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3列シートは本当に必要?ミニバンとSUV、後悔しない選び方

3列シートは本当に必要?ミニバンとSUV、後悔しない選び方

アルファードやヴェルファイアといった大型ミニバンから、ノア/ヴォクシー、シエンタなどの売れ筋モデル、さらにはランドクルーザー250といった大型SUVまで、いまや3列シート車の選択肢は非常に豊富です。

ただ、車選びはスペックや人気ではなく、自分の生活にどれだけ適合しているかを考えることが重要です。好きなデザインの車を所有することはもちろん満足度に繋がりますが、道具という側面から考えると、使い勝手も重要なポイントになるからです。

買ってから「こんなはずじゃなかった」ということにならないよう、家族構成や用途、予算ごとに現実的な使い方をシミュレーションし、3列シート車の必要性と、最適な選び方を考えてみましょう。

吉川 賢一(よしかわ けんいち)

この記事の執筆者

吉川 賢一(よしかわ けんいち)

自動車ジャーナリスト。日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。自動車ジャーナリストとして、新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さも伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナ、筋トレなど。

※記事公開時の情報に基づいており、最新でない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトなどでご確認ください

「安心のための装備」か「日常の道具」か

ミニバンのイメージ

7~8人が1台の車に乗ることができる3列シート車。家族が多いなど、多人数で移動する機会がある人にとっては非常に魅力的な選択肢ですよね。人気モデルも多いことから商品力も高く、スライドドアを備える車も多く、利便性に優れるのも魅力です。

ただ「人気モデルだから」とか「3列シートがあるといざというときに便利だから」という視点だけで選ぶのは、注意が必要。比較的コンパクトなモデルであっても、3列シート車は、3列目のスペースを確保するために同クラスの2列シート車と比べてボディサイズや重量が増える傾向があります。その結果、取り回しのしやすさや燃費性能に影響を及ぼす場合があるため、「いざというときのため」と3列シート車を選んでしまうと、そのわずかな可能性のために日常の快適性やコストを犠牲にすることになりかねません。

「年に数回、帰省した際にあると便利だから」という場合も、その「たまに」の利便性のために、大きなボディによる取り回しの苦労や、燃費・維持費の負担を365日受け入れ続けるのは合理的といえるか考える必要があります。

まずは、自分にとって3列シートが「毎日使う生活の道具」なのか、それとも「万が一に備える保険」なのかを切り分けて考えることが重要です。

ミニバンとSUV、3列シートの「設計思想」は大きく異なる

3列シート車には、ミニバンタイプのモデルとSUVタイプのモデルがありますが、同じ3列シート車でも、ミニバンとSUVでは3列目に対する設計思想が全く異なります。

ミニバンの場合:全席が「特等席」

ヴェルファイア Z Premierの室内
ヴェルファイア Z Premierの室内

アルファードやヴェルファイア、ノア/ヴォクシーといったミニバンは、3列シートを日常的に使う前提で設計されています。低床で室内高に余裕があるため比較的大柄な人でも無理のない姿勢で座れるほか、スライドドアによる乗降性も高く、2列目から3列目への移動もしやすい構造です。さらに車種によっては3列目にもドリンクホルダーやUSB充電口が備わるなど、着座時の快適性まで含めて、多人数乗車に適したパッケージングといえます。

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SUVの場合:3列目は「プラスアルファ」

ランドクルーザー250 VX(ディーゼル車)の車内
ランドクルーザー250 VX(ディーゼル車)の車内

一方、ランドクルーザー250のようなSUVは、3列シート車であっても、基本的に2列使用を前提とした設計です。走行性能やデザインなど、ミニバンにはない魅力がある一方で、車体構造上、床が高くなりがちで、3列目の居住性はいいとはいえない場合が多いです。乗り降りの際も2列目を倒す必要があり、頻繁な利用にはあまり向きません。

つまり、ミニバンは「3列目までフル活用する車」、SUVは「普段は広大な荷室を使い、必要なときだけ3列目を使う車」と捉えるのが正解です。この違いを理解しておかないと、「いざ乗ってみたら狭くて使いづらかった」というミスマッチが起きてしまいます。

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家族構成とライフステージで変わる一番の選択肢

具体的な生活シーンに当てはめてみると、選ぶべき1台がよりクリアに見えてきます。

乳幼児のいる4人家族

ミニバンと4人家族

2列目にチャイルドシート/ジュニアシートを2脚設置すると、3列目へのアクセスが制限されるため、日常的に使うことはなくなる可能性が高いです。そのため、この時期は3列目よりも、ベビーカーを楽に乗せられる荷室の広さや、狭い駐車場でも安心なスライドドアの利便性を優先すべきでしょう。シエンタのようなコンパクトミニバンや、将来の余裕を見込むならノア/ヴォクシーといった中型ミニバンが現実的な選択といえます。

小学生+祖父母との外出がある場合

ミニバンと3世代ファミリー

小学生の子どもに加えて祖父母を乗せる機会がある場合は、3列目の実用性が一気に重要になります。ノア/ヴォクシー以上のサイズがあれば、家族全員がストレスなく移動できるでしょう。アルファードやヴェルファイアは快適性の面では理想的ですが、日常の取り回しやコストとのバランスを考えると、用途に対して過剰になるケースもあります。

子どもが中高生、部活動への送迎が多い場合

アルファードの3列目(サード)シート、「2列目に負けず劣らず快適!」と174cmのスタッフからコメントが出るほど
アルファードの3列目(サード)シート、「2列目に負けず劣らず快適!」と174cmのスタッフからコメントが出るほど

子どもが中高生以上になると、人数以上に「荷物」の問題が出てきます。遠征バッグや道具を積みつつ、体を休めたい子どもたちがゆったり座るには、3列目を出した状態でも荷室容量に余裕があるアルファード/ヴェルファイアといった大型ミニバンのゆとりが大きな価値をもちます。

普段は4人以下、ただ趣味を大事にしたい

ランクル250
ランクル250

アウトドア志向で普段は4人以下、週末はギアを満載して遠出する、という使い方なら、ミニバンよりも走行性能の高いSUVのほうが満足度は高まるかもしれません。2列シート車でも十分ですが、「人を乗せる」ではなく「空間を使う」という考え方で3列シートのミニバンもしくはSUVを選ぶのもアリかもしれません。

コストと「将来の不確実性」をどう考えるか

車中泊のイメージ

3列シート車は、250万円台から選べるシエンタのようなモデルもある一方で、1000万円を超えるグレードも存在するアルファード/ヴェルファイアのようなモデルもあるなど、価格帯に大きな開きがあります。車格が上がるにつれて税金、保険、燃費、消耗品といった維持費も膨らんでいく傾向があるため、上位モデルを選べば選ぶほど、負担は増大します。

「将来のために」と3列シート車を選んだとしても、5年後、10年後の家族構成を完璧に予測するのは難しく、結局持て余してしまうことも考えられます。ほとんど使っていない3列目のために、お金を払わなければならないのは、できれば避けたいところですよね。

そこでおすすめしたいのが、ライフステージの変化に合わせて車を乗り換えていく考え方です。たとえば家族が増える予定がある場合、まずは『いま必要なサイズ』を選びます。そして数年後、下取り価格が大きく落ちる前に、次のステージに必要なサイズのモデルへ移行するのです。乗り換えには一定のコストが伴いますが、一定期間で見直すことで、「その時々の最適解」を選ぶことができ、長期間ミスマッチな車を使い続ける負担と比較すれば、結果的に合理的となるケースもあります。

また、月額費用に諸経費を一本化できるサブスクリプションサービスを利用するのもおすすめ。子どもが小さいうちはコンパクトに、成長に合わせて上位モデルへ……といった具合に、リスクを抑えながら柔軟に車を替えていくことも可能です。

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予算とライフステージで考える「後悔しない選び方」

ミニバンのリアイメージ

3列シート車が必要かどうかを考える際は、「なんとなく安心だから」という理由で選ぶのではなく、「いつ、誰が、どのくらいの頻度で座るのか」をイメージしてみてください。その解像度が高ければ高いほど、過不足のない、あなたにとってのベストな一台が見えてくるはずです。

ただ、夫婦2人での使用が中心でも、大型ミニバンに魅力を感じるのであれば、その選択はごく自然です。車は、所有する満足感や体験も含めて価値が決まります。実際に乗って初めて分かる快適性や余裕は、スペックだけでは測れません。見た目のよさやサイズ感に惹かれる感覚も、選択理由として十分納得がいきます。

筆者自身も夫婦2人での移動が中心ですが、次の車として3列シートの大型ミニバンを検討しています。使用頻度だけ見れば過剰かもしれませんが、静粛性の高さや積載の余裕、ゆとりある走りに価値を感じているためです。

重要なのは、その選択が自分の意思に基づいているかどうかです。一般論やイメージに流されるのではなく、自分が何に価値を感じるのかを基準に選ぶこと。そうして選んだ一台であれば、どのようなシーンでも納得感を持って付き合っていけるはずです

まとめ

3列シートは便利な装備ですが、その価値は使用頻度によって大きく変わります。また、ミニバンとSUVでは3列目の役割が異なるため、見た目や人気だけで選ぶと、使い勝手にズレが生じやすくなります。

車選びは「なんとなくの安心感」ではなく、「実際の使い方」を基準に判断するべきです。そのうえで、自分が何に価値を感じるのかを見極められれば、合理性と満足感の両立した選択につながるのではないでしょうか。

吉川 賢一(よしかわ けんいち)

この記事の執筆者

吉川 賢一(よしかわ けんいち)

自動車ジャーナリスト。日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。自動車ジャーナリストとして、新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さも伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナ、筋トレなど。

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