試乗記・レポート
LEXUS LS500“EXECUTIVE”試乗レビュー!フラッグシップらしさとフラッグシップゆえの課題
レクサスのセダン系フラッグシップであるLEXUS LS。1989年に発売された初代から数えて5代目となる現行車は2017年に登場したモデルですが、その最上級グレードLEXUS LS500 “EXECUTIVE”にLEXUS Meets日比谷で試乗できました。
※2023年10月発売の一部改良モデルではありません
クルマ大好き元トヨタの企画マン、公私合わせて1,800台以上のクルマを試乗してきた試乗のプロフェッショナル、ハマやんの視点から、特徴を分解し印象・感想をレポートしてみたいと思います。KINTOのYouTubeチャンネルにも出演中!
※試乗実施時期の情報をベースにしており、最新の新車販売グレードにはない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトでご確認ください。
試乗実施時期:24年9月
LEXUS LS500 “EXECUTIVE”試乗概要
立派なボディプロポーション。外装色・ホイール等、EXECUTIVEな外観スタイル
久しぶりにLEXUS LSを近くでみた印象は、「やはりLSは立派なクルマだなあ…」というものでした。最近はSUV系のLXやショーファードリブン主体のLMなど多様なハイエンド商品をラインアップしているレクサスですが、LSはコンサバティブなセダンスタイルながら、フラッグシップとしての存在感を放っていると感じました。
上級サルーンに求められるフォーマル感とパーソナル感が上手くバランスされたスタイルで、現行発表以来約7年経過していますが、さほど古さを感じさせないエクステリアでもあると思いました。
また、今回試乗した“EXECUTIVE”仕様は、オプション仕様の銀影ラスター色の外装色、スパッタリング塗装のホイールを装着しており、外観でもEXECUTIVEらしさが表現されていました。
後席重視の“EXECUTIVE”仕様。運転席回りの操作性・視認性も良好
ショーファーカーとして使用される事を前提としたLEXUS LS500 “EXECUTIVE”は後席重視で、パワーシート・電動オットマン・エンターテイメントシステム等、様々な装備が装着されており、後席に乗車するVIPのためのクルマとなっています。
後席試乗の機会はありませんでしたが、少し座ってみた感じは、適度な閉塞感もあるゆったりしたスペースとしつらえで、ゆとりを感じさせるものと思いました。
後席重視のクルマとはいえ、運転席回りの仕様・装備も充実しており、ドライバーの立場でこのLEXUS LS500“EXECUTIVE”を運転したとしても、満足度高く運転できそうな気がしました。
操作系・視認系の配置は従来のレクサス式のものでしたが、殆どの操作系は「そこに配置されているだろう」と予想した位置に配置されており、戸惑うことは全くありませんでした。(LEXUS車全般に言えることですが)馴染みやすい操作系という点に留意された感じが伝わってきました。
※試乗車は2023年の一部改良前のモデルのため、様々な仕様・装備が最新のものではなく、出来れば最新モデルでも試してみたいと思いました
パワフルで余裕がありソフィスティケートされたパワートレーン
試乗したLEXUS LSはガソリンエンジン車の“LS500”。心臓部は3.5Lツインターボ+10速ATで、最高出力422ps・最大トルク600Nmを発揮するパワートレーン。これで遅かろうはずもなく、試乗中は少し前が開いて加速すると、2.2トンのクルマながら、余裕で周囲の交通の流れをすぐに引き離すことができました。
そうした絶対的な動力性能にも好感を持ちましたが、このパワートレーンで最も印象的だったのはソフィスティケート度合い。アイドリングや街中定速走行では殆どエンジンの存在を意識することなく、また加速時でも、静かさを維持したまま10速ATとターボエンジンの連携により小気味よく速度を上げていく様子は、大変洗練されており、ストレスない走りにつながっていると感じました。
パワフルでソフィスティケートされたパワートレーンは、乗り易さ・走り易さに直結しており、試乗ルートの混んだ首都高や湾岸エリアの交通の中でも、高いセーフティマージンを保ったままステディかつ快適に走行できました。
ツインターボのガソリンエンジン車として燃費はあまり期待できませんが(WLTC10.1km/L、試乗での平均燃費は7.5km/L)パワフルさと洗練度からして、まずは妥当なレベルの燃費とも言えそうです。
LEXUS LS500“EXECUTIVE”らしい乗心地と乗り味。走行の85%位は快適走行
2017年の発売直後に乗った初期型では、「重量級大型サルーンとしては少々しなやかさに欠け乗心地は課題ではないか?」と思ったものでした。
今回乗ったLEXUS LS500 “EXECUTIVE”の乗心地は、重量級大型サルーンらしいゆったり感とフワッと感のあるもので、初期型での課題をほぼ解決し、走行の85%くらいは良好で快適な乗り心地・乗り味を実現していると感じました。
完璧に解決ではなく「ほぼ」なのは、大きな段差や凸凹を乗り越える際に、思ったよりショックが伝わってきたからで、ショーファーカー前提と考えると、この辺りは要改善なのではないか?と思いました(23年の年次改良前のモデルゆえかもしれません)。
基本的に快適にゆったり走るクルマですが、コーナリングやステアリングフィールはスッキリしたもので、走り味としてはスッキリと奥深い(or奥ゆかしい)レクサスらしいものと思いました。
実寸より小さく感じさせる運転感覚。
LEXUS LSは上述のように全長5,000mm・全幅1.900mm・ホイールベース3,000mmを超えるビッグサルーンですが、実際に運転してみると、意外とその大きさを意識することはありませんでした。
個人的には、「走って小さく感じるクルマは良いクルマ」だと思っていますが、このLEXUS LSも、同様の感じを抱かせる“良いクルマ”で、セダンならではの扱い易さに加えて、室内からの周辺視界の良さやクルマの見切りの分り易さ・車両の動きの俊敏さ・運転操作と車両の動きのシンクロ度合い等が優れているため等の理由によるものではないか?…すなわちクルマの基本性能が良い事の証明では?と感じました。
LEXUS LS500 “EXECUTIVE”まとめ
いかにもレクサスのフラッグシップらしいクルマ
- 立派なボディプロポーション。質感の極めて高い内外装とデザイン
- “EXECUTIVE”の名称に相応しいショーファーカーに適した仕様・装備
- パワフルでソフィスティケートされたパワートレーンによる動力性能と余裕
- ゆったり・フワッとした乗り味とスッキリ系の走り味
- Advanced Drive、Advanced Park、安全装備等の先進・ADAS(先進運転支援システム)関連装備
- Always Onの考え方に沿って頻繁に年次改良を実施
“フラッグシップ”ゆえの課題
- ショーファーカーとしては、LEXUS LMやLEXUS LXもあり得る選択肢(新しい高級車の台頭)
- 乗心地・乗り味面での課題など“フラッグシップ”に対する期待値とのギャップ
- レクサスラインアップ内でも起こる逆転現象(仕様・装備、新技術等)
年次改良後のクルマで試してみたい
- 試乗車は2021年式(推定)で最新モデルではなく、その後の一部改良で実施された車体・足回りの改良等が施されておらず、乗り味は異なっていると思われる
総合評価
- 乗る前の期待値越えか?
〇 (内外装、3.5ツインターボの動力性能・洗練度はフラッグシップに相応しい) - また乗りたいか?
〇 (最新版の乗り味やハイブリッド版の走りを試してみたい)
※評価基準と評価マークの意味
項目/マーク | ◎ | 〇+ | 〇 | 〇- | △ |
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期待値を・・・ | 大きく上回る | 上回る | まあ上回る | 上回る部分もあるが・・・ | 下回る |
また乗りたいか | とても乗りたい | 乗りたい | まあ乗りたい | 乗りたい面もあるが・・・ | あまり乗りたくない |
今回試乗したクルマはこちら!
〔試乗車〕:LEXUS LS500 “EXECUTIVE”
〔車両価格〕:車両本体価格15,640,000円(メーカーオプション:1,138,500円)
〔主要諸元〕:
全長×全幅×全高・WB・車重:5,235mmx1,900mmx1,450mm・3,125mm・2,220kg、V35A-FTSエンジン:3,444ccツインターボ、422ps/6,000rpm、600Nm/1,600~4,800rpm、10速AT・RWD、WLTC燃費10.1km/L、サスペンション前/後:マルチリンク/マルチリンク、タイヤ:245/45R20
〔試乗概要〕LEXUS Meets日比谷試乗車両,首都高+湾岸地区31km
※スペック・価格などのデータは試乗時のものです。最新情報は店頭等でご確認ください
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