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父とクルマ

父とクルマ

今日は「父の日」ですね。ご家族から何かもらえるんじゃないかとソワソワしているお父さんも多いかと思います。(父親である私もソワソワして、最近は娘が保育園から持って帰ってくるものの中に何か入っていないかと目を光らせていました。)

自分自身思い返してみると、「父の日に何か渡したことがあるか」と問われると、全く記憶にはありませんが、父とクルマでいろんなところにいったなーという記憶がよみがえってきます。

ということで、今回は少しノスタルジックな「父とクルマ」にまつわるお話をさせていただきたいと思います。

変な父

まず、簡単に父について触れておきたいと思います。一言で言うと「変な父」です。冗談しか言わず、真面目な話ができません。

小学生の時にキャッチボールをしていて、球が逸れ、実家の倉庫の窓ガラスを割ってしまった時も「これは内緒にしておこう!」と10歳の私に提案してくるぐらい、子どものような感性を持った人でした。(実家なのにどうやって内緒にするんだろう・・)

家族にはいろんな形があると思いますが、私にとって父は、愛すべき「変な父」であり、「良き友」で、一緒にいる時間がとても楽しかったことをよく覚えています。私の友人の中でも大人気で、今でも古い友人と会った時は、私の話よりも父の話で小一時間お酒が進むほどです。

実家でアルバムをひっくり返してクルマが映っている写真を探したところ、唯一発見(おそらくこれが4代目マークⅡ)

クルマ遍歴

家族に聞いてみたところ、父のクルマ遍歴は「カリーナ→マークⅡ(おそらく4代目)→マークⅡ(6代目)→ヴィッツ→〇〇〇←※最後に出てきます」ということが分かってきました。
これは勝手な息子の予想ですが、最初はモテようとセダンでかっこよくビシッと決め、息子が少し大きくなったタイミングで一家の大黒柱としてお財布を意識しだしたのではないかと思います。

カリーナ→マークⅡ(4代目)→マークⅡ(6代目)→ヴィッツ

マークⅡと父

私の記憶があるのは、マークⅡ(6代目)からです。ヘビースモーカーだった父のクルマのシートはタバコのにおいが染みついており、峠道を走ると一瞬でクルマ酔いしていました。

しかしながら、クルマ自体は本当に魅力的(スタイリッシュ&ラグジュアリー)で、父自身もクルマに乗ることが本当に楽しそうでした。ダチョウの羽をまとめたような毛ばたきで、クルマを綺麗にしていたことをよく覚えています。

マークⅡのハンドルまわり(懐かしい!)

とても大事にしていたクルマですが、お別れは突然やってきました。

そうです。事故(自損)です。幸いケガ人もいなく、父もピンピンしていましたが、仕事終わりの夜中に、電車の遮断機と接触したとのことでした。米粒型に変形したクルマの衝撃は今でも鮮明に覚えています。

ヴィッツと父

そんな悲しい別れを経て、新しく我が家にやってきたのはヴィッツでした。

私にとって一番思い出深いクルマもこのヴィッツです。父が「地球3周目突入!」と言っていたので、少なくとも8万キロ以上は運転したということかと思います。(ここで初めて「地球一周って4万キロなんだ」と一つ賢くなったので、よく覚えています。)

私が大学時代に免許を取得し、夏休みに実家に帰省した際も、このクルマで練習と称し、地元の端から端まで父とドライブをしていました。

後になって思えば、この経験が「運転することの楽しさ」や「自分のクルマでお出かけすることの楽しさ」を初めて知った出来事でした。前職の自動車部品メーカー、そして現在のKINTOで働こうと思ったのも、もしかしたらこの経験があったからかもしれません。

ヴィッツライフを満喫していた2012年にまた事件が起きました。

母から電話があり、そこで「父の余命半年」が告げられました。当時父は55歳でした。

最期のクルマ

電話中は、母を心配させないように気丈にふるまいましたが、電話を切った途端、涙が溢れました。「さすがに早すぎるなー」と。

母の電話から1か月程度たったある日、父から一本の電話が入りました。

開口一番、
父「まぁ、いろいろ考えたんやけど、・・・・」

この言葉に私は、「(何だろう・・・自分は何か相談に乗れるのだろうか・・・)」と一気に不安な気持ちになりました。

父「クルマ買おうと思う!」

私「・・・・・???」

こわばった体中の力が一瞬で抜け、ハテナが頭の中を駆け巡りました。と同時に「(最期にスポーツカーとかカッコいいクルマを乗り回すのもアリか・・)」と思い、

私「まぁ、いいんじゃない。好きなクルマに乗れば。」
と伝え、電話を切りました。

それから数日後、父から電話が入りました。

父「クルマ買ったよ」

私「で、何買ったの?(スポーツカーかな・・・乗りたい・・)」

父「アクア!」

私「・・・・?エコ?」

これまで幾度となく家族の予想を上回る行動をとってきた父が最期にやってくれました。

最期にヴィッツ以上に環境にやさしいクルマに乗り換え、徳を積んでプレミアムクラスの天国に行きたいんだな、この人は・・と思い、「父らしいな・・」と妙に納得しました。

数か月後、無事にアクアが納車され、また親子でドライブを楽しむことができました。

さて、次はクルマでどこに行こうか

それから約1年後、父がこの世を去りました。

最期のクルマに乗って葬儀場に一人で向かいながら、いろんな思い出がよみがえりかけましたが、「で、このクルマどうするんだよ」という現実によって、我に返りました。

ちなみに、最期のクルマは父がいなくなった後も、数年間、我が家で大事に乗り続けました。

父のクルマでしたが、ヴィッツとこのアクアは自分にとっての愛車となりました。

最期のクルマ(アクア)

父が言っていた「次はどこ行く?」という言葉、今では自分が娘・息子に投げかけています。

私のクルマ(エスティマ)が子どもたちにとっても愛車になればいいなと思ったところで、今回のお話はお終いです。

さて、今日はクルマでどこに行こうかなー

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