トヨタ車&レクサス車解説

まだまだ現役の車種も!2026年に「10周年を迎えたトヨタ車」を振り返ってみた

まだまだ現役の車種も!2026年に「10周年を迎えたトヨタ車」を振り返ってみた

リオデジャネイロオリンピックで日本が41個のメダル(過去最多)を獲得したり、広島カープが25年振りにリーグ優勝を果たしたり、スポーツ界が大いに沸いた年。 

また音楽では、古坂大魔王が扮した謎めいたアーティスト「ピコ太郎」がYouTubeで公開した『PPAP』が世界的ヒットしたのも記憶に残るところ。 

自動車業界では、電動化シフト加速のきっかけとなった「パリ協定」の発効という大きなトピックがありました。 

その「年」とは、今から10年前となる2016年のこと。 

今回は、その2016年に生まれたトヨタのクルマ、つまり「今年10周年を迎えたトヨタ車」を振り返ります。 

大音 安弘(おおと やすひろ)

この記事の執筆者

大音 安弘(おおと やすひろ)

1980年生まれ、埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。その後、独立し自動車ライターへ。原稿では、自動車の「今」を分かりやすく伝えられるように心がけている。愛車はスバルWRX STI(VAB)、ポルシェ911(996)、BMW Z4(E85)、VWボーラで趣味は、中古車検索と洗車。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

※記事公開時の情報に基づいており、最新でない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトなどでご確認ください

パッソ:フルモデルチェンジ

パッソ X
パッソ X

「ヤリス」の前身「ヴィッツ」とともに、トヨタのコンパクト部門を支えたのが「パッソ」。その3代目が、2016年4月12日に、発表発売されました。

「街乗りスマートコンパクト」をコンセプトに、「経済性」「使い勝手」「小さくとも安心感のある走り」の3点を重視。トヨタが企画・開発を行った初代・2代目とは異なり、ダイハツが開発から生産まで一貫して請け負いました。

そのため、共同開発車からダイハツ「ブーン」のOEM車へとシフトしたとも言えますが、小さいクルマが主体となるダイハツの得意分野が、最大限に発揮されたともいえるでしょう。

メカニズムに力を入れ、エンジンを1.0Lに集約した上で、当時ガソリンエンジン登録車(2WD車)最高となる28.0km/Lの燃費(JC08モード)を達成。さらに、ボディ剛性や足回りの強化による乗り心地と走りの良さの向上や、ボディサイズの拡大による後席のゆとりの拡大など機能性を高めていました。

女性ユーザーからビジネスユーザーまで多様なユーザーを持つカテゴリーだけに、モデル構成にもひと工夫。質実剛健な「X」グレードに加え、お洒落な「MODA」の異なる2タイプを展開し、コスパだけでなく、選ぶ楽しさにも注力しました。

パッソ MODA
パッソ MODA

しかし、軽自動車の進化や市場の拡大に加え、ミニマムコンパクトカー市場でもSUVやワゴンが登場したことで、ニーズが減少。2023年に製造および販売を終了し、姉妹車ブーンとともにその歴史に幕を下ろしました。

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エスティマ/エスティマ・ハイブリッド:大幅改良

流麗なスタイリングのミニバン「エスティマ」は、2016年6月6日にマイナーチェンジを実施。当時、すでに発売から10年を経ており、これがエスティマ史の最後を飾る大幅改良となりました。

エスティマ
エスティマ

最大の特徴は、より丸みを強調しながらも、精悍な顔つきに進化したこと。それは映画『スターウォーズ』に登場する悪役「ダース・ベイダー」のマスクを想起させるものでしたが、モダンかつ上質なものに仕上げていました。

さらにミニバン初のブラックルーフを組み合わせたツートーンボディカラーも用意。ビジュアルの改革で、エスティマは再び注目を集めることになりました。

インテリアは、モダンで上質な空間に仕上げるだけでなく、メーターやエアコンパネルなどデザインも変更するこだわりよう。

メカニズムでは3.5Lを廃止し、2.4Lガソリン車とハイブリッド車に集約。衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense C」も全車に標準化。驚くべきことに、足回りを再チューニングし、上質な乗り心地と操縦安定性の向上も図られていました。

2019年10月、翌年に予定されていた販売チャネル制度の廃止による車種整理のために、惜しまれつつも、生産を終了。

その後、さまざまなミニバンが登場しましたが、エスティマを超えるスタイリッシュなミニバンは生まれていません。スタイリングと機能を融合させた名車といえるでしょう。

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プレミオ/アリオン:マイナーチェンジ

セダンの姉妹車、2代目「プレミオ」「アリオン」の登場は2007年。当時すでに貴重となっていた5ナンバーサイズのコンパクト4ドアセダンであり、「5ナンバーセダンの完成形」を目指して開発されたクルマです。

プレミオは「コロナ(コロナプレミオ)」の、アリオンは「カリーナ」の流れを汲む、長い歴史を持つクルマの後継車。そのため、1.5L、1.8L、2.0Lという3種類のエンジンを用意し、幅広いユーザーのニーズに応えたのも特徴でした。

その中でも、パワフルな2.0L車は貴重な存在で、上級志向のユーザーに加え、機動性の良さが求められる警察の捜査用車両としても用いられました。

2016年6月13日のマイナーチェンジでは、フェイスリフトを実施し、よりモダンかつスポーティなデザインへと進化。いずれもフロントグリルを拡大し、より力強い顔つきとなりました。

プレミオ
プレミオ
アリオン
アリオン

インテリアでも、センタークラスターまわりのデザインを変更し、より新しさも表現。衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense C」を全車に標準化するなど安全性能も高められました。

上級感のある5ナンバーセダンという貴重な存在であり、一部の愛好者がいたものの、セダン市場の縮小により、2021年にプレミオ・アリオンともに生産を終了。

これによりトヨタの5ナンバーセダンは、「カローラ アクシオ」のみとなりましたが、同車も2025年に生産を終了。トヨタの5ナンバーセダンは役目を終えました。

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TOYOTA 86:マイナーチェンジ

2012年にトヨタとスバルが手を組み生まれたライトウェイトFRスポーツカーの「86(ハチロク)」。デザインが異なる姉妹車「スバルBRZ」が存在し、メーカー毎の特徴が反映された専用仕様となるのも大きな特徴でした。

MOTORSPORT by KINTOのサーキットレンタルで利用可能なトヨタ86
MOTORSPORT by KINTOのサーキットレンタルで利用可能なトヨタ86

2016年は、5月に専用エアロで空力を強化した「GTエアロパッケージ」、さらに足回りに専用装備を加えた「GTエアロパッケージFT」を発売し、さらに2016年7月5日に86初となるマイナーチェンジを実施。

このマイナーチェンジでは、「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」などで得た知見をもとに、「スポーツカーとしてのさらなる深化」がキーワードに。

走りを強化するべく、空力特性の向上を目的としたエクステリアの進化、MT車エンジンの吸排気系部品の改良による性能向上、ボディ剛性の強化と足回りの改良による操縦応答性と乗り心地の両立などが行われました。

さらにSACHS(ザックス)製のショックアブソーバーもオプションで選択可能になり、より上質な走りが得られるように。

インテリアでは、トヨタ最小径ステアリングホイール採用に加え、メーターパネル内のマルチインフォメーションディスプレイ追加など、ドライバーへのインフォメーションが向上されました。また11月には、オレンジ色の限定車「GT“Solar Orange Limited”」を設定。

「86KOUKI(後期)」とも呼ばれ、2021年に「GR86」が登場するまで、多くのスポーツカーファンを生み出しました。

ルーミー/タンク:新登場

今も大人気の「ルーミー」は、2016年の登場。10年にわたり人気車であり続けています。後述しますが、発売当初は姉妹車として「タンク」も存在していました。

そんなルーミーは、ダイハツが開発製造する「トール」のOEM車として登場したクルマで、5ナンバーサイズの手頃な大きさながら、トールワゴン形状とすることで、広い室内空間を実現。

ルーミー
ルーミー

ダイハツが軽ハイトワゴンで培ったノウハウが活かされており、後席スライドドアやロングスライド機構付きの後席、フルフラットとなる荷室などの便利機能が満載され、まさに“小さなミニバン”と呼ぶにふさわしい機能性を備えています。

パワートレインは、経済性を重視し、1.0Lと1.0Lターボの2本立て。当初は販売チャネルの違いから、上品かつ豪華な「ルーミー」とダイナミックなデザインの「タンク」、エクステリアが異なる2車種が展開されました。

タンク
タンク

小さな登録車のワゴンはライバルが少なく、しかもミニマムサイズとなれば、ライバルはほぼスズキ「ソリオ」のみ。ルーミー/タンクは、子育て世代から大きなミニバンが不要となった子離れ世代、ダウンサイザーなど多くの人に注目され、大ヒットとなりました。

2020年9月のマイナーチェンジで、ルーミーに一本化され、タンクの名前はなくなりましたが、そのデザインは継承されて、ルーミー顔は、カスタム仕様という扱いになりました。

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マークX:マイナーチェンジ

1970年代から続いた「マークⅡ」系譜を受け継ぐ上級4ドアセダンとして、2004年に誕生した「マークX(マークエックス)」。

2009年に登場した2代目モデルは、2016年11月22日の大幅なマイナーチェンジから、今年でちょうど10周年です。

最大の特徴は、イメージの刷新を図るフェイスリフトが実施されたこと。大きく変更されたフロントマスクは、それまでのX文字を強調したグリルを中心としたデザインから、「G‘s」や「GRMN」など、特別なスポーツグレードの存在を感じさせるスポーティなデザインに。

マークX
マークX

メカニズムでも、FRセダンの持つスポーティな走りを高めるべく、溶接のスポット増しや構造用接着剤の採用などにより、ボディ接合剛性を強化。その強みを生かし、サスペンションのチューニングも行われ、より走りと乗り味が向上しました。

RDSグレード専用の電子制御サスペンション「AVS」なども新採用。安全面では、上位タイプの衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」が全車に標準化されました。

その後、マークXは2019年まで生産。今も、スポーティなFRセダンとしてファンを持つクルマとなっています。

C-HR:新登場

「もう10周年?」と思ってしまうのが、「C-HR(シーエイチアール)」。トヨタの「もっといいクルマづくり」の取り組みである「TNGA」の第2弾モデルとして2016年12月14日に登場したクルマです。

C-HR
C-HR

4代目「プリウス」と基本メカニズムを共有するクロスオーバーSUVですが、世界中の一般道でのテストに加え、ドイツ名門サーキットでのレース「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」に参戦するなど、走りの良さやスポーティな味付けにもこだわり、運転の楽しいクーペSUVとして磨き上げられたことも特徴のひとつ。

しかし、最大の特徴は、シャープでスポーティな顔つきと、そのイメージを最大限生かすクーペルックのスタイリングにあるでしょう。インテリアも、クーペライクなスポーティかつ上質な空間に仕上げられており、コンパクトSUVの実用性を備えながら、パーソナルクーペの役目も担う存在としてヒットしました。

パワートレインにもこだわりがあり、ハイブリッドだけでなく1.2Lターボもラインナップ。SUVながら、後にMT車が追加されたのも、C-HRらしいところでしょう。

C-HR S“GR SPORT”
C-HR S“GR SPORT”

販売が本格化した2017年には、SUV新車販売ナンバー1を記録するなど高い人気を誇り、幅広い世代から支持されました。残念ながら国内では2023年で販売を終了しますが、海外向けモデルとして第2世代が存在しているため、いつの日か、復活する日がやってくるかもしれません。

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まだまだある!10周年を迎えたトヨタ車

ここまで2026年に10周年を迎えたトヨタ車、7車種を紹介してきましたが、この他にも2016年には記憶に残る新たなトヨタ車が登場しています。

まず2016年4月に「ノア/ヴォクシー」をベースとした「G SPORT(G's)」が登場。ミニバンのG’sモデルは一世代で終わってしまいましたが、その後の同モデルの走りの進化には多大な影響を与えました。

また8月には、個性派の軽トールワゴン「ピクシス ジョイ」を新投入。ダイハツ「キャスト」のOEM車で、ベース車と同様、キャラクターの異なる3タイプが投入されました。

乗用車ではありませんが、12月には、小型バスとして活躍する「コースター」が24年ぶりにフルモデルチェンジを実施しています。同車は現在も現行型として活躍中です。

どれも街でよく見かけるクルマばかりですが、発売から10年を迎えているとは意外に思えますよね。次回は「2026年に20周年を迎えるトヨタ車」をお送りしたいと思います。

(執筆・大音 安弘、企画・編集:木谷宗義/type-e)

大音 安弘(おおと やすひろ)

この記事の執筆者

大音 安弘(おおと やすひろ)

1980年生まれ、埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。その後、独立し自動車ライターへ。原稿では、自動車の「今」を分かりやすく伝えられるように心がけている。愛車はスバルWRX STI(VAB)、ポルシェ911(996)、BMW Z4(E85)、VWボーラで趣味は、中古車検索と洗車。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

木谷 宗義(きたに むねよし)/type-e

この記事の編集者

木谷 宗義(きたに むねよし)/type-e

SNSを含むさまざまなクルマ関連メディアで、クルマとカーライフにまつわるコンテンツの企画・制作を行う自動車編集者。そのほか自動車コラムニストや大学講師などの顔も持つ。

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