燃費の向上も図られました。

基本構造だけでなく、内外装部品の一部は、先行発売されていたコロナプレミオと共有していますが、エクステリアデザインなどの独自性も追及され、よりシャープかつスポーティなイメージを持ち合わせています。

最大の特徴は、カリーナGTの復活でしょう。トヨタ自慢の1.6リッター自然吸気スポーツエンジンである「4A-GE型」を搭載し、195/60R14タイヤ、4輪ディスクブレーキ、フロントパフォーマンスロッドなどを採用。加えて、各部に専用チューニングを施すことで、GTの名にふさわしい一段と機敏な操作性と高い走行安定性を実現したとしています。

ウィンダム:フルモデルチェンジ

レクサスのミッドサイズFFセダン「ES」を日本仕様に改めたのが「ウィンダム」で、初代モデルが大ヒット。その2代目が、1996年8月21日に発売されました。

ウィンダム
ウィンダム

「ゆとりの確かさの進化」をテーマに、初代のイメージや魅力を受け継ぎつつ、全面的な進化が図られ、FF最高級セダンとして、さらなる安全性能と快適性能を追求。初代同様、4ドアハードトップを採用し、優雅さと気品に溢れる高級パーソナルカーに仕上げられました。

エンジンは初代同様、2.5リッターと3.0リッターのV6エンジンのみを設定。新機能として、走行状況に応じてダンパーの減衰力を自動的に連続制御する新開発のスカイフックコントロールサスペンションが「G」グレードに採用されました。

印象的なのは、アメリカの高級ブランド「コーチ」とのコラボレーションモデルである「コーチエディション」が、数度にわたり設定されたこと。購入者にはコーチブランドのバックなどがプレゼントされたことも人気を後押ししました。

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マークⅡ/チェイサー/クレスタ:フルモデルチェンジ

長年、トヨタの上級サルーンとして活躍してきた「マークⅡ/チェイサー/クレスタ」の3兄弟が1996年9月5日、同時にフルモデルチェンジ。

マークII
マークII

「セダンイノベーション」をスローガンに、モデルごとの個性を明確化し、マークⅡは「洗練されたアドバンストセダン」、チェイサーは「ダイナミックなスポーツセダン」、クレスタは「気品のあるプレステージセダン」と表現されています。

直列6気筒ガソリンエンジンを主力とするFRベースの4ドアモデルで、先代プラットフォームをベースとしながらも熟成が図られており、ボディ剛性の強化を始め、性能と燃費を高めた新世代エンジン「BEAMS」シリーズの採用、静粛性の向上などが行われました。

クレスタ
クレスタ

それぞれを見ていくと、8代目のマークⅡは、4ドアハードトップのみで、シャープなスタイリングが特徴。3兄弟で最も人気のあるだけに、万人受けする端正な顔立ちに仕上がられています。

チェイサー
チェイサー

6代目となるチェイサーは、「強い高級車に乗ろう」という強めのキャッチコピーが示すように、3兄弟だけでなく、シリーズの中でも最もスポーティなイメージを強めた力強いデザインが特徴。全日本ツーリング選手権(JTCC)でも活躍しました。

そして、5代目となるクレスタは、唯一の4ドアセダンとして、キャビン形状も専用化。最も上品な大人のサルーンが目指されました。そのため、スポーティグレードの名称も、2車が先代から継承した「ツアラー」ではなく、「ルラーン」に改称。ターボ車「ルラーンV」には、他モデルにあるMTが設定されませんでした。

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ライトエースノア/タウンエースノア:新登場

現代のファミリーミニバンの主力である「ノア/ヴォクシー」の原点となるのが、1996年10月23日に登場した「ライトエースノア/タウンエースノア」でした。

タウンエースノア
タウンエースノア

その名が示すように、原点はワンボックス車の「タウンエース/ライトエース」のワゴンモデルでしたが、同モデルからフロントにボンネットがある1.5BOX構造に変更され、衝突安全性能の向上が図られました。

商用バンである「タウンエースバン/ライトエースバン」と基本構造を共有していたため、FRベースであったものの、ボディ構造が見直され、ATをコラムシフトとしたことで、1列目からのウォークスルーも可能に。さらに2列目キャプテンシートとなる7人乗り仕様なら、3列目まで車内を移動することができました。

基本的には共通仕様の2車種ですが、販売チャンネルの違いによる差別化が必要であったため、フロントグリル等を変更され、顔つきが若干異なります。

ライトエースノア
ライトエースノア

エンジンは2.0リッターガソリンと2.2リッターディーゼルターボを用意。いずれも一部グレードには5速MTが用意されていたことは、時代を感じさせるポイントでしょう。

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カムリグラシア:新登場

世界戦略車として有名な「カムリ」は、世代により国内専用車が投入された歴史も持ち合わせています。「カムリグラシア」は、1994年に投入された5代目カムリの新たな派生モデルとして1996年12月10日に発表。カムリより上級のセダンとステーションワゴンという位置づけで、1992年~1996年に販売された「セプター」と同様、北米版カムリをベースとしたものでした。

カムリグラシア セダン/ステーションワゴン
カムリグラシア セダン/ステーションワゴン

エンジンは、国内仕様のカムリで最後となる2.5リッターのV6と、排気量にゆとりを持たせ2.2リッター4気筒の2種類が設定されました。1997年には、ステーションワゴン仕様のみ、デザインを変更した姉妹車「マークⅡクオリス」も登場しています。

歴史を少しややこしくするのが、セダンのみだった5代目カムリが、1998年8月のカムリグラシアのマイナーチェンジのタイミングで廃止され、グラシアが主力となったこと。そのため、グラシアセダンは単に「カムリ」とし、「カムリグラシア」はステーションワゴンを指すようになりました。

セダンからミニバンへの変革期に

この年に登場した車種を見ると、セダンからミニバンへと、ファミリーカーのシフトが始まった1990年代を象徴するようなラインナップであることがわかりますね。中には成功しなかった車種もありますが、平成ブームのいま、現存する個体が大事にされることを願います。

(執筆・大音 安弘、企画・編集:木谷 宗義/type-e、写真:トヨタ自動車)

大音 安弘(おおと やすひろ)

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1980年生まれ、埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。その後、独立し自動車ライターへ。原稿では、自動車の「今」を分かりやすく伝えられるように心がけている。愛車はスバルWRX STI(VAB)、ポルシェ911(996)、BMW Z4(E85)、VWボーラで趣味は、中古車検索と洗車。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

木谷 宗義(きたに むねよし)/type-e

この記事の編集者

木谷 宗義(きたに むねよし)/type-e

SNSを含むさまざまなクルマ関連メディアで、クルマとカーライフにまつわるコンテンツの企画・制作を行う自動車編集者。そのほか自動車コラムニストや大学講師などの顔も持つ。

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