試乗記・レポート
GRヤリス「2024年大幅改良」でどう変わった?2020年型と比較
2020年1月にGRヤリスが衝撃の登場を果たしてからまもなく6年が経とうとしています。この間、モータースポーツの現場から寄せられたフィードバックをもとに、GRヤリスは絶え間なく改良が加えられてきました。
中でも、大がかりな変更となったのが2024年1月。エンジン性能の向上やGR-DAT(GAZOO Racing Direct Automatic Transmission)の追加、内外装の大がかりな変更もなされ、2020年モデルの第1世代/前期モデルに対して、“進化型GRヤリス”もしくは後期モデルとも呼ばれています。
今回、後期型GRヤリスに試乗する機会を得ましたので、前期型との違いを詳しくレポートします!
※記事公開時の情報に基づいており、最新でない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトなどでご確認ください
≪YouTubeにて関連動画を公開中≫
KINTOの公式YouTubeチャンネルでは、後期型GRヤリスの試乗レビュー動画を公開中です。合わせてご覧ください。
ジムカーナで体感した底知れぬポテンシャル、いったいどこがどう進化した?
ひとりのクルマ好きとして、2020年1月のGRヤリスの登場は文字通り「衝撃的」のひと言でした。車両重量1,280kg、全長4m未満のいわゆる「Bセグメント」に属するコンパクトなボディに、200kW(272PS)そして370N・m(37.7kgf/m)という強大なパワー&トルクを持つエンジン(※2020年1月発表時のスペック)、そのパワーを余すところなく路面に叩きつける4WDシステム…。
このスペックを見て、「素人にはとても手に負えない暴れん坊だろう」と思っていたのですが、先日MOSKINのサーキットイベントでご報告したとおり、逆に相当な手練れの乗り手でない限り、まったく底を見せない懐の持ち主でありました。

その後、GRヤリスへの関心は増すばかり…。前回試乗したのは272PSの前期型でしたが、あのすさまじい加速と横Gを体感したあとでは、さらにパワーが上乗せされた後期型はいったんどんな進化を遂げているのだろうか、と思わずにはいられません。
【比較表】2020年前期モデル vs 2024年後期モデル
まずはカタログの記載内容を元に、RZ "High performance"(6MT)同士で主要な差異点を比較してみましょう。
なお、全長3,995mm×全幅1,805mm×全高1,455mmの車体寸法と1,280kgの車重は前期型/と後期型とで変更はありません。なお、後期型で追加されたGR-DATモデルの車重は6MT比で+20kgの1,300kgになります。
主要項目 | 前期型 | 後期型 (2024年1月 大幅改良モデル) | 主な変更点 |
---|---|---|---|
エンジン最高出力 | 200kW(272PS)/6,500rpm | 224kW(304PS)/6,500rpm | +24kW |
エンジン最大トルク | 370N⋅m/3,000~4,600rpm | 400N⋅m/3,250~4,600rpm | +30N·m |
トランスミッション | 6速MT (iMT) | 6速MT (iMT) / 8速AT (GR-DAT) | 8速ATを新設定 |
ボディ剛性 | - | スポット溶接打点 約13%増 構造用接着剤塗布部位 約24%増 | 大幅な剛性向上 |
フロントサス締結 | ショックアブソーバー締結ボルト:1本 | ショックアブソーバー締結ボルト:3本 | 操縦安定性の向上 |
ドライビングポジション | 基準 | 25mmダウン | より低重心なドライビング姿勢に |
メーター | アナログメーター + 4.2インチTFT | 12.3インチフルカラーTFTメーター | 視認性と情報量が向上 |
インパネデザイン | 左右対称に近いデザイン | ドライバー側に15度傾斜した非対称デザイン | 操作性の向上 |
フロントバンパー | 樹脂製一体グリル | スチールメッシュグリル・分割構造 | 冷却性能、空力性能、修理性を向上 |
リヤコンビランプ | 左右分割型 | 一文字シグネチャー | デザイン刷新と視認性向上 |
パーキングブレーキ | フロア式 | 縦引き式(メーカーオプション) | モータースポーツでの操作性を考慮 |
ドライブモード | 4WDモードセレクトのみ | 4WDモードに加えドライブモードセレクトを新設 | パワステやエアコンの協調制御が可能に |
メカニズム&パワートレーン:エンジン性能向上とGR-DATの新採用
では、具体的な変更箇所について少し詳しく見ていきましょう。
後期型の大きな改良点がエンジン出力の向上と新開発の8速AT「GR-DAT」の採用です。エンジン出力は200kW(272PS)/6,500rpmから224kW(304PS)/6,500rpmとなり、24kW(32PS)の出力向上を果たしました。
性能曲線を見ると、特に3,000rpm以上のトルクが前期型に比べて引き上げられており、400N・m(kgf・m)の最大トルクを3,000-4,600rpmの回転域で発揮します。
またGR-DATは、AT内部の変速用クラッチに高耐熱摩擦材を採用するとともに、AT制御ソフトウエアの改良により、世界トップレベルの変速スピードを実現。車両挙動の変化が起こる前に変速が必要な場面を先読みすることで、プロドライバーに匹敵するギヤ選択を可能にしています。さらに8ATへの多段化によりパワーバンドを活かした走りを実現しています。
.jpg)
エクステリア:GRヤリスの個性を際立たせ、モータースポーツからのフィードバックを反映させ機能性を向上
エクステリアの変更点も多岐にわたります。フロントまわりは、破損時の修復性と冷却性の改善に主眼が置かれた変更がおこなわれました。具体的には、前面のロアグリルにはスチールメッシュを採用し軽量化と強度アップを実現しつつ、バンパーロアサイドには分割構造を新たに採用。これにより損傷時の復元・交換作業が容易になり、修復コスト低減にも寄与します。
またサイドロアグリルは開口部を拡大し、冷却性能を改善。バンパーサイドにはエアアウトレットが装着され、エンジン内部からの放熱効果をアップしました。リヤロアガーニッシュ下端は前期型ではディフューザー形状でしたが、新たに開口部が設けられ床下からの空気を通す構造として、操縦安定性の向上とマフラーからの排熱促進を実現しています。
灯火類は、フロントバンパーの変更によりフォグランプを廃止。またリヤのランプ類はハイマウントストップランプとリヤスポイラーが別体となり、ハイマウントストップランプとリヤスポイラーを分けることで、モータースポーツでの損傷回避と視認性改善を図るとともにリヤスポイラーのカスタマイズ性を拡張しています。また、ストップランプ間にある中央部ガーニッシュには一文字に繋がるランプユニットが追加されており、後期型を見分ける際の識別ポイントになっています。

インテリア:4点式シートベルト使用時の操作性を考慮したインパネ形状に変更、メーターパネルは全面液晶化
次にインテリアまわりを見てみましょう。
まずコックピットは、ドライバーが運転に集中できるよう改良が施されています。後期型では、操作パネルとディスプレイをドライバー側へ15度傾けて視認性と操作性を高めたほか、ドライビングポジションを25mm下げ、ステアリング位置を最適化することで、より自然な運転姿勢を実現。インナーミラーの取り付け位置変更などにより、前方視界も拡大しています。写真を並べて見ると、インパネからダッシュボードにかけての成形部品の形状とは前期モデルと大きく異なっていることが分かります。
新開発の8速AT「GR-DAT」搭載車では、MT車と同等の高さにシフトレバーを配置し、競技での使用を視野に入れた手引き式パーキングブレーキを採用。Mモードでのシフトは、レーシングカーのように「引いてシフトアップ、押してシフトダウン」の操作ロジックへと変更されました。
新採用の12.3インチのフルカラーTFTメーターは、表示項目をAT油温など走行に必要な情報を表示。ヘルメット着用時でも警告を認識しやすいよう表示方法にも工夫が凝らされるなど、細部までドライバー中心の設計思想が貫かれています。
ちょい乗りインプレ:Gen1より一歩上を行くアクセルのツキ、野太い排気音は気のせいではない?
筆者キタジマは数週間前に前期型のGRヤリスでジムカーナをたっぷり走りましたので、そのときのインプレッションをもとに後期モデルと比較してみました。

乗り込んでまず気づいたのは低くなった視点。もともとGRヤリスは全高が1,455mmあり、スポーツカーとしては高めで着座姿勢もアップライト気味だったのですが、後期型ではアイポイントが25mm下げられたことによって足を前に投げ出すスポーツカーに近い運転姿勢になり、低重心感が強まりました。なお、改良に当たりメーター部分を覆っていたヒサシ(ナセル)がなくなってダッシュボードの上端も下げられたので、運転席からの視界に大きな影響はありません。
またメーターパネルの全面液晶化も大きな変更点のひとつ。回転計やブースト計などの各表示はひときわ大きく表示させることができ、負荷の高い走行をしている際に把握しておきたい油温・水温なども常時モニタリングできる点は、大型モニター採用の恩恵と言えそうです。
クラッチを踏み、エンジンスタートボタンを押してみると、クランク音とともに直列3気筒ターボエンジンが低いうなり声を上げて目を覚めます。200kWを超えるハイパフォーマンスモデルにしてはアイドリング音自体は小さいなという印象は、後期型になっても大きく変わりません。


走り出すまではインテリアが若干の変更を受けただけかなという両車の違いでしたが、いざ走らせてみるとそれぞれの性格の違いに気づきます。特に大きいのは後期型から備わったドライブモードスイッチの存在。
前期型にはNORMAL/GRAVEL/TRACKから選べる4WDモードセレクトスイッチが備わるだけで、ドライブモードスイッチの設定はありませんでした。後期型で新設されたこのドライブモードの設定をNORMALからSPORTに変更すると、パワステの手応えが一段重くなるとともに、アクセルペダル操作のツキ(レスポンス)が格段にアップ。前期型を運転している感覚でシフトチェンジすると、回転のタイミングが合わずギクシャクしてしまうかもしれません。そういう時はシフトチェンジ時に回転合わせをしてくれるiMTをONにすることをオススメします。
また吸排気音も、後期型は前期型に比べ心なしか強調されていて、特にシフトチェンジ時に聞こえてくるウェイストゲートバルブからの吸気音は「こんなに大きかったっけ?」という印象でした。
公道での走行でしたのでパワー感の違いそのものは体感できなかったのですが、低回転からのフレキシビリティは当初からG16E-GTSエンジンの美点。後期型のエンジン性能曲線を見ると、1,500rpmを超えたあたりですでに200N・mのトルクを発生。そこからほぼ直線的にトルクが増して3,250rpmから4,600rpmで400N・mのピークを維持します。ちなみに、筆者のマイカー(2002年式 アルテッツァジータ AS200 Lエディション 6MT)が4,400rpmまで回してようやく200N・mに届くくらいなのですから、車両重量の違いも相まって、文字通り次元が違う加速感に唖然とします。
ともあれ、後期型は音の演出だけでなくドライブモードセレクトスイッチが設定されたことも相まって、体感的にも走りがよりアグレッシブになったという進化の片鱗は感じることができました。とはいえ、公道では持てる力のほんの一部しか出せません。GRヤリスの本来のフィールドである、サーキットやラリーなどコンペティションの場で、そのパワーを解き放ってみたいと思わせてくれる、正真正銘のスポーツカーでした。
KINTOでも最新のGRヤリスが手に入る

GRヤリスはKINTOでも取り扱っています(注文状況を踏まえながら定期的にアップデートしているため、最新情報はKINTOのGRヤリス車種詳細ページをご確認ください)。
また、今年(2025年)の4月にはGR-DATの制御最適化やシャシーとの結合部剛性アップ、ショックアブソーバー及びEPSチューニングの最適化、そしてエアロパフォーマンスパッケージのメーカーオプション追加などさらに改良が加えられました。文字通り熟成が進んだGRヤリスを手に入れるには、いまが絶好のチャンスかもしれません。
KINTOでは、GRヤリスに関するさまざまな情報を記事にまとめて発信しています。GRヤリスを検討している方は、ぜひGRヤリスの最新記事も参考にしてみてください。
- GRヤリスに関する記事一覧はこちら
- 取材協力:おもしろレンタカー野田本店
今回のGRヤリス試乗ギャラリー















モータースポーツファンに向けた新サービス「MOTORSPORT by KINTO(MOSKIN)」を開始!

MOTORSPORT by KINTOでは、チューンアップ(※)されたこだわりのハイスペックなスポーツカーに最長2年間お乗りいただける「サブスク」、サブスクで取り扱うハイスペックなスポーツカーを8時間からお借りいただける「レンタル」、手軽にサーキット走行をお楽しみいただける「サーキットレンタル」、モータースポーツ初心者の方やインストラクターに教わりながらスポーツ走行を楽しみたい方に向けた「走行・体験イベント」の4つのサービスを通じて、憧れのスポーツドライビングやサーキット走行をお客様のスタイルに合わせて身近に体験できる機会を提供します。
※保安基準適合の車両です(架装後に検査・登録)
はじめてのクルマはKINTOで!【35歳以下の方限定】はじめてのクルマおためしキャンペーン実施中

「クルマは欲しいけど、あと一歩が踏み出せない」という若年のお客様の想いにKINTOが応えます!
はじめてKINTOをご契約される方、及び申込時点で35歳以下の方を対象(法人契約は対象外)に、初期費用無料・自動車保険もコミコミといったKINTOの基本サービスはそのままに、
「6カ月目に限り中途解約金なし(※1)で乗り換えや解約が可能」でアクア、ヤリス、ライズ、ヤリス クロス、カローラ クロス、シエンタの6車種全グレード(※2)が対象のキャンペーンを開始いたしました。
※1. 6カ月目の中途解約希望日の3カ月~30日前までに解約のお申し出が必要となります。ボーナス払いを併用の方が6カ月目で中途解約する場合、初回のボーナス月(1月もしくは7月)の加算額はお支払い対象となります
※2. モデリスタ仕様は対象外です。取り扱い車種やグレードは、予告なく変更される場合があります
KINTOは月々定額でトヨタ・レクサス・SUBARUの新車などをご利用いただける(※)サブスクリプションサービスを展開しています。
※一部取り扱いのない車種がある場合もございます
- KINTO ONE
- トヨタの新車が対象
- KINTO for LEXUS
- レクサスの新車が対象
- KINTO ONE(SUBARU)
- SUBARUの新車が対象
- KINTO ONE(中古車)
- 納期目安1~2ヶ月!東京・愛知・長野・大阪で提供、エリア順次拡大中
- KINTO Unlimited
- KINTO ONEにアップグレードとコネクティッドの付加価値をプラス
それぞれのサービスのベースとなるKINTO ONEを中心にご紹介します。
KINTO ONEとは?
KINTO ONEは、車両代金や登録諸費用のほか、自動車保険料(任意保険・自賠責保険)、各種税金、車検費用、正規販売店でのメンテナンス費用、所定の消耗品の交換費用、故障修理・故障時の代車費用などがコミコミ定額のサブスクリプションサービス。クレジットカード払いも可能です(※)。
※SUBARU車を契約の場合、月額のお支払いは口座振替のみのご利用となります
初期費用0円で気軽に乗り始められる「 初期費用フリープラン」と、 所定の申込金を契約時に支払うことで解約金が0円となる「 解約金フリープラン」の2つから選ぶことができます(※)。
※「KINTO ONE(中古車)」では、解約金フリープランのみ、契約期間は2年のみ
トヨタ・SUBARUの新車は3/5/7年、レクサスの新車は3年の契約期間となっており、契約期間中に割安な手数料で別の車に乗り換えができる初期費用フリープランのサービス「 のりかえGO(法人契約・レクサス車・SUBARU車・bZ4X専用プランは対象外)」もあります。
また、申込み~契約までインターネットで完結できます(販売店でのご相談も可能です)。
メニュー