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「ご当地スーパーマニア」の会社員がおすすめする、わざわざ行きたいご当地スーパー6つ
What is ご当地スーパー?
ご当地アイドルやご当地カレーなど「ご当地〇〇」というネーミングがすっかり定着した昨今、「ご当地スーパー」もだんだんと市民権を得てきました。その名の通りご当地にある、その土地ならではのスーパーを指す言葉ですが「そもそもスーパーって地域によってそんなに違うの?」と思われる方も多いかもしれません。
ご当地スーパーを意識するになるきっかけとして、よくあるのは進学や就職。地元を離れた人が、そこで初めて「〇〇スーパーって地元にしかなかったんだ!?」と気付く例。自分が住んでいるエリアではどこにでもあるような地元のチェーン店も、地元地域を一歩離れたら見かけなくなる、なんてことは、ざらにある話です。
それもそのはず、実は、スーパーとは全国展開しているチェーンのほうが少数なのです。西友やイオン、ライフ、イトーヨーカドーなどを除くと、全国さまざまな地域で名前を見かけるスーパーはほとんどないように思います。
スーパーと聞くと、全国どのお店でも同じような商品しか買えないイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし先述したように、各地域ごとにお店も異なれば、そこに置いてある食品も異なります。つまりその土地のスーパーに行けば、その土地らしい食文化を知るきかっけにもなるのです。
私は現在、会社員として働くかたわら、全国のスーパーを巡ることを趣味にしています。その趣味をはじめたのも、ふと旅行先で立ち寄ったスーパーで「普段使うスーパーと全然違う商品ラインアップなんだ!」と気付いたことがきっかけ。「お土産屋さんに行くよりも地元の味が知れて楽しい!」と感じ、以来ハマってしまいました。
HP:ゴトウチスーパードッドコム
さて、日本初のスーパーは、1953年にオープンした東京都の紀ノ国屋(創業は1910年から)だと言われています。それまでは八百屋や肉屋に行き、店主に選んでもらい商品を購入するというのが一般的でしたが、紀ノ国屋ではずらりと並んだ商品を自分で選び、買い物かごに入れてレジで清算するという日本初のスタイルを取り入れました。
紀ノ国屋HP「紀ノ国屋の歴史」より
現在では全国に約2万店舗あるとされるスーパーですが、先にも述べたようにそのほとんどが地元に根差したチェーン。全国区と呼べるような企業はほんの一部です。つまり、ご当地スーパーを見つけるのはけっこう簡単なのです。
とはいえ、ご当地スーパーによって個性もさまざま。そこでまずは、ご当地スーパーを楽しみ尽くしていただくために、私がご当地スーパーを推す理由と、地元感溢れるご当地スーパーとの出合い方からお話を進めたいと思います。
ご当地スーパーを楽しみ尽くすために知っておきたいこと
ご当地スーパーを推す理由
私は旅行に行くと必ずご当地スーパーを訪れるのですが、それにはいくつかの理由があります。
①:地元感のあるお土産が、お土産物店よりも安く買える可能性がある
一部のお土産物店に置かれている商品の中には、その土地ではあまり食べられていないものだったり(現に私も京都出身ですが、八つ橋はそこまで食べません……)、スーパーに置いてあるような商品がお土産価格になっていたりと、少し残念なものもあります。もちろん、お土産物店ならではの素敵なアイテムもありますよ。
一方で、スーパーに置いてあるのは、当たり前ですがその地域で本当に食べられている品ばかり。おまけにスーパー価格なのでお手頃に手に入ることもしばしばです。
②:普段暮らす土地では出合えない食材・食品を見つけられ、料理が楽しくなる
私自身、料理は好きであるものの、レパートリーに限界があり、自分の料理に飽きてしまうことがよくあります。そんなときに救世主になってくれるのは、ご当地スーパーで見つけた、使ったことのない調味料や食材たち。東北と九州では並ぶ野菜も全然違いますし、それぞれの土地で好まれる味が異なるため、普段からよく使うお醤油やお味噌でも初めて口にする味のものがたくさんあります。
京都出身の私は普段、薄口醤油を料理に使うのですが、九州のご当地スーパーで見かけたのは「うまくち」や「あまくち」などの濃くて甘味の強いお醤油でした。恐る恐る試してみると料理に深みが出てとっても美味しく、以来、我が家の冷蔵庫には必ず九州のお醤油が鎮座しています。
③:その土地の食文化を知ることができる
その土地の食のインフラであるスーパーは、周辺地域に住まう方々の食卓を垣間見れる場所でもあります。お醤油やお味噌の味の違いはもちろん、お店に並ぶ商品や、お惣菜コーナーで人気の品を見て、その土地の食文化に思いを馳せたり、食の歴史を考えてみたり。
ガイドブックを読むだけだと、観光に最適化された飲食店のおすすめ情報くらいしか出てきませんが、スーパーに行くことでより深く、より広く地元の食について知ることができます。
飛騨高山地方の郷土料理「あげづけ」。醤油だれを染み込ませた油揚げで、軽くトースターで焼いて食べればお酒のアテにぴったり(画像は飛騨高山にあるスーパー・ファミリーストアさとうから取り寄せたもの)
魅力的なご当地スーパーを見つける3つのコツ
ここまで読んで「ご当地スーパーで買い物をしてみたい!」と思っていただけたなら本望なのですが、「〇〇県 ご当地スーパー」とやみくもに検索しても、「あまたある店舗のなかから、どこに行けばよいのか分からない……」と途方にくれる可能性も……。
お店によっては「地元ならでは」の商品を全然扱っていない場合も多々あるので、おもしろいスーパーを探すには少しコツが必要です。
もちろん偶然の出合いも楽しいのですが、よりアクティブに地元の食と出合うためには、以下の3つを心がけてみてください。
①:中心市街地の主要駅から近い
あくまで私の感覚なのですが、その都道府県の中心市街地にある主要駅から近いスーパーは、地元の商品が多い傾向にあるように思います。これは「観光客が多いため、地元ならではの品を置いておくと喜ばれる」ことや、「物流観点から、各社からの品が集まりやすい」ことが理由なのかなと推測しています。特におすすめなのは、エキナカの店舗。新幹線や特急列車などが停車する駅構内にあるスーパーは、お土産を購入される方も多く、地元の商品が充実しています。
②:EDLP(安売り系)スーパーではない
普段の生活では大助かりのEDLP(Everyday Low Price)店舗ですが、取り扱う商品の「地元ならでは感」はかなり弱め。一般的にEDLPスーパーでは、ほとんどの商品を全国区のメーカー品のなかからブランドを絞って大量に仕入れることで、一つ当たりの価格を下げて販売しています。そのためレアな地元の商品にはなかなか巡り合えません。
せっかくの地元スーパーへ行くのであれば、事前にWEBサイトなどを確認してEDLP系か、チェックすることをおすすめします。
③:SNSを要チェック
最近、スーパー各店が独自にSNSを運用している例が増えています。WEBサイトでスーパーの情報を確認するよりもお店の雰囲気がグッと解像度高く分かるので、ぜひ一度アクセスしてください。ローカル色の強い食品や、その店舗ならではのお惣菜などを投稿しているお店は、「ご当地スーパー色が強め」と判断して良いと思います。
ご当地スーパー店内のまわり方(初心者編)
さて、いざご当地スーパーへ足を踏み入れた際、心残りなく買い物を楽しむために意識したいポイントがいくつかあります。これを知っているのと知らないのとでは大違いなので、ぜひ覚えていただけるとうれしいです。
①:厚着していくのが鉄則
スーパーの中は冷房が効いていて、とても寒いこともしばしば。10分ほど買い物をしていると身体が芯から冷えてきます。普段の買い物ならそこまで時間もかからないので厚着は不要ですが、しっかり商品を見て回りたいときは厚着をする、もしくは羽織れるものを用意してください。
私も過去に車で行った先のスーパーで、「動きにくいし、脱いでいこう」とコートを車に置いてお店に入りましたが、あまりの寒さに取りに戻った経験があります。
②:保冷バックを持参
配送前提で商品を買う場合は不要ですが、その日のうちに持ち帰る場合、役に立つのが保冷バック。要冷蔵・冷凍の商品も多いため、「家に帰ったら溶けていた」なんて惨劇を避けるためにコンパクトな保冷バックはかなり重宝するのでおすすめです。
③:狙い目は調味料、パン、お惣菜、お酒コーナー
スーパーの店内には所狭しとさまざまな商品が並んでいるので、どこからどう回って良いか戸惑ってしまう方もいらっしゃると思います。
時間に余裕があれば一つひとつ棚を見て回るのもおすすめですが、旅の隙間をぬって訪れている方も多いため、滞在時間が限られているケースもあるでしょう。
そんなときに優先的に見てほしいのが「調味料」「パン」「お惣菜」「お酒」のコーナーです。あくまで私の経験則ですが、これらのコーナーには地元品が多い傾向にあるように思います。例えば調味料なら、地元の柑橘を使ったぽん酢、お惣菜なら地元のB級グルメが手に入るといった具合です。ぜひご参考ください。
④:旅行の最後に行く
他の予定もあるなかで、旅のどのタイミングでご当地スーパーへ行くか、は難しい問題ですが、私は最後に行く派です。
なぜなら、旅の途中で買ってしまうと持ち運びが大変ですし、旅の道程で食べた地元料理の食材を、最後にスーパーで買って帰ることもできるから。また、スーパーにはお弁当なども豊富に揃っているので、駅弁代わりに購入するというテクニックも。他の予定に融通が利くなら一番最後をおすすめします。
一度は行ってほしい! 全国のおすすめご当地スーパー
と、ここまではご当地スーパーを楽しみ尽くすための事前情報。以降は、私が全国津々浦々でご当地スーパーを見てきた中でも、特におすすめのお店を6つご紹介します。
宮城県:主婦の店 さいち
仙台駅から車で30分ほど走った温泉街「秋保温泉」にある、小さなスーパー「主婦の店 さいち」。宮城県内に1店舗しかない個人店で、お店の広さはコンビニより少し大きい程度です。しかし、ここをめがけて地元民や温泉の宿泊客はもちろん、県外からも多くのお客さんがやって来ます。
実はこちら、宮城県の観光ガイドブックにも掲載されるほどの超有名店で、売上の半分以上は観光客のお客さんによるものなのだそう。棚に並ぶ数多くの地元商品を見ているだけでも楽しいお店です。
地元商品の中でも特に人気なのが、毎日夕方頃には売り切れとなる「おはぎ」。
ベーシックな粒あんや宮城名物のずんだあんに加え、黒ごま、きなこ、納豆など、種類が豊富で、開店直後の店頭に並んだ瞬間から、人が群がり飛ぶように売れていきます。
「何度食べても飽きない美味しさ」を目指し、毎日店内で手作りされる本品は、「丁寧で素朴な美味しさ」を極めたような味。今では言わずと知れた宮城県の“ご当地グルメ”となりました。
日によっては仙台駅構内でも数量限定で購入可能なものの、個人的には絶対にお店で購入してほしい!ローカル感溢れるお店の雰囲気や、家庭的な味付けのお惣菜も含め、「主婦の店さいち」の良さをご堪能いただきたいです。
主婦の店 さいち
- 営業時間:9:00~19:00
- 定休日:第2・第4水曜日(8、12月は変更あり)
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東京都:福島屋
現在は会長となられた福島屋2代目の福島徹さんが、ご自身の食の哲学を存分に反映してつくりあげた、東京都の「福島屋」。六本木などにも店舗はありますが、羽村市にある本店が商品のラインアップが豊富でおすすめです。
福島屋WEBサイト https://www.fukushimaya.net/shop/#honten
会長の福島さんはさながら「食の編集者」。全国各地からとびきりの品を見つけ、店舗というメディアを使って魅力を訴求されています。
福島屋に一歩足を踏み入れると、見たこともないような商品たちが棚に並んでいて、心が躍ります。そして、それら商品をじっくり見て回ると、食の可能性や多様性を教えてもらえるよう。
安心安全な食材、食品の提供をこだわり抜く福島屋には、一般的なスーパーでは見かけたことがないような品も多く並びます。普段と勝手が違うため、どの品を買えば良いのか少し戸惑ってしまうかもしれませんが、各品について詳しい説明が書かれたPOPが多数置いてあり、選ぶ際のアシストもしてくれますよ。
私が特におすすめしたいのはこだわりの材料を使って手作りされた「おにぎり」です。
ふわふわに握られていて、口に含むとお米がほどけていくように感じます。塩加減も絶妙で、冷えても美味しく食べられるのもうれしいポイント。人が作るあたたかさを感じ、優しい気持ちになれるおにぎりです。
福島屋羽村本店
- 営業時間:10:00~20:00
- 定休日:1月1日・2日
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長野県:ツルヤ
「ご当地スーパー界の雄」と言えば、やっぱり長野県のツルヤ。長野県内を中心に群馬県にもお店を展開されていて、特に軽井沢店はガイドブックにも掲載されるほど有名です。毎回訪れるたび、カートいっぱいに買い物をされている観光客の方をたくさん見かけるお店です。
こちらの魅力は、地元長野の商品を多数取りそろえているだけでなく、PB(プライベートブランド。自社商品)の品が大変豊富なこと。ご当地スーパーでここまでPBの種類や棚の面積が多いお店はありません。
オリジナルのワインや果物ジュース、ジャム・はちみつ、ドライフルーツ、ドレッシング、そば、おやき……など、地元の青果を使った加工品や地元グルメが所狭しと並ぶ光景は、もう圧巻。
リピーターの方も多いようで、ひょいひょいと手慣れた手つきで商品をかごに入れていく様子を見ると、ついつい私も競うように手に取ってしまいます。
そんなツルヤにおいてマストバイアイテムとしてご紹介したいのは、いつ行っても売り場の棚がスカスカなほど人気の「りんごバター」。りんごの甘酸っぱさとバターのコクが病みつきになる品です。これ1つ冷蔵庫にストックしておけば、毎日の朝ごはんがとても楽しい時間になりますよ。
ツルヤ軽井沢店
- 営業時間:【月曜日~土曜日】9:30~20:00/【日曜日】9:00〜20:00
- 定休日:こちらより確認
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京都府:フレンドフーズ
関西からご紹介するのは、数々の雑誌のスーパーマーケット特集でもひっきりなしに取り上げられている、京都府のフレンドフーズ。他ではなかなか見ないような品も多数取り揃える、こだわりのスーパーです。
店内には各部門の担当者が全国の生産者から取り寄せた、選りすぐりの品がたくさん。店頭に並べるための絶対条件は「美味しく、少なくとも体に悪くはない」こと。美味しいことはマストでありながら、子どもに食べさせても安全なものを食のプロたちが目を光らせてセレクトしています。
京都に根付く飲食店の商品も多数そろえるフレンドフーズ。なかには「フレンドフーズさんにしか卸さない」というお店もあるそうです。地元のプロたちからも全幅の信頼を寄せられている、唯一無二のスーパーなのです。
なかでもおすすめなのは、エピソードも含めて素敵な井上佃煮店のお惣菜です。井上佃煮店は「京の台所」と呼ばれる錦市場で、135年間に渡って商売を続けてきた老舗惣菜店でしたが、2019年に経営上の都合からお店を閉店せざるを得なくなりました。
その連絡を受けたフレンドフーズの社長が「京都の愛される食を途絶えさせてはいけない」と、井上佃煮店を説得。長きにわたる交渉の結果、2020年に井上佃煮店の店主が同店に入社する新しい事業継承の形で、フレンドフーズ店内にて「井上佃煮店」の商品販売がスタートしたのです。
歴史ある京都の味を堪能できるお惣菜の数々。ぜひ味わってみてください。
宮崎県:ナガノヤ・ウメコウジ
インパクトのある商品でTwitterをザワザワさせ続けている、ナガノヤ・ウメコウジは、宮崎県で複数店舗を展開(ナガノヤ名義、ウメコウジ名義の店舗があります)するご当地スーパー。何がそんなに話題なのかというと、オリジナリティのある惣菜のインパクトあるネーミングとそのビジュアルです。
一番最初に話題になったのは「食べづらいサンドイッチ」。ストレートな名前と、具材がモリモリに入っていて、名前の通りどこからどう食べていいか戸惑うような見た目がかなり話題となりました。
これに端を発し、その後も「逆ギレ弁当」「昭和初期弁当」など普通のスーパーではまず見かけないネーミングのお弁当、お惣菜を続々と送り出したのです。「昭和初期弁当」は白ご飯の上に小さないわしと香の物のみというレトロ過ぎる見た目で、これまた注目を集めました。
一見するとユニークな商品名は、社長が名付け親だそう。お客様やスタッフの方々に楽しんでほしいというサービス精神を感じますよね。またこういった取り組みは、名前や見た目のインパクト頼りで肝心の味は残念、というケースも見られますが、ナガノヤ・ウメコウジのお惣菜は味もバツグン。ネーミングとビジュアルのインパクトだけでは、1回買って終わりになってしまいますが、同店ではお惣菜をリピート買いするお客さんが多いのも納得です。
さて、「食べづらいサンドイッチ」はというと、シャキシャキの野菜をまろやかなマヨネーズが包み込み、ほのかに甘味を感じるパンが全体をまとめるいい役割をしてくれます。ぜひ一度お試しください。
ウメコウジ 佐土原本店
- 営業時間:10:00〜21:00
- 定休日:1月1日
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沖縄県:知念商会
最後に紹介するのは、沖縄県は石垣島にある、ローカル感溢れるご当地スーパーの知念商会。ゆったりとした時間が流れる沖縄ならではのスーパーです。
スーパーというより昔の駄菓子屋さんのような店内には、のんびりとした空気が流れ、どこを見渡しても沖縄の品尽くしです。
おすすめしたい品は、「オニササ」。ウスターソースやマヨネーズで味付けした鶏ささみフライとおにぎりをあわせて握ったお惣菜で、小腹が空いたときの軽食にちょうどよいサイズ感。今では石垣島のご当地グルメとなるくらい人気を集めるオニササですが、地元の高校生がフライとおにぎりをくっつけて食べ始めたことが始まりなのだそうです。本家本元の味をぜひお楽しみください。
知念商会
- 営業時間:7:00〜21:00
- 定休日: 年中無休
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その地でしか買えない商品に出合えるご当地スーパーは個性の塊。単に買い物するだけでなく、エンターテイメントとしても楽しめます。ぜひ、旅行やちょっとした遠出のついでに、地元のスーパーにも立ち寄ってみてください!
編集:はてな編集部
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