試乗記・レポート
LEXUS RX500h F SPORT Performanceを試乗レビュー“非常にパワフルなRX”。余裕ある走りとF SPORT度の高い乗り味
2022年6月に発表されたLEXUSの基軸車種「RX(第5世代)」。
今回は、最も走りに振った“500h”を販売店で試乗してきましたので、クルマ大好き元トヨタの企画マン、公私合わせて1,800台以上のクルマを試乗してきた試乗のプロフェッショナル、ハマやんの視点から特徴を分解し、走り・乗り味を中心にレポートしたいと思います。
※試乗実施時期の情報をベースにしており、最新の新車販売グレードにはない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトでご確認ください。
試乗実施時期:23年10月
LEXUS RX 500h F SPORT Performance 試乗概要
どんな場面でも非常にパワフル。充分以上の動力性能
2.4Lターボエンジンと6速トランスミッション、前後モーターと4輪駆動力制御システム“Direct4”の組み合わせによる動力性能・運動性能が一番の売り物のRX500h。単一グレードで、名称もF SPORT Performanceと呼ばれています。
販売店の店頭から幹線道路に乗り出して、少し強めにアクセルを踏んでみると、スムーズながら強い加速度で街中の交通をリードできました。“速いなあ!このRX”。2.1トンという車重を感じさせない動力性能の高さが第一の印象でした。
街中試乗のため、その動力性能の高さを試す場面は頻繁にはなかったものの、例えば、工事による車線減少で車線変更が必要な時に、余裕持って走行・流入できるなど、“動力性能は高い方が余裕を持って走行しやすくなる・・・”というクルマ本来の価値が分り易く具現化されているように思われました。
“加速や走りを楽しみたくなる・・・” Performanceに振ったクルマの味付け
クルマは、その味付けによって“どんな走り方をしたくなるか変わってくる”ユニークな商品(乗り物)だと思いますが、このRX500h F SPORT Performanceは、(ついつい)加減速を楽しみたくなるクルマだと思いました。
上記したように、大変パワフルで鋭い加速が可能という点が最大の要因ですが、加減速~車線変更など、どんな状況でも安定した姿勢・挙動を保つ事や、サウンドが気持ちよく仕立てられている事、高い視点からの周辺視界が良い事等が相まって、“クルマの持つポテンシャルを出来るだけ引き出したい・・・”という気持ちにさせてくれる味付けと感じました。
新型RXには、350、350h、450h+、500hと多様なパワートレーンが用意されており、先回は“350”、今回は“500h”に試乗した訳ですが、先回の350では、スムーズで効率よさそうな内燃機関(2.4Lターボ+8速AT)の走りに印象付けられ、同じF SPORTでも、スムーズなドライビングで走りたい・・・と感じたのに対して、今回の500hではスムーズかつ迫力ある加速感に強い印象を受け、加速や走りが楽しみになるクルマに仕立てられていました。
LEXUS/トヨタのハイブリッドパワートレーン車で、これだけ“走りの面で楽しい気持ちになれるクルマ”に乗った事はこれまでなかったので、2.4Lターボ+6AT+前後モーター+Direct4による走行性能・制御と、RX500h F SPORT Performanceの味付けは、相当、走り寄りに振ったもので、“LEXUS/トヨタのハイブリッドスポーツ商品としてひとつの完成型”とでも呼べるものになっているのでは?と思いました。
より“F SPORT度”の高い乗心地・サウンド(RX350対比で)
新型RXには、数ヶ月前に350 F SPORTに試乗し、「乗り心地の良さを維持しながら、走り面の面白さやシャープさも持ち合わせている」感じで、F SPORTとして乗り味の方向が“決まった”ように思われるなど、大変ポジティブな印象を受けましたが、今回の500h F SPORT Performanceでも似た印象ながら、若干硬めのセッティング、よりスポーティなステアリングレスポンス、よりスムーズでクイックなクルマの動き等から、350より“F SPORT度”の高い乗り味と感じました。
乗心地単体では、普通の350の方が柔軟で良好だと思いますが、500hは硬めセッティング(角は丸められているが)という事も含めて、よりスポーティな乗り味になっていると思いましたし、またエンジンサウンド(音作り)に関しても、350では自然で遠くから静かな音が届いてくるという“LEXUS車らしいもの”であったのに対して、500hではハイパワーハイブリッドらしいエンジン(含スピーカーからの音)とモーターのミックスした感じの音で、“F SPORT Performanceを運転している!”という高揚した気持ちで走行することができました。
より“F SPORT”度が表現された外観スタイル
RXの外観スタイルに関しては、350に試乗した際、「RXだが新しい。新しいがRXらしい」と、RXの正常進化型ながら新しさも充分具現化された外観スタイルと感じましたが、今回乗った500hに関しては、それに加えて、“よりF SPORT度が高く表現された外観スタイル”だと思いました。
より低重心感・踏ん張りの強さを感じさせる全体フォルム・佇まいが、第5世代RXの基本的なスポーティさだと思いますが、それに加えて、純白のボディカラー、F SPORT Performance専用として各部に配置されたアクセント類やブラックアウトしたミラー・ウィンドウモール・ホイール等によって、“より走りに振ったRX”というメッセージが表現されていると感じました。
室内の広さと扱いやすさ。操作性・視認性のよいコックピット
室内の広さ・使いやすさは、全長1,490mm・全幅1,900mmのクルマらしいゆとりを感じさせるもので、前席・後席・荷室とも充分なスペースが確保されています。また、900万円もする高価格車として当然かもしれませんが、デザイン/質感の洗練度や高さも充分なレベルになっていると感じられました。
TAZUNAコンセプトとして造られているコックピットは、自然で適度に囲まれ感があり、運転に関する基本操作・基本情報は、自然に操作・視認しやすいものになっていると思いました。
最初にこのコンセプトのクルマ(現行NX)に乗った時は、インパネ中央の14インチスクリーンは操作性に優れるが、操作内容の階層構造を理解・記憶するのに時間がかかるのでは・・・と思いましたが、色々なクルマで試乗・操作してきたためか?色々な設定・設定変更もかなり簡単に出来るようになってきました (慣れの要因が強いと思われました)。
LEXUS RX 500h F SPORT Performance 試乗まとめ
- 性能の余裕と加減速・運動性能を楽しむRX。“よく走るSUV”求める層向け
LEXUS RXの最上級グレード“500h F SPORT Performance”は、RXの中でも走りに振った商品で、その動力性能の余裕を味わい、加減速・運動性能を楽しむクルマに仕上がっていると感じました。666万~901万円という幅広い価格レンジの中で最上位に位置づけられた価格を高く感じるか、リーズナブルに感じるか、はRXに求めるキャラクター・諸性能・仕様装備等によって変わってくると思いますが、「よく走るSUVを探している人」であれば、ベース価格+200万円というこのグレードの価格も決して高くはないのでは?という感じがしました。
- 基軸車種としての正常進化型モデルチェンジ+運動性能面で“踏み出した改良”
車両ポジション/コンセプトや外観デザインのアイデンティティに見られるように、今回のRXモデルチェンジは正常進化型の改良ですが、その中身(改良の範囲や運動性能・乗り味など)は、普通のモデルチェンジのレベルを超えるもので、一歩踏み出したものになっているように思われました。
乗り味面の改良幅が大きい事はRX350試乗の際、感じており、それがある思想のもとに開発されハードウェアとして具現化したものと推測しましたが、特に、この500hに搭載されたパワートレーンや4輪駆動制御“Direct4”は、更に運動性能面での踏み出し方が大きく、より分かりやすいものになっている・・・と感じられ、スポーティさ・運動性能面では、従来のRXのイメージを変えるくらいのレベルアップを実現していると思いました。
それが実現したのは、パワートレーンやボディ等の様々なハードウェア・味付けの積み重ねゆえなのでしょうが、全体として、“スポーティ志向のRXを造ろう・そのために走り・走り味で大幅に踏み出したクルマを仕立てよう・・・”等といった考え方の明確さが根底にあったのではないか?と、勝手な想像ながら思いました。
総合評価
- 乗る前の期待値越えか?
〇+ (2.4ターボ・HEVの動力性能・Direct4による運動性能は期待値超え) - また乗りたいか?
〇+ (RXはサイズが許せば欲しいクルマ。走行性能を色々試してみたい)
※評価基準と評価マークの意味
項目/マーク | ◎ | 〇+ | 〇 | 〇- | △ |
---|---|---|---|---|---|
期待値を・・・ | 大きく上回る | 上回る | まあ上回る | 上回る部分もあるが・・・ | 下回る |
また乗りたいか | とても乗りたい | 乗りたい | まあ乗りたい | 乗りたい面もあるが・・・ | あまり乗りたくない |
今回試乗したクルマはこちら!
〔試乗車〕:LEXUS RX500h F SPORT Performance
〔車両価格〕:車両本体価格9,010,000円
〔主要諸元〕:
全長×全幅×全高・WB・車重:4,890mm×1,920mmx1,700mm・2,850mm・1,950kg
T24A-FTSエンジン:2,393cc、275ps/6,000rpm、460Nm/2,000~3,000rpm
+前/後モーター:(前)87ps、292Nm/(後)103ps、169Nm、6速AT・AWD、WLTC燃費14.4km/L
サスペンション前/後:ストラット/マルチリンク、タイヤ:235/50R21
〔試乗概要〕:レクサス名古屋西・試乗車両、販売店周辺約7.5km試乗ルート
※スペック・価格などのデータは試乗時のものです。最新情報は店頭等でご確認ください
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