試乗記・レポート
GRスープラSZ-RとRZを試乗レビュー!“剛性感”“軽快感”あふれるスポーツカー
GRのスポーツカー“スープラ”。この度KINTOの“旧車”プロジェクト「Vintage Club」の70・80スープラと共に最新型の90スープラにも試乗できましたので、クルマ大好き元トヨタの企画マン、公私合わせて1,800台以上のクルマを試乗してきた試乗のプロフェッショナル、ハマやんの視点から特徴を分解し、その印象をレポートしたいと思います。
<この記事の目次>
※試乗実施時期の情報をベースにしており、最新の新車販売グレードにはない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトでご確認ください。
試乗実施時期:23年7月
GRスープラSZ-R、RZ試乗概要
ロングノーズ・ショートデッキの典型的FRスポーツカーフォルム。乗る前から期待感が高まる。
スポーツカーのエクステリアは、その性能やキャラクターを雄弁に語っているものですが、この90スープラは、ロングノーズ・ショートデッキの典型的なFRスポーツカーフォルムで、“パワフル・トルクフルなパワートレーン”や“後方に座ったドラポジからの操縦感覚”など、見るだけで、色々と想像を巡らせるような外観スタイルだと思います。
“乗る前から期待感が高まる”スタイルは、スポーツカーにとって重要な資質だと思いますが、90スープラのスタイルには、走りへの強いメッセージや骨太なクルマのキャラクターなどが込められており、“見ただけで期待感が高まる”、とても“らしい”ものだと改めて感じさせられました。
シンプルでドライビングに集中できるインテリア・操作性
スポーツカーのインテリアは、“より運転操作に集中しクルマと一体感を持ちやすい”事が重要ですが、その点でもこの90スープラは、とてもスポーツカー的と言えそうです。
運転視界とメーターに視線が行きやすく、確認しやすいという意味で、このシンプルな造形・操作系/視認系配置は理にかなったものという感じがしますし、実際に運転しても、メーターの見易さ・速度/回転数の確認しやすさ、周囲の道路状況の見易さを実感できました。
また、乗って・運転して感じる“クルマのサイズ感”という点でも、とてもスポーツカー的で、運転していると実際のサイズよりもコンパクトに感じられ、狭いワインディングロードでも自信もってコーナリングできるクルマと思いました。
“剛性感”と“軽快感”と“安心感”。とてもバランスの良いスポーツカー
90スープラの乗り味では、クルマの剛性感と動きの軽快感、そして現代のクルマとしての安心感を強く感じました(現代のクルマとしての云々は、70・80のVintage Clubスープラと同時に試乗したための感想)。
走り出してすぐに感じるクルマの剛性感は半端なく高いもので、強固なボディに包まれた安心感と、運転操作に対する確実なレスポンスにつながっていると思いましたし、高速道路や一般路で出会う路面の段差や荒れを、全く躊躇することなく乗越えられる乗心地の良さは、本当に気持ちよいものと感じられました(特に4気筒版の“SZ-R”で乗心地の良さを感じました。6気筒版“RZ”は剛性感強すぎて路面からのインフォメーションも強め)。
また、加減速や操舵時のクルマのレスポンスが、とても軽快かつ自然で、“意のままの走り”という表現が浮かんできて、スポーツカーならではの“クルマとの一体感”が実現できているクルマだと思いました。
乗り味全体として(特に4気筒版のSZ-Rで言えることですが)この90スープラは、クルマを構成する諸要素がとてもバランスよく組み合わされ、チューニングされているように感じました。
充分なトルク/パワーを賢いATで走らせる4気筒版“SZ-R”と、よりパワフルで剛性感にあふれる6気筒版の“RZ(6MT車)”
今回は、4気筒版の“SZ-R”と6気筒版の“RZ(6MT車)”の両方に試乗することができました。どちらも印象深い動力性能と乗り味を持っていましたが、特徴/キャラクターは少し違っていました。
4気筒版“SZ-R”は、充分なトルク/パワーを賢いATで美味しい回転域を選びながら、軽快にしかも速く走らせるクルマという印象で、前述したように、とてもバランスの良いスポーツカーを走らせている実感がありました。
一方、6気筒版“RZ(6MT車)”は、よりトルクフル/パワフルなパワートレーンで前に押し出していくような走りで、軽快さよりも力強さや(4気筒版より更に高い)剛性感を実感しながらの走りだと思いました。
走り味のインパクトとしては、“RZ(6MT車)の強固な剛性感や全体のトルク感・パワー感の方が高いのでしょうが、個人的には、“SZ-R”のバランス感あふれ、知的さを感じるスポーツドライビングの方が好みに合っていました(“RZ(6MT車)”は、シフトレバーが重く、クラッチミートポイントが奥にある事が気になって、集中度が削がれがちだったことがネガティブ要素となりました)。
GRスープラSZ-R、RZまとめ
90スープラとして、また、歴代70・80との乗り合せをしてみて
- GRの価値を代表するスポーツカー。“欲しくなるクルマ”
GAZOO Racingの紹介ページで、
それは、走るアンチテーゼ。一台の美意識。
ピュアスポーツ最後の官能。
トレンドよりアイデンティティを。両立より一点突破を。効率よりエモーションを。
すべてに満点は求めない。目指したのは究極の“走る愉しさ”。
・・・と表現されている90スープラ。
今回試乗してみて、GAZOO Racingの提供価値を代表する存在になっていると思いました。「見て・乗って・走って」みて、ミドルクラススポーツカーとしてポテンシャルの高さを実感できましたし、特に“SZ-R”はそのバランスの素晴らしさから、もしスポーツカーを所有できたら“欲しいクルマ”と思いました。
- 歴代“スープラ”に込められた意志
Vintage Clubで色々な歴史上の商品に接し、また今回歴代の70・80と共に90スープラに試乗できましたが、その中で思った事は、「スープラには、トヨタで最も走りの良いクルマを造ろう!といった意志が込められているのではないか?」ということでした(もちろん、どんな商品でも夫々、色々な意志が込められているものですが、スープラに関しては、歴代のそれぞれに一貫して“走りへの意志”といったものが感じられるクルマに仕立てられていると思いました)。
- 歴代“スープラ”が共通に持つ“トヨタ的キャラクター”
歴代スープラは、「走りへの意志」と共に、“トヨタ的キャラクター”も共通して持ち合わせているような気がしたのですが、それは、「色々なドライバーの色々な運転を受け止める“懐の深さ”」ではないか?と思いました。
すなわち、スープラ=スポーツカーといえども、運転スタイルは色々で、様々な運転操作があり得る中で、どんな運転操作でも、それらをしっかり受け止め、かつしっかりと走り・曲がり・止まる性能を確保しようとするクルマづくり・味付けがなされている・・・。それこそが、“トヨタらしさ”ではないか?と感じさせられました。
総合評価
・乗る前の期待値越えか?
◎ (そのバランスの良さと剛性感・軽快感は期待値を大きく超えていた)
・また乗りたいか?
○+ (自分のクルマとして欲しい(2台目のクルマは持てたら・・・ですが))
※評価基準と評価マークの意味
項目/マーク | ◎ | 〇+ | 〇 | 〇- | △ |
---|---|---|---|---|---|
期待値を・・・ | 大きく上回る | 上回る | まあ上回る | 上回る部分もあるが・・・ | 下回る |
また乗りたいか | とても乗りたい | 乗りたい | まあ乗りたい | 乗りたい面もあるが・・・ | あまり乗りたくない |
今回試乗したクルマはこちら!
〔試乗車〕:GRスープラSZ-RならびにRZマットホワイトエディション
〔車両価格〕:SZ-R:6,013,000円、RZマットホワイトエディション:7,890,000円
〔主要諸元〕:
全長×全幅×全高・WB・車重:4,380mm×1,865mm×1,295mm・2,470mm・1,460~1,520kg
L4 1.998cc 258ps/5,000rpm、400Nm/1,550-4,400rpm 8AT
L6 2,997cc 387ps/5,800rpm,500Nm/1,800-5,000rpm 6MT
FR、WLTC:14.0km/L、11.0km/L
サスペンション前/後:ストラット/マルチリンク、タイヤ前/後:SZ-R:255/40ZR18/275/40ZR18
RZ:255/35ZR19/275/35ZR19
〔試乗概要〕中央道~GRG松本~上高地方面一般路を乗り換えつつ試乗。(70スープラ2.5GTエアロトップ、80スープラRZ、90スープラSZ-R、90スープラRZマットホワイトエディションの計4台)
※スペック・価格などのデータは試乗時のものです。最新情報は店頭等でご確認ください
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