試乗記・レポート

新型LEXUS NX350hを試乗!「売れ筋商品の造り方」の見本的なクルマか?

新型LEXUS NX350hを試乗!「売れ筋商品の造り方」の見本的なクルマか?

大人気の新型NXに販売店で試乗してきました。どんなクルマでどんな感じかレポートしてみたいと思います。クルマ大好き、元トヨタの企画マンで、公私合わせて1,800台以上のクルマを試乗してきた試乗のプロフェッショナル、ハマやんの視点から、「LEXUS NX350h」の特徴を分解し、その魅力を探るレポートです。

※試乗実施時期の情報をベースにしており、最新の新車販売グレードにはない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトでご確認ください。
試乗実施時期:2022年1月

新型LEXUS NX350h試乗概要

外観スタイル:正常進化の外観スタイル。一目でNXとわかるフォルム

「わかりやすい商品だなあ!」が外観スタイルを見たときの第一印象でした。色々なデザイン要素が「一目でわかるレクサスNXらしさ」を醸し出しており、また同時に「2014年=先代発売時からの8年間の進化」を表現しているからです。

「外観スタイル」はクルマの商品性の多くを占めているとともに、そのクルマの内部・つくりや力の入り方も表現してしまう、本当に重要かつ怖い要素ですが、このNXは、時代を超えたり革新に挑戦したり・・・といった側面は控えめながら、うまく時代を捉えお客様の期待に応えている=期待値に沿ったデザインだと思いました。

内装デザイン:14インチのタッチスクリーンがうらやましい内装デザイン

物理スイッチが大幅に減らされ見映えスッキリしたインテリアですが、(年齢要因か? )慣れなくて「まごまごする」面もありました。例えば、シートヒーターのON/OFFやメーター表示の切り替えなど、「どれをどう触れば操作できるのか?」と思うものがあり、またステアリングスイッチの操作は、軽く触れるとヘッドアップディスプレイに表示され、それをチラ見しながら操作するロジックなのですが、若い人には合っているのかもしれませんが、物理スイッチに慣れた人間には難しく、実際、何も操作できませんでした。
操作性以外のシート・トリム・メーター周りなど、意匠や質感はほぼ「期待値通り」で、ミドルクラスのプレミアムSUVとして充分な競合力 を持つクルマと思いました。

何も操作しなくても驚かせてくれる新装備もありました。試乗中、信号待ちの途中「もうすぐ信号が青に変わります」というアナウンスが流れてきました。そんな装備まで付いているんですね!
乗り味:走り出して。予想通りのスムースな乗心地なのだが・・・
試乗前に、「新プラットフォーム(GA-K)で、ハリアーと基本は同じだし、同様にフラットでスムースな乗心地になっているんだろうなあ」と予想して乗ったのですが、ほぼその予想通りだったと思いました。が、このNXはプレミアム商品で、車両価格635万円・コミコミ価格では700万円以上もいただくクルマなので、自ずと期待値は高くなってしまいます。

この面でいまいち感のあった先代との対比では確実に進化しており、普通の路では、凸凹や荒れをさほど感じさせない、しっかりしたボディ剛性感やスムースさ・フラット感があると思いました。が、走り出してすぐにわかるような「目立つ乗り味演出」ではなく、走っていると段々わかってくる「ちょっと奥ゆかしい乗り味」のように思われ、分り易い乗り味を持つ色々な競合車(Q5やX3、メルセデスのGLA/GLBなど)と比較して試乗したらどうなんだろうなあ・・・(ちょっと分り難くないですか?)と思ってしまいました。

また、標準で20インチランフラットタイヤを履いているのですが、流石に厳しい感じ。路面の荒れや段差が大きめだった名古屋城周辺の路では、きつい突き上げはないものの脚とボディが一生懸命抑えている・・・それでも「重いタイヤを意識せざるを得ない」感覚がありました。
ステアリングフィールは素直で応答良く、(先代がどうだったか?忘れてしまいましたが)ちょっと前のレクサス車ではどうしても気になった「保蛇力の重さ」が解消されており、気持ちよいフィールが実現されていると思いました。

走行性能:2.5Lハイブリッドの走りは「期待値通り」。LEXUS HEVらしい乗り味

パワートレーンも基本的にはハリアーやRAV4と同じ2.5L+電動モーターなので、まあ「同じだろうな」と思って乗り出しました。静かでスムース。エンジンの出番は結構多い方と思いましたが、遮音がよく、エンジン音が遠くから低く聞こえてくるような感じ。「LEXUSハイブリッドらしい静かさに包まれるクルマ」でした。「これでエンジンサウンドが更に魅力的なら最高なんだけどな・・・」とは思うものの、期待値通りのパワトレ・走りの乗り味だと感じました。

街中走行の試乗中、2度ほど強めに踏み込んでみましたが、1,820kgという重量級のためでしょうか?そんなに速い感覚はありませんでした。とはいえ、走行には全く問題ないレベルであり、必要充分な性能と言えると思いました。

レクサス次のステージ:レクサスの次のステージを切り開くのは具体的に何だろう

今回のNXは「レクサスの次のステージがはじまります」との表現で、「新時代を切り開くクルマ」と言われており、それは何に具現化されているのかな?という疑問を持っていましたが(NXから新世代?じゃあUXは旧世代なの?なるほど UXユーザーの気持ちはさておき)それは特に「操作系・表示系」だと思いました。

「乗心地やステアリングフィール」といった「乗り味」については、私が思うLEXUSらしさとは「尖らず落着いていて、なおかつシッカリしている」感じなのですが、この新型NXでは、(先代からの段上げは当然かもしれませんが)一段レベルが上がったような気がしました。このレベルアップを新世代と言えるかどうか?は、期待値次第ですが、着実な向上は実感できました。
(また、新型NXは今回試乗できた350h以外にPHEVの450h+や新ターボの350、ベースとなる250と、多くのバリエーションを揃え、グレードもL・F Sport等と色々あるので、この一台だけで全てを語ることはできない・・・とも思いました)

感想①:商品性はうまく期待値超え。先代同様「売れ筋商品の造り方」見本のようなクルマ

「お客様にうまくアピールするためにはお客様の期待値を少しだけ(or適度に)超えなくてはいけない。」・・・これは商品企画に10数年在籍した私の(個人的ではありますが)考えですが、この新型NXは、お客様の期待値をうまく上回った企画・クルマづくりがなされていると感じました。(補足:お客様の期待値を下回るものは当然アピールしないのですが、大きく上回るものも理解不能に陥る可能性がある)

先代から8年分の進化を遂げたNXらしい外観スタイル、新しい表示・操作系を備え、質感・意匠ともに期待通りの内装デザイン、ほぼ期待値どおりの乗心地や 乗り味、LEXUS HEVらしい静かな走りと、今度のNXは、お客様の期待値をうまく超えているという点で、商品性の高いクルマと言って差し支えないと思います。

感想②:NXの商品性の高さは、トヨタ/LEXUS「十八番」のFWD乗用車ベースクロスオーバーSUVの歴史・実績を背景にしている

ハリアーとこのNXの商品性が高いのは、そもそも歴史的に、トヨタ/LEXUSはRX(ハリアー)を1998年に発売し、FWD乗用車ベースのプレミアムクロスオーバーSUVの先駆者だったことと深く関わっていると思います。

どの自動車会社にも「十八番」があって、例えばメルセデスはSクラス、VWはゴルフ、BMWは3シリーズといったある時期、先駆者として他を制した商品性のクルマを造っていた(or造ってきた)歴史を持っているものですが、トヨタ/LEXUSにおいては、(他にもあるが)このFWD乗用車ベースのクロスオーバーSUV・・・プレミアムセグメントはRX、量販セグメントではRAV4、(中間にハリアー)・・・は、先駆者であり時代を切り開いてきた。そういう意味で、まさに「十八番」と言えるものであり続けていると思います。なので、その延長線上にあるLEXUS NXが商品性高いクルマというのも、まあ当然といえば当然かもしれません。
 
NXらしく進化した外観スタイル・14インチスクリーン等新しい操作性・今どきのプレミアム商品として過不足なく網羅された内装・各種装備類に加えて、走り味についても期待値~期待値超えのレベルを実現した新型は、先代同様「今のプレミアムSUV領域でとても良いポジションと商品力を持ったクルマ」で、LEXUSの手慣れたクルマづくりを感じさせてくれました。
 
「十八番」の領域で、再度『売れ筋商品の造り方』見本を見せてくれたクルマ。
そんな感じがした新型LEXUS NXでした。

総合評価

乗る前の期待値越えか?
〇+ お客様の期待値をうまく上回った企画と全般的なクルマづくり

・また乗りたいか?
〇+ 色々なエンジンバリエーション・色々な路で乗り味を確かめてみたい

※評価基準と評価マークの意味

項目/マーク

〇+

〇-

期待値を・・・

大きく上回る

上回る

まあ上回る

上回る部分もあるが・・・

下回る

また乗りたいか

とても乗りたい

乗りたい

まあ乗りたい

乗りたい面もあるが・・・

あまり乗りたくない

今回試乗したクルマはこちら!

〔試乗車〕:LEXUS NX350h AWD version-L
〔車両価格〕:6,350,000円 オプション装備(Advanced Park等)計412,500円
販売店装着オプション計235,415円、税金等138,140円、総合計7,136,055円
〔主要諸元〕: 
全長×全幅×全高・WB・車重:4,660mm×1,865mm×1,660mm・2,690mm・1,820kg
A25A-FXSエンジン:2.487L、190ps/6,000rpm、243Nm/4,300~4,500rpm+前後モーター
サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン、タイヤ:235/50R20
〔試乗概要〕:
レクサス名古屋西・試乗車両、販売店周辺約6km試乗ルート

※スペック・価格などのデータは試乗時のものです。最新情報は店頭等でご確認ください

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