試乗記・レポート
ハリアーとクラウン(スポーツ)の使い勝手はどう違う?ボディサイズや乗降性、荷室の広さなどパッケージングの違いを実車で比較した!
昨今の乗用車市場はSUVを中心にまわっています。それを受けてトヨタのSUVラインナップも充実。小さな車体から大きな車体、廉価なものから高額なものまで好みに応じてSUVが選べるようになりました。まさに「SUV百花繚乱」と言っていいでしょう。
そんな中、ミドルサイズの車体として人気を誇るプレミアムSUVが「ハリアー」と「クラウン(スポーツ)」。価格帯は多少異なりますが、迷う方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、両車を使い勝手の面から比べてみました!
※撮影車は最新の一部改良モデル(とは仕様が異なる)以前のモデルになります。最新モデルの詳細についてはトヨタ公式サイト(ハリアー/クラウン(スポーツ))でご確認ください
※記事公開時の情報に基づいており、最新でない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトなどでご確認ください
ハリアーとクラウン(スポーツ)の共通点は?
まずは、ハリアーとクラウン(スポーツ)で「共通していること」から再確認。それはプラットフォームです。
プラットフォームは車体設計の基礎と呼べる部分で、そこが共通していれば「兄弟か親戚のような関係」と言えるもの。ハリアーもクラウン(スポーツ)も「GA-K」と呼ばれるプラットフォームを軸に車体が設計されていて、血縁関係が深いのです。
具体的には、フロントドアよりも前にあたるエンジンルーム周辺の構造と、一部のフロア(床面)が共用されています。とはいえ、車体の設計は両車で異なり、ボディサイズを見てみるとそれがよくわかります。
全長 | 全幅 | 全高 | |
|---|---|---|---|
ハリアー | 4,740mm | 1,855mm | 1,660mm |
クラウン(スポーツ) | 4,720mm | 1,880mm | 1,565~1,570mm |
数値から、ハリアーのほうがわずかに大きいものの、ほぼ同等であることがわかるでしょう。全幅はクラウン(スポーツ)のほうが1,880mmとややワイドですが、その差はわずか25mmです。
まとめると車体は「ハリアーのほうが長く、クラウン(スポーツ)のほうが幅広。しかしその差はわずかで“ほぼ同じ”と考えて差し支えない」といったところ。全高(車体の高さ)はクラウン(スポーツ)のほうが低く、「低く構えたプロポーション」といえます。

またホイールベース(前後のタイヤ間の距離)もハリアーの2,690mmに対してクラウン(スポーツ)は2,770mmと長め。クラウン(スポーツ)のほうがタイヤを車体の四隅にレイアウトしています。
ちなみに、これでも「クラウン(クロスオーバー)」や「クラウン(エステート)」より80mm短い数値です。
ラゲージルーム(トランク)と後席はハリアー優勢
では、実用性を大きく左右するラゲージルーム(トランク)はどうでしょう。
後席使用時の荷室容量 | |
|---|---|
ハリアー | 402~409L |
クラウン(スポーツ) | 397L |
後席使用時の容量は、ハリアーが402L(ガソリン車/ハイブリッド車)~409L(プラグインハイブリッド車)。クラウン(スポーツ)は397L(パンク修理キット装着車)。ハリアーのほうが若干広いものの、ほぼ互角と言っていいでしょう。
後席使用時の床の「奥行き×幅」は、ハリアーが最大985mm×1,005mm(ホイールハウスが張り出した部分)~1,265mm(もっとも広い部分)。一方のクラウン(スポーツ)(パンク修理キット装着車)は920mm×985~1,460mm。
奥行きではハリアー優勢、幅(最も広い部分)ではクラウン(スポーツ)がリードとなります。奥行きやスクエアさ(側面の凹凸の少なさ)から、荷室の実用性を重視するのであれば、ハリアーのほうが有利だと言えるでしょう。
後席居住性に関しても、ひざ回りのゆとりと全体のゆったり感の両面からハリアー優勢。筆者が運転席を適正に調整してその後ろに座ってみると、ハリアーではひざ前の空間が約210mm。クラウン(スポーツ)だと約170mmでした(ともに実車で計測)。
また窓の大きさなどから得られる開放感は、明確にハリアーがリードしていることを実感します。
室内の長さを表す室内長は、ハリアーが1,880mmでクラウン(スポーツ)は1,850mm。クラウン(スポーツ)のほうが短いのは、単に全長が短いだけでなく、ボンネットを長くしたスポーツカー的なプロポーションが影響しているから。クラウン(スポーツ)は、実用性を配慮しつつもデザインを重視していると言えます。
「スポーツ」の名のとおりの着座位置
クラウン(スポーツ)で印象的なのは、着座位置の低さ。
フロントシート(基準値)の床に対する着座位置の高さは、ハリアーに比べてクラウン(スポーツ)は80mmほど低く、スポーツカーライクに低く構える運転ポジションがスポーティな雰囲気を感じさせます。
反対にハリアーの着座位置は高めで、SUVを感じさせるもの。スポーティな運転感覚という意味ではクラウン(スポーツ)が優勢ですが、視界の広がりや周囲の見やすさではハリアーが勝ります。
また、地面に対する着座位置の高さは、ハリアーが約700mmなのに対して、クラウン(スポーツ)は約640mmとこちらも低め。わずか60mm違うだけとはいえ、乗り降りしてみると乗降性は数字以上の違いを実感します。
背の高い人はハリアー、そうではない人はクラウンのほうが乗り降りしやすいと感じることでしょう。このあたりは、体格によって印象が異なるので実車で確かめてみることをおすすめします。
PHEVが選べるのはクラウン(スポーツ)のみ!
では、パワートレーンの違いはどうでしょうか。
ハリアーに用意されているパワートレーンはハイブリッド車(HEV)のみ。一方、クラウン(スポーツ)はHEVとプラグインハイブリッド車(PHEV)の2タイプです。ハリアーは2026年8月3日の一部改良に伴い、ガソリン車およびPHEVが廃止となり、HEVに一本化されました。
両車のHEVにおいて異なるのは駆動方式。ハリアーのHEVは2WDとE-Four(4WD)が選べるのに対して、クラウン(スポーツ)のHEVは全車E-Four(4WD)のみとなります。
ハリアーとクラウン(スポーツ)の価格差はおよそ100万円
パワートレーンや駆動方式の選択肢もあって、大きく異なるのが価格です。記事公開時点での価格(税込)は、439万6,700円から選べるハリアー(G・2WD・HEV)に対して、クラウン(スポーツ)(SPORT G・E-Four・HEV)は532万7,300円から。手ごろ感があるのは2WDも選べるハリアーです。
HEVの上級仕様・E-Four同士での価格を見ると、ハリアー(Z・E-Four・HEV)が508万6,400円で、クラウン(SPORT Z・E-Four・HEV)は606万1,000円。
価格帯は明確にクラウン(スポーツ)のほうが高く、およそ100万円ほど上にスライドしていると捉えればいいでしょう。

もちろん、その価格には装備の充実度も影響しています。クラウン(スポーツ)はベーシックグレードであっても21インチタイヤ&アルミホイール(ハリアーは18~19インチ)をはじめ、パノラミックビューモニター(床下透過表示機能付)を標準装備(ハリアーはZに標準装備、Gグレードにメーカーオプション)。
またクラウン(スポーツ)の「SPORT Z」や「SPORT RS」には、自動車専用道路の渋滞時(0km/h〜約40km/h)にドライバーのハンドル操作をサポートしてくれるトヨタ チームメイト[アドバンスト ドライブ(渋滞時支援)]が備わっていますが、ハリアーにはその機能の設定がありません。
ハンドル操作に応じて後輪の向きを変えるDRS(ダイナミックリヤステアリング)も、クラウンに標準装備される一方でハリアーには設定がない機能です。
基本装備はハリアーでも十分に充実していますが、高度な機能をはじめ、装備の充実度は価格の分だけクラウン(スポーツ)のほうがやっぱり高め。
また、クラウン(スポーツ)の「SPORT RS」は、スポーツシート(身体を保持する能力を高めた形状)や対向6ピストンのフロントブレーキキャリパーを標準装備するなど、スポーティな走りのための機能もひときわ充実。それらはハリアーには設定のないものです。
後席重視ならハリアー、走る楽しさはクラウン(スポーツ)
こうしてハリアーとクラウン(スポーツ)を比べてわかるのは、流麗なデザインを持つことやボディサイズは似ていながらも、パッケージングは異なり、後席や荷室の広さを重視するならハリアーが優勢だということ。
一方でクラウン(スポーツ)は、低く構えたスポーティなパッケージングにより、実用性よりも走る楽しさを強調するキャラクターだということが理解できます。とはいえ、ハリアーだって十分に高級車。室内の仕立てに関してはどちらも上質感があり、満足できる仕上がりといえるでしょう。
価格面をみると、比較的手が届きやすいハリアーに対し、クラウン(スポーツ)は約100万円ほど高い価格帯で、より上のポジションと理解できます。そこは「クラウン」というトヨタの上位モデルの血を引いていることを実感させるポイントと言えるのではないでしょうか。
(文:工藤貴宏 企画・編集・写真:木谷宗義/type-e)
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