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元「秘密のケンミンSHOW」リサーチャーが厳選!関東近郊の“車で巡りたいオススメローカルチェーン5店”
ローカルチェーンは数少ない“未知の世界”
ローカル飲食チェーンが、今注目されています。ここ最近さまざまなメディアで「ローカルチェーン特集」をご覧になった方も多いでしょう。
ここ数十年で「ご当地の隠れ名物」などのローカルな情報が、『秘密のケンミンSHOW』(日本テレビ系)をはじめ、大小さまざまなメディアで取り上げられました。
ローカル情報が発掘し尽くされつつあるなか、ローカルチェーンはまだ知られざるスポットが多く、いわば「ローカル界で残り少ないフロンティア」なのです。この「未知の世界」に、これまでにないほどのスポットライトが当たっています。
長野県内に32店舗あるラーメンチェーン・テンホウ
ローカルチェーンは地元民がひそかに熱愛し、一歩踏み入れれば、誰もがその土地の空気に溶け込める稀有な場所。筆者は初めて入店する際、思わず「うれしくて緊張する」ほどの高揚感があります。
そんな筆者は『秘密のケンミンSHOW』や『もしもツアーズ』(フジテレビ系)などの番組でリサーチャーとして日本各地に根付く食習慣などを調べてきました。プライベートでも各地を楽しみに訪問し、それが高じて『強くてうまい!ローカル飲食チェーン』(PHP研究所)を執筆しています。
その縁で今回は、「関東近郊の訪れてほしいローカルチェーン」を紹介させてもらえることになりました。
ローカルチェーンって何?
「ローカルチェーン」とはどんな店を指すのでしょうか。『小売・流通用語集(初版)』(商業界)では「1つの都市圏内に限定して出店しているチェーンストアのことで、一般的に11店舗以上の店舗を持つ」としています。
ですが、実際には「ローカルチェーン」とみなされる10店舗以下のお店は数多くあり、本稿ではそんなお店も取り上げます。
ちなみにローカルチェーン好きにとっては東京のチェーンも、「東京ローカルチェーン」として地方のお店と並列です。例えば「富士そば」などは東京(関東)ローカルチェーンの代表格として語られます。
ただ、「ローカルチェーン」といえば「東京以外のローカルチェーン」をイメージする方が多いでしょう。なので、本稿でも東京以外の関東のローカルチェーンをピックアップしました。
車社会の地方では、駅から離れた店舗も多く、車でローカルチェーンを訪れるのは理にかなっています。そこで本稿では「ローカルチェーン5店を巡るドライブプラン」を作成しました。いざ、ローカルチェーン・ドライブに出かけましょう。
コースは基本的に、頑張れば1日で回れるようにセッティングしました。ですがなかなかの強行軍なので、気合いを入れて1日で回るもよし。気になるお店だけサクッと行くもよし。ぜひご自身の胃袋や体力と相談して、独自のルートで巡ってください。
1カ所目:あのキムタクも愛したチャーシュー弁当? 千葉・としまや弁当
- 距離:東京駅から約50km
- 所要時間:約50分
まずは千葉県にある、としまや弁当おゆみ店へ。千葉の中部以南の西部、ベイラインに多い弁当店で、代表格の会社・としまや商事は12店舗を運営します。千葉県は狭い地域に展開するチェーンが多いなか、としまや弁当は比較的広く展開しています。
ちなみに、このとしまや弁当は地元の千葉テレビで「ああ~おなか空いちゃった!」と水着姿の女性がわざとらしい演技(?)をするCMで知られていました。
こちらのお店で食べたいのが、注文とともに作る名物・チャーシュー弁当(720円)です。あのラーメンの主役であるチャーシューが、あろうことかごはんの上に所狭しと並びます。
チャーシュー以外の具材は漬物だけの、ストロングスタイルな弁当。ふっくら炊きたてのごはんとともに、よく染みたタレで味わうジューシーなチャーシューは格別です。ちなみに、弁当を買うとセルフサービスでみそ汁を一杯飲めるのもうれしいところ。
このチャーシュー弁当は、「木村拓哉さんが工藤静香さんとともに南房総へサーフィンに行った際に食べる『チャーシュー弁当』が好き、とラジオで言った」とのウワサが広まり、不動の大人気商品にのし上がった伝説があります。
としまや弁当 おゆみ店
MAP情報→Click!
2カ所目:日本のトップバリスタが集まる店で手軽に高級コーヒーを 茨城県・サザコーヒー
- 距離:としまや弁当おゆみ店から約156km
- 所要時間:約2時間
1日で何店舗も回るなら、あまりおなかにたまらないカフェをはさむのが肝心。ドライブの途中で立ち寄りたいローカルカフェチェーンが、茨城県を中心に16店舗展開するサザコーヒーです。
サザコーヒーはJBC(ジャパンバリスタチャンピオンシップ)2019年大会で、決勝進出者6人中3人を輩出したチェーン店で、コーヒーを淹れる技術は折り紙付き。
豆にこだわり、過去に高級豆の代表格「ゲイシャ」(※パナマゲイシャ豆)を、当時の価格で2,883万円と世界最高額で落札するほど。そんなゲイシャを、サザコーヒーでは比較的手ごろな価格で販売しています。
ひたちなか市にある本店は、土日祝日は入店待ちが発生する人気ぶり。その間、大きなグッズ売り場でおみやげを物色するのも一興です。
ここで頼みたいのは、ゲイシャハンター(飲み比べのコーヒー付)。サザコーヒーとっておきの最高級コーヒーと、ブレンドコーヒーの飲み比べが1,000円で楽しめます。
「この香り高さこそ、ゲイシャならではの味わいか。ブレンドもまたいい……」などと、背伸びして味を深読みしてしまいます。ズブのコーヒー素人の筆者ですら、そうやってコーヒーに浸れる空間がサザコーヒーです。
サザジェラート(500円)もなかなかの一品。いくつかの味が選べるなかで、ここは「将軍珈琲」を。徳川慶喜が飲んだとされるコーヒーを、慶喜の末裔とともに共同開発して再現した「徳川将軍珈琲」を味わえます。コーヒー独特の香ばしさがじんわり感じられるおいしさ。
このサザコーヒー、コーヒーの好みについても店員さんに相談しやすい雰囲気。筆者が訪問した際、社長の鈴木太郎氏もお客さんから「太郎さん」と呼ばれ、親しまれていました。
今回は、独特の空間をより味わってもらうため本店をチョイスしましたが、時間がない人は比較的東京方面から行きやすい「つくば店」もご検討ください。
3カ所目:気づくと「ごはんがない」!?ごはんが進みまくる餃子 栃木県・宇都宮みんみん
- 距離:サザコーヒー本店から約77km
- 所要時間:約1時間
次に向かうのは餃子どころ・宇都宮界隈でもひときわ愛される、宇都宮みんみんです。イートインできるお店が9店舗あります。
宇都宮にある本店は土日が大盛況で、筆者が訪れたときは80分待ちでした。今回はドライブルートの関係で利用しやすい真岡店を紹介します。
まずは宇都宮みんみんの代名詞である焼餃子(300円)を。お新香付きのライス(170円)もぜひ付けましょう。
宇都宮みんみんの餃子は雑味がなく、とにかく食べやすくて、何よりごはんが進む味。もはやごはんを食べるための餃子と言っても過言ではないかも。いつの間にか完食してしまうほど、ペロリと食べられます。
おなかに余裕があれば水餃子(300円)も。同じ6個入りで134kcalと、焼餃子の234kcalと比べると低カロリーです。
なお「宇都宮みんみん」と並び、宇都宮餃子の二大チェーンとされる店が「宇都宮・餃子専門店正嗣(まさし)」です。こちらの店の餃子はみんみんよりパンチのある味付け。コロナ禍で現在テイクアウト専門店になっており、おみやげで買って食べ比べるのも一興です。
宇都宮みんみん 真岡店
MAP情報→Click!
4カ所目:パスタの街で愛される「高崎パスタ」の代表選手 群馬県・シャンゴ
- 距離:宇都宮餃子みんみん真岡店から約90km
- 所要時間:約1時間10分
群馬県はタウンページによる2014年のデータで、人口当たり全国2位のイタリアン店舗数を抱えています。なかでも高崎市は長年「パスタの街」として知られ、「高崎パスタ」と呼ばれるメニューが150店舗以上で提供されるとか。
高崎パスタの特徴の一つは「大盛り」で、一般的なパスタの倍ほどある一皿も珍しくありません。
次に向かうのは、そんな高崎パスタを堪能できるイタリアンチェーン・シャンゴです。高崎・前橋・伊勢崎を中心に8店舗あり、今回はドライブルートから行きやすい伊勢崎店へ。
広い店内はゆったりしたレイアウトで、どことなく優雅な気分。ただ周りから聞こえてくるのは、地元の方の生活感ある会話です。
まず頼みたいのが、同店の代名詞「シャンゴ風(Sサイズ946円)」。
粗目の国産ひき肉がふんだんに使われ、まるでハンバーグのような風味のソースがたっぷりかかったカツとともに楽しむパワフルな一品。何だか童心に返れるような、わんぱくな味わいです。
シャンゴ風はSサイズでも250g、茹でる前の乾麺換算で150g。ボリュームたっぷりですが、問題なく食べきれる量。
だが、ここまで来ておなかに余裕がないなら、シャンゴの二枚看板のひとつ、さっぱりいただける「ベスビオ」を。
海鮮がこれでもかと楽しめる、ピリ辛でほんのりトマトベースのパスタ。群馬ではメジャーで、高崎界隈の各店でこのベスビオが親しまれています。
まだ食べられる余地があれば、おすすめはフォカッチャ。濃厚なコクのある一品です。
ところで、なぜパスタは群馬県で親しまれているのでしょうか。
群馬は米と麦の両方を栽培する二毛作が昔から一般的で、毎年全国で5位前後に入るほど高い小麦の生産量を誇ります。
その土地柄から群馬県各地に粉物の名物メニューがあり、うどん、まんじゅう、おっきりこみなどが親しまれてきました。そんな小麦粉に親しんできた下地が、群馬のパスタ愛を育んだと聞きます。
5カ所目:ジャンボ花瓶パフェで〆 埼玉県・珈琲屋OB
- 距離:シャンゴ伊勢崎店から約120km
- 所要時間:約1時間40分
最後は埼玉の最終兵器こと、珈琲屋OBへ。埼玉県を中心に19店舗を展開しています。八潮にある本店は常連客でにぎわい、知り合い同士が挨拶を交わす光景も。
ログハウス調の建物で、何やら秘密基地のようなワクワク感がありますが、注文方法はタッチパネルと現代的です。
珈琲屋OBはとんでもなくデカい飲み物を格安で飲める喫茶店。それでいてデカ盛りばかりをウリにせず、あくまで基本のコーヒーを大事にするお店でもあります。
おなかに余裕があれば、その名もパフェ(990円)を注文してください。まず着丼からド迫力で登場します。
グラスではなく、大きな「花瓶」でやってくる時点で規格外。アイスとホイップクリーム、フルーツやコーンでできた上部のパフェゾーンに加えて、下にはジュースもたっぷりです。
ジュースが選べるのもいい感じ。映えるのはクリームソーダですが、筆者は豊潤なうまみがたまらないバナナジュースがおすすめ。
まず、アイス2玉を順番にコーンの上に乗せて食べ進めるとスムーズです。
ものすごく大きいように見えますが、手を付けると「ギリギリ常識的な量」だとわかります。思ったより気持ちよく食べきれるはず。完食すれば達成感まで得られます。
ほかにも「金魚鉢に入ったジュース」や「ピッチャーに入ったソーダ」などデカ盛りメニューが豊富ですが、おなかいっぱいでも心配ご無用。ふつうサイズのメニューもたくさんあるので、旅の最後にゆったりとクールダウンしましょう。
ちなみに公式サイトのクーポンで10%OFFになるので、忘れずに。筆者はそれを知らず、百ウン十円をフイにしました。
正直かなり強行軍の旅程ですが、この5店を回れば、それぞれ性格の違うチェーン体験ができます。狭いようで広い、関東のローカルチェーンワールドをおなかいっぱい堪能してみましょう。
まだ見ぬローカルチェーンへ会いに行こう
昔ながらの老舗店が多いローカルチェーンですが、現在、新興勢力も伸びています。千葉北西部のイデカフェや、栃木の味噌ラーメン店・満天家など、まだ他地域には知られていないお店もたくさん。あなたが見つけて推せば、ファンとしての先駆者になれるかもしれません。
今回は関東にしぼって紹介しましたが、広い日本ではまだ筆者も知らないローカルチェーンばかり。ぜひ一緒に探求し、存分に楽しみましょう。
※注意 コロナ禍でイートインを一時中止するお店も多く、千葉県・としまや弁当、栃木県・餃子専門店正嗣(まさし)は来訪時イートインできませんでした。ただ、イートインが復活している可能性もあるので、店内で食事をしたい人はあらかじめ確認してください。
Twitter:@pega3
編集/はてな編集部
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