トヨタ車&レクサス車解説
クラウン(スポーツ)は乗りやすい?実際に乗って分かった日常での使いやすさを徹底レビュー
2023年11月にハイブリッドモデル、同年12月にPHEVモデルが発売された「クラウン(スポーツ)」。クラウンシリーズの中でも、スポーティな走りを重視したモデルで、ワインディングなどでは、SUVとは思えない意のままのハンドリングや爽快な加速フィールを味わえます。
ただ、購入を検討するうえでは、「日常でも使いやすいのか」という点は気になりますよね。そこで今回は、ハンドリング性能や加速感ではなく、乗り降りのしやすさや運転のしやすさ、室内や荷室の使い勝手など、毎日のカーライフに直結する視点からクラウン(スポーツ)をチェックしました。はたしてクラウン(スポーツ)は、初めて乗る人でも扱いやすいモデルなのか。実際に使って感じたよかった点と気になった点を率直にお伝えします。
※記事公開時の情報に基づいており、最新でない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトなどでご確認ください
クラウン(スポーツ)に乗り込んで分かった、見た目以上の扱いやすさ
今回利用したクラウン(スポーツ)はZグレードのハイブリッド車です(※)。
※撮影車は最新の一部改良モデル(とは仕様が異なる)以前のモデルになります。最新モデルの詳細についてはトヨタ公式サイト(クラウン(スポーツ))でご確認ください

クラウン(スポーツ)(以下、「クラウン(スポーツ)」)に乗り込み、最初に感じたのは、見た目以上に乗り降りしやすいことでした。

SUVらしい適度な着座位置の高さに加え、サイドシルの段差も小さいため、前席、後席とも足をスムーズに出し入れできます。

スポーティなデザインを優先した車では、乗降性が犠牲になる場合もありますが、クラウン(スポーツ)ではそうした不便さは感じませんでした。
試乗したのは2026年7月下旬。この日は、関東地方の広い範囲で猛暑日(最高気温35度以上)となった日でしたが、標準装備のシートベンチレーションによって背中や座面が蒸れにくく、快適に移動できました。

運転席のシートはホールド性が高く、体をしっかりと支えてくれます。座り心地はやや硬めですが、長距離でも疲れにくそうです。ステアリングのチルト・テレスコピック調整は電動式で、自分に合った運転姿勢も取りやすくなっています。
ただ、ステアリングのテレスコピック(前後調整)は、もう少し手前まで調整できると、より自然な運転姿勢を取りやすいと感じました。ペダル位置に合わせてシートの前後位置を調整すると、身長165cmの筆者にはステアリングがやや遠く感じられました。筆者の体格による部分もありますが、小柄なドライバーは同じように感じるかもしれません。

エンジンスタートスイッチは、ステアリング左側の奥に配置されています。慣れれば操作に不便はありませんが、トヨタ車でも車種によって位置が異なるため、乗り換えた直後は少し探す可能性があります。

後輪操舵によって、ボディサイズを感じさせない扱いやすさ

クラウン(スポーツ)のボディサイズは全長4,720mm、全幅1,880mm、全高1,570mm、ホイールベース2,770mm。トヨタ「ハリアー」の全長4,740mm、全幅1,855mm、全高1,660mm、ホイールベース2,690mmと近いサイズですが、タイヤまわりを大きく張り出させた力強いフェンダーデザインもあり、実際の数値以上にワイドな印象を受けます。
そのため、試乗前は、街中では少し気を使うのではないかと思っていましたが、実際に乗ると、想像していたほど大きさを意識せずに運転できました。
特に感じたのは、ボディサイズから想像する以上に小回りが利くことです。狭い駐車場でも切り返しの回数を抑えやすく、車庫入れや幅寄せもスムーズに行えました。小さく曲がる必要がある交差点での左折や、駐車位置の微調整もしやすく、「運転しやすい」という印象を強く受けました。
この扱いやすさを支えているのが、最小回転半径5.4mという取り回し性能です。クラウン(スポーツ)は21インチタイヤを装着し、タイヤ幅は235mm。さらに後輪操舵システムも採用することで、このボディサイズながら小回りのよさを実現しています。都市部の狭い駐車場などでは、そのメリットを実感しやすいでしょう。

シースルービューも、運転のしやすさを支える機能のひとつです。車両を上から見下ろしたような映像だけでなく、車体の下側を透過したような映像も表示するため、白線や縁石との位置関係を把握しやすくなっています。車幅感覚をつかみやすく、狭い駐車スペースでも余計な緊張を感じにくいでしょう。

操作系にも、使い勝手への配慮が感じられました。ハザードスイッチは車両中央付近に配置されているため位置が分かりやすく、運転席と助手席のどちらからでも手を伸ばしやすくなっています。

小ぶりな電子制御シフトレバーは、右方向へ押しながら上下に動かす方式。操作方法はシンプルで、初めて乗る人でも迷いにくいでしょう。

ただ、試乗時には、DやRへ入れる際の操作量が足りず、意図せずN(ニュートラル)に入ることが何度かありました。操作後は、メーター内の表示を見て、目的のシフトポジションに切り替わっているか確認すると安心です。
後席と荷室は必要十分。使い勝手とデザインを上手に両立
クラウン(スポーツ)は後席も快適です。後席は、大人が座っても足元に強い窮屈さはありません。ただし、RAV4やハリアーと比べると、足元の余裕はやや少なく感じます。

頭上と左右には、それぞれ拳ひとつ分ほどの余裕があります。ただし、天井やCピラーが近いため、実際の空間以上に囲まれた感覚があります。

圧迫感を覚えるほどではありませんが、後席でゆったりくつろぐことを最優先にした車というより、前席を中心に考えたパッケージのように感じます。クラウンという車名から広々とした後席を想像すると、少し印象が異なるかもしれません。

また、後席のシートバックの角度は固定式。リクライニング機能があれば、長距離移動ではさらに過ごしやすいと感じました。
荷室は、日常や旅行で使いやすい容量を確保しています。クラウン(スポーツ)は傾斜したバックドアを採用していますが、後席シートバックを倒さなくても、中型スーツケースを2個積載できました。

さらに、6:4分割の後席の片側を倒すと、ゴルフバッグ2個と中型スーツケース2個を無理なく積めます。これなら、大人2~3人でゴルフへ出掛けるような使い方にも十分対応できるでしょう。

後席を倒して荷室を広げると、身長165cmの筆者は横になることができました。ゆとりをもって車中泊を楽しめるほどではありませんが、旅行用品やアウトドア用品を積むには十分な容量です。

ただし、荷物の積み降ろしでは少し気になる点もありました。荷室の床面が地面からやや高いうえ、開口部にも約5cmの段差があるため、重い荷物は高い位置まで持ち上げなければなりません。荷室開口部の低いステーションワゴンやミニバンと比べると、積み降ろしには力が必要です。

また、荷室側から後席シートバックを倒す機能はありません。長い荷物を積む際は、一度後席ドア側へ回り、シートの肩付近にあるレバーを操作する必要があります。使用する機会は多くないかもしれませんが、荷室側から操作できると、さらに便利だったでしょう。
ただ、スポーティなスタイリングを保ちながら、日常や旅行で使える荷室容量も確保しているあたりは、さすが「クラウン」を冠するモデルだと感じました。
所有するなら知っておきたいこと
このように、日常でも扱いやすいクラウン(スポーツ)ですが、所有前に知っておきたい点もあります。

まず確認しておきたいのが足まわりです。クラウン(スポーツ)は、21インチホイールに235/45R21サイズのタイヤを装着しています。

大径ホイールと低扁平タイヤの組み合わせであるため、摩耗やパンクによって交換が必要になった場合、一般的なSUVより費用が高くなる可能性があります。
ホイールのリムが外側に露出しやすいデザインのため、縁石などへの接触にも注意が必要です。実際に、試乗車のホイールには複数のがり傷がありました。所有する場合は、縁石へ寄せる場面などで特に気を付けたい部分です。

段差を乗り越える際にも注意が必要です。縁石やキャッツアイなどの鋭い突起を勢いよく通過すると、タイヤへ大きな負担がかかります。
特にクラウン(スポーツ)が装着するような低偏平タイヤでは、段差を通過した際にタイヤがホイールと路面の間で強く挟まれ、サイドウォール内部のコードが損傷する「ピンチカット」が起きる場合があります。段差を越える際は速度を落とし、タイヤに強い衝撃を与えない運転を心掛けたいところです。
こうした特徴を理解したうえで付き合えば、クラウン(スポーツ)は日常の使いやすさと運転する楽しさを高いレベルで両立してくれる一台だと感じました。
一人でも複数人でも心地いい、クラウン(スポーツ)が似合う人

そのスポーティなスタイルから「運転に慣れた人向け」というイメージのあるクラウン(スポーツ)ですが、実際には、乗り降りのしやすさや小回りの良さ、運転席からの見切りのよさに加え、十分な後席や荷室など、「スポーツSUV」という名称から受ける印象以上に、日常で扱いやすい一台でした。初めて乗る人でも戸惑う場面は少なく、普段の移動を快適にするための配慮が、各部に盛り込まれています。
21インチタイヤならではのメンテナンスコストや、段差を越える際に注意したい足まわりなど、所有前に理解しておきたい特徴もあります。これらを把握したうえで選べば、購入後の戸惑いを減らせるでしょう。

大人数での移動や積載性を最優先にする場合は、ほかの車種も候補になります。一方、ひとりで運転する時間を楽しみつつ、ときにはパートナーや友人と快適に出かけたい人には、クラウン(スポーツ)が有力な選択肢になるでしょう。
一人で乗るときはスポーツSUVらしい走りを楽しみ、複数人で乗るときは快適に移動できる。クラウン(スポーツ)は、運転する楽しさと日常での使いやすさのどちらも大切にしたい人に、おすすめしたい一台でした。

その他、クラウン(スポーツ)ギャラリー






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