試乗記・レポート
トヨタ カローラクロス・ハイブリッド試乗!「今どきのマジョリティ」
2021年9月の発売以来、着実に台数を伸ばし、今では街中で見かけることも多くなったカローラのSUVバージョン“カローラ クロス”。今回、広島駅からTSタカタサーキットへの往復にレンタカー(ハイブリッドGグレード)を借りることができました。クルマ大好き元トヨタの企画マンで、公私合わせて1,800台以上のクルマを試乗してきた試乗のプロフェッショナル、ハマやんの視点から特徴を分解し、試乗した感想・印象をレポートしたいと思います。
<この記事の目次>
※試乗実施時期の情報をベースにしており、最新の新車販売グレードにはない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトでご確認ください。
試乗実施時期:23年6月
カローラ クロス・ハイブリッドG試乗概要
ちょうど良いサイズ感と“今っぽい”SUVスタイル
カローラシリーズの中で、“ツーリング”より幅広く(+80mm→1825mm)・背の高い(+160mm→1620mm)フォルムを持つ“クロス”。見た目は(カローラとして)とても立派になっていると感じました。
「大きくなって、街中での運転のし易さ等はどう変わったのだろう?」と少し心配していましたが、広島駅周辺の狭めで交通量が多い道の中でも、サイズを持てあますことなく、余裕を持って走行することができました。「車体幅の拡大分は車高アップによる視界向上で帳消しになっている…」高い視点から周囲を見ながら、そんな感想が浮かびました。絶妙なサイズ感(大きすぎず、小さすぎず、大抵の用途はこなせる感じ)を特徴とするカローラシリーズの一員らしさが、この“クロス”にも引き継がれていると思いました。
寸法の違いだけでなく、外観スタイル全体もカローラシリーズとしては変り映えあるものとなっています。フェンダーの張り出しやホイールハウス・バンパー処理等によって、SUVとしての“今っぽさ”がうまく表現されており、「カローラシリーズの一員だが、それ自体で充分存在感あるSUV」たりえていると感じます。
SUVとして“ちょうど良い室内空間”と質感・装備
内装デザインは、カローラシリーズのそれとほぼ同じで、上下方向を引き延ばした“ツーリング”のような印象。ポジティブな意味で万人向けと感じさせるインテリアは、尖ったところがなく、しかし時代の流行や動きはとらえており、誰からも「嫌われない」ものと感じます。
室内空間は、全高の高さが効いて、ツーリングよりも広い頭上空間・荷室スペースが確保されており、“クロス”選択の大きな理由になるものと思いました。実際にイベントのコース設営のためにパイロンを積んだりしたのですが、意外と多数を積み込む事ができ、スペースの広さを印象付けられました。
1966年の誕生時から、「+αの仕様・装備」を売り物にしていたカローラ。今のカローラも、顧客ニーズを(少し)上回って設定されている仕様・装備が特徴となっています。
現代のクルマとして当然のADAS(先進運転支援システム)・安全装備はもちろん、ランプ類・表示系・空調など、贅沢ではないが、「出来れば装着しておいて欲しいよね」と思わせるモノがちゃんと付いている(レンタカーグレードでも必要充分な装備になっていた)点に、お客様のニーズをしっかり調べ上げて企画・設定されたクルマであることが表われているのではないでしょうか?
ほぼ良好な乗心地・乗り味
現行カローラで気にいっている点のひとつはその“乗り味”。今回の“クロス”試乗以前にも、一昨年のクルマ選びや出張でのレンタカー試乗等、何度も乗る機会がありましたが、いつも「フラットでスムースな乗心地(特に街中や郊外路)」に感心させられていました。
今回は高速道路中心の走行でしたが、ほぼ(8割)良好な乗心地という感じでした。
具体的には、路面状態の良いところや、多くの舗装継ぎ目・荒れた路面は、「フラットでスムースな印象」で走るのですが、時に、きつい段差や荒れの上で、「ちょっと強めの段差感やロードノイズが気になる」事があり、そういう意味で“ほぼ”良好な乗心地だと思いました。(感覚として8割はスムースな印象)
ほぼ期待値通りの動力性能・運動性能。燃費はまずまずのレベル
動力性能・運動性能については、今回約200km走行した感じでは「必要充分な性能で、ほぼ期待値通りのレベル」で、これも、ちょうど良いカローラらしい性能・機能だと思いました。
街中~高速~郊外と流れに乗って走行する中で、動力性能が不足と感じる事は一度もなく、交通の流れを少しリードするような走りをしても、まず不足なく走行でき、またその際のノイズもさほど気にならないレベルに保たれていました。
ステアリングの応答や車体ロールといった運動性能面でも、基本的に素直な動きで安定して走行でき、リラックスし余裕持っての走行に寄与していたと思います。
燃費に関しては、ほぼ同様の走行ルートを走った“カローラツーリング・ハイブリッド(24.9km/L)”よりも少し下がるレベルで、車載燃費表示では、往路19.0km/L・復路23.2km/Lとなりました。“カローラツーリング”より少々下がるとはいえ、ほぼ20km/Lを実現しており、「SUVとしては燃費の良いクルマ」と言えそうです。
ADASはラクで安心、制御も良い感じ
ADASは、今や全ての車種クラスで当たり前のものとなっていますが、このカローラ クロスにも装着されています。衝突回避を試すことはできませんが、通常走行で使えるADASは、レーダークルーズとレーンキープアシスト。空いた中国道で長時間使って走ることができました。「ADASラクでいいわ。今のクルマはホントに進歩しているなあ…」と、思わず口にしてしまうほど、高速走行時の余裕が違ってきます。
特に、このカローラでは、レーダークルーズ・レーンキープの制御が良い感じで、例えば、高速道路走行中、前にクルマが入ったり出たりして、追従車間距離が変わった際の、加減速の感じが運転者の感覚に合うことや、レーンキープも、変な操舵が入る事もなく、運転者の「操舵する」気持ちを読んで(かの如く)操舵するなど、この辺りはクルマによってまだ差が大きい点なので、よく制御できたADASだと感じられました。
競争力ある価格
昔から、「カローラはお買い得なクルマ」という定評がありましたが、それは今のカローラにもあてはまると思います。「お買い得=Value for Money」という言葉には、「価格が安い」というだけでなく、「内容・仕様装備が(価格に対して)充実している」という意味も含まれ、カローラのクルマづくりには、まさに「Value for Money」が意識され具現化されていると考えられます。
カローラ クロス(2WD)の車両本体価格
HEV:2,590,000円(G)~2,750,000円(S)~2,990,000円(Z)
GAS:1,990,000円(G-X)~2,240,000円(G)~2,400,000円(S)~2,640,000円(Z)
(安全装備やADAS等でクルマ全体の価格が上昇している中で)、このカローラの価格が、ほぼ2,000,000円円台に収まっているのは、「お買い得」であり、「価格競争力」なのではないでしょうか?
カローラクロスが発売されたときに、YouTube等で「カロクロ安い」と言われていましたが、確かに、そのベース価格(G-X:1,990,000円)や最上級の(Z:2,990,000円)は、周囲の競合車価格・仕様などと比較するにつけ、とてもお買い得感・競争力ある価格になっていると感じました。
カローラ クロス・ハイブリッドGまとめ
カローラの特質と特徴+流行りのSUVスタイル=「今どきのマジョリティ」
1966年の発売から50数年、12世代、そして累計販売5,000万台を達成しているカローラは、トヨタの幅広い商品ラインアップの中でも特に重要な位置づけのクルマで、大きさ・性能・機能・装備等の「ちょうど良さ」、「お買い得感」を備え、多数のお客様に愛される“マジョリティ”である特質・特徴を持った商品だと思います。
カローラには、その時々の世の中/市場のトレンドに合わせて、様々なバリエーションが展開されてきましたが(クーペ・ハードトップ・ワゴン等)、この“クロス”も、世の中/市場の動きを見ながら、流行りのSUVスタイルをもつバリエーションとして投入されたもので、「今どきのクルマ」を感じさせるものだと思います。
カローラに共通する特質・特徴に加えて、流行りのSUVスタイルを持つ“カローラ クロス”は「今どきのマジョリティ」と言える存在だと思いました。
総合評価
・乗る前の期待値越えか?
〇 (カローラの特質・特徴を持った流行りのSUVとしてまとまり良い商品)
・また乗りたいか?
〇 (長距離走行・ワインディング路など走る機会あれば…)
※評価基準と評価マークの意味
項目/マーク | ◎ | 〇+ | 〇 | 〇- | △ |
---|---|---|---|---|---|
期待値を・・・ | 大きく上回る | 上回る | まあ上回る | 上回る部分もあるが・・・ | 下回る |
また乗りたいか | とても乗りたい | 乗りたい | まあ乗りたい | 乗りたい面もあるが・・・ | あまり乗りたくない |
今回試乗したクルマはこちら!
〔試乗車〕:トヨタ カローラ クロス・ハイブリッドG
〔車両価格〕:車両本体価格2,590,000円(税込)
〔主要諸元〕:
全長×全幅×全高・WB・車重:4490mmx1,825mmx1,620mm・2,640mm・1,380kg
2ZR-FXEエンジン:1,797cc,98ps/5,200rpm、142Nm/3,600rpm+電気モーター
サスペンション前/後:ストラット/トーションビーム、タイヤ:215/60R17
〔試乗概要〕:191km走行、平均燃費17.7~23.5km/L
≪KINTO ONE中古車≫
メニュー