試乗記・レポート
ヤリスクロス/ハイブリッドを試乗レビュー!商品性高いコンパクト・クロスオーバー
2020年8月の発売以来、着実に台数を伸ばしているBセグメント車「ヤリス」のSUVバージョン“ヤリス クロス”。今回、富山県のイベント会場“イオックスアローザ”への往復500km強をレンタカー(ハイブリッド・Xグレード)で走行しましたので、クルマ大好き元トヨタの企画マン、公私合わせて1,800台以上のクルマを試乗してきた試乗のプロフェッショナル、ハマやんの視点から特徴を分解し、感想・印象をレポートしたいと思います。
※試乗実施時期の情報をベースにしており、最新の新車販売グレードにはない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトでご確認ください。
試乗実施時期:23年10月
ヤリス クロス・ ハイブリッド 試乗概要
日本の街中で扱い易い大きさ・パッケージ。“SUVっぽさ”を上手く演出
ヤリス クロスはBセグメント車“ヤリス”をベースとしたクロスオーバーSUV商品ですが、ヤリスより少し大きいとはいえ、日本の街中で扱い易い大きさのモデルだと感じました。今回の試乗は高速道(東海北陸道)中心でしたが名古屋・富山の街中も走り、街中や駐車場でも運転し易いサイズ感・高い視点による良好な視界で、とても扱い易いクルマでした。
寸法比較 | 全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) | ホイールベース(mm) |
---|---|---|---|---|
ヤリス クロス | 4,180 | 1,765 | 1,590 | 2,560 |
ヤリス | 3,940 | 1,695 | 1,500 | 2,550 |
カローラクロス | 4,490 | 1,825 | 1,620 | 2,640 |
ライズ | 3,995 | 1,695 | 1,620 | 2,525 |
エクステリアデザインは、ベースとなるヤリスとは大きく違っており、クロスオーバーSUVらしいラギッド感やアクセントも添えられ、Bセグメント商品としては強い存在感を持ったものになっていると感じました。
クルマの外観は商品性を大きく左右する重要な商品特性ですが、このヤリス クロスに関しては、ベースのヤリスより一回り大きい事、全体プロポーション・スタイリングによって“クロスオーバーSUVらしさ”が表現されている事、によって、高い商品性を持ったクルマに仕立てられていると思いました。
インテリアの感じはヤリスに近いが仕様装備は+α
内装デザインは、ヤリスのそれと似た感じの雰囲気で、どちらかというとシンプルで質実剛健な感じ、ポジティブな意味で万人向けの感じがしました。
レンタカーゆえベースグレード“X”でしたが、仕様装備は充分なものがあり、例えばベースのヤリスのXグレードには装備されないデジタル式速度計やパーキングブレーキホールド等、便利な装備も標準設定されていました。
3気筒感あるが、ハイブリッドの助けで必要充分以上の動力性能。燃費も良好
以前、ヤリスのハイブリッドに乗った際、その高速性能のレベルアップ度合いに驚かされたものですが、ヤリスより100kg重いヤリス クロスでは、そこまでの動力性能ではないものの、高速道路でも充分以上の性能で走行してくれました。
強めの加速では、重量負荷のためか?どうしても3気筒のエンジンビートが気になってしまいましたが、動力性能自体は、発進加速・追い越し加速・巡航…どんな場面でも余裕を持ったもので、今回の走行は往復で500km以上の行程でしたが、Bセグメント車でも、さほど疲れることもなく行き来できました。
また燃費性能も良好で、高速道走行中心なのでWLTCの30.8km/Lには届きませんでしたが、メーターの平均燃費計測(高速中心)では、21.4~23.3km/Lを記録でき、クロスオーバーSUVとしては低燃費なクルマと言えるように思いました。
少しファームな乗心地。シャキシャキした走りには良いが、もう少し柔軟さ期待
ベース車ヤリスの乗り味は“地に足が付いた感じ”と思いましたが、ヤリス クロスの乗り味についても、同様に“地に足が付いたシッカリ感”あるものと感じました。
特に街中やワインディング路ではちょうどよい脚で俊敏に走れるように思いましたが、一方、高速道走行では少しファームさを感じてしまう乗心地だと感じられ、高速道路の継ぎ目や凸凹乗越えなど、“もう少し柔軟さがあると良いのになあ…”と思いました。
ADASのおかげでラクな高速道路走行
ADAS(先進運転支援システム)は、今や全ての車種クラスで当たり前のものとなっていますが、このヤリス クロスにも装着されています。衝突回避を試すことはできませんが、通常走行で使えるADASは、レーダークルーズとレーンキープアシスト。東海北陸道での走行は、ほぼレーダークルーズONで走行しました。
設定速度自体での走行機会はさほど多くはなく、交通の流れについての走行となりますが、レーダークルーズをONにしてセットしておけば、車間距離のキープに関してはクルマ任せに出来て本当にラクに走行できました。
高速走行を格段にラクにしてくれるレーダークルーズに較べると、レーンキープの方は、制御がもう少し精緻になってほしいなあ…と感じるものでしたが、いずれにしても、「ADASラクでいいわ。今のクルマはホントに進歩しているなあ…」と、感じさせるADAS装備でした。
競争力ある価格
「ヤリスは低価格でお買い得なクルマ」という定評がありますが、それはヤリス クロスにもあてはまると思います。「お買い得=Value for Money」という言葉には、「価格が安い」というだけでなく、「内容・仕様装備が(価格に対して)充実している」という意味も含まれ、ヤリス クロスのクルマづくりには、まさに「Value for Money」が意識され具現化されていると考えられます。
ヤリス クロス(2WD)の車両本体価格
- HEV:228万4,000円(X)~239万4,000円(G)~260万6,000円(Z)~275万円(GR SPORT)
- GAS:189万6,000円(X)~202万円(G)~223万2,000円(Z)~236万7,000円(GR SPORT)
(安全装備やADAS等でクルマ全体の価格が上昇している中で)、このヤリス クロスの価格が、ほぼ200万円台に収まっているのは、「お買い得」であり、「価格競争力」なのではないでしょうか?
ヤリス クロス・ ハイブリッド 試乗レビューまとめ
ヤリスベースのクロスオーバーSUV=商品性高い「今どきのマジョリティ」
- 世の中のSUVクロスオーバー化を捉えた商品
- ベース車ヤリスより少しだけ大きく、仕様装備充実させたクルマづくり
- 競合車・トヨタのSUVラインアップ上、絶妙なポジションにある価格帯
- 動力性能・運動性能・安全快適装備等、誰にでも勧められる商品
- ベースグレードでも必要充分な仕様装備のクルマづくり
- 開閉音等“Bセグらしさ”を感じさせる面もあるが全体の商品性の高さ
総合評価
- 乗る前の期待値越えか?
〇 (ヤリスベースで上手く造られた流行りのSUV。まとまり良い商品) - また乗りたいか?
〇 (GR Sport版など長距離乗ってみたい感じ)
※評価基準と評価マークの意味
項目/マーク | ◎ | 〇+ | 〇 | 〇- | △ |
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期待値を・・・ | 大きく上回る | 上回る | まあ上回る | 上回る部分もあるが・・・ | 下回る |
また乗りたいか | とても乗りたい | 乗りたい | まあ乗りたい | 乗りたい面もあるが・・・ | あまり乗りたくない |
今回試乗したクルマはこちら!
〔試乗車〕:ヤリス クロス ハイブリッドX
〔車両価格〕:車両本体価格2,284,000円
〔主要諸元〕:
全長×全幅×全高・WB・車重:4,180mm×1,765mm×1,590mm・2,560mm・1,160kg
M15A-FXEエンジン:1,490cc、91ps/5,500rpm、120Nm/3,800~4,800rpm+電気モーター、WLTC燃費:30.8km/L
サスペンション前/後:ストラット/トーションビーム、タイヤ:205/65R16
〔試乗概要〕:532km走行、平均燃費21.4~23.3km/L
※スペック・価格などのデータは試乗時のものです。最新情報は店頭等でご確認ください
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