冬の車中泊に必要な準備やおすすめの防寒グッズをご紹介！車中泊向きの車も

冬の車中泊の最大のテーマは「防寒」

まず車中泊のルールとして、寒いからといってエンジンをオンにしてエアコンをかけっぱなしにして寝ることは避けましょう。一時的にエンジンをかけるのは構いませんが、車中泊エリアにいるほかのユーザーの迷惑になりかねません。また、車の屋根から落ちた雪や吹雪でマフラー出口が塞がれてしまうことで、排ガスが車内に入り込んでしまい、一酸化炭素中毒となってしまう危険が。最悪の場合、死に至る可能性もあります（※）。
※出典：秋田県警察「自動車が雪に埋まった場合の危険性」

そのため入念な防寒対策は必須です。

窓ガラスとフロアから伝わる冷気をシャットダウンする

まずはできる限り車の内部に入り込む冷気を防ぎましょう。冷気は主に窓ガラスとフロア（床）の2ヵ所から伝わってきます。たとえ窓を閉めていても、フロントガラスやリヤガラス、サイドウィンドウを通して冷気が侵入してきます。またフロアも同じで、車外の冷えた空気によって車全体が冷やされるため、フロアからも冷気が侵入してきます。

車中泊をする場合、シートレイアウトをアレンジしてフラットなベッドスペースをつくることが多いと思いますが、このときにシートの継ぎ目にできる段差を解消するためのキャンプマットを冬場は多めに用意しましょう。厚さ5センチほどのマットだと、段差を和らげて冷気を防いでくれます。また、車中泊用のエアマットを利用したり、断熱用の銀マットを重ねて敷いたりするのもおすすめです。何もなければシートとフロアの上に段ボールや衣服、カバンなどの荷物を置いておくだけでも多少の効果はあります。

ガラスからの冷気対策として一番効果的なのが、分厚い生地で出来ている断熱シェードです。夏や秋の車中泊では目隠し用カーテンで十分ですが、防寒効果はいまいち。フロント、サイド、リヤウィンドウに合わせてつくられた車種専用品を手に入れるのがベストでしょう。価格も1万円以下から販売されていますので、冬の車中泊装備として真っ先に手にいれてほしいアイテムです。その断熱シェードの上を覆うように厚手のカーテンなどを付けて2重構造にするとより効果的です。

このようにフロアと窓ガラスから車内に侵入する冷気を徹底的に遮断したあと、身に着ける防寒アイテムで暖を取っていきます。

身体に密着するタイプのインナーや冬用シュラフを用意する

窓ガラスやフロアにどれだけ冷気対策をしても、一晩過ごすうちに車内の気温はどんどん下がってしまいます。そのため、身体の温度を保つためのグッズも必須です。

衣服は身体に密着するタイプの防寒インナーが理想的です。こうした防寒インナーは、繊維が身体から発散される水蒸気を吸収することで発熱するため、保温効果が非常に高いです。その上から、やわらかい素材のパジャマなどを身に着けるのがおすすめです。寒さ対策というと厚手の洋服を着こんでしまいがちですが、厚手のものを着こんでしまうと就寝中に身動きが取れなかったり、暑すぎて睡眠を妨害してしまいます。

布団については毛布などで済ませるのではなく、しっかりとしたシュラフ（寝袋）を用意してください。シュラフはシーズンごとに素材や構造が異なるよう作り分けされていますので、冬の車中泊には冬用につくられたシュラフを使用しましょう。冬用のシュラフは通常の封筒型のほかにフードのように頭まですっぽりと包まれるマミー型など、様々なタイプがあります。5千円程度の廉価なシュラフではなく、できればしっかりしたメーカーのシュラフを選びたいところ。値段はしますが断熱性能は段違いです。幾度も買い直すよりも、かえってコスパがいいかもしれません。

またシュラフの中で隙間ができないようにするインナーシュラフもおすすめ。インナーシュラフは暑さ寒さの調整をする際にも便利ですので、ぜひ用意してください。毛布やフリース素材のひざ掛けなどで代用するのもよいでしょう。

寝袋の中を温めるアイテムを活用する

シュラフの中で暖房グッズを使うことでさらに暖まることができます。もっとも手軽なアイテムは使い捨てカイロ。手に入りやすくリーズナブルなので、冬の車中泊の際にはいくつか用意しておきましょう。未使用の靴下の中に入れて足元に置いておくと便利です。ただし、長時間身体に直接当ててしまっていると低温やけどを起こす可能性もあるため注意しましょう。湯たんぽも手軽でおすすめですが、こちらもタオルでくるむなど、使い方には注意が必要です。

また、家電アイテムを利用するのもおすすめです。最近は温度調節ができる充電式カイロもありますし、電気毛布があれば寒さ知らずで一晩過ごせます。身体の上にかけるよりも、マットとシュラフの間において、下からの冷気を防ぐように使用するとよいでしょう。

充電式でない家電アイテムはポータブル電源が必要となりますが、バッテリー容量によっては災害時の電源対策にも使えますので、多少高価ではありますが、この機会に導入するのもよいのではないでしょうか。ただポータブル電源はどんな家電でも動かせるわけではなく、許容消費電力以下でなければ動かすことができません。暖房家電の中には1,000Ｗクラスの大きな電力を使うセラミックヒーターのようなアイテムもありますので、ポータブル電源の許容消費電力以下になるよう注意しなければなりません。

その他の注意点（普通の車は真冬の車中泊には不向き？）

冬の車中泊にもっとも向いているのは、やはりキャンピングカーです。多くの場合、屋根や外壁には、はじめから断熱材が使われていますし、エンジンをかけなくても車のタンクにあるガソリンを使って使用できるFFヒーター（エンジンを動かさずに車内の温度を快適に保つことができる燃焼式ヒーター）を完備しているキャンピングカーもあります。快適さにおいて乗用車ではかないません。

とはいえ、ミニバンやSUVなどの一般的な乗用車であっても、しっかりと対策をすることで十分に車中泊を楽しむことができます。ご紹介した冷気のシャットダウン、身に着ける服の工夫、冬用シュラフ、暖房グッズなどを駆使することで、乗用車ならではの気軽な車中泊を楽しむことができるでしょう。

また、バッテリーEVを利用するのもおすすめです。バッテリーEVは冬の車中泊には向いていないという意見もありますが、外部給電が可能なバッテリーEVであれば、ポータブル電源代わりに暖房家電を使用することができます。もちろんバッテリーEVであっても同時に使用する暖房器具の消費電力には気をつけなければなりませんが、昨今のバッテリーEVの駆動用バッテリーは大容量ですので、翌日の充電計画さえしっかりしておけば、暖房家電を賢く使うことで快適な冬の車中泊を楽しむことができます。

外部給電は一部のハイブリッド車にも装備されていますが、外部給電中は発電のためエンジンがかかるため、夜間の使用は控えましょう。

まとめ

今回は冬場の車中泊を快適に過ごすための防寒対策をご紹介しました。寒い冬こそアウトドアは楽しいものです。車中泊で快適な一晩が過ごせるよう、事前準備はしっかりとしていきましょう。

（文：吉川 賢一　編集：KINTOコラム編集部）

最後に車中泊に向いているミニバンやSUVを多数取り扱っている車のサブスク「KINTO」について紹介します。

KINTOでは、車中泊に使いやすい車も多数取り扱っています。ミニバンのノアやヴォクシー、アルファード、ヴェルファイアは、シートアレンジでフラットシートにすることもできます（※2列目キャプテンシート車はアームレストが残りますので注意が必要です）。またSUVのカローラ クロス、ハリアー、RAV4、ランドクルーザー250、コンパクトカーのシエンタなどもラインアップしています。