試乗記・レポート
LEXUS RZ450e version-L試乗レビュー!自然で“乗り易い”BEV
LEXUS初のBEV専用車として発売された「RZ」。今回は東京湾岸エリアで試乗できましたので、クルマ大好き元トヨタの企画マン、公私合わせて1,800台以上のクルマを試乗してきた試乗のプロフェッショナル、ハマやんの視点から特徴を分解し、首都高や湾岸エリアを走行してみた印象をレポートしたいと思います。
※試乗実施時期の情報をベースにしており、最新の新車販売グレードにはない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトでご確認ください。
試乗実施時期:23年10月
LEXUS RZ450e version-L 試乗概要
RX・NXよりクロスオーバー寄りで“将来クルマ感”もあるエクステリア
販売店のデモカー展示スペースにRX・NXと並べられていたRZ。その印象は、RX・NXといった都市型SUVよりも背が低い分“よりクロスオーバー寄り”で、また全体の佇まい・デザインに“将来クルマ感”があるように感じました。
【RZ・RX・NX主要ディメンジョン比較】
| 全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) | ホイールベース(mm) |
RZ | 4,805 | 1,895 | 1,635 | 2,850 |
RX | 4,890 | 1,920 | 1,705 | 2,850 |
NX | 4,660 | 1,865 | 1,660 | 2,690 |
LEXUSファミリーの一員としてのアイデンティティを感じさせつつ、各部位に新しいデザイン表現をまとったエクステリアは、LEXUSの新しい商品・新しいBEV専用車としての位置づけを素直に表現したもののように思われ、“新しく恰好よいクルマ”と改めて感じられました。
TAZUNA Cockpitで乗り易く扱いやすいインテリア・操作系
LEXUSでは、新しいコックピット設計の考え方を“TAZUNA Cockpit”と呼んでいますが、確かにすっきりしていて、人とクルマが意思疎通しやすそうな配置・見え方になっており、このRZの乗り易さのいち要因になっていると感じました。
シート・ミラー・ステアリングを合せてから街中に出てみると、実際の寸法よりもコンパクトなクルマを運転している感覚で、“乗り易く”・“運転にストレスを感じない”第一印象があり、日頃運転することのない東京の湾岸地区や首都高でも、余裕を持ってドライブすることができました。
最新の周辺監視装備による安心感もありますが、運転席からの視界がうまく確保されており、車体の見切りがわかりやすい点や、操作系・メーター/ディスプレイの視認系が適切な位置に配置されている点が効いていると思いました。
“パワートレーンの存在を忘れさせる”自然な乗り味
“乗り味の自然さ”に関しては、今回の試乗でも強く印象付けられました。
まずその静かさ。BEVなのだから静かなのは当然と思われるかもしれませんが、BEVの中にも色々な静かさがあり、その印象はクルマによって異なっています(内燃機関車程は違わないが、BEVでも静かさのレベルと質には差があるもの)。そうした中でこの“RZ”は、“パワートレーン自体の存在を忘れさせるような静かさ”があり、試乗中ずっと“静粛な空間にいる”感覚がありました。加減速時には色々な音作りがされているのでしょうが、何度か試してみたフル加速を含めて、自然な静粛感は変らずにあったと思います。
次に加減速のフィーリング。“スムーズさ”は、このRZの大きな特徴だと思いますが、どんな加速・車速でもスムーズさを維持し、また車速を下げる減速では、アクセルペダルの放し方やブレーキペダルの踏み方に関わらず、これもスムーズで違和感なく速度を下げ、全体として運転操作や車速変化に対してとても自然な反応・動きをしてくれました。
充分な性能だがスムーズで、「優しく上品に運転したい」感じ
BEVの特徴のひとつはトルクフルでスムーズなパワートレーンですが、このRZの走りも充分なトルクでスムーズなものでした。
何度か試してみたフル加速では周囲のクルマより、ひと回り以上速い加速感を味わえましたし、混んだ首都高環状線の流れの中でも、余裕を持って走る事ができました。
が、この“RZ”に関してはそうやって“BEVらしさを意識して加速し回生ブレーキで停止する…”ような走り方をせずとも・・・というか、そんな加減速感よりも、「優しく上品に運転したくなる」乗り味だと今回試乗して再度思いました。
具体的には、静止時からの動き出し~加速~定速走行~減速~曲がり~加速~定速走行~停止・・・といったクルマの一連の動きのそれぞれが、とても繊細にチューニングされている印象で、静かでまろやかな乗り味の中で、それらの繊細な動きを、ゆったりとした気持ちで余裕を持ちながら味わいたい感じ=「優しく上品に運転したい」という風に感じました。
良好な乗心地としっかりしたフットワーク
数ヶ月前、名古屋市内で初めてRZに試乗した際、その静かさとスムーズさ、乗り味の気持ちよさ・精緻さに感動したものですが、今回の試乗でもその基本的特徴は同様に感じられました。
“ある企画の試乗ルートを実際に走行し検証する…”タスクのための走行でしたが、終始静かなパワートレーン、スムーズな加減速と走り、優しく上品な運転をしたくなる乗り味、精緻さを感じさせるフットワーク等によって、充分余裕をもって“穏やかな気持ち”で遂行できました。
乗り心地の良さに関しては、一度目の名古屋試乗時ほどの感動はありませんでした。基本的には良好な乗心地ながら、路面の凸凹や継ぎ目に際して、その存在の伝わり方が、先回試乗時よりも少しだけハードな感じで身体に伝わってくる…程度の差を感じました。
それがなぜか?ですが、道路・路面状態の違いがあることに加え、今回が2度目のRZ体験であることや、2度のRZ試乗の間に、(これも乗心地の良い)RXを体験したことによって、自分の中の“乗って感じる乗心地の良さ尺度”が変化したためかもしれません。
LEXUS RZ450e version-L 試乗まとめ
LEXUSのBEV専用車第一弾として完成度の高いクルマ
- 自然な気持ちで優しく上品に運転したくなるクルマ
- 走行中はBEVであることを忘れられるクルマ
- プレミアムのクロスオーバー商品として全方位的に商品性あるクルマ
色々な面で“乗り易い”クルマ
- 既存SUVラインアップ(RX・NX)から近すぎず離れすぎずのポジション
- 静かでスムーズかつ運転操作に対して自然な乗り味で乗り易い
- TAZUNA Cockpitによる操作系・視認系の使いやすさ
総合評価
- 乗る前の期待値越えか?
〇+ (その静粛感とまろやかでしっかりした走り味は期待値を超えていた) - また乗りたいか?
〇+ (給電事情が許さないが、この乗り味は自分のクルマとして欲しい)
※評価基準と評価マークの意味
項目/マーク | ◎ | 〇+ | 〇 | 〇- | △ |
---|---|---|---|---|---|
期待値を・・・ | 大きく上回る | 上回る | まあ上回る | 上回る部分もあるが・・・ | 下回る |
また乗りたいか | とても乗りたい | 乗りたい | まあ乗りたい | 乗りたい面もあるが・・・ | あまり乗りたくない |
今回試乗したクルマはこちら!
〔試乗車〕:LEXUS RZ450e version-L
〔車両価格〕:車両本体価格8,800,000円 オプション装備不詳
〔主要諸元〕:
全長×全幅×全高・WB・車重:4,805mm×1,895mm×1,635mm・2,850mm・2,100kg
Frモーター:150kW、266Nm、Rrモーター:80kW、169Nm、システムトータル230kW
4WD、バッテリー:71.4kWh、WLTC:494km
サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン、タイヤ前/後:235/50R20 / 255/45R20
〔試乗概要〕:レクサス有明・試乗車両、湾岸周辺約65km
※スペック・価格などのデータは試乗時のものです。最新情報は店頭等でご確認ください
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