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この地方ビジネスホテルの朝食がすごい!年間に270泊する評論家おすすめのホテル7つ

この地方ビジネスホテルの朝食がすごい!年間に270泊する評論家おすすめのホテル7つ

比較的安く泊まることができ、出張や旅行でも利用しやすいビジネスホテル。近年、ビジネスホテルの数は都市部だけでなく地方にも急速に増えており、差別化のためさまざまなサービスに力を入れる施設が増えています。なかでも、多くのホテルが注力するのが「朝食」です。ホテル評論家で旅行作家の瀧澤信秋さんによると、クオリティーの高い「朝食」を提供するビジネスホテルが多数誕生しており、現在は「朝食合戦」の様相を呈してるそう。

私たち宿泊者からするとなんともうれしい合戦ですが、なぜ、いまビジネスホテルは朝食に注力するのでしょうか。本記事では年間270日以上ホテルに宿泊しているホテル評論家の瀧澤さんに、ビジネスホテルの定義や朝食合戦へといたった流れ、そして、とっておきの「朝食を食べにわざわざ行きたくなる地方のビジネスホテル」をご紹介してもらいます。また安心して旅行に出かけられるその日までの参考に、ぜひご覧ください。

今ビジネスホテルの朝食がアツイ理由

そもそもビジネスホテルとは?

ホテルに「宿泊」という機能があることは分かりやすいですが、一方で宿泊以外のサービスもホテルでは提供しています。

例えばレストラン、カフェラウンジ、バーといった「料飲」といわれる部門をはじめ、結婚式、宴会等のサービスが想像しやすいと思います。“ホテルはひとつの街”といわれますが、こうした多彩なサービスを提供するホテルは一般的に「シティホテル」と呼ばれています。業界ではフルサービスホテルと呼ばれ、国際的にもホテルとはこうしたさまざまなサービスを提供する施設を指します。

他方、宿泊以外の機能を排し、リーズナブルにして簡易的かつ機能性の高いサービスを提供するホテルも、旅行者の支持を得てきました。宿泊に特化するホテルということから業界では「宿泊特化型ホテル」と呼ばれ、フルサービスに対してリミテッド(限定的な)サービスがその特徴とされます。

こうしたリミテッドサービスの形態について国際的には「INN(イン)」といわれ、ホテルと区別されますが、日本では「ビジネスホテル」という呼称でホテルのカテゴリーとして捉えられてきました。ビジネスホテルはその名の通りビジネス客、すなわち出張族をターゲットとした宿泊施設という出発点があります。他方、近年では旅の多様化が進み、出張族ばかりではなく観光客もビジネスホテルの重要なターゲットになっています。

ゲストの多様化は宿泊特化型ホテルのスタイルを大きく変化させました。ここで「ビジネスホテル」というワードを用いず「宿泊特化型ホテル」というワードを出したのには理由があります。シンプルにしてリーズナブル、簡易的なサービスの提供といった本来のビジネスホテルのイメージにはそぐわない宿泊特化型のホテルが増加し、いまや宿泊特化型ホテルの多くを占めるまでになっているからです。

現在では、フルサービスではないものの広々とした多層的な客室、オシャレなレストランやラウンジなど備える等、従来のビジネスホテルの枠組みには収まらない宿泊特化型ホテルが増加しており、さながらビジネスホテルのシティホテル化といった様相を呈しています。

ライフスタイルホテルといわれる宿泊に特化したホテルも増えている(東京ベイ潮見プリンスホテル)

にもかかわらず、新たな形態のホテルを表現する呼称はいまだ定着していません。一般メディアからの情報発信においても宿泊特化型ホテル=ビジネスホテルと表現されているのが現状です。

以上の定義や経緯を鑑みつつ、本記事においても、タイトルをはじめ本文中にも宿泊特化型ホテルの意としてビジネスホテルという表現を用いていますが、お許しいただければと思います。

巨大チェーンをはじめ独立系も増加

運営面からみると、宿泊に特化した形態は効率的な運営ができるという特長があります。

例えば、レストランでパスタが今日は1,000円で明日は2,000円というわけにはいきません。しかし、宿泊料金であれば繁閑に応じて今日は5,000円で明日は1万円というように収益の最大化を目的として変動させることができます(ダイナミックプライシング)。

宿泊特化/リゾートなど多様な展開も目立つアパホテル(アパホテル〈山手大塚駅タワー〉)

効率的な運営といえば客室にもあらわれています。ビジネスホテルは多層的な客室構成ではなく、シンプルな構成です。例外はあるものの、デラックスルーム、スーペリアルーム、スイートルームというような付加価値的な客室を持ちません。すなわち、シングルルームやツインルームといった画一的な客室構成で建設されているためスピーディーな開業が可能であり、収益力が高い上にイニシャルコストも限定的です。ゆえに、異業種からの参入障壁という点でもホテル事業をスタートするには宿泊特化型は都合が良いとされ、宿泊特化型ホテル激増の一因といわれてきました。

現場の画一的なオペレーションが可能という点でもビジネスホテルはチェーン化に向いている業態といえます。これらの理由によりビジネスホテルがチェーン化され、マーケットが堅調に成長してきました。

大規模チェーンがマーケットを席巻する一方で、それらに対抗するように独立系・小規模ホテル(チェーン)による差別化も際立ってきました。大規模チェーンにはないレスポンスや小回りが利く点などが独立系・小規模ホテルの特徴です。大規模チェーンの安定感も魅力ですが、全国各地の知られざる独立系・小規模ホテルにも注目すべき施設が数多くあります。

朝食がすごいビジネスホテルが増加している理由

差別化がビジネスホテルの課題と指摘しましたが、ビジネスホテルのサービスはリミテッドサービスであり差別化する手段は限られます。無論、新たなホテルの建設やリノベーションを施せばホテルの特色は強く打ち出せ、差別化に繋がるでしょうがコストはバカになりません。ビジネスホテルの朝食が進化を続けているのは、つまるところ朝食が差別化のアイテムとして取り組みやすい部分であり、個性を打ち出しやすいサービスという理由も大きいでしょう。

ビジネスホテルに限らずホテルの朝食はブッフェ形式が一般的となっていますが(コロナ禍で一時停止されていましたが)、ご当地食材やメニューなどでホテルはそれぞれ特色を打ち出しています。いまでは“朝食合戦”が激化しており、実演メニューなどシティホテルの領域に“浸食”するような豪華な朝食に出合う機会も増えました。

宿泊特化ホテルだけどシティホテルのような豪華なホテル、という傾向について触れましたが、このようなホテルカテゴリーのボーダーレス化は朝食も同様です。提供するサービス幅が広くないリミテッドサービスだからこそ、ビジネスホテルを選ぶ基準が朝食という人もいるのではないでしょうか。

わざわざ朝食を食べに泊まりたくなる地方ビジネスホテル7つ

さて、ビジネスホテルの定義から増加の理由、そしてサービスを差別化するために特色ある朝食を提供するビジネスホテルの進化まで紹介してきました。

ここからは地方のホテルを中心に「注目すべき朝食を提供するビジネスホテル」を紹介します。改めてここでいうビジネスホテルとは宿泊に特化したホテルという意味であり、シンプル・リーズナブル・簡易的というイメージだけではないホテルとしても捉えていただければと思います。ゆえにリゾートホテル、シティホテルのようなホテルも登場します。しかしながら、共通しているのはフルサービスではなくリミテッドサービスという点であることを留意いただければ幸いです。

九州・沖縄/沖縄:JR九州ホテルブラッサム那覇

九州に地盤を置く運営会社が沖縄・国際通り至近に進出して話題となりました。客室や設備なども、ハイクラスタイプのビジネスホテルならではといえるでしょう。大きな窓からは那覇市中心部の眺望が望めます。客室はハイセンスな調度品に全室セパレートタイプのバスルームも備えており快適なステイが楽しめます。テラス付きの「ライブラリーラウンジ」で薫り高いコーヒーが無料で楽しめるのはうれしいところ。旅に関する書籍もそろっているのでゆったりと読書タイムを楽しむのもオススメです。

撮影当時の様子。現在とは異なる可能性があります

朝食はレストラン「37 Steakhouse & Bar」にて。沖縄と九州の食材をふんだんに取り入れた約60種類のメニューが並びます。沖縄に加えて九州の食材も楽しめるというのは、九州に基盤を置くホテルブランドならではでしょう。サラダバーでは島野菜も用意されており、自家製ドレッシングに加えてシークヮーサードレッシングも楽しめます。

JR九州ホテルブラッサム那覇提供写真

注目の沖縄料理は、ゴーヤチャンプルー、ラフテー、沖縄そばなど王道のラインアップ。レストランオリジナルの「じーまーみ豆腐」は必食の一品です。

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JR九州ホテルブラッサム那覇

九州・沖縄/長崎:ホテルフォルツァ長崎

ホテルフォルツァ長崎のロビーラウンジ

ホテルフォルツァ長崎は、中華街や思案橋にもほど近い長崎の中心街に立地し、シティホテルクラスの客室が魅力です。九州で展開するハイクラスビジネスホテルブランドであるホテルフォルツァですが、その人気から近年では大阪、札幌、金沢などへも進出しています。くつろぎと機能性を追求するスマートホテルであり、スタイリッシュなのにリラックスできる空気感がフォルツァの魅力です。宿泊者の目線で丁寧につくられた客室もフォルツァならではです。実際客室に身を置くと、動線から備品やアメニティへの気遣いにも感心します。

撮影当時の様子。現在とは異なる可能性があります

朝食は、高級感あふれるロビースペース奥のレストラン会場で。まず、ご飯派にうれしい「ご飯のお供」が目に入ります。辛子明太子、青しばのり(海苔の佃煮と漬物をあわせたもの)、辛子高菜、野沢菜昆布、白菜キムチ、鯛ほぐしなどご飯がすすむラインアップ。

撮影当時の様子。現在とは異なる可能性があります

当然のように、長崎名物の皿うどんやヒカド(細かく刻んだ具材をサツマイモをすりおろしたスープで煮た料理)といったご当地メニューも充実しています。サラダバー、朝カレー、店内で焼き上げたパン、卵料理の実演などその充実度は圧巻。その他、黒酢ドリンクや彩り野菜の蒸し料理など健康を意識した充実の健康朝食ともいえます。

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ホテルフォルツァ長崎

四国/愛媛:レフ松山市駅 by ベッセルホテルズ

ホテルのコンセプトは「The Station」。松山市屈指のターミナル駅である伊予鉄松山市駅に隣接し、伊予鉄道株式会社とのタッグのもとに開業したホテルです。ハイセンスな客室からは眼下に伊予鉄路面電車のターミナルを望み、窓から路面電車の走行シーンも眺められるなどトレインビューホテルとしてのポテンシャルも高いです。

レフ松山市駅 by ベッセルホテルズの室内から

伊予鉄ルームというその名の通り伊予鉄道をテーマにしたコンセプトルームがあり、鉄道ファンの注目も集めています。

ホテル全体として愛媛・松山を体現していますが、そんなご当地フィーチャーはブッフェ朝食にもあらわれています。生食鯛を用いた宇和島の鯛めし、柑橘王国愛媛ならではの、みかんジュース飲み比べ、みかんを使ったオリジナルスイーツ、さらに朝食なのに地酒まで用意されており、地産食材をふんだんに採り入れられています。

朝食に加えてご当地で愛される鉄道までも登場するホテル。地域に着目するホテルという新たなホテルの進化を見るようです。

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レフ松山市駅 by ベッセルホテルズ

関西/大阪:天然温泉 花風の湯 御宿 野乃 なんば

御宿 野乃はドーミーインが手がける新ブランドで、ビジネスホテルのカテゴリーにもかかわらず“旅館”をコンセプトにします。御宿 野乃なんばは大阪の中心部にあって旅館風情を満喫できると人気を博しています。靴を脱いで館内を行き来できるので、リラックス度が相当高く、ビジネスホテルと旅館のハイブリッド版で、機能性や利便性と和のくつろぎを併せ持ついいとこ取りの施設といえます。大浴場が本格的で、内湯、半露天風呂、水風呂、ドライサウナなど設備も自慢の宿です。

種類に圧倒される小鉢メニューや大阪のご当地メニューが並ぶ朝食。

なかでも人気なのが、大阪なのになぜか「九州・中津のからあげ&とり天」です。

ご当地メニューフェアで提供したところ大好評だったことから継続中とのこと。鶏の唐揚げといえばホテル朝食ブッフェの定番メニューですが、揚げたてが食べられる実演メニューでの提供は希有。味も格別でついお代わりしてしまいます。実演メニューの充実はビジネスホテル朝食の密かなブームともいえます。

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天然温泉 花風の湯 御宿 野乃 なんば

関東/東京:ホテル ココ・グラン北千住

北千住という穴場エリアのハイセンスホテル。癒やしのホテルとしても人気で大浴場も併設されており、男性はサウナ、女性は岩盤浴(予約制)が利用できます。客室はバラエティーに富んでおり、最も小さな客室でも16㎡とゆとりあるスペースを確保(エコノミーシングル)。その他、ダブル、ツイン、露天風呂付きのスイートと利用目的に応じてフレキシブルにセレクトできます。インテリアや調度品も多様で部屋を選ぶのに迷ってしまいそうですが、ベッドは全室定評あるシモンズ製マットレスで、快眠・安眠が期待できます。

熟睡した翌朝の朝食がまたうれしい内容。ハイクラスのビジネスホテルでは有料朝食が基本ですが、こちらはハイクラスにして無料というレアケースな朝食です。無料とはいえ、煮物・揚げ物・焼き物とバラエティーに富んだ内容。

充実したサラダバーに、数種類のパン、汁物も味噌汁の他にスープまで用意されており、簡素・質素といった無料朝食のイメージを覆します。

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ホテル ココ・グラン北千住

東北/岩手:天然温泉 さんさの湯 ドーミーイン盛岡

「地方のホテルを中心に紹介」とお伝えしましたが、朝食といえば前述の御宿 野乃 なんばでも見たように、ドーミーインはポテンシャルの高いブランドとして知られています。朝食のほかにも大浴場や無料の夜食ラーメン「夜鳴きそば」をはじめとしてドーミーインの人気サービスは数多くあり、ゲスト目線が貫かれているホテルとして、絶えず進化を続けています。地産食材やご当地メニューなど地域色という点でも、ドーミーインでは全国各地で特色あるメニューを提供しており、盛岡でも同様です。

朝食では「味めぐり小鉢横丁」と銘打ち、一口分ずつ取り分けた見た目も楽しい小鉢や定番の揚げ物メニューなどが、温かいもの、冷たいものそれぞれ適温で提供されています。

盛岡のご当地グルメとしては「わんこそば」や「じゃじゃ麺」などが知られていますが、「冷麺」も外せません。その「冷麺」がなんとドーミーイン盛岡では実演メニューとして提供されています。

つるりと食べられるコシの強さがクセになる麺は感動的。キムチなど付け合わせも用意されており、オリジナルトッピングができるのもうれしい気遣いです。

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さんさの湯 ドーミーイン盛岡

北海道/函館:センチュリーマリーナ函館

最上級のロイヤルスイートルーム

人気観光都市である函館は、北の港町ならではのエキゾチックな雰囲気が魅力。中でも、函館湾に面した海沿いのエリア、通称ベイエリアは人気のスポットも多く、注目のホテルが並びます。とくにセンチュリーマリーナ函館の人気は群を抜いています。センスあふれるゲスト目線の客室、充実設備の大浴場、ウェルカムドリンクだけでなくホテルの常識を覆す、好みの枕を選べるピローズバーや好きなアロマを選べるアロマバーといったサービスにも感心します。宿泊特化ながら客室、設備などリゾートホテルの格すら感じます。

撮影当時の様子。時期により提供内容・方法が異なる可能性があります

そんな格の漂うホテルだけに、朝食ブッフェも感動的。上の写真の海鮮コーナーをはじめ、新鮮な北海道産食材を用いたメニューの充実度は他ホテルの追随を許しません。朝からスパークリングワインのフリーフローも楽しめます。朝食激戦区として知られる函館のホテルにおいて、朝食合戦の終止符を打ったホテルとして全国ランキング1位に輝くなど、これ以上の朝食は今後出現するのだろうか?という思いにかられてしまいます。

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センチュリーマリーナ函館

コロナ禍が旅のスタイルを変えつつある中で、ホテルの需要にも変化がみられます。供給過多のマーケットにあってビジネスホテルはますます熾烈な競争となり、朝食は今後もフォーカスされるサービスとして充実度は高まっていくでしょう。

今回は地方のご当地ホテルを中心に紹介しましたが、全国チェーンでもご当地メニューを提供するホテルは多くあり、全国チェーンVS小規模・独立系ホテルの構図は今後も際だっていくことでしょう。また次の機会には魅力的なホテル朝食を紹介できればと思います。

編集/はてな編集部

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