トヨタ車&レクサス車解説
シエンタ or ノア/ヴォクシー、買うならどっち? 使い勝手を徹底比較
トヨタのミニバン、「シエンタ」と「ノア/ヴォクシー」兄弟車は新車販売ランキングにベスト10入りする常連です。(2025年の年間:シエンタ3位、ノア8位、ヴォクシー9位)
※出典:乗用車ブランド通称名別順位 一般社団法人日本自動車販売協会連合会
「日常づかいにぴったりのサイズ感+スライドドア+3列シート」という美点を揃えたユーザーフレンドリーな2台、「どちらにしようかな?」と比較検討するお客様もいるのではないでしょうか?
そこで、シエンタ(2024年モデル)とヴォクシー(2024年モデル)を連れ出して「自分が買うならどっちかな……」と、使い勝手の面から人気の秘密をチェックしてみました!
※記事公開時の情報に基づいており、最新でない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトなどでご確認ください
サイズは違えど「日本の道」にジャストフィット!

まず、乗りだした瞬間から使いやすさを実感したのは、シエンタ。今回は世田谷区内から利用したのですが、狭く混み合う駐車場の奥の奥に停まっていたため、「これは脱出するだけでも大変そうだ」と困惑しました。
が、いざ動かしてみると、Aピラーが細く左右の視界が広く開けているのに加え、スクエアなボディゆえに車幅感覚が掴みやすく、初見の狭い道もスイスイ。

世田谷特有の狭い路地裏を縫うように走り抜けていくたび、シエンタのサイズ&造形と、視野の良さがもたらす取り回し性の良さに惚れ惚れしました。
ちなみに今回、乗ったシエンタのグレードは「G・ハイブリッド・2WD・7人乗り」。コンパクトな車体に、じつは有り余るほどの多機能性を詰め込んでいるという点は、追ってご紹介します。
30分ほど走ってスタッフの運転するヴォクシーと合流。こちらはお兄さん格のミニバンとあって、大きさもクラス感もやはり一段上です。

iPhone SEからPro Maxに持ち替えたときのようなギャップを覚えつつ乗り込みます。ヴォクシーのグレードは「ハイブリッド・S-Z・2WD・8人乗り」です。

コクピットからの視界は、シエンタと共通のAピラー&ミラー周りの造形と工夫によりとても良好。アイポイントが高いので見晴らし良く開放感たっぷりです。
シエンタより全長で約40cmくらい、ホイールベースで10cmほど長いため最初は取り回しに慣れが必要ですが、車幅感覚が掴みやすい点は共通。内輪差さえ体へ叩き込んでしまえば、約4.7mのボディを持て余すことはありませんでした。
グリップハンドルに見る細やかな気遣い

シエンタとヴォクシーに共通するのは、取り回しの良さだけではありません。使うほどに「よく出来てるなぁ」を発見できるのも共通項といえます。
たとえば、乗り降りのしやすさ。シエンタは乗り込み口は地上から330mm(※)とそもそも低床なのにくわえて、センターピラーの下半分には凹み形状が。これ、グリップハンドル代わりなんです。ここを掴めば、お子様でも安定した姿勢で後席へ乗り込むことができるんですね。
※2WD車の数値。E-Fourは350mm

ヴォクシーのセンターピラーにも、グリップハンドルが備えられています。
こちらはあらゆる体型の方が握れるように天地方向へ長く、さらに低めの位置(=お子様がつかまりやすい場所)は細めの作りになっているなど、ユーザー目線で細かいアイデアが盛り込まれています。
乗り降りといえば、シエンタのフロントドアはトリム天井部分を凹ませることでグリップとして活用できる仕組みに。

さりげない工夫のようですが、日常何度も繰り返すドアの開閉を格段に楽にしてくれるんです。
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小でも大を兼ねるシエンタ
ところで、日本のミニバンにはからくり仕掛けのように変幻自在なシートアレンジが採用されているケースが多く見られます。でも、実際にやってみると複雑だったり、動かすのに力が必要だったりして、難儀することもしばしば。シエンタとヴォクシーはどうでしょうか?

シエンタはシンプルかつ超簡単。2列目シートは、前方へスライドさせながらクルリと折りたためる(シートがデングリ返しするようなイメージ!)3列シートは、背もたれをレバーで倒してロックを解除すれば、2列目シートの下へ滑り込むようにダイブイン!
あっという間に広大な荷物スペースが誕生します。


2列目&3列目シートを格納すれば自転車2台も楽々飲み込むシエンタは、まさに「小でも大を兼ねる」の好例といえる1台です。ロードバイク愛好家の間でも人気なのだとか。
なお、2列シート仕様の場合は後席を前に倒すだけでチルトダウン格納する仕組みで、こちらもワンアクションで楽々です。
ショーファーにも寝室にも変身するヴォクシー
ヴォクシーの2列目シートは、左右で独立したキャプテンシートとなる7人乗りと、今回の撮影した2列目がベンチシートとなる8人乗りがあります。ワイドなシートは、広々感も使い勝手も良好です。

ヴォクシーのシートアレンジはシエンタよりも多彩。操作にはちょっとしたコツが必要ですが、操作自体は力いらず。3列目シートはたった3つのアクションで壁側へ跳ね上げられます。
シートバック下部にあるレバーでロックを解除し、シートを跳ね上げ、固定するだけ。わざわざ車内に乗り込んでシートを持ち上げて……と、汗をかきかき作業をする必要はありません。

ヴォクシーの3列目シートを跳ね上げて、705mmというロングスライドの2列目シートを最後方へ移動すれば広大な足元空間が登場します。
6:4で分割されているため、チャイルドシートを装着するほうを前側へ移動すれば、運転席からお子様の様子をケアしやすいうえ、3列目の乗員も広々座れて快適そのもの。
さらに1列目&2列目、もしくは2列目&3列目でフラットにでき、車中泊にも対応します。


多彩なシートアレンジでショーファードリブン(運転手付きの車)からリビング、ベッドルームにまで変身するのはミドルサイズミニバンならでは。ビジネスからファミリーユースまで使えるという点では、ヴォクシーに軍配があがります。
「収納上手」と「隠し上手」
さて、次は虫眼鏡を片手に2台の細かい工夫をチェックしていきましょう。
シエンタの車内は、まさに「収納上手」のひと言。運転席右側には紙パックの飲み物も置ける大きなカップホルダーと小物入れ、ダッシュボード天面にも手帳などを入れておけるアッパーボックスが設けられています。ドライブに欠かせないドリンクホルダーも充実。

助手席側のドアポケットにはグラフィックが示すように最大1000mlのボトルがおさまります。もちろん2列目、3列目にもボトルホルダーを完備。
運転席のシートバック裏にはUSB-Cポートが2穴ありますが、サイドのシート地にスリットが切ってあり、そこにスマホをすっぽりしまえるという小技まで用意されています。

助手席側にはフックがそこかしこに。前方のトレイのフックには、置いたものを固定するゴムバンドなどが引っ掛けられるし、センターコンソール横のそれには買い物袋をぶら下げることが。まるで、創意工夫が細大漏らさず盛り込まれた旅行バッグのようです。

今回利用したのはハイブリッドモデルなので、AC100V・1500Wのコンセントが、インパネと荷室左側の2カ所に設置されていました(オプション)。
外部で電力が必要なときは、ガソリン満タンの状態なら400Wの電気製品をおよそ5.5日使用できる(※)というもの。なお、この給電システムはノア/ヴォクシーのハイブリッドモデルにも用意されています(ノア/ヴォクシーの場合は同条件で約6日)。
※シエンタ(ハイブリッド車)の場合

一方、ヴォクシーの車内は「隠し上手」。豊富な収納空間があるのは当然として、見栄えにもこだわっているのが“お兄さん”流です。
例えばシフトレバー横の小物入れスペースにはUSB端子が備えられていますが、小さな切り欠きがあしらわれたトレイを被せれば、コードを隠しておくことができます。ごちゃごちゃしたコードって、あまり人には見せたくありませんものね。
2列目シートの間と助手席シートバックには、普段は隠れている折りたたみ式のテーブルが。

よくよく見るといずれもフックが備えられていて、バッグなどをひっかけておけるようになっているのも細かな気遣いです。
もうひとつの“隠れコマンド”は、荷室。フロアボード下にも大容量の空間があるので、あまり使わない物を仕舞っておいたり、ボードをあげたままにすれば高さのある荷物を搭載することもできます。
最後のポイントはこちら。

標準の手動バックドア仕様には、任意の開度で保持できる「フリーストップバックドア」が採用されています。
実は世界初(※)となるこの機能。備えられたワイヤーを定位置に据えておけば、好みの位置でバックドア開度をキープできるんです。
※2022年1月(プレスリリース発表)時点、トヨタ調べ

ミニバンのバックドアを全開放すると、閉めるときに手が届きづらくてつま先立ちになっちゃう……という小柄な方、いらっしゃいますよね? はい、私です。
そういう方のストレスをなくすだけでなく、狭い場所でも安心してバックドアの開け閉めが出来るのは嬉しいですよね。
ちなみに、「S-Z」にメーカーオプションのパワーバックドアは、操作スイッチを側面のスライドドアレールに設置している「隠し上手」です。
毎日に寄り添うミニバン、どっちを選ぶ?
「毎日に寄り添う」。シエンタとヴォクシーは、両車ともに同じ視点をもって作られているとしみじみ実感した今回の検証。都心住まい、単身行動の多い私にはシエンタがジャストフィットに思えましたが、ヴォクシーを愛車にしたら暮らしの選択肢がぐっと広がりそう。
自分の毎日に合わせるか、自分の毎日を変えてみるか。あなたなら、どちらを選びますか?


(文:三代やよい 写真:飯島隆 編集:木谷宗義/type-e)
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