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「クルマ写真」をカッコよく撮るコツをカメラマンに聞いた
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まずは「クルマ写真」の基本を押さえよう
クルマの雑誌やウェブメディアで見かけるカッコいいクルマ写真。真似して愛車を撮ってみても、まったく同じようには撮れず、“ただ撮っただけ”の印象になりがちです。クルマの写真は、一体どうしたらカッコよく撮れるのでしょうか? 雪岡先生、教えてください!
「クルマを撮影するポイントは、大きく4つあります。『陽の向き』『構図』『露出』『背景』です。陽の向きは、カタログのような写真を撮りたい場合は、被写体の正面から光が当たる順光が撮りやすい。イメージ写真のような場合は、逆光で撮る方が美しくなる場合もあります。次にクルマを見る角度ですね。もっとも基本的なのは“ナナサン”または”シチサン”といわれる、“側面7:前面3”になる角度。露出は、写真の“明るさと暗さの調整”のことです……、といろいろ理屈を言ってもわかりづらいと思うので、まずは自由に撮ってみてください」(雪岡さん、以下同)
そう言われたので、一眼レフで今回のモデル車である「C-HR」をパチリ! それがこちらの写真です。
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せっかくの青空なのに、ぜんぜんカッコよくない……。何がいけないのでしょうか?
「陽の向きは概ねOKです。今回は、太陽が真上にくる昼間の時間帯なので、あまり陽の向きを気にする必要はないですね。もう少しフロントに光が入る向きの方がベターです。ちょっと暗めですが、一眼レフのモードをシャッタースピードや露出などをすべて自動で合わせるP(プログラム)にしているので、露出も悪くありません。問題は、画角です。フロントまわりが妙に大きく写っているでしょう? これは、被写体に近づきすぎて、レンズの歪みが出てしまっているからです。クルマから離れて撮ってみてください」
そこでクルマ1台分(4m程度)離れて、カメラを向けてみました。すると……?
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ぜんぜん違う!
たしかに歪みがなくなって、スマートなC-HRらしさがわかる写真になりました。
「画面いっぱいにクルマを入れたいからといって被写体に近づくと、ワイドレンズを使うことになるので歪んでしまいます。歪まないようにするには、“遠くから”が鉄則。もし、画面いっぱいの写真にしたい場合は、望遠レンズを使う(今回のレンズならば200mm側)。最後の手段としてあとからトリミングしましょう」
でも、まだプロの写真には遠く及びません。何が違うのでしょう?
「背景と写真の角度です。左に黄色いクルマが写っていますよね。背景に余計なものが映ると、途端に“普通の写真”になってしまいます。角度については、背景にある照明のポールや木を見てください。斜めになっていますよね。こういうポールや地面の白線など、縦・横どちらかのラインが垂直・水平になっていると、ピシっとして見えます。ちなみに、ピントはヘッドライトあたりに合わせるといいでしょう」
黄色いクルマが写らないように、1つ隣の駐車枠へクルマを移動。背後にあるポールが垂直になるように角度を調整して、もう一度シャッターを切ってみます。
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ぐっとおさまりが良くなりました!
カメラマンさんって、こんなにいろいろなところに注意を払って撮影していたのか……。
「では、今の位置のまま、カメラを高くしたり低くしたりしてみてください」
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さらに違う写真になりました。カッコいい! ほんのちょっと目線の高さを変えるだけで、こんなにも違った雰囲気の写真になるのですね。
「基本的には、立った状態で自分の目線の高さから撮ればOKです。この写真からもわかるように、低い位置で撮ると、迫力のある写真になります。今回使ったカメラは、モニターの角度が変えられるバリアングル機能がついているので、今度はもっと地面に近いところからも撮ってみましょう」
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ファインダーからモニターで確認するモードに切り替えて、モニターを動かし、地面すれすれから狙ってみました。そうして撮れたのがこちら。
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いい感じ!
さらに迫力のある写真になりました。雪岡さんによると、自動車カメラマンはよくこういう構図で撮っていることが多いのだそう。中には、地面に寝そべってファインダーを覗くカメラマンもいるといいます。
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ちなみに、リアを撮るときも基本は同じ。ピントは、テールランプに合わせることもあれば、エンブレムに合わせることもあるそうです。
「これでクルマ撮影の基本は押さえられたと思います。次は、さらにカッコよく見える技を紹介しましょう」
自動車雑誌の表紙みたい!
「まずは、背景をよく見てクルマを移動します。今回は、大きな木があるので、その前あたりにしてみましょうか。そして、ハンドルを左に少し切ってみてください。シャッターを切るときは、クルマの前に少し隙間ができるような構図にしてみましょう」
言われるがままにクルマを動かして、シャッターを切ってみました。そうして撮れたのが、冒頭にも使った写真です。
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めっちゃカッコいい!!
「今にも動き出しそうな写真になったでしょう? ハンドルを切ることで、躍動感のある写真になるんです。ちなみに今回、露出の調整はカメラに任せましたが、白いクルマはプラス補正で少し明るめ、黒っぽいクルマはマイナス補正で少し暗めにすると、ボディ色がはっきりして美しくなります」
※一眼レフと呼ばれるカメラには露出補正の機能がだいたい付いていますので、詳しくは取り扱い説明書を読んでください。
角度は垂直や水平を合わせることが基本ですが、あえて角度をつけてみるのも良いとのこと。
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自動車雑誌の表紙にもありそうな写真になりました。これでプロの技、盗めたかな……?
インテリアを撮影するときのポイント
エクステリアの撮影が習得できたところで、今度はインテリアの撮り方を教えてもらいました。黒い内装のクルマって、一眼レフで撮ると真っ暗になってしまうか、反対に明るくなりすぎてしまうかで、難しいですよね。
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「これは自動露出が原因です。カメラの自動露出は、黒い物は暗く感じられるので明るく、白い物は明るく感じられるので暗くなるように設計されています。なので、暗く写るようならば、少し明るくなるようにプラス補正、明るく写るようならば、少し暗くなるようにマイナス補正をしてあげるときれいに撮れます」
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ほんのちょっとした調整で、こんなにも変わるとは驚きです。お次はシートを撮ってみます。
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イマイチ……。インパネ以上に難しい気がしますね。
「まずは、ポジションです。運転席と助手席のスライドとリクライニングを同じ位置に調整してください。“余計なものが写らないように”は、インテリアでも同じ。後席に鞄が置いてあるのが見えていますよね?」
たしかに、自動車雑誌のインテリア写真ってシートの位置が揃っていますよね。シートの位置を直して鞄をどけたらこんな写真が撮れました!
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「ちなみに、今回は大丈夫ですが、ヘッドレストは金属の棒が見えないように、一番下まで下げておきましょう。インテリアの写真を撮るときはもちろん、外観を撮るときも同様です。この金属の棒、窓越しに結構目立つんですよ」
勉強になります!!
まだまだある!撮影の注意点
ここまでで完璧な写真が撮れるようになったと思うのですが、その他に何か注意すべきポイントはありますか?
「今回は白いクルマだったのであまり気にせず撮れましたが、ボディへの“映り込み”は気をつけたいですね。それは、景色の映り込みだけでなく、カメラを持つ自分の映り込みもです」
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過去に撮った黒いクルマの写真をよく見たら、見事にカメラを構える自分の姿が写っていました。
「映り込みを回避するには、撮影する場所と角度を変えるしかありません。とはいえ、場所によっては避けられないので、あとから画像処理で消すこともあります。細かいことを言えば、ホイールの“エンブレムの向き”も、カタログや雑誌などでは気にするポイントの1つ。エンブレムが正面を向く位置に。さらに、エアバルブが真下にくるように調整します」
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上の写真は「GR86」のカタログ写真ですが、たしかにホイールのエンブレムはまっすぐで、その直下にエアバルブがあることがわかります。クルマの写真は奥が深い!
スマホで撮るときもポイントは同じ
ちなみに、スマートフォンでの撮影では、一眼レフでの撮影と違う部分はありますか?
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「基本的には同じで、陽の向きと画角と構図、映り込みなどを意識しながら、撮ればOK。画面を見ながら調整ができる分、一眼レフよりも撮りやすいかもしれません。あとはブレないようにしっかり持ってあげることですね。その場ですぐに加工できるのは、スマホならではのよさですね」
実際に、雪岡さんにスマホで撮影して加工をしてもらうと、こんな写真ができました。
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「露出を調整して、周辺減光という周囲が暗くなる加工を施しました。これだけでも、また違った雰囲気になるでしょう? これはちょっとやりすぎ感もありますが、いろいろな加工を試してみると楽しいと思います」
コツをつかめば難しくない!
いろいろな観点からレクチャーを受けた結果、プロ顔負けのカッコいい写真が撮れるようになりました。でも、これはまだまだ「基本のキ」。
光の使い方や加工のやり方次第では、さらに雰囲気のある写真に仕上げることができます。このあたりは、また別の機会に紹介しましょう。まずは、みなさんも今回のポイントを押さえて、愛車の写真を撮ってみてください!
取材・文・写真:木谷宗義(type-e)/編集:奥村みよ(PASSERBY GRAFFICS)+ノオト
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