試乗記・レポート
LEXUS RC F “Performance Package”試乗レビュー「どこか懐かしい感じも抱かせる素直な高性能スポーツクーペ」
LEXUSのスポーツクーペ“RC”をベースに2014年に発売された高性能版“LEXUS RC F”。車名に高性能版の象徴たる“F”の文字を冠し5.0L/481㎰を発揮するエンジンを搭載するクルマはどんな走り味なのか?東京日比谷にあるLEXUS Meetsの試乗プログラムに参加してきました。クルマ大好き元トヨタの企画マン、公私合わせて1,800台以上のクルマを試乗してきた試乗のプロフェッショナル、ハマやんの視点から、特徴を分解し印象・感想をレポートしたいと思います。
※試乗実施時期の情報をベースにしており、最新の新車販売グレードにはない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトでご確認ください。
試乗実施時期:24年6月
LEXUS RC F “Performance Package”試乗概要
いかにも“高性能車”っぽい外観スタイル。あまり時代を感じさせない
LEXUS RC Fの発売は今から10年前なので、かなり時間が経過している訳ですが、目の前でみた実物に関しては、さほど古さを感じませんでした。
ベース車RCならびにその高性能版たるRC Fが、今では希少な“2ドアクーペ”で、もともとさほど多く走っていない=見慣れていないという点、更に“カーボンパーツを纏った高性能版=Performance Package”は外観上のインパクトが強いという点、基本スタイルが古くなりにくい点などの要因によるのでしょうが、いずれにしても、乗る前に新鮮さ・期待感を抱かせる外観スタイルだと感じました。
また、全長4,710mm・全幅1,845mm・全高1,390mmと、今の基準ではコンパクトともいえるサイズであることも、“スポーティで扱い易そう”に見え、好ましく感じられました。
手ごろなサイズで都内の街中でも扱い易い。手の内感あり
東京・日比谷のミッドタウンから走り始め、芝公園から首都高に乗って…という、東京を走りなれない私には緊張感あるコースで試乗しましたが、事前に思っていたよりも気楽に走れました。LEXUS RC Fが481馬力の高性能スポーツクーペながら、至極扱い易いクルマで、視点が低めということ以外には、運転上、気にする点がなかったからです。
都内の流れに乗って走っている限り、パワートレーンは大人しく、“まるで羊のような”感じですし、ステアリングや様々な操作系・視認系も扱い易く・見やすく、“超ハイパワーのクルマを操る”緊張感といったものは全く不要のものでした。
5 L V8エンジンは踏めば力を出すのですが、街中走行では2,000~3,000rpm止まりで、それはこのエンジンでは大人しい領域で、したがって、ごく普通のエンジンのごく普通のクルマで流しているのとあまり変わらない感覚で運転できました。
また低い視点の運転席からの視界も悪くなく、扱い易く、手の内感さえあるものと感じました。今マーケットの中心であるクロスオーバーは視点・視界・見切り等、よく考えてあるクルマが多いのですが、コンパクト・低重心のクルマ(クーペ・セダン等)はそれなりの良さがあると、改めて感じさせられました。
踏み込むともりもり力を出す(ある意味懐かしい)高性能パワートレーン
最高出力481psを7,100rpmで発生する今では希少なV8エンジンを搭載するLEXUS RC Fですが、今回試乗してみて、“高回転型”ということがよく理解できました。
街中での3,000rpm以下領域では羊のような性格で、とてもジェントルな感じですが(最大トルクも535Nm/4,800rpmと高回転型)、シフトをマニュアルホールドしてエンジン回転を上まで回してみるとキャラが豹変しガーンと力が出てきました。
最近の高性能車での主流であるダウンサイズターボエンジン(低回転からフラットにトルクを発生する)とは異なり、速く走るためには、マニュアルシフト等で3,000rpm以上を保たねばならず、踏み込むともりもり力を出すそれは、ある種の懐かしさを抱かせるものでした。
ソリッドだが固すぎない乗心地。街中~高速までしっかりした乗り味
乗心地は、街中~高速まで、どこでもソリッドながら固すぎないレベルで、普通に乗っても問題なく、アクセプタブルなものと思いました。
ステアリングは、その恰好から、エイッと回したくなるが、実は繊細で微少な操作にもリニアに反応しているように感じましたし、全体にしっかりした乗り味のクルマ(481馬力を御しているので当然かもしれないが)だと思いました。
走り味全体として、特に引っ張って飛ばさなくても、何か特別な感じを持ちながら乗れるクルマという風に思いました。それは、ソリッド目な乗心地であったり、低周波のエンジンサウンドであったり、8速ATのシフトであったりするのですが、街中で羊のように走っていても、“何か特別なクルマに乗って走っている”感覚があると思ったからです。
室内デザイン・操作系は最新LEXUSとは違うが…操作性は良好
室内デザイン・操作系については、最新のLEXUS車とは違い、タッチパッド式のディスプレイ操作や各所に配置されたスイッチ類によるものでした。
そのあたりに最新モデルとの違いを意識させられましたが、とはいえ、操作性は悪くなく、今のタッチスイッチよりも使いやすい面もあると感じられ、街中走行で感じたこのクルマの扱い易さには、そうした操作系・スイッチ類の扱い易さも寄与しているのではないか?と思いました。
LEXUS RC F “Performance Package”まとめ
踏み込むと素直にもりもり力を出す典型的な高性能スポーツクーペ
- 3000rpm以上回し引っ張っていくと真価を発揮するパワートレーン
- 力が回転上昇に伴いもりもりと出てくる素直な感じ
- どこか“懐かしい”感じを抱かせるパワートレーン・走り味
今の交通環境に適合する高性能車となっていた
- (もしかしたら時代遅れでは?と思っていたが)今の交通環境に適合
- 混雑した市街地から都市高速など、コンパクト・低重心で扱い易い
- 視点が少し低いことを除けば特に気にすることなく扱える480馬力車
街中や都市高速もよいが、やはりサーキットを走らせたいクルマ
- 街中や都市高速でも特別感持って走れるが…
- 出来れば、その制限を取り払い、上まで回して走らせたいクルマ
- そのためには、サーキット走行が相応しいのだろうと思う
総合評価
- 乗る前の期待値越えか?
○+ (街中でもシッカリ良好な乗り味など、全般に期待値を超えていた)
- また乗りたいか?
〇 (ワインディング路・サーキットなど走る機会あれば…)
※評価基準と評価マークの意味
項目/マーク | ◎ | 〇+ | 〇 | 〇- | △ |
---|---|---|---|---|---|
期待値を・・・ | 大きく上回る | 上回る | まあ上回る | 上回る部分もあるが・・・ | 下回る |
また乗りたいか | とても乗りたい | 乗りたい | まあ乗りたい | 乗りたい面もあるが・・・ | あまり乗りたくない |
今回試乗したクルマはこちら!
〔試乗車〕:LEXUS RC F “Performance Package”
〔車両価格〕:車両本体価格14,793,100円(オプション:装備オーディオ243,100円)
〔主要諸元〕:
全長×全幅×全高・WB・車重:4,710mm×1,845mm×1,390mm・2,730mm・1,720kg、2UR-GSEエンジン:4,968cc,481ps/7,100rpm、535Nm/4,800rpm、8速AT、RWD、 WLTC燃費8.5km/L、サスペンション前/後:ダブルウィッシュボーン/マルチリンク、タイヤ前/後:255/35ZR19/275/35R19
〔試乗概要〕:都内一般路+高速約30km試乗ルート
※スペック・価格などのデータは試乗時のものです。最新情報は店頭等でご確認ください
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