試乗記・レポート
LEXUS RZ300e version-L試乗レビュー「航続距離が最大の訴求点」RZ450eとの価格差・乗り味差をどう考えるか?…難しい選択肢
LEXUS初のBEV専用モデルRZに追加されたFWD版の“RZ300e”。BEVらしく静かで走り味が上品/まろやかなRZ450eに対してRZ300eの乗り味はどうなのか?クルマ大好き元トヨタの企画マン、公私合わせて1,800台以上のクルマを試乗してきた試乗のプロフェッショナル、ハマやんの視点から、特徴を分解し印象・感想をレポートしたいと思います。
※試乗実施時期の情報をベースにしており、最新の新車販売グレードにはない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトでご確認ください。
試乗実施時期:24年5月
LEXUS RZ300e version-L試乗概要
LEXUS RZ450eをベースにFWD化し航続距離を伸ばしたRZ350e
LEXUS RZ450eは前後にモーターを持ち4輪を駆動するBEVですが、それをFWD化し前モーターのみで駆動・走行させるクルマがRZ300eです。その狙いには色々な面があるのだろうと思いますが、ユーザー視点では“航続距離が長くなる”点が第一のメリットだと思います。
LEXUS RZ450e・RZ300e比較
LEXUS | 前輪モーター | 後輪モーター | バッテリー | 航続距離 |
RZ450e | 150kW | 80kW | 71.40kWh | 494km |
RZ300e | 150kW | - | 71.40kWh | 599km |
WLTCモードと現実使用条件の航続距離がどんな関係か?よく知りませんが(走り方によって大きく変わる?)、一般的には約600kmの航続距離があれば十分と考えられ、その意味で、LEXUS RZ300eの訴求力は高いのだろうと思われます。

外観スタイル・内装デザインは基本的にLEXUS RZ450eもRZ300eも変わらない
外観・内装に関してはLEXUS RZ450eもRZ300eもほぼ共通で、違いはRZ300eの標準タイヤが18インチとなること程度です(試乗車はオプションの20インチ装着)。
“RZ”のスタイルは、全体シルエットやグリル処理・Cピラー処理等、RXやNXといった既存LEXUSクロスオーバーSUV商品と少し距離を置いているが、離れすぎてもいない(&時代的にもさほど跳びすぎていない)…絶妙のポジションにあると感じられ、それゆえに、LEXUSのクロスオーバーらしさと独自の存在感を備えたクルマのように映りました。
また内装に関しては、LEXUS RXやNX同様の“TAZUNA Cockpit”で、スッキリとした見映えと、人とクルマが意思疎通しやすそうな配置になっており、RZの運転しやすさ・乗り易さの一要因になっていると感じました。
シート・ミラー・ステアリングを合せてから街中に出てみると、実際の寸法よりもコンパクトなクルマを運転している感覚で、“乗り易く”・“運転にストレスを感じない”第一印象があり、運転席からの視界がうまく確保されており、車体の見切りがわかりやすい点や、操作系・メーター/ディスプレイの視認系が適切な位置に配置されている点が効いていると思いました(回転式のシフトレバーだけは個人的に少し違和感を持ちました。駐車時等サッと操作しにくい感じ)。


必要十分な動力性能・自然な走り味だが、LEXUS RZ450eと少し印象異なる
LEXUS RZ450eの後輪モーターを除きFWD化したRZ300eですが、“十分な動力性能”・“基本的に自然な走り味”は共通ながら、微妙なレベルでRZ450eと異なる面があると感じました。
試乗コースでは様々な加減速を試してみましたが、市街地交通の中で、先ずは十分な動力性能で、全く不自由はありませんでした。後輪モーター分がなくなったと言っても、前輪モーターだけで150kW(204ps)・266Nmを発揮しており、また車重は100Kg軽くなっているので、まあ当然かもしれません。
静かさや加減速フィーリングに関しても、基本的にはRZ450eと同じような特徴で、BEVの中でも“静かさ”を特徴と言える点、加減速の“スムーズさ”はこのRZの基本特性のように思われました。
では何がRZ450eと違うのか?ですが、大変微妙なレベルの事ですが、走り味全体として、“4輪駆動による安定した加速感”・“パワートレーンの存在を忘れさせるような静かさ”・“しっとりと滑らかな加減速感”といったRZ450eの特徴が、それぞれ僅かずつではあるがレベルダウンしているような気がしたのです。こういった乗り味の微妙な差は、試乗環境やタイヤ・空気圧等も影響しているので、絶対とは言えませんが、少なくとも、私が乗ったRZ450eとRZ300eでは感じられた事でした。

LEXUS RZ450eとRZ300eの走り味差は“DIRECT4”の有無によるものか?
大変微妙なレベルではあるが、LEXUS RZ450eと走り味の面で少し違いを感じたRZ300eですが、もし違うとすれば、車両構成上最大の違いである4輪駆動“DIRECT4”かFWDかに起因するものと推測されます。
カタログの説明によると、DIRECT4は“さまざまな路面において、シーンに応じた前後駆動力配分と前後制動力配分を行うことで、車両姿勢や挙動を高次元でコントロール。加速、操舵、旋回でのすぐれた操縦安定性を実現すると同時に、低電費にも貢献します。”となっており、やはり、車両の姿勢や挙動ひいては“走り味”に何らかの影響を与えているようです。
そういう意味では、走り味や運動性能に拘りを持つ層にとっては、RZ300eではなく、“DIRECT4”による駆動/制動制御が効いたRZ450eの方が選択肢として向いているのかもしれません。

基本的には良好な乗心地
LEXUS RZ450eにはこれまで2回乗って、その静かさとスムーズさ、乗心地の気持ちよさ・精緻さを印象的に感じたものですが、今回乗ったRZ300eでも乗心地の良さは同様に感じられました。
試乗ルートの中にある路面の荒れた区間では、しっかりしたボディと柔軟に動く脚により、路面の荒れをほぼ感じさせない位の揺れ方に抑え込まれていましたし、終始“気持ちの良い乗心地”を感じさせてくれました。
FWD用にリヤサスペンションメンバーを新たに開発・採用し、サスペンションチューニングをFWD専用に最適化するなどのクルマづくりが活きているのでしょうし、そうしたクルマづくりに、このRZ300eが単に“後輪モーターを省いてFWD化したもの”という訳ではない事が表れているように感じました。

LEXUS RZ300e version-L試乗まとめ
LEXUS RZ450eより約100km航続距離が長い点が訴求ポイント
- 普通の用途にはまず十分な“599km”の航続距離
- 内外装・仕様など殆どLEXUS RZ450eと変わらない商品づくり
- 微妙なレベルで走り味に差はあるが、自然で乗り易いクルマ
LEXUS RZ450eとの価格差“60万円”をどう考えるか?難しい選択かも…
- LEXUS RZ450e(880万000円)に対して60万円差のRZ300e(820万000円)
- 航続距離の長さを取るか、それとも“DIRECT4”による走り味を取るか?
- 価格差がさほど大きくない点もあって、“難しい選択”かもしれない
総合評価
- 乗る前の期待値越えか?
〇 (LEXUS RZ450eとは微妙に違っていたが、基本的には“自然な走り味”のBEV)
- また乗りたいか?
〇 (もしBEVを選べるなら、RZ450eは第一候補。RZ300orRZ450は走り味から後者)
※評価基準と評価マークの意味
項目/マーク | ◎ | 〇+ | 〇 | 〇- | △ |
---|---|---|---|---|---|
期待値を・・・ | 大きく上回る | 上回る | まあ上回る | 上回る部分もあるが・・・ | 下回る |
また乗りたいか | とても乗りたい | 乗りたい | まあ乗りたい | 乗りたい面もあるが・・・ | あまり乗りたくない |
今回試乗したクルマはこちら!
〔試乗車〕:LEXUS RZ300e version-L
〔車両価格〕:車両本体価格8,200,000円(20インチタイヤはオプション116,600円)
〔主要諸元〕:
全長×全幅×全高・WB・車重:4,805mm×1,895mm×1,635mm・2,850mm・2,000kg、Frモーター:150kW、266Nm、FWD、 バッテリー:71.4kWh、WLTCモード:599km(20インチ装着時は530km)、サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン、タイヤ前/後:235/50R20 / 255/45R20(標準は235/60R18)
〔試乗概要〕レクサス名古屋西・試乗車両、試乗コース約8km
※スペック・価格などのデータは試乗時のものです。最新情報は店頭等でご確認ください
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