試乗記・レポート

クラウン(クロスオーバー)は運転しやすい?実際に乗ってわかった「大きいのに扱いやすい」理由

クラウン(クロスオーバー)は運転しやすい?実際に乗ってわかった「大きいのに扱いやすい」理由

「クラウンって、ボディが大きくて運転しにくそう……」。そんなイメージを持つ人は少なくないでしょう。クラウン(クロスオーバー)は従来のミドルサイズセダンより大柄に見え、大径タイヤも相まって街中でもひときわ目を引く一台です。
 
とはいえ、日本を代表する高級車として長い歴史を持つクラウンだけに、一度は自分で運転してみたいと感じる人もいるでしょう。「大きくて難しそう」という印象だけで選択肢から外してしまうのは、少しもったいない気もします。
 
そこで今回は、初めて乗るドライバー目線でクラウン(クロスオーバー)をレビューしました。乗り降りのしやすさやドライビングポジションの取りやすさ、後席の広さ、荷室の使い勝手、駐車場での取り回しまで、実際に使って分かった「便利なところ」と「気になるところ」を分かりやすくレポートします。

吉川 賢一(よしかわ けんいち)

この記事の執筆者

吉川 賢一(よしかわ けんいち)

自動車ジャーナリスト。日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。自動車ジャーナリストとして、新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さも伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナ、筋トレなど。

※記事公開時の情報に基づいており、最新でない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトなどでご確認ください

クラウン(クロスオーバー)に乗り込んで実感した、見た目以上の扱いやすさ

クラウン(クロスオーバー)の後ろ姿

2022年9月に発売された「クラウン(クロスオーバー)」は、従来のセダンとSUVを融合したようなスタイルが特徴です。今回利用したのは、ベーシックグレードの「G」。クラウン(クロスオーバー)は2026年9月に一部改良されていますので、今回利用したのは一部改良前の初期型モデルです。
※撮影車は最新の一部改良モデル(とは仕様が異なる)以前のモデルになります。最新モデルの詳細についてはトヨタ公式サイト(クラウン(クロスオーバー))でご確認ください 

クラウン(クロスオーバー)のボディサイズは全長4,930mm、全幅1,840mm、全高1,540mm。実車を目の前にして最初に感じたのは、「やはり大きい」ということでした。全高が高めで、大径タイヤも装着しているため、数字から想像する以上に大柄に見えます。

セダンとSUVを融合したようなスタイルは、登場から4年が経過した現在でも新鮮に感じられます。とくに、フロントバンパーやヘッドライトは迫力のあるデザインで、押し出しの強いフロントフェイスもクラウン(クロスオーバー)の魅力のひとつだと感じました。

クラウン(クロスオーバー)の横からの姿
大きなタイヤと高めの全高で、数字から想像する以上に大柄に見える

Aピラーからトランクエンドまで大きくつながるようなルーフラインも特徴的。外観からも室内のゆとりが想像できますが、実際に乗り込んでみると、その印象通りの広い車内と優雅な雰囲気のインテリアが広がっていました。

まず「よい」と感じたのが、乗り降りのしやすさです。背の低いセダンと比べて、クラウン(クロスオーバー)は着座位置がやや高いため、腰を深く落とさずに自然な姿勢で乗り込むことができます。ドアを開けたときに足元にある段差(サイドシル)とフロアの高低差が小さいことも、乗り降りしやすい理由のひとつ。身体を大きく上下させる必要がなく、スムーズに乗り降りできました。

クラウン(クロスオーバー)の前席の足元
前席の足元。サイドシルとフロアの段差が少なく、足を大きく持ち上げずに乗降できる

運転席はシートの高さ調整幅が十分にあり、ステアリングも電動チルト&テレスコピックで細かく調整できます。シートとステアリングの位置をそれぞれ体格に合わせられるため、自分に合った運転姿勢を取りやすいと感じました。

クラウン(クロスオーバー)の後席から降りる様子
後席もサイドシルとフロアの段差が小さく、足の出し入れがスムーズ

クラウン(クロスオーバー)は前方視界も良好です。ダッシュボード上面がフラットで視界を遮る突起がなく、車両感覚がつかみやすくなっています。センターディスプレイと液晶メーターも高精細で、走行中でも情報を確認しやすくなっています。明るい場所だけでなく、暗いトンネル内でも表示は見やすく感じました。

クラウン(クロスオーバー)の広々とした前席まわり
広々とした前席まわり。ダッシュボードはすっきりとしたデザインで、前方の見晴らしも良好だった

シフトノブはリターン式で、右へ倒して下へ引けば「D」、上へ押せば「R」にシフトするタイプです。その下にはドライブモードスイッチや電動パーキングブレーキなどが並びます。操作系が一直線上にまとめられているため、初めて触れる場合でも操作する場所を把握しやすい配置です。

クラウン(クロスオーバー)の電制シフト
操作後に初期位置へ戻る電制シフト。右に倒して上下に動かすシンプルな配置

シートは身体の横揺れをしっかり支える形状で、長時間の運転でも疲れにくい座り心地です。ただ、利用したGグレードのファブリックシートには、ヒーター機能は備わるものの、シート内部から風を送って蒸れを抑えるベンチレーション機能はありません。夏場の快適性を重視する場合は、上位グレードとの装備の違いとして確認しておきたいところです。

適度なホールド感があるクラウン(クロスオーバー)の前席シート
適度なホールド感がある前席シート。調整幅が広くドラポジを合わせやすい
\ セダンとSUVが融合した革新的なパッケージ /
KINTO クラウン(クロスオーバー)を見る

クラウン(クロスオーバー)は4人乗車でもゆとり十分!荷室も実用的な広さを確保

続いてクラウン(クロスオーバー)の後席をチェックします。前席同様に段差が少ないため乗り降りしやすく、子どもや高齢の家族を乗せる際にも安心感があります。

クラウン(クロスオーバー)の後席空間
足元・頭上ともにゆとりがある後席空間

居住空間は膝前・頭上ともにゆとりがあります。とくに膝前はこぶし2つ分以上のクリアランスがあり、大柄な大人が座っても足を組めるほどの広さです。

クラウン(クロスオーバー)の後席頭上
クーペ風の外観ながら、後席の頭上にはこぶし1つ分ほどの余裕があり、圧迫感は感じにくい
クラウン(クロスオーバー)の後席膝前空間
膝前にはこぶし2つ分ほどの余裕があり、大人が足を伸ばしてくつろげる

リヤドアガラスが大きく、前方の見晴らしもよいため、長時間の移動でも圧迫感を覚えません。

クラウン(クロスオーバー)は荷室も実用的です。開口部が広く、奥行きも十分あり、ゴルフバッグであれば2個、ミドルサイズのスーツケースも2個を縦積みにでき、さらに手前や隙間に小物を積む余裕が残ります。旅行などで荷物が増えたときにも対応しやすそうです。

クラウン(クロスオーバー)の荷室
奥行きが深く、手前がフラットで使い勝手のよいトランクルーム
クラウン(クロスオーバー)の荷室とゴルフバッグ2個
ゴルフバッグ2個を横向きにゆとりを持って積載可能
クラウン(クロスオーバー)とスーツケース2個
ミドルサイズのスーツケース2個を縦に積載しても、まだ余裕がある

また、センターコンソール後方とトランク右側には、合計2カ所に最大1,500Wのアクセサリーコンセントが備わります。アウトドアでの家電利用はもちろん、災害時の非常用電源としても頼もしい装備です。

ただ、荷室の開口部下端が高めに設定されている点は少し気になりました。クロスオーバーらしいスタイルによってトランク後端が高い位置にあるため、荷物を載せる際には、ある程度持ち上げる必要があります。食材や飲料など、重量のある荷物を積み込むときには、少し負担に感じるかもしれません。

クラウン(クロスオーバー)に積荷する様子
リヤエンドが高めのため、重量物を積み込む際は少し持ち上げる必要がある

後席の背もたれを倒して荷室全体を拡大できない点も確認しておきたいところです。中央のアームレスト奥にはトランクスルーがあり、スキー板などの細長い荷物を積むことはできますが、後席背もたれの一体可倒機能や分割可倒機能はないため、幅のある長尺物の積載には制限があります。

クラウン(クロスオーバー)のトランクスルー
中央のアームレスト奥が貫通するトランクスルー。開口部は控えめ

さらに、クラウン(クロスオーバー)には、標準仕様では後席のリクライニング機構がありません。背もたれは適度な角度に設定されていますが、長距離ドライブでよりリラックスしたい場合は、後席パワーリクライニングが含まれるメーカーパッケージオプション「リヤサポートパッケージ」を選択する必要があります。

全長5m弱のクラウン(クロスオーバー)でも取り回しやすい「DRS」の効果

実際にクラウン(クロスオーバー)で街中へ走り出して、まず気になったのが前方の見切りです。

クラウン(クロスオーバー)のフロント
車幅はあるものの、車両感覚をつかみやすく街中でも落ち着いて走れる

クラウン(クロスオーバー)はボンネットが長めのため、運転席からフロントノーズの先端を目視しにくく感じました。運転に慣れるまでは、車両の先端を把握しやすいよう、シート高をやや高めに調整するのがコツです。

また、全幅1,840mmと車幅も広いため、この大きさに慣れていない場合は、周囲との間隔を意識しながら慎重に運転したほうがよいでしょう。

ただし、走り始めてしまえば、外から見たときほどボディの大きさは気になりませんでした。もちろんコンパクトカーなどと比べれば大きな車ですが、視界の広さと素直なステアリングフィールのおかげで、周囲の流れにスムーズに乗ることができます。

クラウン(クロスオーバー)の運転席とハンドル
ボディサイズから想像するよりも小回りが利き、Uターンもスムーズに行えた

交差点では左右の確認もしやすく、右左折も視界は良好です。とくに意外だったのが、取り回しのよさ。大きなボディなので、Uターンや狭い場所での方向転換には苦労すると思っていましたが、駐車場でも何度も切り返すような場面はなく、実際にはスムーズに曲がることができました。

クラウン(クロスオーバー)には後輪操舵システム「DRS(ダイナミックリヤステアリング)」が全車標準装備されています。車速に応じて後輪の向きを前輪と逆向き、または同じ向きに制御することで、低速時の取り回しや高速時の安定性を高める仕組みです。

その効果もあり、全長4,930mm・ホイールベース2,850mmの巨体でありながら、最小回転半径は5.4mに抑えられています。狭い場所での右左折やUターンでも小回りが利き、ボディサイズから想像していた以上に扱いやすく感じました。

クラウン(クロスオーバー)のタイヤ
小回りは利くがホイールベースは長いため、左折時の巻き込みや内輪差には注意したい

ただ「内輪差」には注意したいところ。クラウン(クロスオーバー)は小回り性能には優れるものの、ホイールベース自体は長いため、曲がる際には後輪が前輪よりも内側を通ります。今回利用した車両のリヤホイールには、縁石に擦ったような傷が見受けられました。傷が付いた状況は分かりませんが、狭い場所を左折する際には、後輪の軌跡にも注意して曲がりたいところです。

クラウン(クロスオーバー)のリヤ
後退時はバックモニターで確認。駐車が不安な方はパノラミックビューモニター(床下透過表示機能付)を活用したい
\ セダンとSUVが融合した革新的なパッケージ /
KINTO クラウン(クロスオーバー)を見る

日常使いで気になったクラウン(クロスオーバー)の細かなポイント

大きなボディながら、乗り降りや街中での取り回しなど、実際に使ってみると扱いやすさを感じたクラウン(クロスオーバー)。ただ、1日を通して運転する中では、細かな部分で気になる点もありました。

ひとつはナビゲーションの画面操作です。筆者は先のルートや高速道路の分岐方向をあらかじめ確認するため、地図の縮尺を頻繁に変えるのですが、拡大・縮小ボタンがディスプレイの左端(助手席側)に配置されているため、運転席から操作するときには少し身を乗り出す必要がありました。

クラウン(クロスオーバー)のナビゲーション画面操作
ナビゲーションの「+」「-」(縮尺変更ボタン)が画面の左端にあり、運転席からはやや遠く感じる

これは筆者の使い方によるもので、人によってはそれほど気にならない人もいるでしょう。ただし、横長のディスプレイだけに、個人的には運転席側に操作ボタンがあると、より使いやすいと感じました。

もうひとつ気になったのが、シフトノブ手前にある「VSC OFFスイッチ」の配置です。

クラウン(クロスオーバー)のVSC OFFスイッチ
センターコンソール手前に配置されたVSC OFFスイッチ

自然に手を下ろした位置にスイッチがあり、実際に走行中に何度か触れてしまいました。長押ししないと作動しない設計のため、手が触れただけで作動するわけではありませんが、普段の運転姿勢で手が当たりやすい位置にあることには、少し戸惑いました。

こうした細かな部分は、カタログや写真だけでは分かりません。実際に車へ乗り込み、触れて、使ってみることで初めて気づくポイントもあります。車選びでは、スペックや装備だけでなく、自分が普段どのように使うのかをイメージしながら、実車を確認することも大切だと感じました。

見た目の威圧感に惑わされず、まずは実車でクラウン(クロスオーバー)のサイズ感を確かめたい

クラウン(クロスオーバー)の前からの姿
見た目の迫力とは裏腹に、乗り降りのしやすさと取り回しのよさが光る一台

クラウン(クロスオーバー)は、一見すると大柄で運転のハードルが高そうに見えます。しかし実際には、乗降性のよさ、見晴らしのいいドラポジ、そしてDRSによる優れた小回り性能により、日常の街乗りでもストレスなく付き合える一台に仕上がっていました。

一方で、前方の見切りや車幅感覚には慣れが必要であり、リヤゲートの高さやトランクスルーの制限など、購入・契約前に確認しておくべきポイントも存在します。

カタログの写真やボディサイズの数値だけで「大きすぎる」と諦めてしまうのは非常にもったいない一台です。今回クラウン(クロスオーバー)を1日使ってみて、改めて実車を確認することの大切さを感じました。日常のパートナーとして検討する際は、ぜひ一度実車に乗り込み、その扱いやすさと取り回しの良さを体感するとともに、自分にとって気になる点がないか確認してみてください。

クラウン(クロスオーバー)
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吉川 賢一(よしかわ けんいち)

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吉川 賢一(よしかわ けんいち)

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