試乗記・レポート
LEXUS RZ450eを試乗レビュー“乗り味”だけで欲しくなるクルマ
LEXUS初のBEV専用車として発売された「LEXUS RZ450e」。
今回はそのRZ450e “version L”を販売店で試乗できましたので、クルマ大好き元トヨタの企画マン、公私合わせて1,800台以上のクルマを試乗してきた試乗のプロフェッショナル、ハマやんの視点から特徴を分解し、試乗した感想・印象をレポートしてみたいと思います。
<この記事の目次>
※試乗実施時期の情報をベースにしており、最新の新車販売グレードにはない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトでご確認ください。
試乗実施時期:23年7月
RZ450e “version L”試乗概要
「RX」を少しスリークにし、クロスオーバー味を濃くした感じの外観。LEXUSのクロスオーバーらしさと存在感を感じさせる佇まい
販売店の店頭での第一印象は、“RXを少しスリークにしクロスオーバー風味を強めた”感じで、RXより全高の低いディメンジョンによるところ大と思いました。
RZ・RX・NX主要ディメンジョン比較
全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) | ホイールベース(mm) | |
---|---|---|---|---|
RZ450e | 4,805 | 1,895 | 1,635 | 2,850 |
RX450h+ | 4,890 | 1,920 | 1,700 | 2,850 |
NX450h+ | 4,660 | 1,865 | 1,660 | 2,690 |
“RZ”のスタイルは、全体シルエットやグリル処理・Cピラー処理等、“RX”や“NX”といった既存LEXUSクロスオーバーSUV商品と少し距離を置いているが、離れすぎてもいない(&時代的にもさほど跳びすぎていない)・・・絶妙のポジションにあると感じられ、それゆえに、LEXUSのクロスオーバーらしさと独自の存在感を備えたクルマのように映りました。
TAZUNAコンセプトですっきりしたインテリア・操作性
店頭で内外装を確認しクルマに乗り込むと、適度に視点が高く、適度に囲まれ感もある空間で、RXやNX同様、主要操作系の場所さえ確認できれば、すぐに走り出せそうな感じ・・・ユーザーフレンドリーらしさのあるインテリアだと思いました。
LEXUSでは、この新しいコックピット設計の考え方を“TAZUNA Concept”と呼んでいますが、確かにすっきりしていて、人とクルマが意思疎通しやすそうな配置・見え方になっていると感じました。(シート・ミラー等、主要な操作系はわかりやすいが、細かい設定や情報系は慣れが必要な点はちょっと気になったが・・・)
シート・ミラー・ステアリングを合せてから街中に出てみると、実際の寸法よりもコンパクトなクルマを運転している感覚で、“乗り易い”&“運転にストレスを感じない”第一印象がありました。
最新の周辺監視装備による安心感もありますが、運転席からの視界がうまく確保されており、車体の見切りがわかりやすい点や、操作系・メーター/ディスプレイの視認系が適切な位置に配置されている点が効いていると感じました。
とにかく“静かでスムース”。とても“まろやかな乗り味”で大きく期待値超え
この新しい“RZ”に乗って最も印象的だったのは、その乗り味でした。
まずその静かさ。BEVなのだから静かなのは当然と思われるかもしれませんが、BEVの中にも色々な静かさがあり、その印象はクルマによって異なっています(内燃機関車程は違わないが、BEVでも静かさのレベルと質には差があるもの)。そうした中で、この“RZ”は、「パワートレーン自体の存在を忘れさせるような静かさ」があり、試乗中ずっと“静粛な空間にいる”感覚がありました。加減速時には色々な音作りがされているのでしょうが、2度ほど試してみたフル加速を含めて、静粛感は変らずにあったと思います。
次に乗心地。数ヶ月前に試乗した新型RXで、LEXUSの新しい乗心地に触れた感じがしていたので、このRZにも期待して乗りましたが、その期待を上回る「しっかりとしていて、しかもまろやかな乗心地」が具現化していたと思います。公道の様々な段差や荒れに遭遇した際、その入力は乗員に伝えてくるが、必ず“いなしてから伝える”足回り/車体の動きは、本当に気持ちよいものと感じられましたし、単に柔らか/しなやかというだけでなく、そこに“精緻さ”を感じさせる点が、大きな価値と思いました。
踏み込めば速いが、“優しく上品に運転したくなる”クルマ
BEVの特徴のひとつはトルクフルでスムースなパワートレーンですが、このRZの走りも充分なトルクでスムースなものでした。
2度ほど試してみたフル加速では、周囲のクルマよりふた回り以上速い加速感を味わえましたし、普通の流れに乗った走行でも、余裕を持って走る事ができました。
が、この“RZ”に関しては、そうやって“BEVらしさを前面に出してフル加速&回生ブレーキで停止する・・・”走り方をせずとも・・・というか、そんな加減速感よりも、「優しく上品に運転したくなる」乗り味に、特徴があるような気がしました。
具体的には、静止時からの動き出し~加速~定速走行~減速~曲がり~加速~定速走行~停止・・・といったクルマの一連の動きのそれぞれが、とても繊細にチューニングされている印象で、静かでまろやかな乗り味の中で、それらの繊細な動きを、ゆったりとした気持ちで余裕を持ちながら味わいたい感じ=「優しく上品に運転したい」という風に感じました。
世の中の色々なクルマの中には、この“RZ”同様、「優しく上品に運転したくなる」ものもあり、例えば、Audi e-tronは、“走り味によって運転スタイルがジェントルになる”クルマだと思いましたが、それと比較しても、この“RZ”の走り味は、「本当に優しく上品に静かに走らせたくなる」感じがしました。
RZ450e “version L”まとめ
他のBEVとは違う“乗り味”がある
今回の“RZ”は、限られた試乗時間の中で、ほぼ“静かさ”と“乗心地”を味わっただけと言っても良い試乗となりましが、逆に言えば、それほど印象に残っている項目でもあります。
昨年来、色々なBEVに試乗してきましたが(もちろん世の中の全てのBEVに乗った訳ではないが)、ここまで“静粛さ”と“しっかりとしてまろやかな乗心地”を感じさせてくれるものはなく、そういう意味では、これまで乗ったどのBEVとも違う“乗り味”のクルマだったと思います。
“乗り味”という感性価値だけで欲しくなるクルマ
上述したように、この“RZ”に乗って、その“乗り味”に強い印象を受けましたが、もっと簡潔に表現すると、「素直に欲しくなりました」。
クルマには、基本価値・使用価値・感性価値があると思いますが、基本価値的には、BEVゆえの課題(例えば、マンション住まいのため充電器設置が勝手には出来ないなど)から、自分のクルマとして考えにくい“RZ”ですが、感性価値的には、“乗っている時の乗り味だけで欲しくなる”位の価値を感じました。
新型RXで具現化された“LEXUSの新しい味付け”を更に分り易く提示された感じ。今後のLEXUS車/BEV車の出来に大きな期待を抱かせる存在
数ヶ月前に乗った新型RXで、その乗心地や走り味に“LEXUSの新しい味付け”を感じたものですが、今回の“RZ”では、それを更に分り易く提示された感じがしました。
“乗り味”に強い好印象を受けた“RZ”ですが、そこで感じた「優しく上品に運転したくなる」点は、実は、LEXUSの提供価値そのものではないか?と思いました。世の中に数あるプレミアムブランドは、夫々色々な価値を提供し、「色々な運転スタイルをしたくなる走り味」を持っていると思いますが、その中で、この味付けはLEXUSの特徴として挙げられるのではないか?という気がしました。
LEXUSの新しいクルマづくり・味付けが、NX・RX・RZから始まった・・・というお話がどこかでされていたように思いますが、このRZの走り味に接するにつけ、今後のLEXUS車/LEXUSのBEV車の出来に大きな期待を抱かせる存在ではないか?と感じました。
総合評価
・乗る前の期待値越えか?
◎ (その静粛感とまろやかでしっかりした走り味は大きく期待値を超えていた)
・また乗りたいか?
◎ (給電事情が許さないが、この乗り味は自分のクルマとして欲しい)
※評価基準と評価マークの意味
項目/マーク | ◎ | 〇+ | 〇 | 〇- | △ |
---|---|---|---|---|---|
期待値を・・・ | 大きく上回る | 上回る | まあ上回る | 上回る部分もあるが・・・ | 下回る |
また乗りたいか | とても乗りたい | 乗りたい | まあ乗りたい | 乗りたい面もあるが・・・ | あまり乗りたくない |
今回試乗したクルマはこちら!
〔試乗車〕:LEXUS RZ450e “version L”
〔車両価格〕:車両本体価格8,800,000円、オプション装備不詳
〔主要諸元〕:
全長×全幅×全高・WB・車重:4805mm×1,895mm×1,635mm・2,850mm・2,100kg
Frモーター:150kW・266Nm、Rrモーター:80kW・169Nm、システムトータル230kW
4WD・バッテリー:71.4kWh、WLTC:494km
サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン、タイヤ前/後:235/50R20 / 255/45R20
〔試乗概要〕レクサス昭和・試乗車両、販売店周辺約6km
※スペック・価格などのデータは試乗時のものです。最新情報は店頭等でご確認ください
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