試乗記・レポート
LEXUS IS500 F SPORT Performanceを試乗レビュー「乗り易く親しみやすい高性能/カジュアルな高性能セダン」
LEXUSのミドルスポーツセダン“IS”のトップオブザレンジとして導入された5.0LV8エンジン搭載のLEXUS IS500 F SPORT Performance。先月乗った同一エンジン搭載のLEXUS RC Fとの違いや走り味はどうなのか?東京日比谷のLEXUS Meetsの試乗プログラムで乗ってきました。クルマ大好き元トヨタの企画マン、公私合わせて1,800台以上のクルマを試乗してきた試乗のプロフェッショナル、ハマやんの視点から、特徴を分解し印象・感想をレポートしたいと思います。
※試乗実施時期の情報をベースにしており、最新の新車販売グレードにはない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトでご確認ください。
試乗実施時期:24年7月
LEXUS IS500 F SPORT Performance試乗概要
さりげない“高性能車”っぽい外観スタイル
LEXUSの現行IS(3代目)は2013年に発売され2020年の大幅な商品改良を経て現在に至っていますが、2020年にリフレッシュされた事もあり、さほど古さを感じさせない外観スタイルだと思いました。このクラスのスポーツセダンは、“定番”という面もあるため、目になじみやすいフォルム・パッケージでもあると思います。
LEXUS IS500はスポーツイメージリーダーと位置づけられ、外観スタイルでは、専用ボンネット(V8エンジンを収納)・4連エキゾースト・ダークグレー色ホイール・ブラックトリム・オレンジ色ブレーキキャリパー(オプション)等によって、そのスポーツ性が表現されています。ただ、世の中の高性能スポーツセダンには、より過激なものもあるため、このIS500のスタイルは“さりげない高性能車らしさ”があると感じました。
手ごろなサイズ・セダンらしい乗り易さ・扱い易いパワトレで街中でも扱い易い
東京・日比谷のミッドタウンから走り始め、芝公園から首都高に乗って一周してくる…という、先月のLEXUS RC Fと同じコースを試乗しましたが、IS500ではRC Fよりも更にラクに首都高&一般路を走行できました。
手ごろなサイズ(全長4,760mm・全幅1,840mm)、セダンならではの低重心感と視界の良さ、的確なタッチ/重さの操作系等によって、とても運転し易く、余裕を持ったドライビングができたからです。
480馬力の高性能スポーツセダンながら、至極扱い易いクルマで、都内一般路のような低速域でも使い易いクルマ(パワートレーン)でした(カタログの表現には、“日常生活時の走行シーンにおいて走りのポテンシャルを体感できるようチューニングしています”とあります)。
3,000rpm以上で俄然力を発揮するV8パワートレーン
LEXUS RC Fと同じく、最高出力481psを7,100rpmで発生する今では希少なV8エンジンを搭載するIS500ですが、今回試乗してみて、(低速域も使い易いと理解したうえで)“高回転型エンジン”ということが再度体感できました。
街中での3,000rpm以下領域では羊のような性格で、とてもジェントルな感じなのですが(最大トルクも535Nm/4,800rpmと高回転型)、シフトをマニュアルホールドしてエンジン回転を上まで回してみるとキャラが豹変しガーンと力が出てきました。
最近の高性能車での主流であるダウンサイズターボエンジン(低回転からフラットにトルクを発生する)とは異なり、それなりに速く走るためには、マニュアルシフト等で3,000rpm以上を保つ必要があり、踏み込むともりもり力を出すそれは、ある種の懐かしさを抱かせるものと感じました(RC Fと同じ感想)。
固めだが、固すぎない乗心地。街中~高速までスッキリした乗り味
乗心地は、街中~高速まで、どこでも少しソリッドながら固すぎないレベルで、普通に乗っても何の問題なく、アクセプタブルなレベルでした。
乗り味全体として、スッキリした感じで、LEXUS RC Fに乗った際に感じた“路面への吸い付き感覚”やある種の“粘っこさ”とは違う、IS500ならではの感覚がありました。
具体的には、ちょっとスポーツな感じの乗心地、素直なステアリングフィール、ロール感なく曲がっていく感じ、等がこのIS500に乗っていての感想で、それをジャンル分けすると、“超高性能スポーツセダン”というより“カジュアルな高性能セダン”といった感じではないか?と思いました。
この辺りがクルマという商品の面白い所だと思うのですが、同じ481PSエンジンを搭載していても、RC FとIS500ではその走り味や乗り味に結構違う点があると感じました(パワトレが高回転で力をもりもり出すという共通点も勿論ある)。
運転への集中度はどちらも同じように高いものがあるが、集中度の中身が少し違っている感じ…RC Fでは出来ればサーキットのような場所で集中したいと感じるのに対して、IS500では街中や都市高速等、一般的な路上で集中したいと思える。そんな違いを感じました。
室内デザインもさりげないスポーツ感。操作性は良好
インテリアはブラック色に統一され、シート・トリム・ステアリング等にウルトラスエードを使ったものになっていました。この辺りもスポーツ感としてはさりげない感じで、このクルマのキャラクターを表しているように思いました。
操作系については、最新のレクサス車とは違い、タッチパッド式のディスプレイ操作や各所に配置されたスイッチ類によるものでしたが、とはいえ、操作性は悪くなく、今のタッチスイッチよりも使いやすい面もあると感じられ、街中走行で感じたこのクルマの扱い易さには、そうした操作系・スイッチ類の扱い易さも寄与しているのではないか?と思いました。
LEXUS IS500 F SPORT Performance試乗レビューまとめ
乗り易くカジュアルな感じの高性能スポーツセダン
- さりげない高性能らしさの外観スタイル・内装デザイン
- 踏み込むと実力を発揮するが、低回転でも扱い易いパワートレーン
- RC Fや超高性能セダンとは違う身近な感じの乗り味・走り味
“IS”の高性能トップオブザレンジとしてピッタリのキャラクター
- LEXUS F SPORT Performanceという名前が適度なスポーツ度を表している
- “F”ではなく“F SPORT”でもない中間のポジション
- “IS”全体のシンボルとしての存在 プラス 手に届きやすいポジション
内燃機関高性能セダンとしては、後がないのかも…
- 高回転型V8エンジンという絶滅危惧種パワートレーンを搭載
- その魅力や“内燃機関ならでは”を実感できるクルマ
- BEV化への道のりの中で、後がないのかもしれないが、勿体ない
総合評価
- 乗る前の期待値越えか?
○+(街中での乗り易さ・扱い易さなど、乗り味全般の親しみやすさが期待値超え)
- また乗りたいか?
〇 (ワインディング路・サーキットなど走る機会あれば…)
※評価基準と評価マークの意味
項目/マーク | ◎ | 〇+ | 〇 | 〇- | △ |
---|---|---|---|---|---|
期待値を・・・ | 大きく上回る | 上回る | まあ上回る | 上回る部分もあるが・・・ | 下回る |
また乗りたいか | とても乗りたい | 乗りたい | まあ乗りたい | 乗りたい面もあるが・・・ | あまり乗りたくない |
今回試乗したクルマはこちら!
〔試乗車〕:LEXUS IS500 F SPORT Performance
〔車両価格〕:車両本体価格8,500,000円(オプション:オーディオ・キャリパー309,100円)
〔主要諸元〕:
全長×全幅×全高・WB・車重:4,760mm×1,840mmx1,435mm・2,800mm・1,720kg、2UR-GSEエンジン:4968cc、481ps/7,100rpm、535Nm/4,800rpm、8速AT、RWD、WLTC燃費9.0km/L、サスペンション前/後:ダブルウィッシュボーン/マルチリンク、タイヤ前/後:235/40R19 / 265/35R19
〔試乗概要〕都内一般路+高速約30km試乗ルート
※スペック・価格などのデータは試乗時のものです。最新情報は店頭等でご確認ください
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