試乗記・レポート
プリウスがフルモデルチェンジ!プロが旧型との違いを試乗比較
5代目となった新型プリウス。先代の4代目(50系)プリウスからどのくらい進化したのか気になるところです。
本記事では、新型プリウスが先代プリウスからどれだけ進化したのかを調査するため、富士スピードウェイにてロケを敢行。TOYOTA GAZOO Racingに所属するプロドライバー(以降GRドライバー)に新型プリウスと先代プリウスを乗り比べてもらい、違いを解説してもらいました。
※記事公開時の情報に基づいており、最新でない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトなどでご確認ください
GRドライバーへのインタビューの様子は、前編と後編(本記事)の2記事に分けてお届けします。ロケの様子はYouTubeにて公開しているのでご覧ください。
GRドライバーのインタビュー前編はこちら。
また、ロケにて新型プリウス開発責任者の大矢主査へのインタビューに成功!KINTO内記事ではクルマの魅力を、KINTO公式noteではこぼれ話を中心に記事を公開中です。そちらもご覧ください。
GRドライバーによる新旧プリウス比較の前に、新型プリウスと先代プリウスの違いをデータと写真で簡単に解説しましょう。
データと画像で比較!新型プリウスは先代(50系)プリウスからどこが進化した?
※写真は新型プリウスUグレード
プリウスの特徴である「モノフォルムシルエット」を採用しながらも先代から見た目が大きく変化した新型プリウス。中身もTNGAが第1世代から第2世代へと変更され、走行性能もさらなるレベルアップが施されました。まずは先代(50系)と新型をデータで比べてみましょう。
データで比較
新型プリウス2.0L(Zグレード) | 新型プリウス1.8L(Uグレード) | 4代目(50系)プリウス(A“ツーリングセレクション“) | |
---|---|---|---|
全長(mm) | 4,600 | 4,600 | 4,575 |
全幅(mm) | 1,780 | 1,780 | 1,760 |
全高(mm) | 1,430 | 1,420 | 1,470 |
ホイールベース(mm) | 2,750 | 2,750 | 2,700 |
車両重量(kg) | 1,420 | 1,360 | 1,370 |
エンジン | 1,986cc、直4DOHC+モーター | 1,797cc、直4DOHC+モーター | 1,797cc、直4DOHC+モーター |
最高出力 | 152ps/6,000rpm | 98ps/5,200rpm | 98ps/5,200rpm |
最大トルク | 19.2kgm/4,400~5,200rpm | 14.5kgm/3,600rpm | 14.5kgm/3,600rpm |
モーター最高出力(㎰) | 113 | 95 | 72 |
モーター最大トルク(kgm) | 21.0 | 18.9 | 16.6 |
燃費(km/L) | 28.6 | 32.6 | 27.2 |
システム最高出力(ps) | 196 | 140 | 122 |
新型プリウスの2.0Lモデル(Zグレード)、1.8Lモデル(Uグレード)、先代プリウスからは(新型プリウス1.8LのUグレードと同じ)17インチタイヤを履くA“ツーリングセレクション”を選んで諸元データを表にまとめてみました。
新型プリウスUグレード(1.8L)と先代(50系)プリウスを比較
同じ1.8Lエンジンを搭載する新型プリウスUグレードと先代プリウスA“ツーリングセレクション”を比較すると、Uグレードは車両重量が10kg軽くなり、モータースペックが23ps/2.3kgm、システム最高出力が18ps向上しました。同じ排気量にも関わらず、Uグレードの方がパワー感を感じられることがデータから読み取れます。それでいて、燃費は5.4km/Lもアップ。技術の進歩を感じます。
全高が50mm低くなりましたが、全長が25mm、ホイールベースが50mm拡大されました。加えて、新型プリウス開発責任者の大矢主査が解説する後席空間を犠牲にしないための工夫(「後席の背もたれの角度を先代から3度倒す」「膝前スペースを先代と同等以上に確保」)により室内空間の減少をカバーできたと思われます。
新型プリウスZグレード(2.0L)と先代(50系)プリウスを比較
2.0Lエンジンを搭載するZグレードは、先代プリウスから50kg車両重量が重くなりました。しかし、システム最高出力が74psもアップしており、パワー感の違いをすぐに実感できるでしょう。燃費が1.4km/Lよくなっているのも見逃せません。
サイズに関しては、ZグレードはUグレードより10mm高くなっているものの、依然として先代プリウスより低い(40mm)です。全長と全幅はZグレードとUグレードは同じ。
写真で比較
※新型プリウスZグレード(HEV・2WD)(エモーショナルレッドⅡ)<オプション装着車>
※新型プリウスUグレード(HEV・2WD)(プラチナホワイトパールマイカ)<オプション装着車>
※先代(50系)プリウスA“ツーリングセレクション”
新型プリウスは水平基調のデザインを採用しているため、先代プリウスよりワイドに見えます。フロントガラスを支える2本のAピラーが新型は先代より寝ているのも見比べてみるとよくわかります。タイヤサイズの違いも印象的です(Z/Gグレードは19インチ、Uグレードは17インチ)。
※新型プリウスZグレード(HEV・2WD)(内装色 : グラディエントブラック)
※新型プリウスUグレード(HEV・2WD)(内装色 : アクティブグレー)
※先代(50系)プリウスA“ツーリングセレクション”(2WD)(内装色:ブラック)〈オプション装着車〉
新型プリウスのインパネと、先代プリウスのインパネを比べてみましょう。センターメーターが廃止され、ハンドル前に移動しました。また、ディスプレイオーディオの画面サイズが大きくなっています(※)。
※ディスプレイのサイズは、Zグレードが12.3インチ(標準装備)、GグレードとUグレードが8インチ(標準装備)
※先代(50系)プリウスのシフトはインパネ部分に配置されていた
※新型プリウスのシフトはフロアシフトに
シフトノブの位置も変更されました。旧型(50系)はインパネ部分にシフトがついていましたが、新型プリウスはフロアシフト(座席横)に移動。使い勝手が向上しています。
今回試乗してくれたGRドライバープロフィール
今回試乗してくれたのは、TOYOTA GAZOO Racingに所属する中山雄一さんと山下健太さん。両名とも国内トップカテゴリで活躍するプロドライバーです。
中山雄一(スーパー GTドライバー)
1991年7月25日生まれ、東京都出身のレーシングドライバー。幼少よりカートレースで活躍。2008年からフォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)に参戦し、2010年にはFCJ全12戦中全戦でポールポジション獲得、10勝という圧倒的な成績を残す。2013年全日本F3 Cクラス(選手権)王者を獲得し、翌年から3季スーパーフォーミュラに参戦。また、2015~18年スーパーGTのGT300クラス通算7勝。19年よりスーパーGT、GT500クラスに参戦中。
https://toyotagazooracing.com/jp/motorsports/driver/2021/yuichi-nakayama/
山下健太(スーパーフォーミュラ&スーパーGTドライバー)
1995年8月3日生まれ、千葉県出身のレーシングドライバー。2012年に限定A級ライセンスを得て参戦したスーパーFJもてぎ選手権を勝利。その後、2016年に全日本F3王者を獲得、翌年からスーパーフォーミュラにステップアップし、2019年に初勝利。2018年からスーパーGTのGT500クラスにも参戦中。2022年はスーパーフォーミュラとスーパーGTの二刀流で戦った。
https://toyotagazooracing.com/jp/motorsports/driver/2022/kenta-yamashita/
新型プリウスの進化その① 走行性能(加速感、ハンドリング)
※新型プリウスプロトタイプ車両走行シーン①(写真は19インチタイヤ装着車)
新型プリウスは先代プリウスからどう進化したのか、GRドライバーの二人による解説をお届けします。なお、今回比較に使用した1.8Lハイブリッド搭載プリウスはプロトタイプとなっています。それでは、まずは走行性能の進化から二人の評価をお届けしましょう。
中山雄一:
バランスよく進化しています。パワーもしっかり上がっていて、それに応えるために車体側の剛性も上がっています。全開で攻めた時に車が破綻(コーナリング中に車が滑ること)しにくくなりました。剛性が上がって車が傾く量が減ったので、タイヤが持っている性能を先代より限界まで使いきれる…つまり車体の性能が上がった、限界が上がったなという印象です。
普段、皆さん限界走行はしないと思いますが、限界値が高いと、普段使いの領域がより快適になります。「あ、いいな」って感じる車って、限界値が高い車なんですよ。我々のように車の限界領域で走らなくても、乗った際に「いい車だな、安心感があるな」と感じ取れると思います。
※新型プリウスプロトタイプ車両走行シーン②(写真は19インチタイヤ装着車)
山下健太:
ハイブリッド車はブレーキの利きが自分の意志と違う利きをすることがあります。ブレーキを踏んでいる量に対して利きすぎたり利かなかったり…それを先代プリウスからは感じました。
例えば、赤信号で止まる時、乗っている人の頭がカックンと動かないように停止する手前でブレーキを抜いたりすると思います。そういう時に自分の意志と違う動きをする場合があるんです。その領域が新型プリウスは凄くよくなり、エンジン車とほぼ同じフィーリングになりました。ハイブリッドシステムの回生ブレーキ(車が減速する際に発電するためのブレーキ)と、通常のブレーキの切り替わりも全く違和感がありませんでした。ここが個人的に一番驚いた部分ですね(笑)。街乗りの場合、スタートやストップの頻度がとても多いので、そこで車がガクガクするとストレスが溜まります。それが無いのは大きいです。
アクセルを踏んだ量に対するパワー感が先代より新型のほうが出ていますね。乗っている方としてはいっぱい踏み込むよりちょっとの踏み込みで加速してくれる方が楽なのでいいことだと思います。
新型プリウスの進化その② 乗り心地、内装の使い勝手
※新型プリウスZ(HEV・2WD)(内装色:グラディエントブラック)
中山雄一:
通常、車の剛性を上げると突き上げ感が出る(乗り心地が悪くなる)もので、剛性と突き上げ感は相反します。3代目プリウスから4代目(先代プリウス)に乗り換えた時、両方ともよくなった(剛性は上がり、突き上げ感が減った)と感じました。その進化の具合を1だとすると、今回の進化具合は1.5~2くらいの進化を感じましたね。剛性が上がったのに快適になりました。
※新型プリウスU(HEV・2WD)(内装色 : アクティブグレー)
使い勝手の部分ですが、新型の外観を見て「視界が狭くなった?」と懸念される方もいると思いますが、乗り込むとむしろ「視界が広くなった!」と感じると思います。スピードメーターがハンドルの先になったので、視点移動が少なくて済むので安心感があります。また、センターメーターがなくなった分視界が広くなりました。ミラーまわりの三角窓が大きくなり、それを支える柱が細くなりました。柱が細くなったのは数ミリ程度かもしれませんが、それ以上に視界は確実に広くなっています。
シートポジションというか、ドライビングポジションが新型プリウスは凄くよくなりました。今までだと、足に合わせてポジションを決めるとハンドルが遠い、ハンドルに合わせると足元が狭いという状況だったのですが、ハンドルがより手前に来てくれるようになったので調整しやすくなりました。色んな体型の人に合う車になったと思います。
後席も広くなりましたね。私、先代の後席に乗ると頭が屋根に当たっていたんですが、新型は頭上に何cmかクリアランスがありました。後席空間は問題ありません。
山下健太:
全高が低くなってフロントガラスが寝たデザインですが、新型のほうが先代よりも視界がよくなっている気がします。回りがよく見える感じです。
今までのプリウスってダッシュボードがちょっと高かった(センターメーターのため)ですが、それが低くなった分前が見やすくなっています。あと、スピードメーターがステアリングの先に設置されていて運転中の視線移動が少なくなったのも非常にありがたいです。
※視線移動が少なくなったとGRドライバーから好評のスピードメーター
大径タイヤを採用すると乗り心地の面で悪影響(ゴツゴツ感)が増える印象はありますが、全く問題ないです。タイヤに関するセッティングが上手くいったのか、運動性能にも悪影響がなく、むしろよく曲がってくれます。サーキットなのであまり試せていないですが、段差に乗り上げた際の乗り心地も新型の方がよくなっている気がしますね。
新型 vs 先代(50系プリウス)、進化した点まとめ
※中山雄一さんが先代(50系)プリウスに乗り込む様子
中山雄一:
限界域でも破綻しない、プロである我々が乗っても違和感がない車になりました。安全装備も充実していますし、普段使いやレジャーなどあらゆる場面で活躍してくれると思います。SUVなど背の高い車にはないキビキビとした軽快な走りも楽しめます。いろんな面でバランスがとれているので、いろんな所に行きたくなる、よりワクワクする車になっています
山下健太:
一言で言うと「プリウスじゃないみたい」です。いい意味です(笑)。今までのプリウスって「速く走ろう」って車じゃなかったですが、新型は「攻めたら面白いんじゃないか」と感じさせてくれる車でした。
1.8L、2.0Lハイブリッドの比較は前編記事で!
新型プリウス、全方位で大幅な進化を遂げたことがよくわかりました。となると、新型プリウスにラインアップされている1.8Lハイブリッドと2Lハイブリッドの違いも気になるところです。別記事にてGRドライバーのお二人に試乗比較してもらっているので、そちらもぜひご覧ください。
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