試乗記・レポート
トヨタ プリウスZ(プラグインハイブリッド車)試乗レビュー「より電気リッチでスムーズな走り味・一歩先に進んだプリウス」
街で見かけることも多くなり、またレンタカー等でも乗る機会のあるトヨタの新型プリウスですが、今回試乗したのは“プラグインハイブリッド(PHEV)車”。ハイブリッド(HEV)車に較べて10倍以上のバッテリー容量、50ps高いモーター出力を持つPHEVの走り味はどうなのか?名古屋から豊田市往復ルートで試乗してみました。
クルマ大好き元トヨタの企画マン、公私合わせて1,800台以上のクルマを試乗してきた試乗のプロフェッショナル、ハマやんの視点から、特徴を分解し印象・感想をレポートしてみたいと思います。KINTOのYouTubeチャンネルにも出演中!
※試乗実施時期の情報をベースにしており、最新の新車販売グレードにはない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトでご確認ください。
試乗実施時期:24年9月
トヨタ プリウスZ(PHEV車)試乗概要
スタイリッシュ。発売から時間経過しているが、その新しさは褪せていない
現行プリウスは発表されてから約2年経過していますが、今でも「インパクトありスタイリッシュさを印象付けられるクルマ」だと思います。
街中で見かけても、つい目で追ってしまうような存在ですし、今回の試乗車を仔細に眺めても、全体プロポーションやピラー角度など、まじまじと見てしまう…そんな魅力を依然として保持していると感じました。
PHEV車としての外観セグメントは多くありませんが(ロアグリルの色・アルミホイール・リヤコンビ表面色)、その中では意匠の異なる19インチホイールが特に目立ち、普通のプリウスとの違いを表現しているように思われました。
満充電から約80kmEV走行が出来た。日常使いではEV走行可能
PHEV車のポイントは、HEV車よりも10倍以上大容量のバッテリー(51.0Ah)を搭載し、よりハイパワーの電気モーター(163ps、HEV車は113ps)を回して走行する事。そして、バッテリーが外部から充電可能な事だと思います(HEVプリウスとBEV(電気自動車)との中間に位置するクルマ)。
その結果、ある程度の距離はEVとして走行可能で、日常使い(長距離走行ではないという意味)はEVとして使用可能なクルマとなっています。
カタログ値(国土交通省審査値)で87kmのEV走行可能距離が、普通の走りでどれ位行けるのか?を試すことが今回試乗のひとつの目的でしたが、結果的に、満充電状態から77km走行することが出来ました(電費:8.6km/kWh)。
日中の気温が36度以上となる暑い日でしたので、エアコンONとし、出来るだけ交通の流れに沿った一般的な走行を心掛けましたが、約80kmもEVのみで走れる…日常使いはEV走行のみでOKと言えるクルマだと感じました。
高出力モーター+エンジンによる動力性能はプラスαの価値具現化
トヨタ プリウス(PHEV車)の価値のひとつは動力性能にあると思いました。
大容量バッテリーと高出力モーターによる“EV走行加速”は、HEVのそれとは明らかに異なり、よりスムーズに・より静かに・より速くプリウスを走らせてくれました。言葉を変えて表現すれば、「より電気リッチになった走り味のプリウス」と言えそうです。
バッテリー残量が減ってEV走行できなくなりHVモードになっても、そのスムーズさと静かさはある程度維持できたように思いました。HVモードでもEV走行している時間は結構あり、またエンジンがかかってアシストしてもその存在(ノイズやバイブレーション)が最小限に抑えられていたからです。
更には、本当に速い加速が必要な時には、高出力モーターとエンジンの協調により、まるでスポーツカーか?と感じさせる勢いでの加速も可能で、一度だけ試してみましたが、これまでのプリウスでは考えられないような加速力で速度を上げていきました。
こうした、大容量バッテリーと高出力モーターによる動力性能は、プリウス(PHEV車)の“プラスαの価値”であり、PHEV価値の分かり易い具現化と感じました。
よりスムーズで重厚感ある走り味。乗心地も重量と低重心が効いている感じ
プリウスのPHEV車とHEV車の違い。それはパワートレーンだけの事だと思っていましたが、実際に乗ってみると、乗り味・走り味でも結構違いがあるとわかりました。
パワートレーンの稼働状態によって走り味が違うのは、まあ当然の事ですが、EV走行が最もスムーズで重厚感あり“ソフィスティケートされた走り味”だと感じられ、HV走行でも、HEV車プリウスよりも電気感が強く「よりスムーズな感じの走り味」が得られ、これには少々驚かされました。前述したようにより電気リッチになった走り味のプリウスという感じでした。
乗心地に関しても、PHEV車とHEV車での違いが感じられました。重量増(1,570kgと1,420kgで150kgの車両重量差)によるもの、車体後部の床下に重いバッテリーを搭載していること、そして(おそらく)チューニングの違い、等の理由によるものと思われますが、「より落着き、重厚感あり、良好な乗心地」が実現しているように感じました。
バッテリー充電のための“チャージモード”。ザラつきあるが“お助けモード”
今回の試乗は2日間クルマをお借りしEVモードでの航続距離検証とそれぞれの走行における乗り味・フィーリングを確かめる事が主眼でした。そのため、EVモード・HVモードに加えてチャージモード走行(エンジンからバッテリーに充電しながらの走行)も体験してみました。
EV走行でバッテリーを使い切った状態(=EVモードには入らない状態)から一般道・高速道含めて約55km走行し、EV走行換算39km分の充電ができました。
その走り味ですが、常にエンジンが回っている状態かつ走行と充電の両方をエンジンが果たす状況のため、常にエンジン音が伝わってきて、プリウスとしては、何となく“ザラザラ”した感じのフィールで走行することになりました。
PHEVとしては、家庭等での電源からバッテリー充電するのが本筋であり、このようにチャージモードで走らせながら充電するのは、いわば“エマージェンシー”とも考えられますが、とりあえず、(走り味はザラついていようとも)、搭載エンジンで充電できるという点で“お助けモード”的な役割は果たしていると感じました。
トヨタ プリウスZ(PHEV車)試乗レビューまとめ
より電気リッチで、スムーズな走り味。加速性能も+αの価値
- EVモードでもHVモードでも、より静かでスムーズかつ重厚感ある走り味
- より高出力なモーターによる加速の力強さ
- モーター+エンジンの協調加速の速さ
一歩先に進んだプリウス。“時代を切り開いたパイオニア”の最先端商品
- プリウスの歴史は「時代を切り開いたパイオニア」の歴史
- 第5世代の現行は色々な面で新たな価値を問う意欲作
- その中でPHEV車は、より電気化が進展し“日常使いEV”と呼べる商品
但し、PHEVのメリットを味わうには家などに給電施設が必要。給電施設あれば、今の時代の“日常使いの現実的EV”として使える商品
- プリウスPHEV車の価値ある走行は、“EVモード”とリファインされた“HVモード”
- BEVではなく、“HVモード走行”や“チャージモード”での充電も可能ながら、その滑らかな走り味を味わうにはバッテリー充電残量が必要
- 給電施設・給電により、プリウスPHEV車は“日常使いの現実的EVとして使える大変魅力的な商品となりうる
総合評価
- 乗る前の期待値越えか?
〇+ (HVモードでの加速・EV走行時のソフィスティケートさなど期待値超え)
- また乗りたいか?
〇 (家に充電設備があればPHEVは選びたい商品だが…)
※評価基準と評価マークの意味
項目/マーク | ◎ | 〇+ | 〇 | 〇- | △ |
---|---|---|---|---|---|
期待値を・・・ | 大きく上回る | 上回る | まあ上回る | 上回る部分もあるが・・・ | 下回る |
また乗りたいか | とても乗りたい | 乗りたい | まあ乗りたい | 乗りたい面もあるが・・・ | あまり乗りたくない |
今回試乗したクルマはこちら!
〔試乗車〕:トヨタ プリウスZ プラグインハイブリッド(PHEV)車
〔車両価格〕:車両本体価格4,600,000円(除くオプション類)
〔主要諸元〕:
全長×全幅×全高・WB・車重:4,600mm×1,780mm×1,430mm・2,750mm・1,570kg、M20A-FXSエンジン:1,986cc、151ps/6,000rpm、188Nm/4,400~5,200rpm、+前モーター:163ps、208Nm、サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン、タイヤ:195/50R19
〔試乗概要〕:名古屋トヨペット檀渓通店から豊田市まで往復約100km/日走行
※スペック・価格などのデータは試乗時のものです。最新情報は店頭等でご確認ください
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