試乗記・レポート

初見で運転可?ランクル250の内装や使い勝手を実車レビュー!

初見で運転可?ランクル250の内装や使い勝手を実車レビュー!

ランドクルーザー250、通称「ランクル250」というと、「大きくて運転が難しそう」という印象を持つ人は多いでしょう。全長4,925mm、全幅1,980mmというサイズは、日本の街中ではかなり大柄。少し身構えてしまう人もいるかもしれません。

しかし、実際に触れてみると、その印象はいい意味で裏切られました。高い着座位置による視界の良さや、迷いにくい操作系など、初めて乗る人でも扱いやすい工夫が各部に盛り込まれています。一方で、大型SUVらしく注意したい場面もありました。

今回、ドライビングポジションや操作系、視界、後席の実用性などの内装を確認しながら、ランドクルーザー250(VXグレード・ガソリン車)を初見で運転した場合の使い勝手を中心に徹底検証しました。

吉川 賢一(よしかわ けんいち)

この記事の執筆者

吉川 賢一(よしかわ けんいち)

自動車ジャーナリスト。日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。自動車ジャーナリストとして、新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さも伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナ、筋トレなど。

※記事公開時の情報に基づいており、最新でない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトなどでご確認ください

思ったより怖くない!運転席で感じる安心感

ランドクルーザー250の運転席
高い着座位置と水平基調のボンネットによって車両感覚をつかみやすい

今回、早朝からドライブに出かけて夕方まで利用するというスケジュールで、ランドクルーザー250(VXグレード・ガソリン車)の使い勝手を検証しました。

大きなドアを開け、よじ登るようにシートへ腰を下ろしてまず感じたのは、視界のよさです。高い着座位置によって前方の視野が広く、水平基調のボンネット形状によって車両感覚もつかみやすくなっています。

左右後方も、ドアミラーが大きく縦長なので確認がしやすく、死角を減らすうえでも効果的です。大柄なボディでありながら不安を感じにくいのは、こうした視界設計によるところが大きいのでしょう。

ドライビングポジションも良好です。シートやステアリングの調節範囲は広く、多くのドライバーが無理のない姿勢をとることができます。大型SUVらしいゆとりのある着座姿勢もとれるため、長距離移動でも疲れにくそうな印象を受けました。

ただ、唯一気になったのが、テレスコピックステアリング(ステアリングの前後調整機構)の調整幅です。ペダル操作がしやすい位置にシートを合わせると、ステアリングがやや遠く感じました。もう少し手前まで引き寄せられれば、よりリラックスした姿勢で運転できそうです。とはいえ、これは大きな不満というほどではありません。

ランドクルーザー250のコックピット
ステアリングのテレスコピック調整(前後方向)幅が、あと少し手前側に余裕があるとさらに扱いやすい

「これはいい!」と思ったのが、シートベンチレーションです。初夏から秋にかけては気温が高く、乗車直後の車内には熱気がこもりがちですが、シートベンチレーションを作動させると、数秒で背中や座面の蒸れが軽減されました。風量は3段階で調整でき、その時々の状況に合わせて使い分けられるのも便利です。

保管環境は車両ごとに異なります。その意味でも、シートベンチレーションは実用性の高い装備だと感じました。

全体としての完成度は高く、初めてランドクルーザー250を運転する人でも、短時間で慣れることができるでしょう。

ランドクルーザー250の運転席と助手席
運転席と助手席には、真夏に重宝するシートベンチレーションが備わっていた
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初見でも迷いにくい操作系はさすがトヨタ

ランドクルーザー250のエンジンスタートボタン
ステアリングの左後ろにレイアウトされたエンジンスタートボタン

次に検証したのは、操作系の分かりやすさです。エンジンスタートボタンはステアリングの左奥に配置されています。着座した状態では見やすい位置ではありませんが、一度手を伸ばせば迷わず操作できます。

シフトノブはセンターコンソール中央に配置されたストレートゲート式です。近年はプリウスのようなリターン式や電制シフターを採用する車種が増えていますが、ランドクルーザー250は従来型のレバーを採用しています。そのため直感的に扱いやすく、視線を落とさずに操作しやすいのもメリットです。

ランドクルーザー250のシフトノブ
ストレートゲート式のシフトノブを採用。操作が直感的なので初見でも分かりやすい。シフトノブの手前にはトランスファーギヤの切り替えスイッチが配置されている。

ランドクルーザー250には、本格的な悪路走破を目的とした「トランスファーギヤ」の切り替えスイッチが備わっています。スイッチはシフトノブの下側に配置されており、ガソリン車の場合のモードは以下の3種類(ディーゼル車の場合はH4とL4の2種類で、別途「独立したセンターデフロックスイッチ」を装備)です。

  • H4F(ハイレンジ4WD・センターデフフリー:一般走行)
  • H4L(ハイレンジ4WD・センターデフロック:悪路・氷雪路・砂地路・泥濘路などタイヤが空転しやすい路面の走行)
  • L4L(ローレンジ4WD・センターデフロック:急な登り坂や泥濘路など、特に大きな駆動力を必要とするとき)

一般道であれば、基本的には「H4F」のままで問題ありません。

この機構は、路面状況に応じて駆動力の伝わり方を切り替え、悪路での走破性を高めるための装備です。本格クロカンとしては非常に頼もしい機能ですが、初めて乗る人にとっては少し専門的に感じる部分でしょう。もっとも、普段使いで頻繁に操作する装備ではないため、通常の街乗りで戸惑う場面はほとんどありません。

また、エアコンやシートヒーター、シートベンチレーションなどの主要機能には物理スイッチが残されており、直感的に扱えるのも好印象でした。近年はタッチパネルへ機能を集約する車種が増えていますが、初めて乗る車では目的の機能にたどり着くまで時間がかかることがあります。その点、ランドクルーザー250はスイッチ類の配置が整理されており、どこに何があるかを把握しやすくなっています。

このように、操作系は非常に分かりやすくまとめられており、初めて乗る人でも戸惑う場面はほとんどないと感じました。トランスファーギヤだけはオフローダーらしい専門性を感じさせる装備ですが、それ以外は一般的なSUVとほぼ変わらない、親しみやすい仕上がりです。

ランドクルーザー250のスイッチ類
主要機能には物理スイッチが割り当てられており、直感的に扱える点が好印象

大画面は便利だが万能ではない。インフォテインメントの使い勝手

ランドクルーザー250には、12.3インチの大型ディスプレイオーディオが標準搭載されています。実際に使ってみてまず感じたのは、表示の見やすさでした。地図や各種情報が大きく表示されるため、必要な情報を素早く確認できます。横に長い大型ディスプレイですが、高い着座位置との相性も良く、前方視界を妨げる印象はありません。

また、ディスプレイの下側には手を添えやすい平らなスペースがあり、画面操作時の支えとして活用できます。オーディオの操作やナビ画面のスクロールなど、細かなタッチ操作を行う際に役立ちました。

ランドクルーザー250のディスプレイオーディオ
センターディスプレイの下側のダッシュボードには平らなエリアがあり、ここへ手を添えると、安定して画面操作ができる

一方で大画面ならではの課題もあります。運転席から操作すると、画面左端に配置されたメニューやアイコンはやや遠く感じました。特に地図の拡大・縮小を行う「+・-」ボタンは左下にあるため、操作する際には少し身を乗り出す必要があります。

ただ、この点は音声認識がカバーしてくれます。ステアリングスイッチから起動できるボイスコントロールに対応しているため、必ずしも画面操作に頼らなくても済みます。今回の試乗でも、ナビゲーションの目的地設定は音声入力を活用しており、操作に困る場面はありませんでした。

ただし、認識精度を高めるには、ある程度しっかり発音する必要があります。自然な会話というよりは、「機械に向かって指示を出す」という感覚に近い印象でした。

ランドクルーザー250の運転席
画面左端に配置されたメニューやアイコンは、運転席からやや遠い

さらに、USB端子やHDMI端子がセンターコンソール前方の見やすい位置に並んでいる点も好印象です。スマートフォンの充電や音楽再生など、利用シーンをすぐにイメージできるでしょう。

総じて、インフォテインメントの使い勝手は良好でした。大画面ゆえの操作性の課題は少し残るものの、音声認識や分かりやすい端子配置によって、初めて乗る人でも短時間で使いこなせるよう工夫されていると感じました。

ランドクルーザー250のUSB端子やHDMI端子
USB端子やHDMI端子が、センターコンソール前方の見やすい位置にレイアウトされている
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KINTO ランドクルーザー 250を見る

360度モニターは必須装備だった。大柄ボディとの絶妙な関係

良好な視界によって、想像よりもスムーズに走り出すことができたランドクルーザー250ですが、駐車となると話は別です。全長約5m、全幅約2mというサイズは、日本の駐車場では決して操作しやすいとはいえません。そこで活躍してくれたのが「パノラミックビューモニター」でした。

停止状態でシフトをリバースに入れるか、車速約20km/h以下でカメラスイッチを押すと、車両を上空から見下ろしたような俯瞰映像がディスプレイオーディオに表示されます。車両周辺の状況をリアルタイムで確認できるほか、車体を透かしたシースルービューや、後方上空から見下ろした映像にも切り替えられます。

特に便利だと感じたのが床下透過機能(アンダーフロアビュー)でした。車両直下やタイヤ周辺の状況を確認できるので、駐車枠のラインとの位置関係を把握しやすく、細かな位置調整が行いやすくなります。

ランドクルーザー250での駐車の様子
高精細なカメラが周囲の状況を映し出すため、駐車時の安全確認がしやすい

ショッピングモールや立体駐車場では特に効果を実感しました。駐車枠の中央に合わせたい、あと少し左へ寄せたいといった微調整がしやすく、大型SUVであることを忘れそうになるほどです。正直なところ、この装備がなければランドクルーザー250の扱いやすさは大きく変わっていたと思います。

ただし、この装備も万能ではありません。パノラミックビューモニターが活躍するのは約20km/h以下に限られます。20km/hを超えると画面表示は終了し、目視とミラーによる確認が中心になります。

ランドクルーザー250はボンネットの見切りが良好ですが、左右の車両感覚にはやはり慣れが必要です。試乗中も、狭路でのすれ違いや、車線幅の狭い都内の道路では、想像以上に気を遣う場面がありました。

ランドクルーザー250のパノラミックビューモニター
パノラミックビューモニターは大型ボディの心強い味方。駐車時の安心感は非常に高い

7人乗りSUVよりも「4人で使うステーションワゴンSUV」だった

ランドクルーザー250は3列シートを備えた7人乗りSUVですが、実際に後席を確認すると、2列目と3列目では快適性に大きな違いがありました。

まず2列目は非常に快適です。座面は十分な長さがあり、足元空間にも余裕があります。長距離移動でも窮屈さを感じることはなく、後席独立コントロール式のオートエアコンに加えて、USB充電口も用意されています。大人がゆったりと過ごせる空間といっていいでしょう。

座り心地そのものは良好ですが、シート全体を前方へ大きく倒せる構造を採用した影響もあるのか、身体をしっかり支える感覚はやや控えめです。前席ほどのサポート性はありませんが、ゆったり移動する後席としては十分な快適性があります。

ランドクルーザー250の後席2列目シート
2列目は足元にも余裕があり、大人が長距離移動を快適にこなせる

一方で、3列目の評価は少し異なります。3列目にもUSB充電口とドリンクホルダーが用意されている点は好印象でしたが、格納されている3列目シートを展開するのに手間がかかり、乗り込む際も決して楽ではありません。

実際に座ってみると、座面の長さは確保されているものの、膝が持ち上がるような姿勢となり、長距離移動向きとは言いにくい印象です。

ランドクルーザー250の後席3列目シート乗車イメージ
座面長さは確保されているものの、膝が持ち上がるような姿勢となり窮屈に感じる

さらに3列目を使用すると、荷室スペースは大幅に制限されます。荷室奥行きはかなり限られ、大きな荷物を積むのは難しくなります。3列目は常用する席というより、緊急時の補助席として考えたほうがよさそうです。

ランドクルーザー250の荷室・3列目使用時
3列目使用時の荷室は狭く、荷物はほぼ載らないと考えたほうがよい

シートアレンジについても少し惜しい部分があります。2列目シートは6:4分割式となっており、大きな荷物を積む用途では十分便利ですが、もし4:2:4分割であれば、長尺物を積みながら4人乗車が可能となるなど、使い方の自由度はさらに高まったかもしれません。

ランドクルーザー250の2列目シート収納の様子
2列目シートは前方へ大きく倒せる構造を採用。なお6:4分割式となっている

今回実際に使ってみて感じたのは、ランドクルーザー250が最も輝くのは、4名以下で利用するシーンだということです。3列目は格納し、広大な荷室を活用する。さらに2列目の片側を倒せば、長尺物や大量の荷物も積み込めます。実際に2列目を倒して寝転がってみましたが、車中泊も十分に視野に入る広さがあります。

ランドクルーザー250にスーツケース2個とゴルフバッグ2個を積載した様子
2列目の右側を倒し、長尺物と荷物を積み込んでみた。このパッケージングを採っても、スペースにはまだ余裕があるほど広い
ランドクルーザー250に身長165cmの男性が足を伸ばして寝ている様子
車中泊を想定し、2列目を倒すと、身長165cm程度の筆者が足を伸ばしても十分な奥行きがある

実際に使ってみると、ランドクルーザー250は本格クロスカントリー車としてだけでなく、大量の荷物を積みながら快適に長距離移動できる、大型ステーションワゴンSUVとしての魅力もあるモデルだと感じました。

見た目以上に「乗りやすい」ランドクルーザーだった

ランドクルーザー250の前席ドリンクホルダー
お気に入りのドリンクを用意して、思わず遠出したくなる。そんな気持ちにさせてくれる一台だった

今回、ランドクルーザー250を利用して感じたのは、「見た目ほど難しい車ではない」ということでした。大柄なボディからは、運転の難しさを想像しがちですが、実際には優れた視界や分かりやすい操作系、パノラミックビューモニターなどのサポートによって、初めて乗る人でも短時間で慣れることができます。

もちろん、狭路でのすれ違いや高い乗降位置など、大型SUVならではの注意点はあります。全幅1,980mmのボディは日本の道路環境では大きく、どこでも気軽に扱えるサイズとはいえません。

それでも、ランドクルーザー250はドライバーに特別な経験を求める車ではありません。本格クロスカントリー車らしい力強さを備えながら、街中や駐車場で扱いやすい工夫もきちんと用意されています。

ランドクルーザー250のリアビュー

また、3列目を常用する7人乗りSUVとしてではなく、4人以下で広い荷室を活用する大型ステーションワゴンSUVとして使うと、このクルマの魅力はより引き立ちます。荷物をたくさん積み、ゆったり移動し、ときには車中泊も視野に入る。そんな使い方が、このクルマにはよく似合うと感じました。

正直なところ、利用前は「大きな車で運転が大変そうだな」と身構えていました。しかし、その心配は意外と早く薄れていきました。半日使っただけでも、ランドクルーザー250の魅力は十分に伝わってきます。「次はもっと荷物を積んで、遠くまで走ってみたい」と思わせてくれる一台でした。

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吉川 賢一(よしかわ けんいち)

この記事の執筆者

吉川 賢一(よしかわ けんいち)

自動車ジャーナリスト。日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。自動車ジャーナリストとして、新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さも伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナ、筋トレなど。

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