トヨタ車&レクサス車解説
新型クラウン(セダン)FCEVをレビュー!HEVやMIRAIとの違いも
新型クラウン(クロスオーバー)、新型クラウン(スポーツ)に次いで発売された新型クラウン(セダン)。新型クラウン(セダン)のグレードは「Z」のみで、パワートレーンとしてFCEV(燃料電池車)とHEV(ハイブリッド車)の選択が可能です。FCEVは、歴代クラウンではじめて採用したモデルです。ここでは新型クラウン(セダン)FCEVを中心に、同じクラウン(セダン)HEV、あわせて先に発売されたFCEVのトヨタ「MIRAI」との違いを解説します。
※記事公開時の情報に基づいており、最新でない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトなどでご確認ください
新型クラウン(セダン)とは?
歴代で16代目を数える新型クラウン。セダンは歴代クラウンの型といえるボディタイプです。新型クラウン(セダン)はパーソナルにもビジネスにも応える“ニューフォーマル”という価値観を実現。快適な乗り心地と上質な走りとともに、ショーファーニーズを満たすくつろぎの空間と、セダンの再発見を感じさせるスタイルを創出しました。
新型クラウン(セダン)に燃料電池車(FCEV)が登場!
これまでクラウンは、11代目に「マイルドハイブリッドシステム(THS-M)」を、13代目では、すぐれた走行性能と環境性能を両立する「トヨタハイブリッドシステムII(THSII)」を搭載するなど、積極的に電動化技術を採用してきました。
新型クラウン(セダン)ではHEVのほか、ゼロエミッションをかなえるFCEVを設定。トヨタではMIRAIに次いで2車種目の採用です。
新型クラウン(セダン)FCEVの特徴
ロングドライブで心強い一充填走行距離(水素を高圧水素タンクに満充填した状態からの走行距離)を目指したクラウン(セダン)FCEV。国土交通省審査値の燃料消費率で、一充填走行距離は約820km、約148km/kgの燃費(WLTCモード燃料電池車)を実現しました。
標準的な水素ステーションでの水素充填時間は1回あたり約3分。ガソリンの給油と変わらない時間で充填を終えることができます。
※水素ステーションの充填能力により、充填される水素搭載量は異なります。また使用環境や運転のしかたで燃料消費率は変わり、航続距離や燃費も変化します
※燃費は JEVS Z 902-2018 に基づいた燃料電池自動車の水素有効搭載量[kg]と、WLTCモード走行パターンによる燃料消費率[km/kg]とを乗算したものです
※水素充填時間はSAE規格(J2601)の標準条件(外気温20℃、高圧水素タンク内の圧力10MPa からの充填)に基づいた、水素充填圧82MPa ステーションでの充填(トヨタ測定値)。水素充填圧および外気温により、充填時間は異なります
高性能FCEVシステム
水素と酸素から発電を行う燃料電池システム。新型クラウン(セダン)FCEVの燃料電池システムは、各パワーコントロールユニットを小型化、高性能化して集約。システムの高効率化を図ることで、燃料電池自動車において世界最高レベルの最高出力128kW(174ps)を実現しました。
アクセルを踏み込んだ瞬間からトルクが立ち上がり、パワフルでスムーズな加速を全車速域で発揮します。
空気清浄メーター
走行中に吸入した空気をフィルターでろ過し、浄化された空気を排出するため、「走る空気清浄機」のように、走れば走るほど空気をクリーンにします。
Z(燃料電池車)には12.3インチディスプレイオーディオに空気清浄メーターを標準装備。きれいにした空気量を示す「空気清浄量積算表示」や「エアピュリフィケーションゲージ」など、走行中にどれだけ空気を浄化したかを車内から確認することができます。
ウォーターリリーススイッチ(H2Oスイッチ)
FCEVは発電により水が発生します。通常、自動で排水管より排水されますが、ウォーターリリーススイッチ」を操作することで任意のタイミングで排水を行うことができ、駐車場内などでの排水量を減らせます。「ナビ連動排水機能」を使用すればスイッチがナビと連動し、自宅に到着する前に排水を行えます。
※ウォーターリリーススイッチ使用時は作動音が大きくなります
エレクトロシフトマチック(Brモード付)
下り坂などでスピードを抑えたいとき、Brモードでエンジンブレーキのような強めの減速が得られます。作動中のBrモードは、アクセルを踏み込むことで解除されます。
※駆動用バッテリーの状態によっては、Brモードが使用できない場合があります
外部給電アウトレット
新型クラウン(セダン)FCEVに備わる外部給電アウトレットからは、住宅や電気製品に大出力の電力供給(DC9000W以下)が行えます。HEVにも非常時給電システムが備わりますが、こちらはAC100Vで、消費電力の合計が1500W以下に限られます(非常時給電システムはFCEVにも備わります)。
外部給電アウトレットからの給電は停車中のみ可能で、給電中でもアクセサリーコンセントは使用できます。
※外部給電アウトレットの利用には、DC電力をACに変換する「外部給電器(別売り)」の設置と配線工事が必要になります。詳しくは販売店におたずねください。
新型クラウン(セダン)FCEVとHEVの違い
新型クラウン(セダン)はFCEVとHEV、共にグレードが「Z」のみの設定。両モデルのボディサイズは同一。それぞれのパワートレーンに関わる装備に違いはありますが、内外装に違いはありません。
スクロールできます
2.5L HEV | FCEV | |
---|---|---|
全長(mm) | 5,030 | |
全幅(mm) | 1,890 | |
全高(mm) | 1,475(パノラマルーフ装着車は1,480) | |
ホイールベース(mm) | 3,000 | |
トレッド(mm) | 1,620/1,615 | |
最低地上高(mm) | 130 | 135 |
室内長(mm) | 1,970 | |
室内幅(mm) | 1,595 | |
室内高(mm) | 1,135(パノラマルーフ装着車は1,110) | |
乗車定員(人) | 5 | |
車両重量(kg) | 2,020(パノラマルーフ装着車は2,030) | 2,000(パノラマルーフ装着車は2,010) |
最小回転半径(m) | 5.7 | 5.9 |
燃費消費率WLTCモード(km/L) | 18.0 | ― |
燃費消費率WLTCモード(km/kg) | ― | 148 |
システム最高出力 | 180 kw245ps) | 134 kw(182ps) |
電力供給時間(消費電力400w時:1日あたり10kWhとして試算) | 約6日(ガソリン満タン) | 約4日(水素満充填) |
価格(税込) | 7,300,000円 | 8,300,000円 |
高出力モーターを動力にするFCEV。燃料電池ユニットによる最高出力は128kw(174ps)ですが、駆動用バッテリーのアシストによりシステム最高出力は134kw(182ps)に達します。
ガソリンエンジンを備えるHEVのシステム最高出力は180kw(245ps)。FCEVと比べて46kw(63ps)ほど出力に余裕があります。エンジンは駆動することで、少なからず音と振動が発生します。常にモーターのみで走行するFCEVは、HEVと比べて静粛性に優れています。
FCEVも、通常に走行するならば十分な出力を有します。またHEVの静粛性や乗り心地も、高いレベルにあります。その上で余裕のある出力を楽しみたいのならばHEV、より高い快適性を確保したいならばFCEVという選び方が考えられます。
新型クラウン(セダン)FCEVとMIRAIのサイズの違い
2020年12月より販売の開始された2代目MIRAI。新型クラウン(セダン)とは共通のプラットフォーム「GA-L」を採用しており、特にクラウン(セダン)FCEVとは車体構造や燃料電池ユニットなど、多くのメカニズムを供用しています。
| 新型クラウン(セダン) | MIRAI |
全長 (mm) | 5,030 | 4,975 |
全幅 (mm) | 1,890 | 1,885 |
全高 (mm) | 1,475(パノラマルーフ装着車は1,480) | 1,470(パノラマルーフ装着車は1,480) |
ホイールベース (mm) | 3,000 | 2,920 |
トレッド(mm) | 1,620/1,615 | 1,610/1,605 |
最低地上高 (mm) | 135 | 155 |
室内長(mm) | 1,970 | 1,805 |
室内幅(mm) | 1,595 | 1,595 |
室内高(mm) | 1,135(パノラマルーフ装着車は1,110) | 1,135 |
車両重量(kg) | 2,000(パノラマルーフ装着車は2,010) | 1,930(パノラマルーフ装着車は1,940) |
最小回転半径(m) | 5.9 | 5.8 |
新型クラウン(セダン)はMIRAIと比較して、全長が55mm、全幅が5mm、全高が5mm長く、ひと回り大きいボディサイズを有しています。また前輪と後輪の間隔を示すホイールベースは80mm長く、より安定性を求めた設計であることが分かります。
室内空間は室内幅、室内高は共に同寸ですが、室内長は新型クラウン(セダン)の方が165mmも長く、表には記載していませんが前後の席間距離も80mm長く設定されています。新型クラウン(セダン)はMIRAIと比べてショーファーニーズを重視しており、快適で余裕のある室内空間を確保しています。
燃料電池自動車(FCEV)に関するよくある質問
ここでは新型クラウン(セダン)に限らず、FCEV全般について、よくある質問とお答えを記載します。
FCEVとは?
FCEVは「Fuel Cell Electric Vehicle(フューエル・セル・エレクトリック・ヴィークル)」の略で、いわゆる水素自動車のことです。エンジンは積まず、充填した水素と酸素の化学反応で発電し、モーターで駆動。走行中にはCO₂を排出せず(水だけを排出)に走行することが可能です。
常時、走行に十分な電力が燃料電池ユニットから供給されるため、BEV(バッテリー式電気自動車)のように二次電池への充電を行う必要はありません。水素ステーションでの充填時間は短時間(新型クラウン(セダン)FCEVならば、およそ3分で満充填)で済ませることができます。
FCEVの大きな特徴として、極めてクリーンであることと、エネルギー変換効率が高いことが挙げられます。
クラウン(セダン)FCEVやMIRAIは水素を直接、燃料として使用する「直接水素方式」。走行時に発生するのは水(水蒸気)のみで、大気汚染の原因となる二酸化炭素や窒素酸化物、炭化水素、一酸化炭素、浮遊粒子状物質、ベンゼンやアルデヒドなどの有害大気汚染物質を排出しません。
ガソリンエンジンのエネルギー効率は15〜20%ほど。一方、FCEVは30%以上もあります。また水素は圧縮して蓄えることができます。高圧水素タンクに圧縮した水素を満充電することで、長距離(新型クラウン(セダン)FCEVは約820km)の走行が可能になります。
水素ステーションはどこにある?
一般社団法人 次世代自動車振興センターによれば、2024年4月30日時点で運用されている水素ステーションは全国で152ヶ所と報告されています。
水素ステーションは四大都市圏(首都圏、中京圏、関西圏、九州圏)、及び四大都市圏を結ぶ幹線沿いを中心に整備が進められており、また政府により「2030年までに1,000基の設置を目指す」との目標が掲げられています。
最新の水素ステーション情報は次世代自動車振興センター公式サイトや、トヨタ公式サイトの水素ステーション特設ページで確認することができます。
水素ステーションでの充填方法や充填時間は?
水素ステーションでの水素充填は、基本的に資格を持ったスタッフが行います。ドライバーはフルサービスガソリンスタンドの給油感覚で、充填を行うことができます。ただ一部の水素ステーションでは、時間帯にもよりますが、安全事項及び操作の説明を受けていただいた方に限ってセルフで充填できる場合もあります。
新型クラウン(セダン)FCEVの場合、高圧水素タンクに圧縮水素が無い状態から満充填まで、かかる時間は約3分。圧縮水素が残っていれば、満充填までの時間はもっと短くなります(充填時間は水素ステーションの設備により変化します)。
補助金などの優遇措置はある?
カーボンニュートラル社会の実現に向けて実施される「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」。本年度(令和6年)に購入した車が対象になる「令和5年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」の申請は、すでに始まっています。
対象となる車種や補助金交付額、予算総額は毎年変わります。新型クラウン(セダン)FCEVは「令和5年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」の補助対象車両に該当。所有者は補助金の交付を受けることができます。詳しくは経済産業省公式サイトより確認することができます。
また地方自治体からも、独自に補助金が交付される場合があります。詳細は地方自治体、あるいは販売店におたずねください。
クラウン(セダン)FCEVに限らず、FCEVやBEV、PHEV(プラグインハイブリッド車)は高額なことが多く、購入にあたって補助金の交付は受けたいもの。補助対象期間、申請書受付期間は定められており、期間内であっても申請総額の予算上限に到達次第、受け付けは終了となります。あらかじめ注意しましょう。
補助金の交付を受けた場合、定められた期間、車を保有することが義務付けられます。期限内に手放した場合は補助金の全部、または一部を返納しなければなりません。こちらもあらかじめ承知しておきましょう。
新型クラウン(セダン)FCEVまとめ
乗り心地や快適な室内空間を追求した新型クラウン(セダン)。エンジンの発する騒音や振動の無いFCEVは、うってつけのパワートレーンです。
国からの補助金交付もあり、新型クラウンシリーズの中でもバリューの高い新型クラウン(セダン)FCEV。しかし現段階では都市部など限られた地域でなければ、水素ステーションの利用が不便という問題点を抱えており、地域によっては販売店で新型クラウン(セダン)FCEVを扱っていないケースもあります。
購入の前には販売店に相談し、水素ステーションまでの距離や各種の補助金の内容、条件を確認しておくのがよいでしょう。維持に問題はないか、楽しく乗ることができるかを見極め、慎重に検討してみてください。
KINTOでは現在(記事執筆時点)、クラウン(セダン)FCEVの取り扱いはありませんが、ハイブリッド車の取り扱いはあります。
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