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費用もコースも多種多様、リピーター続出! 一度乗ったらやみつきになる国内クルーズ旅行の魅力

費用もコースも多種多様、リピーター続出! 一度乗ったらやみつきになる国内クルーズ旅行の魅力

こんにちは。「クルーズナビ」というWebサイトを運営しています、はたと申します。過去に豪華客船でクルーとして働いていた経歴があり、世界一周クルーズ船にも数回乗船していました。

仕事・プライベート合わせて今までの船上泊数は1,000泊をゆうに越えます。現在は年に数回クルーズ船に乗船しながら、WebサイトやSNS・執筆活動を通じて船旅の楽しさやその魅力を発信しています。

まだまだマイナーな旅行形態であるクルーズ旅行ですが、国土交通省の統計*1 を見ても明らかなように、クルーズ人口は確実に拡大し続けています。人気コースは発売直後に完売・キャンセル待ちは当たり前。増え続ける需要に応えるために大手船会社が新造船を建設するなど、これから日本のクルーズ業界がますます盛り上がっていくのは間違いありません。

そこでクルーズ経験豊富な筆者が、クルーズ初心者や「クルーズに興味はあるけどよく分からない……」という方にも分かりやすいよう、国内クルーズの楽しさ・魅力を解説していきます。

「船旅」といっても、費用もコースもさまざまです

日本ではなじみの薄いクルーズ旅行。

クルーズと聞くと「高い」「お金持ちの旅行」「長期間の休みが必要」といったイメージを持つかもしれませんが、必ずしもそうではありません。クルーズ旅行の内容はかなり幅が広く、客室カテゴリーや出発日・コースによって値段もさまざまで、早期割引を利用すれば1泊1万円台から気軽に乗れる格安クルーズもあります。

船によってその特徴もさまざま、楽しみ方や過ごし方もそれぞれ異なります。本当にいろいろありすぎて、初心者の方から「そもそもどの船を選んだらいいのかさえ分からない」とよく相談を受けます。

クルーズ船はよく「洋上のホテル」に例えられるのですが、大きく「高級旅館タイプ」「リゾートホテルタイプ」に分けられます。まずはここを押さえておけば、船選びの大きなヒントになるかと思います。

高級旅館タイプの船は1泊4~5万円が相場で、船のサイズも小さめで客数を抑えつつ、質の高いスタッフによるおもてなし・サービスを提供。食事は毎晩洋食フルコースや会席料理が振る舞われます。大浴場がついており船内も落ち着いた雰囲気で、どちらかというと、ゆっくりと船旅を楽しみたい年配の方向けになっています。多くの方がクルーズ旅行にもつイメージはこちらに近いのではないでしょうか。ちなみに、皆さんも名前は聞いたことがあるかもしれない豪華客船「飛鳥II」「にっぽん丸」はこちらに分類されます。

どんな船なのかイメージしやすいよう、にっぽん丸の様子を少しご紹介しましょう。

にっぽん丸。小型船の特徴を生かして大型船では入港できない地方の港や魅力的な寄港地観光が楽しめる。

「食が自慢の船」としても知られ、寄港地の食材や伝統料理を取り入れたメニューに定評がある。

GODIVA(ゴディバ)と提携しており、船内では「ショコリキサー」が飲み放題。

大浴場・サウナ完備で大海原を眺めながらの入浴は最高。

一方、リゾートホテルタイプの船は1泊1万円台からと比較的お手頃に乗船可能。中には「子供の料金は無料」という船もあり、家族連れからカップル・シニア世代まで幅広い世代に人気があります。

そしてリゾートホテルタイプの船の多くが10万トンを超え、全長は東京タワー(333m)を寝かせたよりも長く、乗客定員は3,000~4,000人といった大型客船になっています。複数のレストラン・シアター・プール・スパ・ジム・免税店・カジノ・ボーリング場・スポーツコートなど船内施設も充実していて、船そのものが巨大な遊び空間になっています。

例として、「MSCスプレンディダ」の様子です。規模感がお分かりいただけるでしょうか。

MSCスプレンディダ。定員4,363人。デッキ数は18層(高さ約68m)と、まさに海に浮かぶリゾートホテルそのもの。

きらびやかなロビー。

公海上ではカジノもオープン。カジノが合法である国の船籍のクルーズ船では、公海上で合法的に楽しめる。日本船籍の船の場合はチップやコインを金品に換えることはできない。

船内にいくつもあるプールやジャグジーでリラックス。

クルーズ旅行はとにかく多種多様。最短では1泊2日の超ショートクルーズもあるので、休みを取りにくい方でも「ちょっと週末にクルーズで非日常感を味わう」なんていうこともできます。さらに3泊~5泊程度のショートクルーズ、1週間以上のミドルクルーズ、1ヶ月のロングクルーズなど、選択肢は本当にたくさんあります。

「クルーズ=海外旅行」と連想されるかもしれませんが、国内各地をめぐるコースも数多く、寄港地・休みや予算の都合に合わせて選べるようになっています。なお多くの方がクルーズで思い浮かべる「世界一周クルーズ」を催行している船は、実はほんの一握り。むしろクルーズ旅行としてはかなりマイナーな方になります。

日本のクルーズ人口は増えている。船旅の魅力とは?

海に囲まれた島国である日本は世界6位の海域の面積を持つ海洋国家*2 で、クルーズ資源に恵まれています。コロナ禍以前は訪日クルーズ旅客数は年間200万人を越え、日本のクルーズ人口もこの20年間右肩上がりで伸び続けていました。これだけ人気があるのには理由があります。

まずはコスパが良いこと。クルーズは、実はそんなに高くはありません。

クルーズ料金には宿泊・エンターテイメント・食事(1日3食+アフタヌーンティー+夜食、ビュッフェ/コース料理/スイーツも食べ放題。中にはアルコール飲み放題の船も!!)・移動などがほぼ含まれるコミコミの「オールインクルーシブ」であることを考えると、1泊1万円台で乗れるのは「コスパが良い」を通り越してもはや「格安」と言ってもよいのではないでしょうか。

しかもゴールデンウィークや夏休みのようなハイシーズンだからといって料金が2倍、3倍と高騰することもありません。ホテル料金に比べるとクルーズは料金変動が抑えられているので、シーズンによってはむしろ普通に国内旅行に行くより安く済むことも珍しくありません。

そしてとにかく優雅で楽。基本的に「何もしなくてよい」という大きな特徴があります。乗船して一度荷解きしてしまえば、下船までは船室がマイホーム。毎日スーツケースを持って移動する必要もないので通常の旅行のような移動の負担がありません。寝て起きれば次の寄港地に船が移動しているんですから。

レストランに行けばいつでも好きなものを好きなだけ食べられますし、もちろんお皿洗いは不要、掃除・洗濯・ベッドメイキングはすべてスタッフの方がやってくれます。

クルーズ中は夜遅くまで遊んだりお酒を飲んでも大丈夫。終電の心配なんてありませんし、部屋までほんの数分で帰れます。


バーは深夜まで営業。

船上では仕事や日常生活から完全に開放され、下船時にはココロもカラダもリフレッシュされていることでしょう。クルーズ旅行は「一度行ったらやみつきになる」とよく言われますが、実際リピート率も高く、それだけ魅力と満足度の高い旅行形態なんです。

国内クルーズ船に乗るには? 部屋選びのポイント・楽しみ方をご紹介

実際にクルーズ船に乗るにはどうしたらいいのでしょうか?

大まかな流れとして、まずは旅行会社や船会社のWebサイトで申し込みます。人気コースは1年以上も前から発売され、すぐに完売となってしまうコースもあるので、気になるコースがある場合は早めに抑えておきましょう。

どの船・どのコースを選ぶかと同じくらいに重要なのが部屋選び。クルーズ船の部屋タイプは以下のように大きく4つに分類され、料金も異なります。

・インサイド(内側)
・海側(窓あり)
・海側(バルコニーあり)
・スイート

インサイドとバルコニーの違いだけで、クルーズ料金が倍も違ってきたりします。例えば日中は船内で遊んで部屋に帰ったらシャワーを浴びて寝るだけ、という楽しみ方であれば、リーズナブルな料金のインサイドがおすすめ。クルーズ慣れしている方はこのタイプが多いですね。

一方、部屋から海の景色も楽しみたい、バルコニー付きの開放感ある部屋でゆっくり過ごしたい、アニバーサリーでちょっと贅沢に……というのであれば海側の客室がおすすめです。さらにスイートルームになるとバスタブや無料ミニバーが付いて、スイート宿泊者専用のVIPエリア・レストランを使用し、専属バトラーサービス・優先サービスを受けることもできます。

客室に空きがあればアップグレードが可能な場合もあるので、とりあえず一番安いインサイドでクルーズ予約をしておき、クルーズ出発後に空き部屋を見せてもらって気に入れば替えてもらうといった裏技もあります。

乗船日が近づいてくると乗船券が送られてくるので、乗船日当日はそれを持って船に向かいます。スーツケースなどの大きな荷物は、事前に宅配で送っておけば船室まで届けてくれるというサービスもあります。手ぶらで船に乗れてすごく楽なので、ぜひ活用してみてください。

飛鳥IIの船体。乗船前は気持ちが高まる。

ターミナルでチェックインを済ませたらいよいよ乗船です。

乗船すると「シップツアー」が開催されるので参加してみましょう。船のスタッフさんが船内を歩きながら一通り案内してくれます。大きな船になればなるほど、どこにどの施設があるのか分からなくて本当に迷子になるので、まずは船の全体図を頭に入れておくことをおすすめします。

そして、毎日船室に配られる船内新聞は必読。その日のアクティビティのスケジュールからレストラン・カフェ・スパの営業時間まで、船内生活に必要な情報がすべて詰まっています。

船内新聞は毎晩各船室に配られる。

「1日中船の上で過ごすなんて退屈そう」などと思われるかもしれませんが、そんなことは全くといっていいほどありません。むしろ船上生活では朝から晩まで忙しいくらいにイベントが盛りだくさん。退屈さや不便さとは無縁なのです。

船上での過ごし方を写真を交えて紹介しますので、一つの例として参考にしていただければ幸いです。

クルーズの1日は早いです。朝6時~7時からヨガクラスのようなカラダを動かすアクティビティがあります。

洋上で朝日を浴びながらのウォーキングもおすすめ。

軽くカラダを動かしたあとは朝食へ。クルーズ船には大抵2つ以上のレストランがあり、「ビュッフェレストラン」「アメリカンブレックファスト」「和食」など食事の内容で会場が分かれていて好きなものを選べます。クルーズ中の食事はすべてクルーズ代金に含まれていて食べ放題なので(一部有料レストランもあり)、レストランをはしごしても問題ありません。


朝食の後は船内の散策へ。最近のクルーズ船は巨大化が進んでいるのが特徴で、10階以上あるのは当たり前。船内の移動はエレベーター中心になります。とにかく大きくて広く、その分遊びスポットもたくさんあります。

船体が長すぎて廊下の終わりも見えないほど。

しっかり泳げるプールやジャグジーも完備。

海風を浴びながらの散歩も気持ちがいい。

スポーツコートもある。

デッキだけではなく船内にもいろいろな施設がたくさん。ショップ・カフェ・ラウンジ・カジノ・スパ・図書館などなど、船は「街」そのものです。

クルーズ船の中心に位置するフロント前の大ホールは常に人が集まる場所。

これ本当に船の中?と思ってしまうほど豪華な内装。

まるでショッピングモールのようなアーケード。

ブランド物を取り扱う免税店。公海の航行中は免税品が購入できる。

生活用品からオリジナルグッズまで買えるショップ。

船内での支払いはすべてルームキーも兼ねた乗船カードで行います。乗船カードとクレジットカードを紐付けておけば、船内で利用した分が後日一括で銀行口座から引き落とされるシステムになっています。

ラウンジで会話を楽しむ。

図書館で静かに本を読むのもおすすめ。

船上でアート鑑賞という贅沢な空間も。

そうこうしているうち、あっという間にランチの時間に。その日の気分で「ビュッフェ」「和食」「中華」「イタリアン」など好きに選んでOK。

ビュッフェの食べ放題。

もちろん和食もあります。

中華料理も。

もちろんスイーツやフルーツも全部食べ放題です。

ランチ後は船内アクティビティに参加してみましょう。

デッキで行われるゲーム大会。

シアターでは各種講座が開かれます。

カジノで運試し。

映画上映もある。

日が暮れてきたらデッキに上がって夕暮れ鑑賞がおすすめ。太陽が地平線に沈んでいく様子は本当にきれいです。

陸上ではなかなか見ることができない風景。

そしてフルコースのディナーのあとはエンターテインメントショーを鑑賞。ショーの内容も毎晩変わるので1日も見逃せません。


毎晩開催される、プロダンサーによるエンタメショーやマジックショー。

筆者がおすすめするクルーズは? まずは1泊2日から

クルーズの楽しみは、「コース選び」にもあります。

全くのクルーズ初心者の方は「どのコースを選んだらよいのか」と迷われるかもしれません。まずはお試し感覚で、1~2泊程度のショートクルーズがおすすめ。

例えば季節別のおすすめクルーズを挙げてみると、春・秋は気候や海ともに穏やかで日本一周クルーズが人気です。夏なら花火クルーズ・東北お祭り巡りクルーズ・北海道クルーズは定番。冬は温かい沖縄方面の南洋クルーズがおすすめ。クルーズならではのコースといえば、船でしか行けない小笠原諸島は定番です。

船上から眺める花火大会。

一度は訪れてみたい小笠原諸島。空港がないため船でしか行くことができない。

1年を通じて海が穏やかな瀬戸内海は風光明媚な風景を楽しめる人気コース。

他にも離島クルーズ・JAZZクルーズ・社交ダンスクルーズなどマニアックなコースもあり、「次はどこに行こうか?」と考えているだけでも楽しくなります。

クルーズの旅になじんできたら徐々に滞在期間を伸ばしてみて、さらには海外クルーズにもぜひ挑戦していただきたいです。

ワーケーションとの相性もぴったり

コロナ禍以降ワーケーションの考え方が急速に広まっていますが、クルーズとワーケーションは相性ぴったり。

客室やカフェなどの共用スペースで高速インターネット接続が使えるので、ノートPC1つあればリモートワークやテレワークが可能です。

船内にはインターネットコーナーもある

一人が仕事をしている間に、家族はスパでリラックスしたり、プールで遊んだりと、それぞれ自由に時間を過ごしながら(中には無料託児サービスありの船も)、仕事のあとはみんなで船内生活を楽しむなんてことも。船内施設が充実しているクルーズだからこそワーケーションにもおすすめです。

「船酔いしないの?」クルーズ旅行でよくある質問に答えます

クルーズ旅行で一番の心配事はズバリ「船酔いしないのか?」だと思います。これはものすごくよく聞かれる質問です。

クルーズ船には「フィンスタビライザー」という航行時の揺れを抑える減揺装置がついていて、揺れにくい設計になっています。船内では無料で酔い止め薬が貰えますし、もし気分が優れなくなっても船医が常駐していますので、過度な心配は不要です。

ただ、船が海に浮いている以上は全く揺れないということはありません。特に台風シーズンや冬の日本海はそこそこ揺れることもあるので、本当に船酔いが心配な方は時期をずらしたほうがよいかもしれませんね。

それから船内での服装も気になりますよね。基本的に日中はTシャツ・ジーンズ・短パン・サンダルといったラフな格好で問題なし。メインダイニングで夕食を取るときは男性はジャケット着用・女性はワンピースくらいで十分です。

大抵のクルーズでは一度は「フォーマルナイト」と呼ばれるドレスコードが指定される夜があるので、この時だけはぜひおしゃれしてみましょう。男性はスーツ・女性はカクテルドレスということが多いです。中には和装の方も。普段はカジュアルな船内もこの日だけは皆さん正装で、いかにも「ザ・豪華客船」といった雰囲気になります。

いやいや、そういうのが面倒なんだよ……という方は、フォーマルパーティーには参加せずにカジュアルレストランで夕食を取れば、正装する必要はありません。

初めての船旅を考える方へ

船上でしか味わえない景色・非日常感。船旅の楽しさは乗ってみないと分かりません。

1泊の短いコースもたくさんありますから、まずは週末やちょっとした連休にでもお試し感覚で、ぜひ一度乗ってみてください。

船会社や各港湾局はクルーズ船の見学会や説明会も定期的に開催しています。そういう催しに参加して実際に船の中を歩いてみると、船旅のイメージも湧きますし、本当に乗ってみよう、乗ってみたいという気持ちにもなるかと思います。

クルーズ通の間では「クルーズ沼にハマる」という言い回しをよく使います。ぜひ多くの方にクルーズ旅行の楽しさを知っていただきたいですし、沼にも大ハマリしていただきたいです。

Webサイト:https://cruise-navi.com/
Twitter:https://twitter.com/cruise_navi

1:海事:2020 年の我が国のクルーズ等の動向 – 国土交通省
2:1 . 海洋の働き – 内閣府 (PDF)

編集:はてな編集部



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