試乗記・レポート
LEXUS IS300h “F SPORTを試乗レビュー” セダンならではの“乗りやすさ”と“低重心感”。マイナーチェンジとしては大きな変更と改良。しかし・・・
2020年に大規模なマイナーチェンジを受けたLEXUSのセダン“IS”。変り映えある外観スタイルや様々な改良でレベルアップされた運動性能が好評に受け止められているようですが、実際に乗ってみてどう感じたのか?クルマ大好き元トヨタの企画マンで、公私合わせて1,800台以上のクルマを試乗してきた試乗のプロフェッショナル、ハマやんの視点から特徴を分解し、その魅力を探るレポートです。
※試乗実施時期の情報をベースにしており、最新の新車販売グレードにはない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトでご確認ください。
試乗実施時期:2023年5月
LEXUS IS300h “F SPORT”試乗概要
変り映えある外観スタイル。コンパクトさが好ましい感じ
新型ISの第一印象は、“マイナーチェンジモデルとしては外観スタイルの変り映えが大きいなあ・・・”というもので、特にリヤボディ~トランクリッドの造形が新しく、後方から見たスタイルは“モデルチェンジか?”と思わせる変り映えが表現されていると感じました。
現行ISは、2013年に発売された3代目ですが、大規模マイナーチェンジによって、10年も経過したとは思えない佇まいがあると思いました。
全長4,710mm・全幅1,840mmと、決してコンパクトではないサイズのISですが、昨今のSUVクロスオーバーを見慣れた目には、“コンパクトで扱い易そう”に見え、好ましく感じられました。
セダンならではの乗り易さ・扱い易さ・手の内感
乗って走り始めた際の第一印象も、“乗り易く・扱い易い”といったもので、(昨今はSUVクロスオーバーに乗る機会の方が多いが)、“やはりセダンは乗り慣れているし、狭い街中や混んだところでも走行しやすい”と、改めて感じさせられました。
今のSUVクロスオーバーは、視界やクルマの見切り、操作性など、よく考えているので、街中でも運転しやすいクルマが多いのですが、コンパクト&低重心で、視点や視界も慣れた感じの強いセダンに乗ると、その乗り易さ・扱い易さ・手の内感は、“セダンならではのものだなあ”と感じます。
静かでスムースなハイブリッドパワートレーン
試乗車のパワートレーンは300h(2.5Lエンジン+ハイブリッド)で、ほかに500(5.0Lエンジン)350(3.5Lエンジン)300(インタークーラー付きターボ2.0Lエンジン)が用意されています。300hはラインアップの中核に位置付けられるもので、マイナーチェンジでは、基本スペックは不変ながら細かいリファインが加えられているそうです。
全体的に静かで、街中の普通走行では、その音や加減速のフィールなど、“よく躾けられている”感じで、普通に走っている限り、ストレスなく、またパワートレーンの存在に気遣わされることもなく、スムースに走るクルマという印象でした。
何回か試みた街中でのフル加速では、さほど迫力は感じないが車速は着実に上がるタイプのようで、充分な動力性能を得る事ができ、また燃費は、平均燃費表示によると、街中走行で10~12km/L位?というところで、まずまずな感じでした。
F SPORTには走行モード切替(NAVI AI AVS)が標準装着されており、色々切り替えてみましたが、SPORTモードよりもNORMALの方が自然で、このクルマの走り味に合っている感じがしました。
“F SPORTらしい”ソリッドな乗心地。微少な操舵が気持ちよい
走り味の面で最も印象的だったのは、走行時の操舵フィーリングでした。僅かな操舵に対してしっかりクルマが反応する・・・クルマと自分の気持ちがうまくシンクロしているような印象がありました。このあたりも運転のし易さ・乗り易さ・手の内感に好ましい影響を与えているのではないでしょうか?
乗心地については、(これもマイナーチェンジでリファインされているようですが)、ソリッドでいかにも F SPORTらしいものと感じました。凸凹や継ぎ目等からの直接的ショックを吸収しつつも路面状態を常に感じさせてくれるようなソリッドさで、角が丸められたシッカリ感だと思いました。
室内デザイン・操作系は最新LEXUSとは違うが・・・操作性は良好
室内デザインについてもマイナーチェンジなりの変更が加えられていました。が、最新のLEXUS車に搭載されている大型ディスプレイやタッチスイッチによるものとは違う一世代前のもので、そのあたりに最新モデルとの違いを意識させられました。
とはいえ、操作性は悪くなく、今のタッチスイッチよりも使いやすい面もあると感じられ、このISの乗り易さ・扱い易さには、操作系・スイッチ類の扱い易さも寄与しているのではないか?と思いました。
LEXUS IS300h “F SPORT”試乗 まとめ
セダンゆえの扱い易さは好印象⇔自分のクルマとして選択できるかは別
久しぶりに乗ったセダン“IS”でしたが、セダンゆえの乗り易さ・手の内感を感じ取ることができました。“低い視点・視線”“低重心感”“相対的なコンパクトさ”等、これまで長い間慣れ親しんだクルマ・・・ゆえという感じがしました。
しかしながら、好印象とはいえ“自分のクルマとして選択できるか?”は、また別の話で、昨今の状況(=セダン不振)では、なかなか難しいと思ってしまいます。
大規模マイナーチェンジで大きく進化⇔マイナーチェンジゆえの限界もあり
久しぶりに乗った“IS”は、大規模マイナーチェンジにより変化・進化していることがわかりました。モデルチェンジ並みとは言い難いが、商品改良としては大規模だと思います。
外観スタイル(の変り映え)・操舵フィーリング・乗心地など、変化&進化している面に対しては素直にポジティブな感想を持つことができました。
がしかし、同時に、マイナーチェンジゆえの限界も、室内デザインや操作性・乗り味全体の感覚等に感じざるを得ませんでした。
本当に走りを楽しめるクルマとして今後も存在し進化し続けてほしいが・・・
LEXUS ISというクルマはプレミアムDセグメントセダンとして、German3をはじめとするプレミアムブランド各社の競合商品(3、C、A4、XE等)同様、かつてはプレミアムブランドの量販中核車種たる位置づけの商品でした。
マーケットの大きな変化に伴い、SUV/クロスオーバー化が進展し、セダンモデルはかつての勢いを大きく失っているように見受けられます。
いちユーザーの立場で言えば、ワインディングロードやサーキット走行など、本当に走りを楽しめるクルマとして、今後も存在し進化してほしいが、かたや“セダン全般に不人気な状況”・・・という現実を見ると、“存在自体が危ういのかもしれない”・・・ちょっと複雑な気持ちになりました。
総合評価
・乗る前の期待値越えか?
〇 (マイナーチェンジとしては変り映え・操舵フィールなど期待値を超えていた)
・また乗りたいか?
〇- (ワインディング路など走る機会あれば・・・)
※評価基準と評価マークの意味
項目/マーク | ◎ | 〇+ | 〇 | 〇- | △ |
---|---|---|---|---|---|
期待値を・・・ | 大きく上回る | 上回る | まあ上回る | 上回る部分もあるが・・・ | 下回る |
また乗りたいか | とても乗りたい | 乗りたい | まあ乗りたい | 乗りたい面もあるが・・・ | あまり乗りたくない |
今回試乗したクルマはこちら!
〔試乗車〕:LEXUS IS300h “F SPORT”
〔車両価格〕:車両本体価格5,800,000円 オプション装備(本革内装等)計566,500円
販売店装着オプション 計226,659円、税金等114,990円
総合計6,708,149円
〔主要諸元〕:
全長×全幅×全高・WB・車重:4,710mm×1,840mm×1,435mm・2,800mm・1,690kg
2AR-FSEエンジン:2,493cc、178ps/6,000rpm、221Nm/4,200~4,800rpm
+モーター、RWD、 WLTC燃費18.0km/L
サスペンション前/後:ダブルウィッシュボーン/マルチリンク、タイヤ:235/40R19
〔試乗概要〕:レクサス名古屋西・試乗車両、販売店周辺約8km試乗ルート
※スペック・価格などのデータは試乗時のものです。最新情報は店頭等でご確認ください
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