試乗記・レポート
LEXUS UX250h 試乗「選ぶ楽しみ」+「出会う喜び」=「クルマ選びの幸せ」
2021年8月に発注し11月末に納車された自分のクルマ、LEXUS UX250h。ようやく走行距離が1,000kmを超えたので、その感想・試乗インプレッションをまとめました。クルマ大好き、元トヨタの企画マンで、公私合わせて1,800台以上のクルマを試乗してきた試乗のプロフェッショナル、ハマやんの視点から、「LEXUS UX250h」の特徴を分解し、その魅力を探るレポートです。
<この記事の目次>
※試乗実施時期の情報をベースにしており、最新の新車販売グレードにはない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトでご確認ください。
試乗実施時期:21年5~8月にかけて数回試乗
LEXUS UX250h試乗概要
パッケージング・コンセプト:SUVとハッチバックのクロスオーバー。パッケージがコンセプトを決める
クルマのコンセプト・キャラクターは、そのパッケージングで大きく決まってくると思います。このUXはカタログで、“Creative Urban Explorer”と表現されていますが、要は『SUVとハッチバックのクロスオーバー商品』とカテゴリー付けできると思われ、パッケージ説明にも、「クロスオーバーらしいシルエットでありながら、ハッチバックのようなキビキビとした走りを予感させる低いドライビングポジションを確保しています」と書かれています。
その『パッケージング』が自分の購入決定要因の大きな部分を占め、『ユニークさ・コンパクトさ・SUVっぽさが一つになっている点』が、色々な候補車の中からUXを選択した大きな理由になりました。
インテリア:思ったよりタイトな空間。囲まれ感は良いがユーティリティ指向層には向かないかも
何度も試乗し選択したUX250hですが、実際に自分のクルマにしてみてから、『なるほど。そうなんだね』と感じる点はあるものです。
「全長・全幅寸法から想像するより空間のタイトさを感じる」のはそのひとつで、運転中の前席周り・前席から後席に荷物を置く際、後席・荷室に荷物を積む際に『UXってやっぱり空間タイトだよね』と感じます。
それは決してネガティブではなく、運転中のタイトな空間感はドライビングへの集中をし易くする要素ですし(トヨタMIRAIもとてもタイトで良い)、空間に関しても『必要ない空間を運ばなくてよい』感覚で(うちは家族2名+ワンコ1匹のみ)特に問題ではありませんが、もしユーティリティ指向層がこのUXを選んだとしたら『狭くて問題』と感じられるかもしれません。
シート・トリム・インパネの意匠や質感については、Cセグメントプレミアム車としては平均的なものと思われ、YouTubeでは『トリムの質感が低い』などと言われたりしています。しかし、私自身はその面の重視度が低いのかもしれませんが、自分では何も気にならず、プレミアム車として充分な質感と感じています。
走り味:乗り味を入念に試乗チェックして選んだUX。高速域での気持ちよさは期待値越え
このクルマを選ぶために、114台試乗し、乗り比べた 訳ですが、最重視点は乗り味。UXには都合6回乗って確認しました(Fスポーツ3回、version-C2回、UX200に1回)が、他にもCセグメント(クロスオーバー)SUVを中心に、周辺車種・味付けの評判良いクルマを網羅的に乗りました。
買った後の感想としては、『ほぼ予想通り・期待値通り』で、街中・高速を通じて、まあフラットでスムースな乗心地で、常にボディ剛性の高さを感じ取れる点が気に入っています。『フラットでスムース。路面不整に対してしなやかに対応』している感じの乗心地が好みの私的には、フラット感・スムースさは好み、路面不整のこなし方は「もう少ししなやかに対応してほしい・・・」と思ってしまいますが、F SPORTを選んだために多くは求められないかもしれません。(YouTubeでは、ランフラットタイヤのため乗心地が・・・との評価もあり、それも要因かもしれません)
また、せっかくのオプション装備NAVI・AI-AVS(※)なので、「Normal側はもう少し柔らかめでも良いのでは?」なる思いも浮かぶのですが、まだ走行1,000kmで、馴染みが済んでいないという側面も考慮しないといけないと感じます。
※NAVI・AI-AVS:アダプティブバリアブルサスペンションシステム
走行性能:すっきりとして素直
競合車との比較では、簡単に表現すると、アウディQ3=平均点、BMW X1=ちょっと期待値以下、メルセデスGLA/GLB=しなやかで心地よい(相当気になったクルマ)、ボルボXC40=抑えどころ抑えつつ全体に柔軟、T-Roc=ちょっと雑味多い、となりその中で、UX(Fスポーツ版の乗り味)は、「すっきりとして素直な乗心地」と思いました。
また、家族旅行として行った伊豆高原往復・新東名高速走行では、「高速道路のほうが街乗りより乗り味が好ましい」と感じられ、高速域での動力性能が期待値以上だった事も相まってとても好印象でした。
走り味:2.0Lハイブリッドの走りは『街中=期待値通り』。『高速域=期待値越え』
このUX250hを選択した理由のひとつはパワートレーン。トヨタブランドのCセグメント車(プリウス・カローラ系など)の1.8Lに対して2.0Lダイナミックフォースエンジンが搭載されているという点でした。
走行1,000kmなので、フル加速や急な追い越し加速は、未だしていませんが、街中交通の流れに乗った走行で何の問題もないのは当然ながら、新東名高速の巡行やその中での追い越し、速いペースのクルマの追従走行等も余裕もって可能で(高速域の動力性能は嬉しいほうの驚きでした)、期待値+αの充分な動力性能と感じています。
音に関しては、この前試乗させていただいたNX350h(2.5Lハイブリッド)と基本同じ印象となりますが、全体として静かでスムース。エンジンの出番は結構多い方だが、遮音がよく、エンジン音が遠くから低く聞こえてくるような感じ。『LEXUSハイブリッドらしい静かさに包まれるクルマ』です。
燃費:プリウスαと同等程度の燃費レベル
燃費は、走行パターンにより大きく変わるものの、街中のちょい乗りで10-20km/L、高速走行で15-20km/L程で、前に乗っていたプリウスαとあまり変わらない(走行パターンによる変化は大きいが)レベルかな?と思っています。
その他:実際に買ってみて気付く色々
いくら試乗を重ねていても、実際に『買ってみて気付く点』はあるものです。これまでに気付いた幾つかの点を紹介してみます。
本当にありがたい『電動PKB(※)』&『PKBホールド』
今どきのクルマには常識となりつつあるPKBホールドですが、実際に使ってみて、その便利さは信号待ち毎に実感できています。(メモリー付きで、EGオフしてもホールドONになれば、さらに良いのにと思ってしまいます)
※PKB:パーキングブレーキ
色々な点でのプレミアム味付け=音・操作タッチ・空調の効きなど
『やっぱりプレミアムは違うなあ』と感じるのは、操作系の音や操作スイッチのクリック感、そして空調の効き(すぐに効き始める)といった項目です。家族は全くと言っていいほどクルマに関心ない人なのですが、『ウィンカーの音が違うね』・『すぐに温かくなるんだね。レクサスって』と言っており、そうした事は「何か違う」と感じさせるものなのですね。
ブラインドタッチはやはり難しいリモートタッチ
これは、理解した上での購入なのですが、ナビ等を操作するリモートタッチは、(左ハンドルの右利きならともかく)『右ハンドルの左利き』には、とても操作しにくいものです。画面上のカーソル見ながら(当然停止中)、位置を合わせてクリックする・・・そんな単純な操作でも難しさを覚えます。
あまり新しくない(と思われる)ナビの情報
「LEXUSなのだからナビも一流・・・」が期待値なのですが、店の「名前検索」で調べると、新しい施設が出てこない・・・結局ナビなし(でも問題なくたどり着けるのですが)で走行せざるを得ない事になってしまいました。
(そのためにある?)レクサスオーナーズデスク
これは本当に素晴らしいです。事前に知っていたとはいえ、実際に使ってみると、そのありがたさが染み入ります。上述したリモートタッチの難しさ・ナビの情報問題は、オーナーズデスクに電話しナビ目的地設定を依頼するだけで、解決できることですし、実際にほぼ100%ナビの目的地設定は、オーナーズデスクに頼んでいます。
感想①:ユニークなポジション・キャラクター。そこに嵌まるかどうか?がポイント
UXの商品上の特徴を二つの言葉で表現すると、『小さな高級車』と『クロスオーバー』。Cセグメントのポジションで、プレミアムな仕立てで、かつSUVとハッチバックのクロスオーバー。そんなクルマは他にはなく、その独自性が、このUXの商品性・魅力のポイントになっていると思います。
>ハッチバックとSUVのCセグメント ・クロスオーバーという意味ではVWのT-ROCがあるが、プレミアム仕立てとはいえない。T-CrossはBセグメント
>CプレミアムセグメントのSUVには、Q3・X1・GLA/GLB・XC40があるが、クーペやスポーツバックはあっても、ハッチバックとのクロスオーバーはない
(アウディQ2はプレミアムクロスオーバーだがBセグメント)
前述したように、このクルマ、ユーティリティを求める層にはマッチしないと思います。4人が何とか乗れる居住スペースと2人分の旅行荷物が載るかどうか程度の広さだからです。ですが、『2人用+αの空間で充分。それよりコンパクトさが大切』と考える層であれば、受け入れられるでしょうし、また、SUV風味を感じさせるクロスオーバー性も、スタイル上の大きなポイントとしてアピールするのではないでしょうか?
UXを受け入れるかどうか?それはこのユニークなポジション・キャラクター(コンセプトという言葉でも良いが)に嵌まるかどうか?だと改めて思いました。
感想②:「選ぶ楽しみ」+「出会う喜び」=「クルマ選びの幸せ」
「ユニークなポジション・キャラクター」・「プレミアムコンパクトクロスオーバーとしての割切り」に惚れ込んで買った“UX”ですが、その乗り味や性能・質感・サービス等も気に入っており、そうした「クルマトータル(含クルマ回り)」で、「いいクルマに出会った感覚」が得られています。
また、(114台試乗して回ったりしたけれど)、色々なクルマに実際に乗ってみて、考えて、最終的に「自分の感覚に合うクルマに出会うことができた」、すなわち「いいクルマ選びが出来た」事にも満足感を感じています。
いいクルマを「選ぶ楽しみ」+いいクルマと「出会う喜び」。クルマ選びの『プロセス』にも、その『結果』にも、満足できている・・・『そこはかとないクルマ選びの幸せ』を感じる自分なのでした。
総合評価
・乗る前の期待値越えか?
〇+ フラットでスムースな乗り味や高速域での走り味の良さ等は買う前の期待値を超えていた
・また乗りたいか?
◎ (自分の愛車なので当然ですが)色々な路・状況で乗って味わいたい
※評価基準と評価マークの意味
項目/マーク | ◎ | 〇+ | 〇 | 〇- | △ |
---|---|---|---|---|---|
期待値を・・・ | 大きく上回る | 上回る | まあ上回る | 上回る部分もあるが・・・ | 下回る |
また乗りたいか | とても乗りたい | 乗りたい | まあ乗りたい | 乗りたい面もあるが・・・ | あまり乗りたくない |
今回試乗したクルマはこちら!
〔試乗車〕:LEXUS UX250h F Sport
〔車両価格〕:4,868,000円(税込)、オプション装備(NAVI-AI-AVS・パノラミックビューモニター・3眼LEDヘッドランプ゚・ヘッドアップディスプレイ))計517,000円
〔主要諸元〕:
全長×全幅×全高・WB・車重:4,495mm×1,840mm×1,540mm・2,640mm・1,580kg
M20A-FXSエンジン:1.986L、1,46ps/6,000rpm、188Nm/4,400rpm+前モーター
サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン、タイヤ:225/50R18
〔走行概要〕:
自宅周辺走行+伊豆高原往復+豊田市往復など:1,139km、平均燃費16~18km/L
※スペック・価格などのデータは試乗時のものです。最新情報は店頭等でご確認ください。
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