試乗記・レポート

トヨタ GRヤリスRZ“High performance”に試乗

トヨタ GRヤリスRZ“High performance”に試乗

モータースポーツから市販車をつくるアプローチでつくられた特別なクルマ“GRヤリス”。その高性能版“RZ”系には、1月に“モリゾウセレクション”を試乗させていただいたのですが、今回、改めてRZ“High performance”に試乗できましたので、乗った印象をレポートしてみたいと思います。

クルマ大好き、元トヨタの企画マンで、公私合わせて1,800台以上のクルマを試乗してきた試乗のプロフェッショナル、ハマやんの視点から、「GRヤリスRZ“High performance”」の特徴を分解し、その魅力を探るレポートです。

※試乗実施時期の情報をベースにしており、最新の新車販売グレードにはない情報が含まれる場合もあります。最新の情報については各公式サイトでご確認ください。
試乗実施時期:2022年6月

GRヤリスRZ“High performance”試乗概要

走行性能:やっぱり速く面白い。“天国!”と感じさせる走り

以前、“モリゾウセレクション”に乗って名古屋高速で加速した際、その強烈な加速フィールに、「天国だ!」と思わず口走ったものですが、今回も、「この加速~走りは“天国”だなあ!」と感じました。
この日の試乗ルートは、そこそこ“走れるセクション”があり、速さの“天国”を味わう経験も結構できました、グレード名称どおりの“High performance”で、適切なギアに入ってさえすれば、アクセルと連動して思いのままの加速&速度が得られ、またその“加速フィール”がとてもエキサイティングなものと改めて感じました。

単に速いだけでなく、“面白い”点がポイントで、G16E-GTSエンジンの力の出方や回り方、サウンド、クルマ全体としての動き・姿勢や反応など、色々な要素が絡んでいるような気がしましたが、“飛ばしてこそ面白さが引き立つクルマ”と思いました。

乗り味(脚と車体):路面状況を常に伝えてくる脚としっかり受け止める車体

速く面白いクルマは、パワートレーンだけで成り立っている訳ではなく、車体や脚等の骨格も重要な要素として関係しています。

乗心地の印象は“固いが柔らかい”。すなわち、全体として固いサスペンションながら、角が丸められており、また、脚の動きを車体がしっかり受け止めているので、単に固いだけではない乗心地が実現できていると思います。

比較的、路面状態の良い今回の試乗路でしたが、マンホールや継ぎ目、また微妙な路面の凸凹等もあり、そうした場所では、“どんな路面状況かを常に伝えてくる”感じの乗心地、加えて、“クルマ・脚の動きを支える強固でキャパシティの大きな車体”という感じで、飛ばしていても、路面状況は常に把握でき、かつ、シッカリ車体による安心感がありました。

走りの余裕:都市高速で大きな余裕を持って走れるクルマ

自分にとっての“良いクルマ”とは、色々な走行条件のもとで“余裕を持って走れるクルマ”で、それは、飛ばしている時だけでなく、普通に流れる交通環境での走りも含まれます。具体例でいうと、“名古屋高速の名古屋駅入口で流入してすぐに2車線右に変更して環状線車線に入る・・・”といった状況下、どれだけ気持ちと行動の余裕を持って走れるか?といった事です。

このGRヤリスの場合は、コンパクトで視界がよく、加速も鋭いので、流入後すぐに高速道の流れまで速度を上げ、余裕を持って車線変更できる・・・“クルマと人の余裕”を実感できました。

その昔、ポルシェ・ケイマンで東京まで走っていき首都高を使う機会があり、その時に“良いスポーツカーは都市高速で余裕持って走れるんだな”と印象深く思った記憶があります。
コンパクトで、視界がよく(視点の低さはあるものの)、加減速・車線変更がとてもラクなので、分岐や出入口の多い首都高でも、大きな余裕を持って走れ、“よかった”と思ったものでしたが、このGRヤリスも同様に、コンパクトで、視界がよく、加減速・車線変更がとてもラクという“良いスポーツカー”の要素を持っていると思いました。

クルマとの対話:両手・両脚を使ってクルマと濃密に対話している感じGRヤリスのRZ系はマニュアルトランスミッション。3ペダルでシフト操作が必要なクルマです。低(定)速走行では面倒という面もありますが、交通量が少なく、マイペースで走行できるセクションの多かった今回の走行では、“両手両脚を使ってクルマと対話している”感じのドライビングが実感できました。

マニュアルトランスミッション車は、“走行条件や自分の好みによってギアを選択できる=自分でエンジン回転数を主体的に選択できる”点が、その意味と面白さだと思いますが、主体的にギアを選択するための行為や面白さが、“クルマとのより濃密な対話”につながっているのだと思います。

低速走行・燃費:低速(定速)は面白いとは言いにくく、燃費はよいとは言えないが仕方ないか・・・

走りの良さ・面白さや、クルマとの濃密な対話感覚が特徴のGRヤリスRZ “High performance”ですが、一方、低速(定速)走行では、(あまり両手両脚操作することもなく)、また(加速・速さの)天国も味わえないので、面白いとは言い難い感じ・・・“次の天国が待ち遠しい”走行となってしまいます。

ハイオクを必要とする燃料に関しても、(乗ると飛ばしがちなこともあり)燃費レベルは良いとは言い難く、今回の走行では平均10.8km/Lと表示されていました。走行性能なりの燃費といったところでしょうか?

といった点はあるものの、このクルマの面白さ・速さを考え合わせると、“走りの面で一芸に秀でたクルマだし仕方ないか・・・”という気になりました。

感想・総括:総括して・・・“走りの面白さ”・“クルマとの濃密な対話”・“競技で勝てるクルマ”

GRヤリスは、ヤリスの名前はついているが、3ドアでマニュアルトランスミッションだけ(RZ系)で4人乗りと、実用的な価値基準で測ったら不便なクルマに分類できると思います。
一方、スポーツカー基準でみたら、速さ・面白さだけでなく、どんな路でも扱いやすく、走りやすい“手の内感あふれる”クルマという事もできると思います。一般的に背が低く幅は広いプロポーションの“スポーツカー”に対して、GRヤリスは、全長3,995mm・全幅1,805mm・全高1,455mmとコンパクトで、そこそこ車高があり、乗っての視界も良いためです。

良好な視界・手の内感あるサイズは、ラリー・ダートラ・ジムカーナ等の競技でも有利な要素と思われ、そうした点にも、このクルマが“モータースポーツから生まれた”素性を感じさせられました。

“走りの面白さ”、“クルマとの濃密な対話”に加えて“競技で勝てるクルマ”という点が、GRヤリスを特徴づける三大要素ではないか?と感じた試乗体験でした。

総合評価

・乗る前の期待値越えか?
◎ 走りの良さ・面白さがあり、クルマとの濃密な対話が可能だった

・また乗りたいか?
◎ サーキット等で思い切り濃密な対話をしてみたい

※評価基準と評価マークの意味

項目/マーク

〇+

〇-

期待値を・・・

大きく上回る

上回る

まあ上回る

上回る部分もあるが・・・

下回る

また乗りたいか

とても乗りたい

乗りたい

まあ乗りたい

乗りたい面もあるが・・・

あまり乗りたくない

今回試乗したクルマはこちら!

〔試乗車〕:GRヤリスRZ “High performance”
〔車両価格〕:4,560,000円(税込)、オプション:予防安全パッケージ 249,700円(税込)
〔主要諸元〕:
全長x全幅x全高・WB・車重:3,995mmx1,805mmx1,455mm・2,560mm・1,280kg
G16E-GTSエンジン:1,618L、272ps/6,500rpm、370Nm/3,000~4,600rpm
サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン、タイヤ:225/40ZR18
〔試乗概要〕
名古屋オフィス~名古屋高速~グリーンロード~東海環状~豊田市(市街地・郊外)~伊勢湾岸道~名古屋高速~名古屋オフィスの約90km走行。平均燃費は10.8~12.8km/L

※スペック・価格などのデータは試乗時のものです。最新情報は店頭等でご確認ください

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