トヨタ車&レクサス車解説
トヨタ ハリアー「モデルチェンジ」の歴史~初代と最新比較
1997年に発売された「ハリアー」の初代モデルは、自動車界に大きな衝撃を与えました。衝撃の理由はいくつもあり、車体構造もそのひとつ。
当時のSUVといえば、梯子のようなフレームを車体下に組み込んで、悪路走破性や丈夫さを重視する「ラダーフレーム構造」が常識でしたが、初代ハリアーは一般的な乗用車と同様に「モノコック構造」を採用したのです。

乗用車の車体構造をもって高級SUVに仕立てた発想が画期的だった。セダンである「カムリ」の車体構造を用いて作られ、エンジンを横置きとした前輪駆動用のレイアウトでした。そんな車体構造が、前衛的だったのです。
モノコック構造を採用した車体は、険しいオフロードを走破する性能との決別を意味します。一方で、快適な乗り心地や舗装路での優れた操縦性など、それまでのSUVが持ち合わせていなかったものを手に入れることができました。
※記事公開時の情報に基づいており、最新でない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトなどでご確認ください
画期的だった「WILD but FORMAL」のコンセプト
ただし当時、そういった乗用車系メカニズムで作られたSUVがまったくなかったわけではありません。具体的にはトヨタ「RAV4」などです。
しかし、初代ハリアーには、これまでのSUVはもちろん、そういった乗用車系メカニズムのSUVとも異なる特徴がありました。インテリアがラグジュアリーなことであり、それが画期的だったのです。

乗り心地が快適なだけでなく、豪華なインテリアで快適装備が充実した高級SUV。そんな“高級クロスオーバーSUV”は、いまでこそ多く存在しますが、それを最初に生み出し、その世界を切り開いたチャレンジングなモデルが、初代ハリアーだったと言えます。
広告には、スーツを着てフォーマルにドレスアップしたライオンが登場し、キャッチコピーは「WILD but FORMAL」。力強さを感じるSUVながら都会的で洗練されていることをアピールしていました。
上質で快適で、高級セダンのようなSUV。ハリアーはそのパイオニアであり、そのクルマ作りの方向性は、いまなお初代から続いています。
ボディサイズがそれほど大きくなっていないワケ
その後ハリアーは2003年に2代目へ、2013年には3代目に、そして2020年には現行世代となる4代目へフルモデルチェンジし、代を重ねてきました。
では、1997年登場の初代と2020年デビューの現行世代では、どれだけの進化が見られるのでしょうか?各所を比較してみましょう。まず、車体サイズの変化をチェック。
初代の全長は4,575mm、全幅は1,815mmでした。一方、現行型(4代目)は全長4,740mm×全幅1,855mm。
クルマはフルモデルチェンジのたびに大型化するのが一般的。でもハリアーは、大きくはなっているものの、20年という時の流れを考えると全長で165mm、全幅で40mmの差は“あまり大きくなっていない”と言っていいかもしれません。
そもそも初代ハリアーは、アメリカ向けに「レクサスRX」として企画されたもの。アメリカ向けにゆったりとした全幅で作られていたことが、20年というスパンで見ても大きくサイズアップしていない理由と言えそうです。
「ガソリンのみ」から「ガソリンとハイブリッド」、そして「ハイブリッド」のみに
ボディサイズとは違って、パワートレインは20数年の間に大きく変わりました。
初代ハリアーに用意されていたのは、直列4気筒とV型6気筒のガソリンエンジン。そうです、まだハイブリッドはありませんでした。
現行型は、デビュー当初より直列4気筒のガソリンエンジンとハイブリッドを選べたものの2026年8月の一部改良で主力のハイブリッド(HEV)に一本化。一般的なハイブリッドに加え、電気を外部から充電してエンジンを止めたまま長い距離を走れるプラグインハイブリッド(PHEV)も2022年10月に登場しましたが、2026年8月の一部改良で設定が無くなりました。

かつて設定のあったガソリン車のエンジン排気量は2.0Lでしたが、ハイブリッドは2.5Lと、ひとまわり大きいエンジンを積むのが注目すべきポイント。ハイブリッドの燃費が優れるのは言うまでもありませんが、単にそれだけではなく「ガソリン車よりもパワーがあって動力性能も高い仕様」という位置づけなのです。
かつては燃費度外視の大排気量ガソリンエンジンで実現していた高性能仕様も、いまでは単に速いだけでなく燃費に優れたハイブリッドとなっているのは、面白いですね。
それは、クルマを取り巻く環境がここ20数年で大きく変化したことを端的に表す変化と言っていいのではないでしょうか。
4WDシステムには電気式も登場!
あわせて、駆動メカニズムも大きく変わりました。前輪駆動と4輪駆動を用意すること自体は、初代も現行モデルも変わっていません。また、ガソリン車に関しては現行モデルの4WDシステム(~2026年8月)も、従来ながらのプロペラシャフトを介してエンジンの動力を後輪へ伝えるタイプです。
しかし、ハイブリッド車の4WDは、エンジンと後輪が機械的に結びついておらず、後輪は後輪用に設置されたモーターで駆動力を生む電気式。

初代ハリアーのデビュー時には考えもしなかった電気式4WDシステムが存在するのも、時代がもたらした変化と言えるでしょう。
ちなみに電気式の4WDシステムは、ハイブリッドの登場した2代目ハリアーの時代に誕生しました。
初代になかった機能もたくさん
さて、初代ハリアーの時代にはなかったけれど今では当たり前になったもの。それはなんといっても、衝突被害軽減ブレーキをはじめとする先進安全装備です。
初代が販売されていた当時はそういった類の機能はなく、2代目でオプション設定されたのち、2017年6月のマイナーチェンジから全車標準装備となりました。

2020年発売の4代目では当然、全車標準装備で、衝突被害軽減ブレーキは車両を検知するだけでなく、歩行者や自転車も検知するように。また、運転支援技術としてレーダークルーズコントロール(前方を走るクルマと一定の車間を保って速度を自動調整する機能)、車線維持支援機能(車線の中央を走ったり車線逸脱を防ぐようハンドル操作をアシストする)なども搭載し、運転の疲労軽減をサポートしています。
そのうえ、駐車など速度が低い状態で、前方や後方の障害物に接触しそうになると警報と衝突被害軽減ブレーキ制御により衝突被害の軽減に寄与する機能も組み込み、それら機能のおかげで接触事故をおこすリスクは低減されました。それも大きな進化と言えるでしょう。
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テクノロジーの進化で変わる快適装備
運転サポートといえば、現行モデルに用意される車両周囲360度の様子をモニターに映す「パノラミックビューモニター」も初代にはなかった機能。駐車を楽にするだけでなく、車両すぐ脇などの死角を可視化することで安全確認がしやすくなります。
また、電動パーキングブレーキや、それを活用して信号待ち時などにブレーキペダルから足を離しても停止状態を保持するブレーキホールド機能も初代にはなかったアイテム。運転アシスト機能の充実度は大きく上がっています。

快適装備をみても、今では一般的になったスマートキー(所持するだけでドアロック解除やエンジン始動がおこなえるキー)は、初代にはまだ非搭載でした。いまではとっくに昔話ですが、当時は当然のようにリモコンドアロックでドアを開け、キーを回してエンジンをかけていましたね。
また、現行型では車両に通信機能が組み込まれ、カーナビの地図情報の更新といったことも可能。

スマホと連携して、スマホでドアロック状態などを確認したり、スマホ操作で乗車前にあらかじめエアコンを作動させる乗車前エアコンなど、スマホでいろんな操作ができるのも、初代モデルにはなかった機能です。通信機能との連携は、ここ5年ほどで大きく進化しましたね。
今では、スマホをキーの代わりに使って、手元にキーがなくてもドアロックを解除したりエンジンを始動することまで可能となりました。
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内容の充実度+物価の上昇で価格はアップ
ところで、初代と現行モデルで大きく異なるものといえば、価格も当てはまります。
1997年12月の初代デビュー時の価格帯は、239万5,000円から318万5,000円。ただしこれは消費税別の価格なので、現在のように消費税10%込みの価格とすると、263万4,500円~350万3,500円。すべてガソリン車ですが、高価格帯はV型6気筒エンジンを積む仕様です。

一方、現行型ハリアーの価格(税込・ハイブリッド車のみ)は、439万6,700円から540万6,500円(特別仕様車除く)となっています。
単に価格帯が上に移行しているだけでなく、安いグレードと高いグレードの差が広まっているといえるでしょう。
変わらないハリアーの神髄
こうしてハリアーの初代モデルと現行モデルを比べてみると、変わらない部分と変わった部分のコントラストの大きさを改めて感じます。乗用車感覚のラグジュアリーSUVというキャラクターはしっかり継承されているものの、パワートレインや装備、そして価格帯は時代にあわせて大きく変化していると言っていいでしょう。
しかし、「高級感」や「いいもの感」によってオーナーを満足させるクルマ作りは、初代登場時から30年近くが経つ今も、変わらないハリアーの神髄といえるのではないでしょうか?
(文:工藤貴宏 写真:トヨタ自動車 企画・編集・一部写真:木谷宗義/type-e)
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