試乗記・レポート
大人気ハイト系コンパクトカー トヨタ「ルーミー」を試乗!その魅力とは?
2021年の国内乗用車販売ランキングで、ヤリスに続く第2位となったトヨタ「ルーミー」。年間13万4千台も購入いただいた商品の魅力はどんなものか?
クルマ大好き、元トヨタの企画マンで、公私合わせて1,800台以上のクルマを試乗してきた試乗のプロフェッショナル、ハマやんの視点から、「ルーミー」の特徴を分解し、その魅力を探るレポートです。
※試乗実施時期の情報をベースにしており、最新の新車販売グレードにはない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトでご確認ください。
試乗実施時期:2021年9月
ルーミー試乗概要
パッケージング:コンパクトな車体に背の高いパッケージによるユーティリティ
ルーミーの車体寸法は全長3,705mm・全幅1,670mm・全高1,735mmと、とてもコンパクトで、軽スーパーハイト系商品に対して、全長+310mm・全幅+195mm・全高-20mm(ダイハツタント比)というサイズ感は、軽よりは明確に大きいがコンパクト系商品としては小さな部類に入ります。(参考:ヤリスは全長3,940mm・全幅1,695mm・全高1,500mm)
見た目にも、全長・全幅は短いが背は高く、いかにも“スペース重視”のコンパクト車らしい雰囲気に満ちていると思いました。
(写真は名古屋駅近くのミッドランドスクエア内にあるトヨタのショールームで撮影したものです。カスタムGグレード)
パッケージング②:長さ・幅の小ささを車高の高さでカバーしたパッケージ
ドアを開けて中に乗り込むと、そこには結構広い空間が広がっており、前席・後席ともに充分なサイズが確保されていました。
カタログ冒頭の説明文章に「使える!動ける広い部屋!」とありますが、確かに、(コンパクトなサイズなのに)乗り込むとそこは「広い部屋」のような空間で、ユーティリティあるクルマだと思いました。
街中走行:“広い窓”・“高い視点”・“小さな車両サイズ”相俟って、街中走行が超ラクなクルマ
試乗しての第一印象は『街中走行が超ラクなクルマ』というものでした。前面・側面のガラス窓がとても広い事に加えて、高めの着座位置・高い視点による周辺の視界が良好で、更に車体サイズのコンパクトさのために、混んだ街中走行や、狭い路・駐車場等でも余裕をもって運転することができ、街中のどんな狭い路でも入っていけそうな気にさせるクルマだと思いました。小さなサイズ+背の高さというハイト系コンパクト車のパッケージは、室内空間の確保だけでなく、運転のし易さにも効いているのではないか?という気がしました。
(写真上:計器盤周りには多数のスイッチが配され装備の充実度合を物語っている)
走行性能:3気筒ターボ+CVT(※)は『3気筒感』あるが・・・
ルーミーの最上級グレードであるカスタムG-Tは、ターボエンジン搭載車です。最高出力98ps・最大トルク140Nmを発揮する1.0Lターボ・・・とはいえ、その走行フィールは「高性能」というよりも「走行に余裕を持たせるエンジンパワー/トルク」という感じが強く、“ターボ”を意識することはあまりありませんでした。
加速時のエンジンサウンド・ビートは、「3気筒感」あるもので、少し気にはなりましたが、「このクルマにはこのサウンドも合っているのかな?」という気がしました。街中を巧みに走り回るクルマに似合っているサウンドという感じがしたからです。
全体として、街中走行での余裕度や乗り味など、キャパシティ的に必要充分なレベルにあるパワートレーンではないか?と思いました。
※CVT:無段変速機
(写真上:展示車はカスタムGのためノンターボエンジン)
燃費:重量差あるターボエンジン車なりの燃費レベル
コンパクト商品で重要な商品要素である“燃費”については、短時間の街中試乗のため、計測できませんでしたが、WLTC燃費では16.8km/Lという事で、トヨタのコンパクト系商品の中では(パッソ:21.0km/L、ヤリス1.0L:20.2km/L、ヤリス1.5L:21.6km/L)、やはりハイト系で重量も重い(ルーミーG-T:1,110kg、パッソ:910kg、ヤリス1.0L:940kg、ヤリス1.5L:990kg)だけの燃費差はあるようです。
乗り味:まずまずの乗心地で、このクルマのキャラに合っている乗心地については、コンパクト車として全体にまずまずと言えるもので、このクルマのキャラクターに合っているように感じられました。
街中によくある凸凹や路面継ぎ目の乗り越えなど、素晴らしいとまでは言えないが、悪くもなく、適度に柔らかく、適度にダンピングが効いている感じで、乗心地のセッティングも「街中の走行」・「2-3人乗車」に焦点を合わせたものなのかな?と思いました。
装備:安全関連や使い勝手面など充実した装備体系
今どきのクルマとしてADAS(※)・安全装備が充実しているのは当然のことですが、ルーミー(上級グレード)は、電動パーキングブレーキ・ブレーキホールドも装着されており、ラクな運転が更にラクになるように思われました。
※ADAS:先進運転支援システム
また、空間の使い勝手の良さを更に引き上げるための“パワースライドドア(予約ロック機能やウェルカムドアロック解除機能/ウェルカムパワースライド機能付き)”や“ダイブインリアシート”、室内各所に配置された“収納スペース”など、キャッチフレーズの「使える!動ける広い部屋」を実現するための装備が充実している商品と感じました。
感想①:色々な層に人気ある理由が分かった
乗る前は、「このルーミーというクルマはどんなお客様が買われているのだろう?カタログに出てくるような若いファミリー層かなあ?」と疑問に思っていました。
乗ってみて、そのコンパクトさ・運転のし易さ・ユーティリティを実感するにつけ、そうしたこのクルマの特徴をよく理解していただいたうえで、幅広い層に受け入れられているのではないか?という気がしてきました。(そう思って、近所で走っているルーミーを見てみると、様々な方が運転されており、意を強くさせられました)
軽自動車ではスーパーハイト系車種(ホンダN-BOX・ダイハツタント・スズキスペーシア・日産ルークス等)が最量販車種になっているようですが、その購入理由・重視するポイントと、このルーミーを選択する理由・重視するポイントは、重なっているように思われ、軽・除軽を問わず“ハイト系コンパクト車”のマーケットが存在する事が表れているのではないでしょうか?
感想②:クルマの使用価値を追求したパッケージ。でも、それだけではない感じがする
コンパクトサイズに背の高い車体パッケージをもつハイト系コンパクト車ルーミー。その使用価値は抜群のものがあると実感できました。カタログの中には、「ROOMYを外に持ち出して、快適な暮らしを叶えるROOMYSTに」という表現がありますが、まさにこのクルマの使用価値を表している言葉だと思います。「使用価値が高い」商品魅力を持つクルマ。それがルーミーの特徴であることは疑いないのですが、何となく「それだけではない」感じもします。
- 視界・コンパクトさから「街中走行が超ラク」という基本価値
- 軽の量販車に似たスーパーハイト系コンパクトスタイルという感性価値
(“流行り”のスタイルという意味)そのような価値も持っており、それ故の2021年国内販売台数第2位という実績なのではないか?そんな気がしました。
総合評価
・乗る前の期待値越えか?
〇 街中での乗り易さや全般的な使い勝手等、事前の期待値を超えていた
・また乗りたいか?
〇 自分のニーズには合っていないが、コンパクト多用途車としては選択肢か?
※評価基準と評価マークの意味
項目/マーク | ◎ | 〇+ | 〇 | 〇- | △ |
---|---|---|---|---|---|
期待値を・・・ | 大きく上回る | 上回る | まあ上回る | 上回る部分もあるが・・・ | 下回る |
また乗りたいか | とても乗りたい | 乗りたい | まあ乗りたい | 乗りたい面もあるが・・・ | あまり乗りたくない |
今回試乗したクルマはこちら!
試乗車〕:トヨタ・ルーミー カスタムG-Tグレード
〔車両価格〕:2,046,000円(税込)
〔主要諸元〕:
全長x全幅x全高・WB・車重:3,705mmx1,670mmx1,735mm・2,490mm・1,110kg
1KR-VETエンジン:996ccターボ、98ps/6,000rpm、140Nm/2,400~4,000rpm
サスペンション前/後:ストラット/トーションビーム、タイヤ:175/55R15
※スペック・価格などのデータは試乗時のものです。最新情報は店頭等でご確認ください。
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