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子どものころ「親が乗っていたクルマ」を探して乗ってみた ~1981年生まれ編~
少しでもクルマに興味のある人なら、“子どものころに親が乗っていたクルマ”を覚えているのではないでしょうか。その1台がクルマ好きになるきっかけになったという人もいるでしょう。
筆者もそんな一人で、クルマ好きの父が乗っていたクルマが、物心ついた頃の最初の憧れだったのを覚えていますし、そのクルマがあったから「今もクルマが好き」だと言えます。
そんなことを考えていたら、ふと「今、あのクルマに乗れたら……?」という思いが沸き上がってきました。
WANTED!三菱パジェロ(初代)
そこで、 “思い出のクルマ”と同型のクルマを探してみることにしました。“思い出のクルマ”とは、三菱「パジェロ」。1982年~1990年にかけて製造された初代モデルです。下の写真がまさに我が家のクルマで、1986年~1993年のおよそ7年間にわたって乗っていました。
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とはいえ、30年以上も前のクルマ、簡単に見つかるはずはありません……と思いきや、すぐに見つかりました! SNSで検索していたら、今も現役で走っているという1台に出会ったのです。さっそくオーナーさん(なんと18歳!)にメッセージを送ってみると、すぐに「OK」の返事が返ってきました。
そうして、30年近くの時を経て再開したのが、このクルマ↓
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我が家のパジェロが1986年式のワゴンだったのに対し、1985年式のバンと少し違いがありますが、初代パジェロの3ドア(メタルトップという名称だった)であることに違いはありません。
長い年月を経ているため劣化は見られるものの、今も現役で使われているクルマだけあって状態はよく、当時の思い出が蘇ってきました。「そうそう、こんなクルマだったなぁ」と。
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さっそく乗ってみたいところですが、なぜ18歳という若者がこの初代パジェロに乗っているのかが気になり、オーナーさんに聞いてみました。
するとこのクルマ、もともとはおじいさんのクルマだったそうです。おじさんからお父さんへ乗り継ぎ、そしてこの春に免許を取ったばかりのオーナーさんへと、受け継がれたのだとか。状態がいいのは、おじいさんがクルマの整備工場を営んでいたためだといいます。なんて素敵なストーリーでしょう……。
オーナーさんはこのパジェロを気に入っていて、カスタマイズを施したり劣化した箇所を補修したりして楽しんでいて、今は「次の車検を通すつもりで、お金を貯めています」と話してくれました。いい話!
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見れば見るほどよみがえる当時の記憶
少し話が逸れましたが、28年ぶりに初代パジェロと対面してみた筆者は、「こんなクルマだったなぁ」という思いとともに、「こんなに小さいクルマだったかな?」という感想も抱きました。
考えてみれば、このクルマとの思い出の多くは、自分が小さい頃のこと。背の高いパジェロはことさら大きく感じていましたが、改めて車体サイズを調べてみると、全長3.9メートル×全幅1.68メートルと、今の「ヤリス」と同等のコンパクトさした。
稀に街中で見かけることはあっても、内装を見る機会はありません。エクステリアを一回り見てドアをあけると、さらに懐かしい気持ちになりました。
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今ならカーナビのディスプレイが設置されるであろう場所には、当時のオフロード4WDの定番であった3連メーターが並び、5速マニュアルのシフトレバーの横には、2WD/4WDを切り替えるレバーがありました。今のSUVとは違い、当時の4WD車に高級感は皆無で、直線的なインストルメントパネルやシンプルなスイッチ類が、このクルマの性格を物語ります。
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小さいころの記憶とは鮮明なもので、レバー式のエアコン操作パネルや160km/hまでしか目盛りのないスピードメーター、果ては赤いPAJEROロゴが入ったラバー製のフロアマットまで、各部にフォーカスするたび「あぁ、そうだった!そうだった!」と思い出がよみがえるのでした。
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![](/cms-images/assets/c8f79fe8d67e4eb3a34ad72f0d950baf/4700e7f2b64342c49dda07445e3df1b5/oyanokuruma_010.jpg)
当時「パジェロを選んだ理由」を知る
オーナーさんに「ぜひ、運転もしてみてください」と言われ、ついにその時がやってきました。まずは、RECAROシートが装着された運転席に座ってシートベルトを着用。シート位置を調整したら、キーを捻ってエンジンを始動します。
エンジンは、2.3リッターのディーゼルターボ。昔ながらのカラカラという音と振動が、静かなことが当たり前となって今となっては新鮮です。クラッチを踏み、ギアを1速へ入れたら、いよいよ出発!
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低回転で力強い特性があるディーゼルエンジンだけあって、クラッチ操作も難しくなく、スルスルと走り出していきます。走りはじめてまず気がついたのは、視界のよさ。コンパクトで四角いボディーは、それだけでも見切りがいいのに、目線の高い運転席からはボンネットの隅までしっかり見えるのです。これなら、どんなに狭い道や危険なオフロードでも、怖くなさそう。
そして、2速→3速とシフトアップしていくと、思いのほかパワフルで、ハンドル操作に対する反応も素直。「これは楽しいクルマだー!」と、思わず笑みがこぼれてしまいました。ちょっとバタバタと跳ねる感じだった当時の乗り心地を思い出させてくれる、コンディションのよさにも感激!
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決して高性能ではないし、豪華装備もなにもない。だけれども、走っていると運転していること自体が楽しい。そんな印象を受けました。
1980年代後半の当時、ファミリーカーの主流はセダンで、友達の家に行くと「カローラ」や「マークII」「スカイライン」などが止まっているのを見かけるなか、「うちはなんで四駆なんだろう?」と思っていたものですが、乗ってみれば納得。父がこのクルマを選んで、長く乗っていた理由も、きっとこの“運転の楽しさ”にあったのだろうなぁ。
「思い出のクルマ」の思い出を語りたい
20代の人なら、「子どものころ、親が乗っていたクルマ」はまだまだ数多く残っているでしょう。しかし、アラフォー世代ともなると、子どもの頃のクルマは30年選手。「乗ってみたい」と思っても、そう簡単に乗れるものではありません。
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今回、こうして1980年代のパジェロに乗れたことは、大いに幸せな体験でした。18歳の若きオーナーさんに感謝です! この日の話を持ち帰って、父とまた当時の思い出を語り合いたいと思います。
取材・文:木谷宗義(type-e) 写真:先川知香 編集:奥村みよ(PASSERBY GRAFFICS)+ノオト
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